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ミマキエンジニアリングのグループ企業で、グラフィックの出力加工サービスを提供するグラフィッククリエーション(以下、GCC)。現在、ミマキが独自開発したUV硬化インクジェット方式では世界で初めて(※1)の1,000万色以上のフルカラー3Dプリントを実現した「3DUJ-553」による、立体出力をなんと無料で試すことができる「おためしキャンペーン」を7月31日(水)まで開催中だ(先着30体)。
今回は、リアルタイム育成型バーチャルアイドルプロジェクト『ReVdol! -VIRTUAL IDOLS NEXT TO YOU-』(以下、『リブドル!』)を展開するHappy Elements Asia Pacific(以下、HEAP)のクリエイターたちに、フルカラー3Dプリントの実力を体験してもらった。

※1:2017年8月時点でのミマキエンジニアリング調べ。

TEXT_小野憲史 / Kenji Ono
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota
EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada

<1>画面上のCGキャラクターが立体物になる感動

CGWORLD(以下、CGW):今回は、『リブドル!』の神宮司玉藻(じんぐうじたまも)の3DCGキャラクターモデルを「3DUJ-553」で実際に立体出力してみました。その結果について、率直なご感想はいかがですか?

Happy Elements Asia Pacific/谷内寛之氏(以下、谷内):神宮司玉藻のイメージが忠実に再現されていて、驚きました。『リブドル!』のキャラクターが初めて3Dフィギュアになったことで、感慨深いものがありますね。私自身はデジタルアーティストではなく、『リブドル!』をはじめとするHEAPコンテンツの企画・プロデュースに携わっているのですが、そうした立場だからこそ3Dプリンタには夢があると感じました。

  • 谷内寛之氏(Happy Elements Asia Pacific)
    コンテンツ事業部

Happy Elements Asia Pacific/内田博明氏(以下、内田):今回の玉藻3DCGモデルは背中が大胆に空いていて、袖から腋が覗けるなど、かなり複雑なデザインだったので、本当にちゃんと出力できるのか心配なところもありましたが、杞憂でしたね。

  • 内田博明氏(Happy Elements Asia Pacific)
    3DCGキャラクタースーパーバイザー

『ReVdol!』 © 2019 Happy Elements Asia Pacific Co., Ltd.

神宮司玉藻3Dプリント用キャラクターモデル
Unityでレンダリングしたターンテーブル動画。(向かって左)Unityのスタンダードシェーダ(フィギュア的な質感)/(向かって右)内製のセルシェーダ(アニメシリーズ本編で、キャラクターに用いているもの)


谷内:玉藻はハイヒールを履いたり、頭にカチューシャを付けたりして、少し背伸びをしている女の子という設定です。細部まで精緻に再現された立体造形で、そうした雰囲気が良く伝わってきました。実際、人差し指を伸ばしたポーズや、ピンヒールなどは、立体で再現するのが難しいと思うんですよ。襟の模様など、テクスチャの細かいパターンまで反映されている点にも感心しました。



  • 正面・全身



  • 背面・全身


正面・上半身

ミマキ「3DUJ-553」で立体出力した玉藻の立体造形。1,000色以上を再現できるため、テクスチャ情報に内包されている衣装パターンまで忠実に再現されている

グラフィッククリエーション/野﨑和也氏(以下、野﨑):ありがとうございます。今回使用した3Dプリンタ「3DUJ-553」の特徴として、造形物を水溶性のサポート材に包んで出力する点があります。これにより、指先や髪の毛など細かなパーツまで、クリエイターの意図した形状どおりに、細かなパーツを破損する可能性を抑えて出力できるようになりました。

  • 野﨑和也氏(グラフィッククリエーション)
    3Dプリントサービスの技術サポートを主に担当している

内田:3DCGアーティストという職業柄、3Dプリンタに対する関心は昔からありました。趣味の範疇ですが、粉末石膏造形方式の3Dプリンタを使用したこともあります。ただ、石膏なので壊れやすいのが玉に瑕で、樹脂性でフルカラーのものができれば良いなと昔から思っていたんですよ。

野﨑:そうですね。従来の粉末石膏造形方式でも500~600万色程度の色表現ができましたが、強度に問題がありました。当社の親会社であるミマキエンジニアリングから、世界で初めて樹脂性による約1000万色のフルカラー造形を実現した本製品が開発されたことで、その課題が解決されました。

目を引く看板 未来のサイン | Mimaki 3D Printer

CGW:データの作成と出力は順調でしたか?

内田:最初にテスト用のデータを送って出力してもらい、問題点を洗い出してもらいました。その後、いただいたフィードバックを基にデータを修正し、ポーズをつけるなどして、本番用のデータを作成しました。3Dプリンタの仕様上、表面から0.3mmほど下層で彩色される点に注意が必要でしたが、それほど苦労なく対応できました。

CGW:どういった修正を行われましたか?

内田:服の厚みが0.3mm以下の独立したシェルで認識されてしまったため、袖や胸、襟元、下半身、足などで肌の色が透けてしまいました。そこで服と肌のパーツを1つにブーリアンしました。他にテスト版では口の中もモデリングされていたため、口が赤くなってしまいました。そこで本番モデルでは削除して、口のメッシュを閉じるようにしていますね。

アニメシリーズ用のオリジナル3DCGモデルデータをそのまま立体出力したもの。厚みが0.3mm以下の部位は透けてしまっている

野﨑:帯やスカートも0.3mm以下の部分が透けてしまったので、少し厚くしてもらいましたが、こちらはよろしかったでしょうか?

谷内:もともとイラストには2Dならではの嘘が含まれているんです。実際、帯なら厚みがあってしかるべきですよね。立体になって、少し厚みが増したことで、逆にリアリティが増したのではないでしょうか?

内田:ただ、ブーリアンは1つずつ手作業で行うため、1日がかりになってしまいました。また、一度ブーリアンを行うと、そこからの再調整が困難になります。今後、こうしたワークフローが改善されると良いのですが......。

野﨑:そうしたクリエイティブではない作業は、できるだけわれわれの方で巻き取っていきたいと思っています。ご要望があれば今後もぜひ聞かせてください。



  • 処理前



  • 処理後

(左)ブーリアン処理前の顔アップ。オリジナルモデルでは、まつ毛・瞳・ハイライト・白目を別オブジェクトとして作成されていたが、面の位置が近いためこのまま出力すると瞳の色が透けてしまった/(右)全てのパーツをブーリアンし、内側の不要なポリゴンを消去。これにより、意図した正しい色が出力される



  • 処理前



  • 処理後

(左)ブーリアン処理前の上半身/(右)ブーリアン処理後。身体も顔まわりと同様に袖や胸、襟元に透けが生じたため、服と肌のパーツを1モデルにまとめるためにブーリアンを実施(腕まわりなどがわかりやすい)。下半身や髪の毛についても同じ要領でブーリアン処理が施された

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<2>フルカラーで3Dプリントできる、3DUJ-553ならではの表現力と注意点

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<2>フルカラーで3Dプリントできる、3DUJ-553ならではの表現力と注意点

CGW:ポージングはどのように付けられたのですか?

谷内:『リブドル!』シーズン1『特訓その1:ボーカル対決』で描かれる玉藻が『通りゃんせ』を歌唱するシーンに登場するポーズを採用しました。突き出した右手にはマイクが握られています。ただ、フィギュアではマイクがないので、玉藻の中二病的なキャラクター性が良い意味で強調されたかもしれませんね(笑)。

野﨑:キャラクターのポーズ付けは、大変なことでしょうか?

内田:いや、そんなことはないですよ。特にHEAPでは社内にモーションキャプチャスタジオがあるので、撮影したアニメーションデータの1フレームをモデルに流し込み、微調整するだけです。今回の場合は1日あれば十分でした。

野﨑:それは素晴らしいですね。というのもファンの方々にとっては、自分の好きなポーズでフィギュアが作られたら、嬉しいと思うので。


谷内:面白いアイデアですね。あるキャラクターが一番可愛く見えるポーズは、自分だけが知っている! というファンの方も多いでしょうし。『リブドル!』はSNSと動画共有サイトを中心に展開する視聴者参加型コンテンツなので、熱心なファン向けの特典などにもできそうです。

CGW:ほかにも3Dプリンタを活用するアイデアはありますか?

谷内:サイズやコストなどを考慮しないのであれば、やはり等身大フィギュアでしょうか(笑)。現実的なところでいうと、このサイズで『リブドル!』に登場する6人全員のフィギュアを特注でつくる、などですね。ファンイベントで会場にずらりと展示されていたら、目を惹きそうです。


野﨑:それは見応えありそうです。

谷内:中国ではキーホルダーなど、『リブドル!』キャラクターグッズの販売もすでにはじめているのですが、現在は2Dイラストを用いたアイテムが中心です。今回のような3Dフィギュアは、まさに待ち望まれているアイテムだと思います。

内田:イラストレーターや3DCGアーティストにとってみれば、自分の手がけたキャラクターが立体になるというのは、それだけでモチベーションが上がりますしね。


CGW:最後に、グラフィッククリエーションさんの3Dプリントサービスを利用するにあたって、データの作成方法などで気をつける点についてお聞かせください。

野﨑:基本的なところですが、3DCGのデータはそのままでは、3Dプリンタでの出力に適さないことがあります。面に「厚み」がなかったり、立体物のようでいて、ちゃんとメッシュが「閉じて」いなかったり、といった具合です。いただいたデータを事前にチェックして、問題がありそうな箇所がある場合は、必ずお客様に確認しています。

CGW:3Dプリンタあるあるですね。


オリジナルデータ(Aポーズ)を修正ソフト(今回はMaterialise Magicsを使用)に読み込んだ状態。画像の黄色線で表示された箇所が「ポリゴンが閉じていないエラー箇所」である。今回HEAPから支給されたデータにはなかったそうだが、ほかにも「ポリゴンが裏返っているエラー箇所」は赤色で表示される。エラーチェックツールによっては自動修正機能が搭載されているが、特に今回のようなキャラクターフィギュア用モデルの場合は手動による細かな調整が求められることが多くなるという


本番データを修正ソフトに読み込んだ状態。黄色の線や赤色表示のエラーがないため、3D造形可能なデータであることが判る


完成データをレイアウトソフトに読み込んだ例。「プリンタで色を表現するための厚さは 適切か、穴がないかなどの最終チェックを行います。全てのチェックが済んだら造形可能なデータとしてレイアウトソフトに読み込むためのデータ出力を行います」(野﨑氏)

野﨑:フィギュアなどでは、瞳のハイライトを別パーツで作られる方がいらっしゃいます。これらも下地の色が透ける可能性があるので、当社ではテクスチャで表現していただくことを推奨しています。

内田:今回のモデルでも野﨑さんからご指摘を受けて、ハイライトをブーリアンして、瞳のパーツと一体化しました。

野﨑:ほかにも鎧だけのモンスターなど、空中に浮いているような形状のモデルも、避けていただくのが無難です。一体化されたデータであることが望ましいですね。モデルの重心にも考慮していただきたいですね。樹脂性の欠点として、時間経過と共に、モデル自身の重みで形状が歪んでしまう恐れがありますので......。重心判定については当社でもチェックできますので、不安な方は遠慮なくご相談ください。

CGW:逆に「こういった表現もできます!」的なアピールはありますか?

野﨑:爬虫類の体表など、表面の細かい凸凹をかなり忠実に再現できるんです。また、3DCGのレンダリング時に使用するライティングも、テクスチャにベイクしてもらえれば、質感として反映させられます。ぜひ挑戦してもらえれば嬉しいです。

CGW:最後に気になるコストについても教えてください。

野﨑:最大造形サイズとしては「X=490、Y=490、Z=300mm」、最小造形サイズとしては「X=10、Y=10、Z=10mm」であれば一体成形が可能です。今回は1/10スケールのキャラクターフィギュアとして出力させていただきましたが、おおよその料金は2~3万円になります。このサイズなら複数体の同時出力も可能ですし、キーホルダー程度のさらに小さなサイズなら、もっと費用を抑えることもできます。ロット数などでも費用は変わってきますので、ぜひお問い合わせください。

サポート材が付着したままの立体出力物。サポート材は水溶性のため、細部までしっかりと立体化することが可能だ



  • 顔アップ



  • 左側面

info.


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