>   >  映画『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』の制作に参加した、海外からの助っ人たち<3>Image Engine(カナダ)
映画『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』の制作に参加した、海外からの助っ人たち<3>Image Engine(カナダ)

映画『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』の制作に参加した、海外からの助っ人たち<3>Image Engine(カナダ)

2016年7月の日本公開以降全世界で話題を呼び、その後のゲーム本編『ファイナルファンタジー XV』の全世界770万本の売上に大きく貢献した劇場アニメーション長編『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』

そんな『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』の制作において大きな役割を果たした海外の協力プロダクションのうち、本誌が独自に注目した3社にメールインタビューを敢行。第1回のRIVA Animation & VFX(インド)第2回のDigic Pictures(ハンガリー)に続き、最後の紹介となるのはカナダ・バンクーバーのImage Engineだ。

INTERVIEW_岸本ひろゆき / Hiroyuki Kishimoto
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
Special thanks to SQUARE ENIX CO., LTD.

『キングスグレイブ FFXV』 冒頭12分特別公開(日本語ボイス)

<1>第2BDとの密接な関係により実現した大迫力の戦闘シーン

RIVA Animation & VFX(インド)、Digic Pictures(ハンガリー)とともに映画『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV(以下、キングスグレイブFFXV)』の制作にて大きな役割を果たしたのがImage Engine(バンクーバー)だ。映画『LOGAN/ローガン』(2017)や海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』などの大作をはじめ、直近では11月公開予定の『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』の制作会社として名を連ねる。


『キングスグレイブ FFXV』制作に参加した外部パートナーを表にまとめたもの(月刊「CGWORLD + digital video」vol.216より)

Image Engine Demo Reel 2017

高品質なフルCG映像をごく短期間のうちに制作した本作において、これらの海外協力会社はいずれも大きな役割を果たした。Image Engineが担当したのは、映画の最終盤20分。ご覧になった人にはお馴染み、圧巻の戦闘シーンもImage Engineが手がけたものだ。クオリティ・物量・短期間という難関を、Image Engineはどのようにして乗り越えたのだろうか。また、苛烈な制作を経てなお印象的なまでの満足度の高さを参加アーティストにもたらしたというプロジェクト運営とは。同社VFXスーパーバイザー・清水雄太氏に話を伺った。

KINGSGLAIVE: FINAL FANTASY XV | Showreel | Image Engine

同社が担当したショット数は約360、作業期間は延べ約8ヶ月ほどだという。もちろん、その8ヶ月全体に等しく人員が投入されたわけではなく、プロジェクトはコアメンバー5名からスタートし、最大で120名が参加していたというから、最盛期の怒涛の作業風景が目に浮かぶようだ。当時をふり返って、清水氏は次のように語る。「冷静にスケジュールを組んでみて、そのボリュームと制作期間にショックを受けたことを覚えています。例えばアセットに関していえば、2桁におよぶヒーローキャラクターたち・インソムニアの街並み・その破壊されたバージョン・飛行艇......などなど、しかもどのアセットも複数のバリエーションをもち、果てしなく、おびただしい数がリストに挙がりました。果たしてこの物量を、短期間で高いクオリティにもっていけるのか......スタジオ内からは『絶対無理!』という声が聞こえて来るほどでした」。

しかしImage Engineがこの難関に果敢に立ち向かい、見事に乗り越えたことは完成した作品からもまちがいなく確信できる。「まず依頼を受けたとき、『すごいプロジェクトが来た!』とマネジメントやスーパーバイザーたちと一緒に興奮したのを覚えています。できるかできないかを無視して、とにかく挑戦したいという気持ちが強かったです」。とりわけ同社のアニメーションスーパーバイザーは個人的にシリーズの大ファンだったそうで「夢が叶う!」と有頂天になっていたとか。その興奮から現実的なスケジュールを引いたときのショックとの落差は想像して余りあるが、作品にかける気持ちがスタジオ内の空気を牽引したことはまちがいないだろう。「不安要素は山ほどありました。......ただ、無理と言われると逆にやりたくなるものじゃないですか!」。

Image Engineといえば、近年は『LOGAN/ローガン』や『ジュラシック・ワールド』(2015)などで非常にクオリティの高いVFXシークエンスを手がけている。それらは実写合成を含むショットの他、フルCGで表現されるものも多く、その点ではフルCGアニメーションに類する本作とこれまで手がけた作品とで大きなちがいは感じなかったそうだ。一方、大きな懸念材料となったのは、何よりもその物量だったという。「技術的にはこれまでやってきた作品の延長線上にあり、担当する尺がこれまでより長い、という解釈で取り組みました。ただし、これほど長い尺を捌いた経験がなかったんです。そこでまず、社内の既存パイプラインでどこまで効率化できるかが大きなテーマとなりました」。

KINGSGLAIVE: FINAL FANTASY XV | Breakdown Reel | Image Engine

大きな課題をもつ本プロジェクトを成功に導いた最初の糸口は、プリビズにあった。Image Engine担当パートのプリビズは、The Third Floor、スクウェア・エニックス 第2ビジネスディビジョン(以下、第2BD)、Image Engineの共同で制作している。通常のプリビズ制作であれば、ポストプロダクション側が意見を出すことは稀なのだが、本作では第2BDの希望によりImage Engineもプリビズから参加したのだという。「プリビズ制作にImage Engineも参加する中で、三者で密に連携しつつ『物の見せ方』に重点を置いて進めていくことができ、これによって時間・予算に合わせた演出を早期に抽出していくことができました」。

作品をプリビズ段階から俯瞰で見通したことが、プロジェクトを成功させるための体制づくり、無駄な作業を削減するための工程「ポストビズ」(後述)へとつながっていったのだ。さらに、Image Engineが参加した本作ACT3にてユニットディレクターを務めた山本和仁氏以下第2BDのスタッフ数名が、プリビズ期間をはじめ累計2ヶ月に渡りImage Engine内に滞在。時差によるテンポの低下とは無縁の状態でアニメーションレビューなどをこなせたことも、スピーディなプロジェクト進行に貢献した。「(山本氏は)プロジェクト中は弊社のパイプラインを勉強して、ご自分でも黙々と作業しておられました。過去にこれほど頼もしいディレクターはいなかった。神様のようでしたね!(笑)」。

次ページ:
<2>内製フレームワークが支えた圧倒的なクオリティと物量

Profileプロフィール

清水雄太/Yuta Shimizu

清水雄太/Yuta Shimizu

Image Engine VFXスーパーバイザー
image-engine.com

スペシャルインタビュー