>   >  どこに行けば、キャラクターをつくれますか?:No.10(前編)>>バンダイナムコスタジオ
No.10(前編)>>バンダイナムコスタジオ

No.10(前編)>>バンダイナムコスタジオ

「キャラクターをつくりたい」という動機から、3DCGやイラストレーションの制作に挑戦し、「これを仕事にしたい」と考えるようになる人は数多くいる。そんな人たちの自己分析と業界研究の足がかりにしてもらうため、本連載では様々なゲーム会社やCGプロダクションを訪問し、キャラクター制作に従事しているアーティストたちの仕事内容やキャリアパスを伺っていく。第10回では、6月に1周年を迎えたバンダイナムコエンターテインメントより配信中のアイドルライブ&プロデュースゲーム『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』(以下、『ミリシタ』)を事例に、開発を担当したバンダイナムコスタジオにおけるキャラクターのアニメーション制作の仕事を紹介する。

TEXT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

▲『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』PV第2弾。2017年6月にサービスを開始したiOS、Android対応のアイドルライブ&プロデュースゲーム。ソーシャルゲームとして誕生し、声優によるリアルライブイベントやCDなど、幅広い展開をしている『アイドルマスター ミリオンライブ!』が題材となっている。本作では765プロライブ劇場(シアター)を舞台に、765ミリオンオールスターズの総勢52人のアイドルをプロデュースできる

配信元:株式会社バンダイナムコエンターテインメント
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

アイドルは総勢52人。さらに事務員が2人

CGWORLD(以下、C):かなり基本的な質問ではありますが、「バンダイナムコ」の名を冠する会社が複数ある中で「バンダイナムコスタジオ」はどのような位置付けなのか......という点から教えていただけますか?

吉武 敬一朗氏(以下、吉武):バンダイナムコスタジオは、ネットワークコンテンツ、家庭用ゲーム、業務用ゲームなどの企画・開発・運営を行う会社です。例えば『ミリシタ』の場合、開発は当社が担当し、配信はバンダイナムコエンターテインメントが行なっています。当社には約1,000人の従業員が所属しており、その多くをデザイナー、エンジニア、企画、サウンドなど、様々な職種のゲーム開発者が占めています。

  • 吉武 敬一朗
    バンダイナムコスタジオ
    (アニメーター)

    10年ほど前に入社し、『ソウルキャリバー』シリーズ、『鉄拳』シリーズなどの格闘ゲームのアニメーションを中心に手がける。『THE IDOLM@STER』(以下、『アイマス』)シリーズの初参加タイトルは『THE IDOLM@STER 2』(Xbox 360、PS3対応/2011)。『ミリシタ』ではアニメーション全般のディレクションとマネージメントを担当。アニメーション制作も行う。


遠藤暢子氏(以下、遠藤):吉武と私はキャラクターのアニメーション制作を専門とするデザイナー、つまりはアニメーターです。バンダイナムコスタジオのアニメーション部には、契約社員も含めると約50人のアニメーターが所属しています。アニメーション関連職としては、ほかにもモーションキャプチャの専門スタッフや、アニメーション関連の研究開発(R&D)に特化したエンジニアなどがおり、彼らは別部署に所属しています。

  • 遠藤暢子
    バンダイナムコスタジオ
    (アニメーター)

    1994年に入社し、業務用ゲームのグラフィックス制作に携わる。1995年頃から『ソウルエッジ』シリーズ、『鉄拳』シリーズなどの3D制作に携わり始める。『THE IDOLM@STER』(Xbox 360対応/2007)以降、数多くの『アイマス』シリーズの開発に参加。『ミリシタ』のアニメーターの中では、最も長く『アイマス』シリーズに携わっている。本作では「ライブパート」のアニメーションのチェックと制作を担当。
    ※「はるみちゃん」(アイマスモーション作成用標準モデル)に遠藤氏の代役をお願いした。


C:リギングは別部署の担当ですか?

吉武:アニメーション部のリギングを得意とするアニメーターが、別部署のエンジニアの協力を得ながら担当しています。遠藤や自分はアニメーション制作の方が得意なので、リギングはほぼノータッチです。

C:続いて『ミリシタ』における吉武さんと遠藤さんの役割も教えていただけますか?

吉武:現在『ミリシタ』に携わっているアニメーターはわれわれを含めて9人で、そのうち7人は社内におり、2人は協力会社にいらっしゃいます。何名かは他プロジェクトの仕事も兼任しています。アニメーション関連のディレクションは自分の担当です。『ミリシタ』のアニメーションは「コミュニケーションパート」と「ライブパート」に分かれていて、自分が全体をチェックしていますが、「ライブパート」は制作経験豊富な遠藤にもチェックを担当してもらっています。

遠藤:「コミュニケーションパート」はアイドル同士の会話や「プロデューサー(※1)」との会話が楽しめるパートで、アイドルの個性を反映させた日常芝居のアニメーションを制作します。「ライブパート」はリズムゲームを楽しめるパートで、アイドルたちのダンスアニメーションを制作します。吉武の説明にあったように、私は主に「ライブパート」を担当しており、ほかのアニメーターの仕事をチェックする一方で、自分でもアニメーションをつくっています。アニメーターは慢性的な人手不足なので、この記事を通してアニメーターの仕事に興味をもってくれる学生さんが増えると嬉しいです。

※1『アイマス』シリーズにおけるプレイヤーの職業、および通称。

吉武:自分もアニメーションをつくりますが、最近はディレクションやチェックの比重が増えています。

C:アニメーション制作のながれも教えていただけますか?

吉武:サービスの開始前後で微妙なちがいはありますが、ここでは基本的なながれをお話します。まず最初に『ミリシタ』の各チームと一緒に打ち合わせを行い、新しく制作する日常芝居やダンスのアニメーションの内容を決めます。設定や資料の多くは企画が用意しますが、アニメーター自身による実演を撮った参考動画などの追加資料をわれわれが用意する場合もあります。口で説明したり文字にするだけでは伝わらない情報も多いので、何らかのビジュアルにして伝えるわけです。アニメーションの内容が決まったら、関連資料を取りまとめ、協力会社のコーディネーターや振付師の方々に共有します。

遠藤:『ミリシタ』ではアニメーション制作にモーションキャプチャを使うため、「コミュニケーションパート」ならアクターのコーディネーター、「ライブパート」ならダンサーのコーディネーターやダンスの振付師の方々にご協力いただきます。お渡しした資料やダンスの楽曲をもとに、コーディネーターさんにアクターさんやダンサーさんを推薦いただく場合もありますし、お馴染みの方をわれわれが指名する場合もあります。例えば「舞浜歩」というアイドルはヒップホップのダンスが得意なので、彼女の持ち歌である「ユニゾン☆ビート」のダンスを収録する際には、同じくヒップホップが得意なダンサーさんを紹介していただきました。

C:芝居やダンスの内容に応じて、最適なアクターさんやダンサーさんをキャスティングしていくわけですね。仕事内容がアニメーション制作だけに留まらない点は、大変そうではあるものの、こだわった仕事ができそうですね。

吉武:実際、こだわっていますよ(笑)。アニメーションデータの制作以外にも、演出の提案、協力会社とのやりとり、アクターやダンサーのディレクション、モーションキャプチャ時の進行管理など、仕事内容は多岐に渡ります。

C:『ミリシタ』の場合52人もの