HDRI IntelligenceJoseph Bell氏)は8月24日(月)、世界のVFXおよびアニメーション産業の動向を包括的に分析した年次レポート『Visual Effects & Animation World Atlas 2026』のPDFを公開した(ダウンロードには氏名とメールアドレスの登録が必要)。世界80カ国以上、2,900以上のスタジオに所属する14万人以上のクリエイターデータを基に、市場の雇用推移や主要都市ハブの動向、制作現場におけるAIの実態、職種別の需要変化などを解説している。

AIによる雇用破壊の懸念と現場のリアリティ

レポートの冒頭では、かつてドリームワークスジェフリー・カッツェンバーグ(Jeffrey Katzenberg)氏が掲げた「2026年までに映画制作に必要な人員は500人から50人未満に激減する」という予測を検証。本書では、分析の結果、従来のVFXおよびアニメーションスタジオにおいてAIによる大規模な雇用代替は起きておらず、現時点で未達成であると結論づけている。

役職名に「AI」や「ML」を含む職種は全体のわずか0.1%(1,000人に1人)に留まっており、現在のところ、AIは既存のアーティストが日々のワークフローを高速化・補完するための実用ツールとして浸透しているという。全体としての雇用者数は前年比+2.7%の微増だが、数字に現れている以上に、各スタジオや職種間での流動的な再編が進んでいるとのことだ。

都市ハブ別の盛衰と税制優遇策の影響

地域別の動向では、依然としてロサンゼルスがVFX・アニメーション全体で世界最大の規模を維持しているものの、雇用は前年に続いて1.5%減少。一方で、バンクーバーは税制優遇措置の強化やハリウッド作品の受注回復を背景に前年比+11.3%の大幅な成長を記録したという。

アジア圏ではインド市場が大きく伸びており、世界最大のVFXハブであるムンバイ(+4%)に加え、チェンナイ(+10.8%)やハイデラバード(+7.8%)が急速な伸びを見せているようだ。また、欧州ではAVEC(音響映像支出控除)のVFX控除枠が拡充されたイギリスが堅調に回復しているほか、アイルランド(+12.4%)やフランス(+5.5%)が、手厚い税制優遇と高度な教育機関に支えられ、存在感を強めているとのこと。

ジェンダーギャップと職種別需要の推移

人材面では、業界全体のジェンダーバランスは男性67.7%に対して女性が29.7%。人事(76%)や法務(65%)、総務(62%)、PM(56%)といった管理・運営部門で女性比率が高い一方、ロトペイント、FX、CG/3Dなどのアーティスト部門においては70〜90%を男性が占める。国別ではイタリア(44%)やスペイン(39%)で女性比率が高い傾向が見られるようだ。

職種別の過去12か月間の推移では、新規案件獲得やパートナーシップを担うビジネス開発(+12%)やエンバイロメント/デジタルマットペインター(+9.3%)の需要が急伸。さらに、FX/シミュレーション(+6.1%)やクリーチャーTD/キャラクターFX(+5.2%)といった技術職も底堅く成長しているという。

大手スタジオとしてはDNEGFramestoreIndustrial Light & Magic(ILM)のトップ3社が世界全体の労働人口の12.3%を占め、業界再編や独立系スタジオの新設が進む中でも大手への集中と適応力の二極化が進んでいるとしている。

■Visual Effects & Animation World Atlas
https://www.vfxatlas.com/

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