オートデスクは5月21日(火)、かねてより協業関係にあったWonder Dynamics社の吸収合併を発表した。Wonder Dynamics社はAIを活用して3Dキャラクターから実写を合成するソリューション「Wonder Studio」を提供しており、今後はオートデスク製品との密接なインテグレーションが期待される。

Wonder Studio紹介動画
  • Wonder Studioは各俳優を自動検出し、映像から演技のアニメーションやライティングを自動で抽出する。そこにアップロード済みのCGキャラクター(図左)を割り当てることで、俳優の演技をCGキャラクターの演技に置き換えることができる
  • 映像に登場する複数の俳優も区別して検出し(図左)、各俳優に対してどのCGキャラクターを割り当てるかを選択できる

Wonder Dynamics社は今回の合併発表について、Xで下記のように発言した。

今日、私たちはオートデスクと手を組むことになり、ワンダーダイナミクスの旅における大きな瞬間を迎えます。



現在の誤解は、AIがワンクリックのソリューションであるというものですが、だからこそ私たちは、3Dとストーリーテリングの反復的な性質をその中核でサポートする会社に参加できることに興奮しています。



私たちは、アーティストに取って代わるのではなく、クリエイティブなワークフローをスピードアップし、より効率的にし、プロダクションのコスト削減を支援するAIツールの構築に力を注いでいます。



私たちは、オートデスクとの提携がそのビジョンを増幅させ、メディア&エンターテインメントにおける倫理的なAIと新興テクノロジーの限界をさらに押し広げると確信しています。(DeepLによる翻訳)

オートデスク重役も2023年末のインタビューで言及

2023年末にCGWORLDが実施したM&E部門のEVP(Executive Vice President)、ダイアナ・コレラ氏(Diana Colella)のインタビューにおいて、コレラ氏はWonder Dynamics社との協業について下記のように発言していた。

われわれはMayaとWonder Studioの間でCGキャラクターデータを共有できるプラグインを開発しました。これがコラボレーションの第1弾です。



将来的にはFlowにWonder Studioのデータをアップして、MayaユーザーがFlow経由でデータ共有ができるようにする予定です。重要なのはFlowがオープンプラットフォームだということ。Wonder Dynamics社を含め、様々な企業がFlow上で協業できるようになります。

パイプライン用ツールについては、Maya用だけでなく、Blender用のアドオンも提供されている。

Wonder StudioのMaya用アドオン
Wonder StudioのBlender用アドオン

※掲載画像・動画は全て公式サイトからの引用

CGWORLD関連情報

●プロダクションにおけるチーム、ワークフロー、データ連携を実現する「Autodesk Flow」とは何か?

オートデスク M&E部門 EVP、ダイアナ・コレラ氏のインタビュー記事。当時のWonder Dynamics社との協業についても触れている。
https://cgworld.jp/article/autodesk-flow.html

●Maya、3ds Maxの最新開発事情は?オートデスク バイスプレジデントに聞く、 コロナ禍で激変する世界のユーザー環境とメディア&エンターテインメント製品開発の最前線

オートデスク M&E部門 VP(Vice President)を務めるモーリス・パテル氏(Maurice Patel)に、グローバルのユーザー動向や最新の開発事情を聞いたインタビュー記事。
https://cgworld.jp/article/autodesk-202304.html

●オートデスク製品の進化、USDやMaterialXへの適応とBifrostの機能とは? ~ Autodesk Day 2023(4)

CGWORLDとオートデスクのオンラインフェス「Autodesk Day 2023」内のセッション「オートデスクのオープンスタンダード対応とBifrostテクノロジーアップデート」のレポート記事。オートデスク製品の最新情報を、同社M&E テクニカルセールス マネージャの渡辺揮之氏が詳説した。
https://cgworld.jp/special-feature/202309-autodesk-day-bifrost.html

●Mayaゲーム開発カジュアルトーク〜カプコン、バンダイナムコスタジオ、セガのテクニカル担当がオートデスクにも色々聞いちゃいます~CGWORLD JAM ONLINE 2023レポート(2)

「CGWORLD JAM ONLINE 2023」のセッションレポート。オートデスクの築島智之氏を司会に、カプコンの塩尻英樹氏、セガの麓 一博氏、バンダイナムコスタジオの沼上広志氏という大手ゲームメーカー所属のテクニカルアーティスト(TA)によるTAの業務内容の解説・Mayaに対する要望などの意見交換を行った。
https://cgworld.jp/special-feature/202312-cgwjam-maya.html

●Maya 活用フルコース~ゲーム開発3社エンジニアのノウハウを添えて~CEDEC+KYUSHU 2023レポート

上記「CGWORLD JAM ONLINE 2023」のセッションの第2弾として、築島智之氏、塩尻英樹氏、麓 一博氏、沼上広志氏がMayaとTAの仕事について前回よりもさらに掘り下げたトークを展開した。
https://cgworld.jp/special-feature/202312-cedeckyushu-maya.html