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「THE IDOLM@STER MR ST@GE!!」レポート&インタビュー(前編)>>彼女たちは、いかにして現実世界のステージに立ったのか?

「THE IDOLM@STER MR ST@GE!!」レポート&インタビュー(前編)>>彼女たちは、いかにして現実世界のステージに立ったのか?

バンダイナムコエンターテインメント(以下、BNE)が展開するアイドルコンテンツ『THE IDOLM@STER』。その作中に登場する芸能事務所「765プロダクション」(以下、「765プロ」)の女性アイドル13人が、横浜市のDMM VR THEATERにて「THE IDOLM@STER MR ST@GE!! MUSIC♪GROOVE☆」(以下、「MR ST@GE!!」)というライブに出演した。

声優が出演するライブではなく、これまでゲームの世界にいたアイドルが現実世界のステージでリアルタイムに歌い踊り、来場者とインタラクティブなトークも行うライブ。彼女たちは、いかにして現実世界のステージに立ったのか? 今回は2018年10月7日に行われた「MR ST@GE!! 2nd SEASON」の「双海亜美・双海真美 主演回(第二部)」のレポートと、アイドルのパフォーマンスを陰で支えたバンダイナムコスタジオ(以下、BNS)の『THE IDOLM@STER』開発メンバーへのインタビューの模様をお送りする。

TEXT_田端秀輝 / Hideki Tabata(@hitabataba
EDIT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

「アイドルはすぐそこにいる」という感覚を抱かせてくれるライブ

『THE IDOLM@STER』は、アーケードゲームより始まり、今では家庭用ゲーム機やスマートフォンなど様々なハード向けのゲームがリリースされている。ゲーム内容はプレイヤーが「プロデューサー」になり、アイドルたちをプロデュースしていくというもの。多数のアイドルの中からユニットをつくり、好きな衣装と楽曲を選ぶことで、3Dモデルで描かれたアイドルによるライブシーンを楽しめるのもゲームの売りのひとつである(家庭用ゲームでは、さらにアクセサリーも自由に組み合わせることができる)。コンテンツのファンのことも、ゲームでのプレイヤーの職業をなぞらえて「プロデューサー」と呼称される。

ゲームやアニメだけでなく、作中楽曲のCDリリースやアイドルの声を演じる声優陣が出演するライブイベントなど、われわれが生きている現実世界でもアイドルを活躍させようとしているのが『THE IDOLM@STER』の大きな魅力である。そんな中、声優のライブではなく、「765プロ」のアイドル、つまり2次元の世界にいるはずのアイドルを最新技術を用いて現実世界へ呼び出し、ライブを行なったのがDMM VR THEATER(※1)で開催された「MR ST@GE!!」である。「MR ST@GE!!」の1st SEASONは2018年4月〜5月、続いて2018年9月〜10月に、よりパワーアップした2nd SEASONが開催された。

※1 DMM VR THEATER:「ホログラフィック」技術を用いて、3Dメガネなどを着用しなくてもリアルタイムの立体映像を見ることができる劇場。客席から舞台を見ると、舞台手前のスクリーン上に映った人物があたかも舞台に立っているように見える。詳しくはDMM VR THEATERの「技術紹介」を参照。

本ライブは2つのパートに分けられる。ひとつは「765プロ」の13人のアイドルがユニットに分かれて、代わる代わる人気楽曲を披露していくユニットライブパートだ。

▲楽曲「99 Nights」を歌う(写真左から)萩原雪歩、双海真美、水瀬伊織、星井美希、双海亜美。実際のライブと同様、レーザーやスモークによる演出効果でもステージを盛り上げる


▲楽曲「ToP!!!!!!!!!!!!!」を歌う(写真左から)三浦あずさ、秋月律子、如月千早、我那覇 響、双海真美


▲楽曲「虹色ミラクル」を歌う(写真左から)天海春香、菊地 真、双海亜美、高槻やよい、四条貴音。ステージ壁面のスクリーンには楽曲ごとに変わる背景が映し出されている


ゲームと同様、「MR ST@GE!!」でも様々なアイドルや衣装の組み合わせを堪能でき、「プロデューサー」を喜ばせるセットリストになっていた。

▲楽曲「my song」を歌う(写真左から)高槻やよい、秋月律子、星井美希。声優によるライブイベントでは見られなかったアイドルの組み合わせに、感涙する「プロデューサー」も少なくなかった


そしてもうひとつは、主演アイドルが楽曲を披露し、客席にいる「プロデューサー」とトークを行うパートである。このパートは事前収録されたデータではなく、BNSのインタラクティブ(双方向)なライブコンテンツ提供サービス「BanaCAST(バナキャスト)」(※2)を用い、まさに生で展開されていく。2nd SEASONでは、「765プロ」のアイドルのうち、天海春香、萩原雪歩、高槻やよい、秋月律子、三浦あずさ、菊地 真がひとりずつ日替わりで主演アイドルを担当。取材を行なった日は、いつも元気で賑やかな双子のアイドル、双海亜美と双海真美が2人で主演アイドルを務めていた。

※2 BanaCAST:BandaiNamco Character Streaming Technologyの通称。BNSが開発した、最新のモーションキャプチャ技術と、高品質なリアルタイムCG技術を組み合わせたインタラクティブなライブコンテンツ提供サービス。詳しくは「『BanaCAST(バナキャスト)』ができるまで」(前編)(後編)を参照。

▲うさぎの耳で隠れているが、向かって左側を髪留めで結わいているのが妹の双海亜美(写真左)。ねこ耳を着けている、向かって右側をサイドポニーにしているのが姉の双海真美(写真右)


▲「なんでもない JUMP!」という歌詞に合わせ大きなジャンプで始まるのは、双海真美の楽曲「放課後ジャンプ」。もともとは双海真美のソロ曲でありゲーム中でもひとりでしか歌唱はできないが、双海亜美と共演するこの日のライブでは、なんと2人によるデュオが披露された


▲「MR ST@GE!!」のライブの特徴のひとつは、アイドルが現実世界のダンサーと共演していること。ダンサーはときにはアイドルと息を合わせて同じ振りを行い、ときにはアイドルと話すように寸劇を行う。舞台の広さと奥行きが強調され、アイドルの実在感がより強化される演出である


▲双海姉妹の仲の良さはパフォーマンスにも活かされている。双海真美が歌っている間、双海亜美がジャンプで盛り上げる


客席にいる「プロデューサー」からの言葉によってアイドルが臨機応変な対応を見せるトークコーナーでは、リアルタイムに動くアイドルの実在感を特に感じることができる。内容は悩みごとの相談や、生活に役立つ(?)クイズなど、主演アイドルによって変わる。双海姉妹の主演回では、2人が得意なモノマネのリクエストや、ジェスチャークイズなど、バラエティに富んだ内容が展開された。千葉県から来たという「プロデューサー」に対し「千葉ビーム」を発射し、あっけにとられ反応が遅れた相手に「千葉ビームは届くの遅いからね」「もっと早くしたいね」と返すなど、目の前の「プロデューサー」をおもちゃにして遊ぶ一幕もあった。楽しみながらコミュニケーションをとる双海姉妹らしいトークだった。

▲客席の「プロデューサー」のリクエストに応えてモノマネをする双海亜美。この回では同僚アイドルの菊地 真が可愛いポーズをとるモノマネを披露


▲ライブ中立ちっぱなしの「プロデューサー」たちの腰を心配してくれる、心優しい双海姉妹。いや、まだそんな歳じゃないし!


そしてトークコーナーの最後には、次の楽曲で着る衣装を「プロデューサー」たちの多数決で決めるという一幕もあった。

▲2つの衣装のうち、どちらを着たら良いかを聞く2人に、コンサートライトを振って応える「プロデューサー」たち。なおこの後「2人いるんだし、2人で片方ずつ着ちゃえばいいじゃん」という結論に落ち着いた


トークコーナーの後はユニットライブパートを挟み、再び主演アイドルの双海姉妹のパートへ。約束通りリクエストで決まった衣装に着替えた2人は、客席の盛り上がりに合わせてアドリブも繰り広げつつ、ハチャメチャな亜美真美ワールドを見せてくれた。

▲【左】ライブの最後に披露されたのは、双海亜美のソロ曲「トリプルAngel」。もちろんこの曲も、双海真美とのデュオによるスペシャルバージョン。ダンサーを交えての寸劇もあった/【右】間奏中に自由に踊る双海姉妹。第三部ではアドリブでソーラン節まで繰り広げられた


  • 客席にいる「プロデューサー」に対して今後の野望を語る2人。最後は双海姉妹が声を揃えて挨拶をしてライブを締め括った


ライブを振り返ってみると、いつものゲームと同じ声や姿で繰り広げられるトーク、歌唱、ダンスのおかげで、これまでモニタの中にいたはずのアイドルの実在感を強く感じることができた。ゲームの中では切り取られたシーンとしてしか見ることができなかったアイドルのステージが、「MR ST@GE!!」では連続したものとして提示された。シーンがひと続きになることで新たに見ることができた彼女たちの表情や動きも、これまでの彼女たちと違和感なく連続するものであった。この「新たな姿を見られた」ということも、アイドルが映像として「再生された」ものではなく、「生きている」ことの証になっている。

なにより、我々の応援に呼応してアイドルが舞台の上で全身を使って喜び、飛び跳ね、照れ、恥ずかしがり、拗ね、ときには叱り、そして笑う姿が、シンプルに「アイドルはすぐそこにいる」という感覚を抱かせてくれたのである。

▲普段はモニタの中にいる双海姉妹がすぐそこでパフォーマンスをしている姿に、客席の「プロデューサー」は普段のライブと同じようにコンサートライトで応える。客席の歓声が、より彼女たちに実在感を与える


アイドルがいたのは公演中のステージだけではない。劇場に入るとその日の主演アイドルと同じ髪型にした劇場スタッフが「プロデューサーさん」と呼びかけてくる。掃除を習慣としているアイドルが「今日も劇場の周りを掃除してきました」と言った後に劇場の外を見てみたら、竹ぼうきが置いてある。劇場の敷地内は、全て「765プロ」のアイドルのライブ空間であった。

▲双海姉妹は2人ともいたずら好きのアイドル。劇場入口やトイレの落書き、花束と思いきやピコピコハンマーなど、劇場中いたるところに2人のいたずらが仕込まれていた


▲【左】双海姉妹は、客席にもブーブークッションを仕掛けていた......が、事前に見つかり劇場外に撤去された模様/【右】そして翌日には、当日主演担当の高槻やよいが掃除で使った竹ぼうきと共に、ブーブークッションが捨てられていた......


©窪岡俊之 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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『THE IDOLM@STER』開発メンバーが
「MR ST@GE!!」にも参加

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