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デジタルアーティストにとってもPCの知識は欠かせない。効率的な作品制作には作業内容に適した性能のPCが必要で、 その選定には相応の知識が求められるからだ。ここではCG・映像制作のパフォーマンス向上に深くかかわるPCパーツについて解説する。

また、PCパーツについての知識が深まれば作品制作にどういった性能のPCが適しているのかが自分自身で判断できるようになる。ひとつひとつのパーツにまでこだわって希望に合った製品を購入できる方法をBTO(Built to Order)というが、近年CG業界では作品制作に適したPCの購入方法としてBTOでの導入が多くなっている。BTOパソコンについて興味があればこちらも読んでみてほしい。

①CPU(Central Processing Unit)


PCにおいて中心的な処理を担う装置。近年はクロック周波数(Hz)の上昇やコア数が増加したことによって処理機能が向上している。3DCGソフトの多くはマルチコア使用に対応しているのでコア数が多く、クロック周波数が高いほど処理速度が早いと考えて差し支えないだろう。処理速度が早いほどレンダリングなどにかかる時間は短縮できる。可能であれば3GHz以上の動作周波数、4コア以上のコア数をもつものを選択したい。

②メモリ(Memory)


CPUなど他パーツ間でOS※やプログラムのデータの受け渡しの役割を担う。書き込み、読み込み速度のちがいで種類が分かれるがマザーボードによって動作が保証されるメモリの種類が決まっているので、安定性を求めるのであれば選択肢が限られてくる場合もある。現在市場に流通しているものの多くはDDR3という規格だが、DDR4というより高速に動作する規格を採用したものも販売され始めている。CG・映像制作用途であれば少なくとも合計8GB以上になるようメモリを搭載したいところだ。
※OS:Operating Sistemの略語。LinuxやMac OS X、Microsoft Windowsなどがある

③グラフィックスボード(Graphics Board)


CG制作では重要なパーツのひとつ。設定によっても変わるが、3DCGソフト上で主にレンダリングやプレビュー画面の描画を担っており、快適な制作をサポートしてくれる。3DCGの用途ではAMDまたはNVIDIA製のGPU※を搭載した製品が主流となっている。AMD RadeonシリーズやNVIDIA GeForceシリーズのグラフィックスボードは数万円台で購入できるため、個人ユースにはお勧め。プロ仕様のものとしてAMD FireProシリーズやNVIDIA Quadroシリーズといったものもある。
※GPU:Graphics Processing Unitの略語。画像処理に特化した半導体チップ

④マザーボード(Motherboard)


CPUやメモリなどのパーツが取り付けられる電子回路の基盤。基盤のサイズによって数種類に分類されているほか、どういったパーツをいくつ付けられるのか、といった拡張性においてちがいがある。種類によりグラフィックスボードなどを装着する拡張スロットの数が変わるので、グラフィックスボードの増設が予想される場合には、より拡張性をもつサイズを選んでおくと安心だ。また、メモリ用のスロット数は2つまたは4つである場合が多いが、これについても増設が必要となったときのために購入前にあらかじめ確認しておくことを勧める。

⑤ハードディスク(Hard Disk Drive)


データを保存しておくためのパーツ。どれだけの容量があるかということはもちろんだが、どれだけの早さでデータをやりとりできるかということも重要。書き込み速度が速ければレンダリングにかかる時間が短くて済むし、読み込み速度が早ければOSがすばやく起動したりといった利点がある。内蔵ディスクの回転数RPM(Rotation PerMinute)が大きいほど高速に動作することを意味する。また、価格が跳ね上がるが、SSD(Solid State Drive)というデータの書き込み、読み込み速度に優れるパーツもある。

⑥電源ユニット(Power Supply)


近年は個々のパーツの省電力化が進んでいるが、CG制作に使用されるパーツの多くは性能を十分に発揮するために多くの電力を消費する。なかでもCPU、グラフィックスボードは消費電力量が大きい。またレンダリング作業は往々にして長時間におよぶため、必要電力量をカバーできかつ安定的に供給できる電源を選択する必要がある。市販されている電源の多くに電力変換効率の認証である「80PLUS」というマークが付いているので、このランクを指標にするのも良いだろう。

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