Matin FalahManesh氏は4月25日(土)、Maya用C++デフォーマプラグイン「Profile Mover」の制作成果を同氏LinkedInで公開した。本プラグインは、Pixar Animation Studiosの研究者らが2022年のSIGGRAPHで発表した論文をベースに同氏が開発したもので、従来のウェイトペイントに依存しないアプローチのキャラクター変形システムを提供する。現時点では開発の成果報告に留まり、公開はされていない。

Profile Moverとは

「Profile Mover」は、キャラクターのサーフェスの変形をスプライン曲線で直接制御するMaya用デフォーマプラグイン。従来のリギング作業で必須とされてきた頂点ウェイトのペイント作業や、関節を曲げた際の不自然な変形を直すための補正(Correctives)スカルプトを必要としない点が特徴で、アーティストはキャラクターの表面に直接曲線を書き込み、それをコントローラとして利用する。

また、隣接する面やエッジを高速かつ効率的に探索・操作するために、ハーフエッジデータ構造を採用している点も特徴。1つの辺を、方向を持った2つの半分の辺(一方通行の矢印)に分割して管理することから、複雑なメッシュの表面であっても、隣接ポリゴンを高速に辿って、リアルタイムに近いデフォーメーション作業が行える。

Profile Moverのスプライン曲線はメッシュのトポロジーから完全に独立している。そのため、従来のウェイトが頂点番号に依存するためメッシュ構造が変わると破綻しやすかったところ、本手法では一度作成した曲線ベースのリグ設定を、トポロジーが異なる別のキャラクターメッシュに対してもそのまま流用できる。

■Matin FalahManesh氏のLinkedIn投稿
https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:7453374722693754880/

ベースとなった論文「Character Articulation through Profile Curves」

Profile Moverの基礎理論は、Fernando de Goes氏らによってACM Transactions on Graphics 2022(SIGGRAPH 2022)にて発表された論文「Character Articulation through Profile Curves」による。

この論文は、アーティストがリグを構築する際、キャラクターの表面プロファイル(輪郭)を観察しながら作業を進めるという事実に着目して研究された。従来の点群(ポイントクラウド)に基づくウェイト付けの煩雑さを解消するため、曲線を網目状に配置したCurvenetによって変形を定量化する手法を提案している。

技術的には、曲線の動きをサーフェス全体へ正確に波及させるためのアプローチとして、メッシュのポリゴンをより小さな多角形に分割して曲線とメッシュを動的に結びつける「Cut-cell」アルゴリズムを導入。これにより、曲線の境界周辺で変形が滑らかに伝播するHarmonic interpolations(調和補間)が数学的に実現され、極端な関節の屈曲時でもディテールを維持した高精細な変形が可能となる。

■Character articulation through profile curves(ACM Digital Library)
https://dl.acm.org/doi/10.1145/3528223.3530060

Matin FalahManesh氏について

Profile Moverの開発者Matin FalahManesh氏は、長編アニメーションおよびVFX業界において7年の実務経験を持つCGソフトウェアエンジニア兼R&Dエンジニア。主にC++やPython、Houdiniを活用したキャラクターリギングや変形システムの構築を専門とする。キャリア面では、高度な数学的理論と実際のアニメーション制作現場で求められる要件とを結びつけ、プロダクション環境で実用可能なツールを開発することに主軸が置かれている。

■Matin FalahManesh氏のLinkedIn
https://www.linkedin.com/in/matin-falahmanesh/

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