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キャラクター制作から運用まで! リアルタイム向けキャラクターモデリング&Unreal Engine 4への実装

キャラクター制作から運用まで! リアルタイム向けキャラクターモデリング&Unreal Engine 4への実装

ゲームエンジンで扱うモデルの制作についてはいくつか留意すべき点がある。今回はハイエンドゲーム向けの物理ベースモデリング、リアルタイムレンダリングエンジンへのセットアップほか、3DCGに関わる各種技術コンサルもしているデジタルアーティストの坂本一樹氏に、自身が参加するゲーム開発技術研究コミュニティの事例を基に解説してもらった。

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 233(2018年1月号)からの転載となります

TEXT_坂本一樹
EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara、山田桃子 / Momoko Yamada
©2017 Kazuki Sakamoto All rights reserved.

1 ゲーム開発技術研究コミュニティ「AsteriskLab」での開発事例

01 はじめに

「AsteriskLab」とは著者の坂本とゲームプログラマーの梅村時空氏、テクスチャアーティストの若槻義人氏などが運営している「Discord」(※)上のゲーム開発技術研究コミュニティです。CG、プログラミング、音楽制作まで多用化するゲーム制作スキルを網羅するため、様々な分野のスキル所持者を招き入れ、持ち回りで月例のセミナーを開催しています。今回、Labの運営メンバーが協力し、汎用型素体とキャラメイクシステムの開発、加えてデモシーンの制作を行いました。今回の記事ではその汎用型素体「SotaiChan」の制作事例を元にキャラメイク並びに、キャラクターの運用手順などを解説していきたいと思います。


※コミュニケーションツール「Discord」
discordapp.com

02 キャラクターメイキングアセット「SotaiChanTransformer」

「SotaiChanTransformer」はUnreal Engine 4(以下、UE4)で体型や顔のキャラメイクを可能にする汎用素体モデルと、キャラメイクをするためのUI、キャラメイク後に結果を反映させるブループリントで構成されたキャラクターメイキングアセットです。キャラメイクシステムは商業ゲームでは定番ですが、一般公開されているアセットが見つからず、実装するためには非常に手間のかかるシステムでした。そこで、アーティストや個人開発者が利用できるようなキャラメイクシステムの雛形を開発しようと考えました。

SotaiChanのモデルはUnityやUE4に相互性のあるボーン構造をしていて応用性があり、ボーンを流用することで、ご自身でオリジナルのキャラクターを運用することができます。当アセットは現在開発調整中ですが、来年度に公開予定です。このシステムを活用してご自身のキャラクターを様々な年齢や顔に変えてみてはいかがでしょうか。

「SotaiChanTranceformer」フルHDデモ動画

03 デモ用のオープンワールド「SotaiChanWorld」

今回のアセット開発に合わせデモ用のオープンワールドを作成しました。背景モデルのほとんどは著者が以前からコツコツ作成していたものですが、開発期間は1ヶ月、組み込みや実装自体は2週間程度と、UE4を利用することで驚異的な速度でコンテンツ制作をこなすことができました。以前、他の環境で開発していたころは小規模開発に行き詰まることも多かったのですが、UE4に移行したことで個人レベルの開発でもストレスなく進められるようになり、今の開発環境を大変気に入っています。

今回はSotaiChanWorldのメイキングと共にリアルタイムに向けたキャラモデリングで特に注意した方が良い点、そして、完成したモデルをUE4の世界でどのように動かすかなど、より実践的な解説をしていきたいと思います。

「SotaiChanWorld」1440px高画質版プレイ動画

2 プリレンダーからリアルタイムへ

01 ゲームエンジンで注意すべき4項目

ハードウェアの飛躍的な進化により画質が向上し、VRやAR、映像業界からの参入などでますます注目の高まるリアルタイムレンダリングの分野ですが、今回は特にUE4を題材とし、プリレンダリングから移行する際に注意すべき点を実際の制作事例と共に紹介していきたいと思います。以下にプリレンダリングからリアルタイムレンダリングに 移行する際につまずきやすい点を4つに分類してみたので、参考にしてください。

1 OpenSubdivが使えない

サブディビジョンサーフェスはもともとPixarにより開発されたポリゴンを細分化して綺麗な曲面として描画する技術で、3ds MaxのターボスムースやMayaの3番表示が該当します。プリレンダリング向けのモデリングとしては最も重宝されている技術のひとつですが、ゲームエンジンでは使用することができません。代わりにTessellationという技術がありますが、多用して良いものでもなく、モデルのつくり方も異なります。

2 メモリリソースの節約

頂点数、テクスチャ、エフェクト、シェーダ、ライティング、アニメーション、ポストエフェクトなど、様々な面でメモリリソースの節約を意識する必要があります。特に混同しがちなのは「メモリ使用量の増加」と「総データ量の増加」はまったく異なる問題だということです。ミップマップやシャドウマップ、LODモデルの作成など、事前に様々な準備することで総データ量は増えますが、メモリ消費量は削減することができます。

3 アニメーション運用の制限

原則としてゲームエンジンで運用できるアニメーションはボーンかモーフに限定されます。AlembicキャッシュやHLSL、パーティクルなどの例外はありますが、基本的にMayaや3ds Maxなど、外部ソフトのモディファイヤやシミュレーション、コンストレイント、物理処理などが持ち込めません。様々な工夫をしてデータを持ち込むか、ゲームエンジン上でモディファイヤを擬似的に再現することがリアルタイムコンテンツ開発の大きな要素のひとつです。

4 ボーン構造の違い

HumanIKやBipedなどの伝統的なボーンはHipsがRootとなっていることがほとんどですが、ゲームエンジンではエンジン側でモデルの移動をコントロールするためUE4のマネキンやUnityのHumanoid同様に、原点にウェイトが割り振られていないRootジョイントが必要です。また、原則として移動値を入力してよいのはRigやHipsなどの腰のボーン、ウェイトの割り振られていないボーンだけです。移動値が入っているとリターゲットが困難になり、モーションを流用しにくくなってしまいます。

CGWORLD227号掲載『IkueRieChan!!』のその後

ここでは関連記事としてCGWORLD227号で取り上げていただいた「イクリエ&ファーストインパクトが開発 HTC Viveを使ったデジタル原型のVR閲覧システム」の、その後のご報告をさせていただきたいと思います。こちらの記事は株式会社イクリエの代表・濱島広平氏の企画で、氏のご厚意により著者はイクリエの看板キャラクターのフィギュアをVRやWebブラウザで閲覧できるデジタルフィギュアとしてリメイクする過程を紹介させていただきました。その取り組みを「Artstation」に投稿したところ、「MarmosetToolbag」の優秀作品として「ShowCase」、そして「MARMOSET VIEWER HIGHLIGHT | EP. 98」に選出していただき「Marmoset」公式サイトのトップページを飾るなど、海外で高い評価をいただくことができました。

今回の企画ではUE4を用いたセミリアル表現を追求しましたが、前回の取り組みはUnityとToolbagを用い、VRアプリ開発やWebGL、メイキングではPBRペイントを中心に取り上げていただいています。バックナンバー227号をお持ちの方は関連記事としてぜひ合わせて読んでいただけるとありがたいです。


「Marmoset」
www.marmoset.co

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