>   >  映画『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』の制作に参加した、海外からの助っ人たち<2>Digic Pictures(ハンガリー)
映画『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』の制作に参加した、海外からの助っ人たち<2>Digic Pictures(ハンガリー)

映画『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』の制作に参加した、海外からの助っ人たち<2>Digic Pictures(ハンガリー)

2016年7月の日本公開以降、全世界で話題を呼んだ劇場アニメーション長編『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』。その後、発売されたゲーム本編『ファイナルファンタジー XV』も全世界660万本の売上を記録、DLCや拡張パック、スマートフォン版など多様な展開を続け、今年3月6日(火)にこれまでリリースされたDLCや特典アイテム、新コンテンツを加えた『ファイナルファンタジーXV ロイヤルエディション』を発売するなど、その道行きはまだまだとどまるところを知らない。

そんな『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』の制作において、大きな役割を果たした海外の協力プロダクションのうち、本誌が独自に注目した3社にメールインタビューを敢行。本稿では前回紹介したRIVA Animation & VFX(インド)に続き、2社目となるハンガリーのDigic Picturesを紹介しよう。

INTERVIEW_岸本ひろゆき / Hiroyuki Kishimoto
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
Special thanks to SQUARE ENIX CO., LTD.

『キングスグレイブ FFXV』 冒頭12分特別公開(日本語ボイス)

<1>リソースと熱量を余すことなく注ぎ込んだ冒頭8分半の戦闘シーン

Digic Pictures(以下、Digic)はハンガリー、ブダペストにあるVFXスタジオだ。アンドリュー・G・ヴァイナ/Andrew G. Vajna氏とアレックス・サンドール・ラブ/Alex Sandor Rabb氏によって2002年に設立され、長編映画、CM、ビデオゲームにおけるハイエンドなCGI制作を主としている。特に『アサシン クリード』シリーズのゲームシネマティクスを数多く手がけており、その経験から本作の制作に参加することとなった。


『キングスグレイブ FFXV』制作に参加した外部パートナーを表にまとめたもの(月刊「CGWORLD + digital video」vol.216より)

『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV(以下、キングスグレイブFFXV)』の中で同社が担当したのは冒頭の戦闘シーン。大勢の戦士たちとクリーチャーが入り乱れ、魔法や巨大な怪物、大規模なエフェクトに圧倒されるシークエンスに仕上がっている。「スクウェア・エニックスとの何度かのディスカッションを経て、このパートを担当しようと決めました。我々がこの作品に投入できるリソース、力量を最大限に発揮できるという点でベストなパートだと判断しました」。

Kingsglaive: Final Fantasy XV - Battle Scene

この戦闘シーンは約8分半、259ショットから成る。またDigicは、このパートのほか12ショットほどの短いシークエンス(崩壊する飛空艇からニックスとルーナが脱出を試みるシーン)も手がけている。

制作にあたりスクウェア・エニックス 第2ビジネスディビジョン(以下、第2BD)からは、まず脚本とラフストーリーボード、コンセプトアートワークやマップ(どこでどのような演出が起きるかが説明されている)が提供された。「全体の演出プランを考えつつ、まずは弊社のスタントマンによる格闘リファレンスと演技の開発を始めました。その後、3DCGでプリビズレイアウトを構築しながら、社内のモーションキャプチャ施設でレコーディングセッションを設けました」。





背景や人物、乗り物などのコンセプトアート

Digicの通例のスタイルとして、プロジェクト早期から「完全な体験を伝達する」ことを心がけているという。具体的には、映像面での完成度に関わらず、必ず音楽やSEを入れた状態でチェックする、というもの。今回も第2BDへのチェック出しの際は、その時点ででき上がっている音楽・SEを入れ、戦闘シーンの総合的な雰囲気も含めて確認作業を行なっていたそうだ。「2015年11月頃、最初のプリビズを第2BDへ提示しました。このプリビズがこの後、プロダクション作業をくり返すなかで非常に重要であり、根幹的な役割を果たしました」。

Digicが作業を開始したのは2015年10月。脚本の打ち合わせも含めつつ約1ヶ月間、プリビズ制作に取り組み、さらにアニマティクス作業が翌年2月までくり返された。この間、並行していくつかのキャラクターモデリング作業も行われている。これらを設計図とし、本制作が開始されたのが翌年2月ごろ。5月中旬~下旬の納品まで、約3ヶ月が制作に費やされた。

最初に設定された大きなマイルストーンはアニマティクスにあった。第2BDから承認を受けたアニマティクスは設計図となり、以降の制作工程で重要視されることになる。当然、アニマティクスから大幅に変更すると影響範囲が大きくなるため、変更はストーリーテリング上の調整など細かなものだけが許容され、ベースとなるモーションキャプチャの演技、カメラアングル、カット割りはしっかりとアニマティクスを踏襲した上で作業が進められた。


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「完成に向けての工程では、革新的な取り組みをするのではなく、伝統的なショットバイショットのプロダクション工程で取り組むのがベストだと判断しました。アニメーションやシミュレーション、またアセットやショットワークの仕上げ(ディテーリング)など様々な工程が交錯しますが、それらの間ずっと全力を持続させることができると考えたためです」。

アニマティクス作業と仕上げの工程が交錯していた期間には、比較的長いルックデヴ期間が設けられた。ライティングをはじめとするショットの雰囲気づくり、アーティスティックなディテールなどの方向性を確立するため、静止画あるいはプレビュー動画をやりとりして第2BDと検討が重ねられたという。

ルックデヴのリファレンス画像。1つの舞台での戦闘シーンであるが、エフェクトの煙や照り返しなど複雑に変化しているのがわかる

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<2>最大の挑戦となったダイヤウェポン出現シーン

Profileプロフィール

Digic Pictures

Digic Pictures

www.digicpictures.com

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