ドイツJawset Visual Computing社は12月24日(火)、3D Gaussian splatsとNeRF(Neural Radiance Field)技術を使用して、画像または動画から3Dシーンを生成するツール「Postshot v0.5」をベータ版として公開した。

新バージョンでは、Unreal Engine 5.4&5.5用プラグインの追加、VRステレオレンダリングのサポート、複数シーンのマージ、ラディアンスフィールドのシーケンス再生などの新機能を搭載している。

Postshotは、対象を多数の角度から撮影した写真(標準400枚程度)または動画(1〜2分程度)を使って、3D Gaussian splatsまたはNeRFによるトレーニングを経てラディアンスフィールド(Radiance Field)を生成し、ムービーのレンダリングまたはシーンのエクスポートが行えるツール。

写真または動画をインポートする際、高速かつディテール豊かな「Splat MCMC」(メーカー推奨)、トレーニング中にディテールのコントロールが行える「Splat ADC」、そして「NeRF models」の3種類から「Radiance Field Profile」を選択し、トレーニングを開始する。

動画インポート時のダイアログ。ここでは「Radiance Field Profile」に「Splat MCMC」を選択

インポート設定が完了するとトレーニング開始。ポイントやカメラ位置、ラディアンスフィールドが生成される様子はビューポート内のライブプレビューで確認できる。なお、生成されるデータは全てローカルPC内に保存され、クラウドへのアップロードなどは必要ない。

トレーニング時のライブプレビュー

トレーニングにより3Dシーンが生成された後は、Postshot内でカメラを作成してアニメーションを作成し、動画としてレンダリングが可能。さらに、Postshotプラグインを介してAfter Effectsにシーンを読み込み、After Effects上でシーンを合成し、レンダリングすることもできる。

PostshotシーンをAfter Effectsに読み込んだところ

なお、「Radiance Field Profile」に「Splat MCMC」または「Splat ADC」を選択した場合、トレーニングデータはPLYファイルとしてエクスポートすることも可能だ。

動作環境はWindows 10以降、GeForce RTX 2060以降またはQuadro T400/RTX 4000以降。現在は無料で利用できる。

バージョン0.5の更新内容

新バージョンでは、全体的なレンダリングパフォーマンスが向上し、プラグインによってUnreal Engine 5.4&5.5との統合が実現したほか、UE内でのVRステレオレンダリングもサポート。

Unreal Engine 5.4および5.5用プラグインが提供され、UEとPostshotを統合できる

また、Postshot形式のファイル(.PSHT)またはPLYファイルをシーン内に読み込むことで、複数のラディアンスフィールドノードをマージできるようになったほか、3D Gaussian splatsのシーケンスモデルを読み込んだ際、モデルのシーケンス再生とレンダリングにも対応する。

複数のラディアンスフィールドノードをシーン内でマージできる

■Postshot v0.5 Release Notes(Postshot User Guide、英語)
https://www.jawset.com/docs/d/Postshot+User+Guide/Release+Notes/v0.5

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