Dimension 5社は1月7日(水)、リアルタイムレンダリング&ビジュアライゼーションソリューション「D5 Render 3.0」をリリースした。海洋シミュレーション機能をはじめとする環境表現の強化、AIを活用した制作支援機能の拡充、ワークフロー効率化に繋がる機能強化など多数の更新が施されている。非商用目的で利用できる無料のコミュニティ版と2種の有料サブスクリプションプランが用意されている。

海洋シミュレーション機能「Ocean」

広大な海面をリアルかつ効率的に生成する海洋システム「Ocean」を新たに搭載。波の大きさや速度、泡の立ち方、水深による色の変化などをパラメータで制御できるほか、シーン内の地形を自動的に検出し、陸地との境界に波打ち際やコースティクス効果を含む自然な海岸線を生成する。複雑なモデリングを行うことなく、物理的な相互作用を伴うリアルな水辺環境を構築できる。

ディスプレイスメントマテリアル(ベータ)

マテリアル表現において、従来の視差効果(Parallax)に加え、モデルのジオメトリ自体を変形させる真のディスプレイメント(True Displacement)がサポートされた。ハイトマップ情報に基づいて物理的な凹凸を生成するため、岩肌やレンガ壁などの質感を、シルエットの変化を含めて極めてリアルに再現可能。ユーザーはハードウェア性能や用途に応じて、軽量な視差効果と高品質なディスプレイスメントのどちらを用いるか選択できる。

ボリュメトリッククラウドとプリセット

光の散乱や影の落ち方を物理的にシミュレートし、立体的で厚みのある雲を表現できるボリュメトリッククラウド機能が新搭載。積雲、層積雲、層雲、乱層雲など、多様な天候に対応するプリセットが用意され、これらを選択するだけで手軽に空の表情を一変させることができる。

フォグ

フォグの設定項目が刷新され、操作性と表現力が向上した。フォグの色と密度のパラメータが分離され、より直感的な調整が可能になったほか、スカイライトの強度にフォグの明るさを追従させるオプションが追加され、自然な馴染みを実現。また、フォグの発生基準となるベースの高さを手動で設定できるようになり、カメラアングルやモデル配置に依存しない安定した効果が得られるようになった。

その他レンダリングに関するアップデート

Geo Skyの光量制御が強化され、太陽光、空の背景、環境光補正を個別に調整することでコントラストの微調整が容易になった。また、HDRIの解像度をメモリ使用量に応じて選択できる機能や、反射への映り込み消失を防ぐためのカリング距離(Cull Distance)設定、エフェクト背景へのカスタムカラー指定など、レンダリング品質と効率を細かく制御するための機能が多数追加されている。

AIエージェント機能

▲AI Scene Match

制作プロセスを支援するAIエージェントとして、「AI Scene Match」と「AI Asset Recommendation」が導入。ユーザーのシーン構成や文脈を解析し、最適なアセットや環境設定を自動的に提案・適用する。

その他AI関連のアップデート

▲AI Image to 3Dの利用例

平面の画像データから3Dモデルを生成する「AI Image to 3D」機能が追加。また、テクスチャ生成機能「AI PBR Material Snap」ではマッチング精度が向上し、より多様な結果が得られるようになった。その他、画質向上機能である「AI Enhancer」も最適化され、レンダリング結果のディテール処理が改善している。

その他の新機能

▲パスツールの最適化

その他、ワークフロー全体の効率化に関わる多数の機能強化が施された。ナビゲーションには視点移動の自由度が高い「フリーモード」が追加され、パスツールはハンドル操作やアセットごとの個別制御が可能になるなど操作性が向上。また、3D Gaussian Splatting(3DGS)のPLYおよびGS形式のファイルのインポートにも対応する。他にも、CMYKテクスチャのサポート、サイドバーのリサイズ機能、スキャッター機能のパフォーマンス安定化など、多くの改善が含まれている。

■D5 Render公式サイト(日本語)
https://www.d5render.com/ja

■What’s new in D5 Render 3.0(英語)
https://forum.d5render.com/t/what-s-new-in-d5-render-3-0/68270

プランと価格

D5 Renderには無料のコミュニティ(Community)版と有料サブスクリプションプランが用意されている。無料のコミュニティ版は学習や個人の趣味、あるいは導入前の評価といった非営利目的での利用に限定され、収益を伴う業務での使用は認められていない。対して、有料のプロ(Pro)版およびチーム(Teams)版は商用利用が完全に許可されており、建築パースの販売や業務としての映像制作など、ビジネスシーンでの活用には有料プランの契約が必須となる。

個人のプロフェッショナル向けのプロ版は、全てのレンダリング機能とAI機能への無制限アクセス、16,000点以上のアセットライブラリが利用可能。価格体系は年額プランと月額プランが用意され、年額プランは360ドル(約57,000円)、月あたり換算は30ドル(約4,700円)となる。

複数人でのプロジェクト共有やリソース管理機能を備えたチーム版は、プロ版の全機能に加え、同時編集機能や100GBのクラウドワークスペース、メンバーのアクセス権限管理などが付与される。価格は、年額プランが1ライセンスあたり708ドル(約112,000円)。

■D5製品の価格設定
https://www.d5render.com/ja/pricing

CGWORLD関連情報

●アステカ帝国首都「テノチティトラン」デジタルアーカイブプロジェクト! Blenderのデジタルツインデータがオープンソースで公開

Thomas Koleが「a Portrait of Tenochtitlan(テノチティトランの肖像)」プロジェクトにおいて、アステカ帝国首都「テノチティトラン」のデジタルアーカイブのBlenderファイルをオープンソース(CC BY 4.0)で公開。同サイトではBlenderファイルのダウンロードが行えるほか、ブラウザ内の3Dビューアによる閲覧が可能。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202511-Tenochtitlan.html

●図面・スケッチからリアルな建築ビジュアルを生成! アリババのオープンソース画像編集AIモデル「Qwen-Image-Edit」活用例

アリババグループが画像生成機能「Qwen-Image-Edit」を使って図面・スケッチからリアルな建築ビジュアルを生成する活用例をXに投稿。Qwen-Image-Editは8月19日(火)に公開された、テキストの指示のみで写真の修正やクリエイティブな変更が可能な新しいAI画像編集モデル。AIアシスタント「Qwen Chat」で誰でも利用可能なほか、GitHubではオープンソース(Apache-2.0ライセンス)でコードが公開されている。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202509-Qwen-Image-Edit.html

●低解像度のGoogle Earthのスクリーンショットを高解像度のドローン写真に変換! Ismail Seleit氏がFLUX Kontext LoRAのトレーニングで実現、無料ダウンロード可能

Ismail Seleit氏が自身のLinkedInで「RealEarth-Kontext LoRA」のリリースを発表。低解像度のGoogle Earthのスクリーンショットを高解像度のドローン写真に変換できる無料のモデルで、同氏が運営する建築デザイン向け画像生成AIワークフロー支援サイト「form-finder」からダウンロードできる。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202507-RealEarth-Kontext.html