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CEDEC AWARDSノミネーション委員会に聞く、ビジュアルアーツ部門の2020年度受賞トレンド

CEDEC AWARDSノミネーション委員会に聞く、ビジュアルアーツ部門の2020年度受賞トレンド

CEDECで毎年実施されるCEDEC AWARDS。コンピュータエンターテインメント開発に功績をもたらした「技術」に注目する、世界でも珍しいアワードだ。中でもビジュアルアーツ部門では、技術やツールへの顕彰を通して、開発者の問題意識や技術トレンドが垣間見える内容になっている。2020年度の結果について、ノミネーション委員会の担当者にふり返ってもらった。

INTERVIEW_小野憲史 / Kenji Ono
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

委員会と参加者の二階建て投票システム

CGWORLD(以下、CGW):CEDEC AWARDS 2020のビジュアルアーツ部門についてふり返りながら、一年間のトレンドや今後の展望などについてお伺いしていければと思います。まずは簡単な自己紹介をお願いします。

櫻井慶子氏(以下、櫻井):グリーの櫻井と申します。2Dアーティストとして2012年に新卒入社し、自社タイトルを中心に様々な案件に係わってきました。現在は子会社のWright Flyer Studiosに移り、リードアーティストをしています。主なタイトルでは『絶対防衛レヴィアタン』(2013)、『消滅都市』(2014~)などがあり、キャラクターデザインからUIまで幅広く担当しています。

  • 櫻井慶子/Keiko Sakurai
    グリー株式会社に入社後、Wright Flyer Studiosの分社化と共に移籍。『絶対防衛レヴィアタン』、『消滅都市』などの開発に参加。CEDEC AWARDS 2020で ビジュアルアーツ部門の責任者を務める
    www.wfs.games

麓 一博氏(以下、麓)セガの麓です。1998年にセガ・エンタープライゼスに新卒入社し、以後いろいろ社名が変わりながらも、ずっとセガで働いてきました。今年の春に社名が「セガ」に戻り、一周回ってきた感じですね。もともと2D/3Dアーティスト出身ですが、次第にTA的な業務を担当するようになり、現在はコンシューマを中心に、複数のタイトルで開発環境・パイプライン・DCCツールの制作などを進めています。

  • 麓 一博/Kazuhiro Fumoto
    株式会社セガ第三事業部。『龍が如く』シリーズをはじめ、様々なプロジェクトにTAとして参加している。2014年からCEDEC運営委員を務め、CEDEC AWARDS 2020ではビジュアルアーツ部門の世話人を担当
    sega.jp

CGW:お二人ともCEDEC運営委員会ではどういったことをされているのですか?

櫻井:CEDEC運営委員会は毎年顔ぶれや役職が変わるのですが、2020年度ではセッションワーキンググループでビジュアルアーツ分野を担当しつつ、CEDEC AWARDS 2020ノミネーション委員会の方ではビジュアルアーツ部門で責任者を務めました。CEDECについては、2017年にアドバイザリーボードを担当するところからお手伝いが始まり、2018年からセッションワーキンググループに入り、昨年からAWARDSの世話人を行なっています。そのうえで今年から責任者になりました。

CGW:毎年、役割が増えている感じなんですね。麓さんはいかがでしょうか?

:自分が運営委員会に入ったのは2014年からで、もう6年目になりますね。最初からセッションワーキンググループのビジュアルアーツ部門に入って、翌年から主担当を務めています。CEDEC AWARDSも同様で、2014年に世話人となり、2015年から責任者になりました。今年になって櫻井さんに責任者を引き継いでもらっています。ビジュアルアーツ分野でお手伝いいただける方が少ない中、櫻井さんに入っていただいて、たいへん助かっています。

CGW:はじめにCEDEC AWARDSの位置づけと表彰までのながれについて、整理させてください。CEDEC AWARDSでは部門ごとに毎年、様々なゲームが表彰されていますが、内容ではなく、そこで使われたり新しく開発されたりした「技術」に焦点が当てられていますね。そのためツールやイベントなどが表彰されることもあります。ユニークなところでは本年度、エンジニアリング分野で「技術書典運営チーム」に優秀賞が贈られました。

:そうですね。

CGW:その上で、最優秀賞が選出される過程について教えてください。まず、部門ごとに優秀賞が5件程度選出されますよね。これはどういったながれで決まるのですか?

櫻井:はじめに前年度のCEDECに登壇された講演者の中で、聴講者アンケートが上位者の方々で「CEDEC AWARDSノミネーション委員会」を結成します。そこで候補を出していただき、運営委員会も含めた協議を経て優秀賞が選出されます。その後、会場や公式サイトなどで優秀賞のリストを掲示し、CEDEC参加者の皆さんに投票いただいた上で、最優秀賞が選出されます。

CGW:委員会の選出と、一般参加者による投票という、2段階で表彰されるのですね。最優秀賞の選出時に、委員会による投票や協議内容が加味されたりするのでしょうか?

櫻井:過去はわからないのですが、少なくともここ最近は一般参加者による投票をふまえて、運営委員会で決定されています。

CGW:一般投票ベースというわけですね。CEDECの一般参加者は現役のゲーム開発者が中心なので、最優秀賞にはCEDECに参加される方々の、業務に対する思いや願望、問題意識などが、無意識のうちに反映されていると理解して良いのでしょうか?

:正確にはわかりませんが、そんなふうに言えるんじゃないかなと思っています。

CGW:面白いですね。そういった視点で今年の優秀賞と最優秀賞をふり返ってみると、いろいろな内容が推し量れそうです。

CEDEC AWARDS 2020 ビジュアルアーツ部門をふり返る

【最優秀賞】
圧倒的に大量なアセットを生産した開発能力
『あつまれ どうぶつの森』開発チーム(任天堂株式会社)

©2020 Nintendo

【優秀賞】
プレイヤーに使命感と没入感を与える圧巻のビジュアル表現
『DEATH STRANDING』開発チーム(KOJIMA PRODUCTIONS)

©2019 Sony Interactive Entertainment Inc. Created and developed by KOJIMA PRODUCTIONS.

全世界を魅了するエフェクトとキャラクターデザイン
『ポケットモンスター ソード・シールド』開発チーム(株式会社ゲームフリーク)

©2019 Pokémon. ©1995-2019 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.

モバイルタイトルにおける屈指のIP表現
『七つの大罪 ~光と闇の交戦~』開発チーム(Netmarble Corp. 開発元:Netmarble Fun Inc.)

©NS,K/TSDSRP,M ©NS,K/TSDSIWGP,TX ©Netmarble Corp. & Netmarble Fun Inc.

思考を分断させない統合型エフェクトツール
『SPARKGEAR』開発チーム(株式会社スパーク)

©NS,K/TSDSRP,M ©NS,K/TSDSIWGP,TX ©Netmarble Corp. & Netmarble Fun Inc.

CGW:候補自体は何タイトルくらいあったんでしょうか?

:25本くらいですね。最初は20本くらいでしたが、話し合いの中で追加されていって、それくらいになりました。

CGW:そこから5タイトルに選出された過程で、どういった議論が行われましたか?

櫻井:あまり大きな意見の対立はなくて、割と満場一致な感じでした。その上でフォトリアルだったり、尖った画づくりをしているものはこれ。デフォルメ系だったり、キャラクター性の高いものはこれ、というふうにいくつかのカテゴリがつくられて、そこに当てはめていくような感じで選出されました。

CGW:カテゴリについては、何か決まったものがあるのでしょうか?

:いえ、毎年変わっていきます。そもそもビジュアルアーツはひとつの軸で評価しきれるものではないので、候補リストを見ながら、今年はこれとこれとこれだね、というふうに話し合いで決めていきます。

次ページ:
プロの視点で選ばれた優秀賞の選出理由

Profileプロフィール

櫻井慶子/Keiko Sakurai

櫻井慶子/Keiko Sakurai

グリー株式会社に入社後、Wright Flyer Studiosの分社化と共に移籍。『絶対防衛レヴィアタン』『消滅都市』などの開発に参加。CEDEC AWARDS 2020で ビジュアルアーツ部門の責任者を務める
www.wfs.games

麓 一博/Kazuhiro Fumoto

麓 一博/Kazuhiro Fumoto

株式会社セガ第三事業部。『龍が如く』シリーズをはじめ、様々なプロジェクトにTAとして参加している。2014年からCEDEC運営委員を務め、CEDEC AWARDS 2020ではビジュアルアーツ部門の世話人を担当
sega.jp

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