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デジタル造形の時代〜基本的なワークフローについてわかりやすく解説〜

デジタル造形の時代〜基本的なワークフローについてわかりやすく解説〜

デジタル造形とは何か? その名の通り、デジタルツールを使って、造形作業を行うわけだが、CGW.jp 読者が慣れ親しむ映像コンテンツ向けのモデリングとは、どのようなちがいがあるのだろうか? そして、完成したモデルを 3D プリントする上での注意点とは? まずは、デジタル造形を実践する識者にわかりやすく解説していただこう。

※本記事は 月刊CGWORLD 174号 の第2特集「デジタル造形の始め方」概論(Introduciton)ページを転載したものです

EPISODE 01
デジタル造形の時代が本格的にやって来た

前回のデジタル造形特集(CGWORLD 133号)から3年ほど経ったでしょうか? あの頃から状況がかなり変わっています。立体出力サービスも増え、使用する機械も自由に選択できるようになりました。価格も、仕事でフィギュアを出力するには納得いくくらいまで下がっています。この記事を書いている間(※2012年12月)にも、紙を使ったカラーの 3D プリンタ 「Mcor Iris True Color 3D Printer」 なんていう、楽しそうな新製品も発表されていました。フィギュアメーカーの工房に 3D プリンタがあるのも、もはや珍しい光景ではありません。


Mcor Iris True Color 3D Printer デモ動画

僕が ZBrush で原型を作り始めた頃は、3D データを画像でチェックしてもらえなかったり、なかなか理解されず困りましたが、今はそういったことは少ないと思います。デジタルを導入している工房なら、画像でも 3D データでもきちんとチェックしてくれます。また、宅急便で原型を送って数日後に返事が返ってくるといったことはなくなり、送ったと同時に、同じモデルデータを見ながら電話やメールで修正箇所を検討したりします。データが上がったらネットで納品してバトンタッチです。工房の職人の人たちが、立体出力した原型を仕上げて彩色見本まで作ってくれます。このあたりの連携作業はここ数年で本当にスムーズにいくようになりました。

今は、明らかに造形のひとつの手法として立体出力を知っておいた方が、制作の幅が広がる時代です。あえて語られてはいませんが、デジタル造形された物は身の回りにあふれています。デジタル造形をやってる自分にも「これは 3D プリンタを使って作られたフィギュアだ!」と言い当てることは難しいほど、自然な造形が可能になっているのです。デジタルで造形というとハードルが高そうに聞こえますが、僕は絵描きの人がパソコンで絵を描く程度の変化だと思っています。Photoshop にあたるのが ZBrush、Illustrator にあたるのが MetasequoiaRhinoceros といった具合です。今ではパソコンで絵を描く人が増えましたが、造形方面でも似たような変化が到来しつつあります。

EPISODE 02
実例:フィギュア制作のデジタル化

出力機の進歩によって、ひと昔前では難しかった、表面に細かなテクスチャが乗っている怪獣なども出力できてしまいます。不可能なものはほぼないどころか、デジタルでないと難しい表現も増えてきています。例えば、僕が原型データ作成を担当させていただいたグッドスマイルカンパニーの 『ねんどろいど スパイダーマン ヒーローズ・エディション』 なのですが、この表面に乗っている網目は手作業ではまず無理です。ZBrush のノイズメーカーという機能を使ってメッシュパターンを貼り込んでいます。黒い浮き彫りのラインは、地味に手描きして盛り上げましたが......。太いクモの巣のラインを墨が流れるよう凹で溝を彫っておこうという案も出ましたが、実際に頭だけ出力して確認すると、明らかに劇中同様凸で表現した方が見栄えが良いことがわかり、その後の流れが決まるなど、デジタルならではの経緯を経て作られています。手作業で網目を貼った後にスジ彫りして、やっぱり全体的に数ミリ痩せさせた上にラインを凸で貼り込むとか......考えただけで気が遠くなります。それがデジタルなら事前に何パターンかシミュレーションで作れてしまうのです。しかも彩色済みのイメージで。

ねんどろいど

 

同じく担当させていただいた 『ねんどろいど アイアンマン マーク7 ヒーローズ・エディション』 の場合は、ねんどろいどの素体データを借りてきて、それに粘土を盛り付けるように造形していきました。デザイン画も描いてもらったのですが、ねんどろいどの顔が入る前提でデザインしなければならないので、主にラフなデジタル造形をみんなで見ながら詰めていきました。ZBrush では DynaMesh を使い、Clay ブラシと hPolish ブラシあたりでほとんどの形を作っています。これは、特にソフトに詳しくなくてもモデリングできる方法です。ポリゴンで形を組んでモデリングしてしまうと、構造自体が変更になった場合に対処しづらいのでこの方法を採りました。どちらも大まかなパーツ分けを ZBrush でしておいて、後に freeform を使って細かい分割をしたり、立体出力後に手作業で微調整しながら関節を入れたりして原型の完成です。

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