まるで粘土をこねるようにデジタル上で3DCGをつくり上げることができるZBrush。そのソフトの開発元から「ZBrushマスター」の認定を受け、デジタルスカルプト(彫刻)で数々の3DCGアートや立体造形をつくり出し、世界的に評価の高いデジタルスカルプター/コンセプトアーティストの岡田恵太氏。ZBrushを使いこなすための技術を伺ったところ、クリエイティブの本質に迫る意識の高め方から、Villard Inc.の経営者として描くビジョンまで濃密な話がとめどなく語られた。

INTERVIEW_日詰明嘉 / Akiyoshi Hizume
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

<1>鳶職や荷揚げ仕事のバイトをしながらZBrushを独学

――岡田さんの最近のお仕事で世界から大きな注目を集めたものとして、『League of Legends(※1/以下、LoL)』の世界大会のキービジュアルがあります。これはどのようにしてつくられたのでしょうか?

※1:『League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)』
米・Riot Games開発のPC向けマルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MPBA)ゲーム。1億人以上のプレイヤーを有し、世界で最もプレイヤーが多いオンラインゲームとされる。2009年から稼働し、日本語版は2017年より正式にサービスが開始された。プロリーグがあり、毎年世界中で多額の懸賞金を賭けた大会が行われるe-Sportsの代表とも言える作品


岡田氏がスカルプトを手がけた『League of Legends World Championship 2017』キービジュアル。本大会のキービジュアルを日本人が手がけるのは初めてのことだったという
© 2017 Riot Games. All Rights Reserved.

岡田:自分のスタイルとしては荒々しい造形が得意なのですが、今回は普段よりも小綺麗さに気を遣ってつくりました。龍が2匹いて雲があったりと構成するパーツが多いので、全体のバランスをシビアに見ながら詰めていった感じですね。制作期間は2週間ほどです。制作の依頼は、5月頃に開発・運営のRiot Gamesから直接連絡をいただきました。以前からArtStationに載せている作品を見てくれていたみたいで、「岡田さんのテイストで上手く表現してくれれば」という感じでこちらの裁量にまかせてくれました。自分の作品は麒麟や獅子といったアジアンテイストのモチーフが多いので、今回の決勝大会は中国での開催だったこともあり、そこも考慮に入れてまかせてくれたのかと思っています。

  • 岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)
    デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
    www.yuzuki-ko.com
    www.artstation.com/artist/yuzuki
    www.villard.co.jp

――「アジアンテイスト」というのは?

岡田:シーサーのような毛並みの荒々しさや、日本画の要素も採り入れて表現しています。アジアの龍と海外ドラマの『ゲーム・オブ・スローンズ』に出てくるような西洋のドラゴンとはちがいます。今回のLoLでも作品の舞台について指示があり、それがテイストとしてもマッチしていたんだろうと思います。これまで自分がつくってArtStationに載せている作品の延長線上の表現ができたなと思っています。

――岡田さんとしては、ご自身の作風のどんなところが特徴であり売りの部分になっていると考えますか?

岡田:荒々しい躍動感や勢いのあるスカルプトは目を惹かれるポイントだと思います。ひと目見て岡田の作品だとわかってもらえることが多いらしく、それはクリエイターとしての特徴だと感じています。以前、スクウェア・エニックスのとあるデザイナーの方がおっしゃっていたのですが、「ZBrushを使える人は増えているけれども、勢いでつくれる人はまだまだ少ない」そうです。これは絵でもそうですが、必ずしも丁寧に描けばいいというわけではなく、丁寧に描くことで勢いが削がれてしまうこともあります。特にコンセプトモデルは小綺麗につくるよりも迫力や印象の方が大事なので、インスピレーションを大事にして一気につくっていった方がいいと考えています。


岡田氏のArtStationページ

――それは絵を描き始めたときからの性分みたいなものですか?

岡田:生まれつきの性格もあるんじゃないかな(笑)。ひとつのものにコツコツ時間をかけるよりも、つくりたいという波が来たときに一気に集中して気力を放出してつくるほうが自分には向いていると思います。

――絵画や3DCGには小さい頃から興味が強かったですか?

岡田:そうですね。昔から絵には興味があって、勉強中によく机に落書きしたりしていました。ただ、当時からクリーチャー好きでしたね。ウルトラマンよりも怪獣みたいな(笑)。その頃からドラゴンもよく描いていました。アニメ調の絵も好きだったので、そういった落書きもよくしていました。

――子どもの頃にお好きだった作品は?

岡田:平成『ガメラ』や平成『モスラ』のシリーズですね。ゴジラよりもガメラ・モスラの印象が強いです。地元は電車も通っていないくらいの田舎だったので、映画館へは親に車で連れて行ってもらい、パンフレットや本を買ってもらってました。ただ、小中高はサッカー部で、絵ばっかり描いているというわけではなかったのですが。田舎だったのでバス釣りをすることも多かったですね(笑)。

――アートにのめり込んでいったのはいつ頃でしたか?

岡田:高3でサッカー部を引退してからですね。将来何をしよう? と考えたときに、落書きも好きだったし美術の成績がずっと良かったこともあって映像や美術系の専門学校を調べていたところで3DCG業界の存在を知り、その後は美術部に通って絵の描き方を教えてもらうという感じで卒業まで過ごしていました。

――通われた専門学校は東京ゲームデザイナー学院大阪校とのことですが、当初から3DCGの道を考えていらしたのでしょうか?

岡田:いえ、最初は2Dメインで考えていました。デッサンもそれまでしっかりやったことがなかったので1年目はそれを勉強して、2年目から先生に3Dを勧められて始めたという感じです。在学中はずっとLightWaveを使っていました。

――専門学校に行くと決まったときに、絵の道で食べていこうという覚悟は?

岡田:ありました。デッサンも3DCGも未経験だったので、ものすごく真面目に勉強していました。田舎から出てくると、大阪はとんでもなく大都会で誘惑も多くて、そういった誘惑に流されないように意識して必死に勉強していました。そのあたりはメリハリが大事ですね。遊ぶときは遊んで、やるときはやる。特に「就職しなきゃ」という危機感が強かったです。自分以外にも学生は大勢いる中、「俺が上に行ってやろう」と切磋琢磨する感じはありました。

――学生時代に刺激し合える友人には恵まれましたか?

岡田:大阪でフリーのデジタル原型師をされている「隙間の人」という方がいるのですが、彼とは同期で、今も交流があります。僕より4歳上なんですけど、デッサンも2Dも3Dも半端なく上手いんですよ。周りに彼のような上手い人がいたことはとてもいい刺激になりました。性格は真逆なのですが、刺激し合っている関係で、当時の自分にとってすごく良い目標でしたね。


――ZBrushを使い始めたのは学校を卒業してからですか?

岡田:いえ、最初に入った大阪の会社では、Softimageを使ってかわいらしいキャラクターのゲームをつくっていました。ただ、本当に自分がやりたかったのはクリーチャーの制作だったので1年で辞めて、1ヶ月ほど引っ越しのアルバイトをしてお金を貯めてから東京に出てきました。ZBrushはこちらに来てから独学で覚えました。

――独学は書籍やチュートリアル動画などで?

岡田:そうですね。でも今でこそ書籍もチュートリアルもたくさん出ていますが、当時はあまりなかったですね。YouTubeに上がっていても海外のものだったりして、少ないながらも参考書を読み漁ったり手探りしながら使ってひたすら数をこなして慣れていくという感じでした。

――独学をしている間は荷揚げのお仕事や鳶職をされていたそうですが。

岡田:はい。もともと体を動かすのが好きだったこともあり、鳶はやったことがなかったのでやってみようと。様々な現場に行くので東京のいろいろな場所も見られるし、数をこなせばお金も稼げるし、朝早いですが午前中に終わったりして、シフトも割と融通が利くので作業時間に当てることもできて、意外と合理的に時間を使えるんですよ。ただ、現場はキツかったですね。怪我する人を何人も見ましたし、僕自身、台風の日にけっこう上の方まで登ったこともありますし(笑)。アルバイトは荷揚げの方がメインで、石膏ボードをもって運ぶんですけど、デフォルトで40kg、多いときには80kg。そのあと、家の近くのジムに行ってサウナと水風呂、飲んで食ってZBrushみたいな生活でした(笑)。


アルバイト時代の現場での写真

――(笑)。体力をそれだけ使って、よく自学のモチベーションが保てましたね。切り替えのコツはあるのでしょうか?

岡田:ノリなんです。したいときに一気に作品をつくって、全然テンションが上がらない日は全然しない。そういう日は遊びに行ったりクラブに行ったりして、リフレッシュしてモチベーションを回復させ、またやる気の波をつくっていきました。会社をつくった今でもそのやり方ですね。経営+クリエイティブな作業なので余計にメリハリは大事ですね。

――1年間の独学の後はどうされたんですか?

岡田:作品をつくってカプコン系列の会社に入り『モンスターハンター』関連の制作に携わりました。この会社では、他の作品でも様々なモンスターやクリーチャーを見ることができましたし、仕事として提出するときに気をつけるべきことやフィードバックのやり方などを学びました。リーダーもやっていたのですが、当時の上司が厳しくしてくれる方で、メールの書き方やスケジュール管理など社会人に必要なスキルを勉強させてもらいました。その後、フリーランスとしてフロム・ソフトウェアさんやCygamesさんでも仕事をしましたが、どこの職場でも吸収することは多かったですね。

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<2>2DのCG用途にも使えるZBrush 立体の良し悪しはライティングで決まる

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<2>2DのCG用途にも使えるZBrush 立体の良し悪しはライティングで決まる

――岡田さんのZBrushでの最初の作品はArtStationにあるエイリアン的な作品ですか?


  • Alien」岡田氏のArtStationより

岡田:そうですね。H・R・ギーガーには影響を受けていますし、リスペクトしています。小さい頃はこれが怖かったんですけど(笑)、大人になってからは画集も買いましたし、『エイリアン』の映画は全作、何度も観返しています。

――ギーガー作品のどんなところが魅力ですか?

岡田:凶悪な生き物にもかかわらず、曲線が多いシルエットに美しさを感じます。ただ単に気持ち悪い生物ではなく、美しさも備えている。女性器のモチーフがあるので苦手な人もいるかもしれませんが、自分にとってのギーガーの作品は美しいものだと思っています。

――ZBrushを使う上で最初はどんなところが大変でしたか?

岡田:最初は2Dの絵から入ったので、立体を360度、様々な方向から見ることを常に意識していました。3DCGは、ある方向からは良く見えても、別の方向から見ると破綻しているということがよく起こります。これは初心者だけでなく、プロとしてやっている方でもときどきやってしまいがちです。最初の会社のときは、ローポリゴンだったのでひとつひとつのポリゴンを上手く使わないといけないので、球状に物を見るよう常に意識していました。

――岡田さんが考えるZBrushの特長はどんなところにあると思いますか?

岡田:直感的に造形ができるところですね。パソコンの中に粘土があるという感じが素晴らしいです。液晶タブレットとの相性も良いですし、ポリゴンでつくらなくて良いし、値段も10万円程度ですから購入しやすいです。Photoshopもあれば良いですが、ZBrushだけでもかなりのものがつくれますし。あとはトライ&エラーがすごくしやすいですね。描いているものの延長線上にあるものとして扱える。絵で描くよりもZBrushで造形していく方が早いくらい。一気につくってそれをスクリーンショットしてPhotoshopに取り込めば、陰影情報をもった下絵にもなります。


――それは2Dを使う人にとっても便利ですね。

岡田:そうです。だから3Dを使う人だけでなく、2Dの人も絶対に習得した方が良いと思います。モデリングデータにも使えますし、3Dプリンタにも出力できますし、この先どんどん需要が高まるソフトです。僕自身、専門学校で教えることもあるのですが、学生さんにも最近すごく人気ですね。ガレージキットの原型師さんも、これまでは粘土でつくられていた方や、それだと上手くできなかった方がどんどんZBrushを使い始めたことによって、全体のレベルが底上げされているという状況です。

――岡田さんがZBrushを使われ始めた当時、世間ではどのような用途が多かったですか?

岡田:3Dプリンタがまだそれほど普及していなかったので、デジタル上での化粧付けのような使い方をしていた人が多かったと思います。Mayaでつくって、ZBrushで鱗をペタペタ貼っていったりとか、皮膚の皺とか細かなディテールをつくるためのソフトという使われ方。ポリゴンモデリングではなかなかスピーディに再現できないディテールの作成、ノーマルマップ作成のためのソフトという印象が強かったですね。当時はそうやって何かからもってきたものをZBrushで処理していましたが、最近はゼロからZBrushでつくることが増えてきました。

――それはZBrushのソフト自体の進化?

岡田:もちろんそうです。年々すごく便利になっていますし、グラフィックもどんどん質が上がっているので、昔ながらのやり方よりも速さとビジュアル優先でそうなっていったのでしょう。僕が初めてZBrushに触ったのは、DynaMeshが初めて搭載されたバージョン4R2のときですね。DynaMeshというのはトポロジーを動かして再構成する機能で、革命的に便利でした。それ以前はけっこう頭を使わなくてはいけないソフトだったようですが、これによってかなり直感的な使い方ができるようになったと思います。

How to Start with ZBrush - Character Sculpting Continued with DynaMesh - Part 6

――岡田さんの作品は絵画のような迫力がありますが、描く段階で出力されたときのことも念頭に置いていますか?

岡田:それは常に念頭に置いています。現実世界には光の陰影があって、造形物は光が当たって影が落ちることで迫力が出ます。例えばドラゴンですと光の影響で眉間の凹凸が出たり、角の落ち影が美しく見えたりする。それはZBrush上でつくっているだけではなかなかそこまで表現できないので、KeyShotで頻繁にプレビューしながら、現実世界のライトだとどんな見映えになるかを常に意識しながらつくっているので、立体出力したときも迫力が出るんだと思います。作品の良し悪しはライティングで決まるといっても過言ではありません。これもカプコン系列の会社にいたときに上司から教わったことです。自主制作を見てもらっていたのですが、「今のものでも良いけれど、最後のライティングで作品は何段階もレベルアップするよ」とアドバイスをいただいて、それ以来ライティングには重きを置いています。

――作品をつくる上で、手の速さは重要ですか?

岡田:重要だと思います。僕は細かいところに時間をかけるのではなく、躍動感や全体のシルエットを優先しています。細かいところにこだわりすぎて、止まってしまっているというケースがよくありますが、正直、細かいところはあとからで良いんです。例えば鱗をすごくつくりこんでも、そもそもの造形、関節の位置などがおかしかったら作品としてまったく映えないものになります。やはり、全体のシルエットが最も大事な部分だと思います。

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<3>技術は上手い人の下で伸びる 入社試験は一度だけで諦めないこと

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<3>技術は上手い人の下で伸びる 入社試験は一度だけで諦めないこと

――学生やこれからデジタルアーティストの道を目指す方へ、岡田さんの経験を踏まえてのアドバイスやメッセージをいただけますか?

岡田:もし自分が目指している会社に受からなくても一度で諦める必要はないと思います。僕自身、フロム・ソフトウェアはクリーチャーがつくれるのでどうしても行きたかったのですが2回受けて落ちた経験があります。最初は専門学校のとき、次は東京へ来たとき。そして3度目でようやく受かりました。今はすごく仲良くさせてもらっているし、笑い話になっていますが(笑)。

――ある時点では実力が足りなくても、また技術を磨いて受ければ良いと。

岡田:そうですね。そもそも会社って、実力がある人でもプロジェクトの進行具合やその人がアサインできる環境があるか、とか会社側の事情によって断ることもあるんです。落ちたからといって、必ずしも下手だというわけでもない。タイミングの問題かもしれません。そして、もし落ちたとしてもそれで諦めて中途半端なところに行ってやりたくもないことをするくらいだったら、行かないほうがいい。そこで過ごしたとしても伸びしろは少ないと思います。学生は特に最初はどこかに入らなきゃと思いがちですけれども、あまりにも意に沿わないところに行くくらいなら、僕みたいにバイトでもしながら独学をしてもいいし、プライベートで師事する人を見つけたっていい。技術が伸びるスピードは、絶対に上手い人の下にいた方が速いです。そういう人の下で経験を積んだほうが良いと思います。他には懇親会や飲み会でどんどん声をかけていけば良いと思います。自分が若いときもCGWORLD クリエイティブカンファレンスで「自分の作品を見てください」と行ってましたので。うるさがられることはないので、恥ずかしがらずに行ったほうが良いと思います。あとはポートフォリオをつくること。面接でもよく聞くのですが、「頑張ります」と言われても作品がなければ判断できないので、しっかりと見せられるものをつくる目的で動いてほしいですね。


giraffe_(Kirin)

――ZBrushに触れるまでにやっておいた方が良いことは何でしょうか?

岡田:それは間違いなくデッサンです。絶対にやっておいたほうがいい。最初はブロックでも何でもいい。面の取り方とか、例えば固いものを固く見せる描き方、丸を描くのならながれに沿った影の描き方とか、ZBrushの造形にも通じるところがあるんです。デッサン力がない人が使っても上手く使いこなせません。逆に言うと、絵がきちんと描ける人は形を捉える力があるからZBrushをすぐに使いこなせます。だから絶対にデッサンをやっておいたほうが良いと思います。

――岡田さんは2017年に自らが代表となる株式会社Villardを創業されましたが、フリーランスの個人事業ではなく会社を設立したのはどんな理由からだったのでしょうか?

岡田:自分がしたいことをするためです。やはりクリーチャーと造形が好きなので、それに特化できる会社をつくりたかったんです。フリーランスでやるよりも会社にすると社会的な信頼感も大きくなるし、できることの規模が大きくなります。一人の力では限界があると思ったので、それを補うためにきちんと顧問や税理士さん、社労士さんもつけてやっています。

――会社ではスカルプトのスタチューやシルバーの販売をされていますが、これは会社設立時点からの計画でしたか?

岡田:いえ、これは設立して少ししてからですね。Facebookなどで作品を出すと、売ってほしいという声が以前から届いていたんです。その後、海外に量産できる会社を見つけて、自分で現地に行ってクオリティや生産状況を確認してから事業のひとつに加えました。スタチューをお求めになるお客さんは、日本の方もいますが海外の方も多いです。そもそも、スタチューや立体は海外の方が文化として根付いているので、そうした需要があるのではないかと思います。あとこれは計画段階の話ですが、スタチューのアカデミック版を販売しようと考えています。学生さんはなかなか手が出せないかもしれないので、そこは安く提供したり、専門学校にはスカルプトの見本になるようなものを無償に近いかたちで提供していければと考えています。


Villard Inc.のショップページ

――会社の事業展開として今後予定されていることは?

岡田:まずは造形と3DCGの2ラインでいきたいと考えています。クリーチャーだけではなく、機械類や背景もありますが、会社のメインとしてはスカルプトでやっていきたいですね。スタチューは現在色がついたものを販売していますが、お客さんがご自身で色を塗りたいという声も届いているので、少し小さいシリーズでキット販売をできればと思っています。その他の事業としては、スタチューのECサイトにアクセサリーや服飾、ネイルなども加えていけたらと。やはりビジネスにおいて女性とも上手くコラボレーションしていきたいと思っているので。あとは少し余裕ができたら教育ビジネスをしていきたいですね。2018年1月から東京コミュニケーションアート専門学校で講義をするのですが、他にもセミナーのお声がけはいただいているので。

――クリエイターとして、これからやってみたいこととしてはどんなことを構想されていますか?

岡田:創作活動にもっと力を入れていきたいですね。まず、2018年の後半に玄光社から作品集の出版が予定されているので、それに向けて作品を揃えていくことになります。会社の仕事はディレクションだったりクオリティのチェックをしつつ、自分の作品をつくっていきたいです。それはスタチューというかたちかもしれないし、個展かもしれないし、造形好きな人を集めた展示会かもしれないし、そういった創作活動をしていきたいなと考えています。