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BOXX Technologiesというワークステーション・ベンダーを御存知だろうか。
北米において、映画やブロードキャスティングの現場、そしてピクサールーカスフィルムなど大手スタジオのクリエイターたちから高い支持を得ている、"知る人ぞ知る"ブランドである。水冷仕様のオーバークロックCPUによる高速動作をメーカー保証で行いながら、かつプロ向けDCCソフトウェア群の動作認証をも取得しているという、非常にユニークなこの"ワークステーション"。満を持しての日本上陸に合わせ、その全貌に迫る。

北米をはじめ世界中のCG・VFX現場で活用される
オンリーワンなワークステーション

「プロ向けワークステーションでありながら、オーバークロック仕様のCPUを提供。それでいてAutodesk Mayaや3ds Maxといった3DCGソフトはもちろん、V-RayやOctane Renderといったレンダラの認証まで取得している」。こう聞くだけでも、ちょっと信じられないような仕様である。業務における長時間稼働に耐えうる安定動作が求められる"ワークステーション"としては、相当に尖った設計思想で作られている。それが、BOXX社のデスクトップワークステーション「3DBOXX」シリーズだ。

前述の通り、北米をはじめ海外では「第3のワークステーション」として広く支持を集めており、なかでも映画VFXや3DCGアニメーションといった、メディア&エンターテインメント業界での導入が増えているのだそうだ。実際にBOXX社の公式サイトに記載されているカスタマーには、ピクサー、デジタル・ドメイン、ドリームワークス、ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス、ブラー・スタジオ、シネサイトといった、CGWORLDでお馴染みの著名スタジオが名を連ねている。具体的な事例としては、映画『リアル・スティール』(2011)のVFX制作に用いられたことでも知られている。こうした北米のメディア&エンターテインメントの制作現場において、この「3DBOXX」シリーズが活用されている理由としては、他にはない単体としての高速なハードウェア設計はもちろんのこと、ブランドそのものの実績や信頼性によるところも大きい。

Making of Kevin Margo's CONSTRUCT
Chaos Group公式YouTubeチャンネルで公開されている3DCGアニメーション短編『CONSTRUCT』のメイキング動画。本作では、「3DBOXX 4920 XTREME GPU」を導入し(GPUはNVIDIA Quadro K6000と同Tesla K40×2枚という構成)、V-Ray RT for MotionBuilderによるリアルタイムに物理ベースのライティングやシェーディングのプレビューに成功した

日本ではまだ知る人ぞ知る「3DBOXX」シリーズを製造・販売するBOXX Technologies社(以下、BOXX)は、テキサス州オースティンに本社をかまえている。恥ずかしながら筆者は今回初めてその存在を知ったため、新興かと思いきや、実は北米での歴史は相当に古い。自社ブランドによる販売からでも10年以上、PC事業でいえば30年以上にもわたって業務向けビルドアップPCを手がけてきており(創業は1987年)、高速安定稼働が必須でサポートも必要となるワークステーションの開発については、ノウハウも実績も十分に蓄積されているのだ。それゆえに、オーバークロックという規格外なアプローチであっても、決してキワモノやテストレベルの製品ではないという信頼が、すでにBOXXブランドには確立されている。他社のマシンでは得られない高速性能が、手厚いサポート付きで得られ、その上で業務に必要なDCCツールのISV認証も取得されているのだから、マシンに最もスピードを求める業務のひとつとされるCG・VFX制作現場で3DBOXXシリーズが高い支持を集めるのは、当然と言えば当然のことだろう。

GTC 2014にて披露された『CONSTRUCT』ティザー。
こちらの最終レンダリングには、V-Ray RT GPU 3.0 for 3ds Maxで行われており、マシンはモーションキャプチャ時と同じく「3DBOXX 4920 XTREME GPU」が用いられた

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グラフィックスのための設計
筺体内に見られるの細やかな配慮

さて、3DBOXXシリーズが誇る信頼性が垣間見えるのが、まず筺体の設計だ。ラックマウントも可能な3Uサイズにコンパクトにまとめられたその筺体のガワは、全て「Made in USA」の高品質スチール製で、開発から製造まで全てBOXX本社にてワンストップで行われている。そしてその筺体を開け、中身に目を移すと、ハイエンドグラフィックスの使用を前提として、メンテナンス性と排熱に極めて気が使われた設計であることが、ひと目でわかる。

まず、グラフィックス用のPCI-Express部へのアクセスが非常に容易だ。マザーボードレイアウトを上下逆にし、電源を下部に置くことでスペースが広く確保されているほか、フルサイズカードを固定するためのフレームも備えている。グラフィックスボードからの熱は、無数に開けられた筺体上部の穴から上へと逃がすようなエアフローが組まれており、そのエアフローを生み出す3つの12インチ前面ファンには、全て日本の山洋電気製のものを採用している。わかる人にはわかる、かなり贅沢なつくりだ。

3DBOXX 4920 EXTREME GPU 内部写真

カバーの開閉はワンタッチ式で工具は不要。向かって右側面から開ける仕様となっているのがユニークだが、メモリやGPUスロットへのアクセスのしやすさを考慮してのもの

電源そのものも、ドアのように回転して引き出せる構造になっており、多くなりがちな電源へのアクセスもストレスを感じずに作業ができる。またCPUの冷却部分には水冷ユニットを採用しているが、極めてコンパクトにまとまっており、このスペースの空き具合だけを見ると、水冷PCであることを忘れるくらいである。
ハイエンドスペックを3Uサイズのコンパクトな筺体に収めて、かつこれだけのメンテナンス性を維持しているわけで、中を覗くとやはりきちんとワークステーションとしての長時間動作を保証するだけのつくりをしているな、と納得させられる。また聞くところによると、CPUの水冷ユニットを採用しているのは、静かに集中して作業をしたいというクリエイターニーズへの配慮という面もあるとのことで、このあたりの設計思想もまた、海外のクリエイターたちから「Yeah, 自分たちに向けて作られたマシンだぜ!」と評価を集める一因なのだろう。

3DBOXX 4920 EXTREME GPU 側面写真

左から、筐体の正面、カバーを外した状態の正面、背面。正面のカバーもワンタッチで着脱できるのだが、細かなメッシュ構造からは熱処理対策に相当力を入れていることが窺える。なお、正面に縦に3個並んでいる冷却ファンは山洋電気製のものが採用されており、優れた静音性も実現させている

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CG・VFX用途への本気度が伝わってくる製品ラインナップとISV認証

製品ラインナップとしては、今回実際に触れた「3DBOXX 4920 XTREME」を含むシングルソケット仕様の「3DBOXX 4000」シリーズのほかに、デュアルソケット仕様の「3DBOXX 8000」シリーズが用意されており、かなり自由にカスタムオーダーできる。GPUフル活用を望むのであれば、NVIDIA GeForce GTX TITAN2枚挿しモデルもISV認証付きで入手することも可能。製品名に「XTREME」と付けられたオーバークロックモデルだけでなく、通常クロックモデルも用意されているので、Intelの規格外動作はどうしても心配だという人は無難な選択をすることもできる。


BOXXワークステーション製品の各構成
CPU
コア数
OC
OC周波数
最大メモリ
最大GPU
電源
3DBOXX
4120
Intel Core i7
Intel Core i5
Intel Xeon
E3-1200v3
4
×
32GB
1
550W
3DBOXX
4150
XTREME
Intel Core i7
4
4.3
32GB
2
550W
3DBOXX
4920
Intel Core i7
4,6
×
64GB
4
850W
3DBOXX
4920
GPU
Intel Core i7
4,6
×
64GB
4
1250W
3DBOXX
4920
XTREME
Intel Core i7
6
4.5
64GB
4
1000W
3DBOXX
4920
XTREME
GPU
Intel Core i7
6
4.5
64GB
4
1250W
3DBOXX
4925
Intel Xeon
E5-2600v2
6,8,10,12
×
64GB
4
850W
3DBOXX
4925
GPU
Intel Xeon
E5-2600v2
6,8,10,12
×
64GB
4
1250W
3DBOXX
8920
Intel Xeon
E5-2600v2
8,12,16,20,24
×
256GB
3
1000W
3DBOXX
8950
Intel Xeon
E5-2600v2
8,12,16,20,24
×
256GB
4
1250W
                                  *OC:オーバークロック

現在、販売中のワークステーションを表にまとめたもの。製品名に「XTREME」とあるのがオーバークロックモデル、「GPU」とあるのがハイエンドグラフィックスボードを複数枚挿すことを想定した電源ユニットが1250Wであることを意味する。全モデルがオートデスクのメディア&エンターテインメント向け3DCGソフトおよびソリッドワークスのISV認証を受けている(一部モデルは、CATIAやNVIDIA MaximusテクノロジーのISV認証も受けている)


BOXXが提供しているのはデスクトップ型ワークステーションだけではない。サーバ製品も各種用意されているのだが、ひときわユニークなのが「renderPRO」シリーズという外部ユニットの存在。これは、細長いボックス型のユニットで、ベーシックモデルにはGPUが搭載されておらず、その名の通りCPU処理に特化させたパーソナルレンダリングシステムとでも呼ぶべきものだ。3DBOXXと同じ横幅なのでワークステーション上にちょうど置けるデザインになっており、「レンダリングマシンをサーバでなく個別作業環境それぞれのマシンの上において管理できる(つまり関連付けが視覚的にも把握しやすい)」という思想でつくられたものである。GPUを搭載することもできるが、現状レンダリングサーバを構築していない、個人や中小規模のスタジオなどには絶妙にマッチする可能性がある。興味があればぜひ、公式サイトにて詳細を調べてほしい。

renderPro 写真

「renderPRO」筐体。ベーシックモデルは、Xeon E5-2620デュアル(12CPU)、メモリ16GB(DDR3)、SSD(180GB)という構成。Quadro K600搭載モデルやXeon E5-2687Wデュアル(16CPU)のハイスペックモデルも用意されている
※製品仕様はBTOによって変更可能

3DBOXX 4920 EXTREME GPU、renderPro写真

3DBOXX筐体と並べた状態。ワークステーションと横幅が同じなので上にスタックさせるのがスペース的にも都合が良いと思う

最後になったが、このBOXX製品に対してCGWORLD的な注目ポイントをひとつ挙げるとすれば、Mayaや3ds Maxだけでなく、V-RayやOctane Renderといった"レンダラのISV認証も取得している"ということだ。レンダラの動作保証をワークステーションレベルで得ている、というのは一般的な販売製品としては非常にユニーク。この方面にて個体での動作保証を求める場合には、有力な選択肢となりえると思われる。

コモディティ化が進みコスト以外の比較も難しくなってきたPCハードウェアだが、ここにきて差別化著しい個性的なブランドが突然登場してきた。制作現場では4K映像への対応も始まってきており、フルHD移行後に一時落ち着いてきていたハードウェアに求める処理速度への要望も、また高まりつつある。そんな中このBOXXは、今どきの制作現場のニーズに応えるだけの価値を秘めた製品と言えるだろう。

現在、BOXX製品がISV認証を得ているメディア&エンターテインメント向けのDCCツールは、Autodesk Maya、同3ds Max、V-Ray、Octane Render。CAD系ツールでは、CATiA、SolidWorks、KeyShotなどのISV認証を得ている

TEXT_高木貞武
PHOTO_弘田 充

製品画像

3DBOXX 4920 XTREME

CPU:Intel Core i7(6コア、4.5GHz)
RAM:8GB(DDR-3)
HDD:500GB(SATAⅡ)
GPU:Quadro K600
OS:Windows 7 Professional SP1(64bit)
筐体サイズ:W174×H457×D513(mm)
価格:617,155円(オンライン直販)
※製品仕様はBTOによって変更可能です。

問:トーワ電機(株)
TEL:03-3868-3900(平日9:00~17:00)
※サポート、技術的な問い合わせは
公式サイト(下記)のフォームより
boxxtech.jp