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NHKで2018年4月より放映され、大きな反響を呼んだ、NHKスペシャル『人類誕生』(以下、『人類誕生』)。このCGパートを担当したのがスクウェア・エニックス・グループのLuminous Productionsだ。一方でCG制作の現場に着実に導入が進んでいるSSDストレージ群。最先端のCGクリエイティブがSSDによって、どのような恩恵を受けるのか、同社ディレクターの綿森 勇氏に検証してもらった。

TEXT_小野憲史 / Kenji Ono

リモートワークが進む現代のコンポジット事情

「CGのクオリティを大きく左右するのが最後の追い込み作業です。ここで3日かかっていた出力作業が半分に減らせるとしたら、クリエイティブに与える影響は大きいですよね。SSD内蔵の外部ストレージであれば、おおいに効果が期待できます」。NHKスペシャル『人類誕生』の映像ディレクターを務めた綿森 勇氏は、SSDストレージ製品がワークフローに与える影響について、このように評価した。

  • 綿森 勇氏 Isamu Watamori
    (ディレクター)

    CM業界を中心に実写VFX分野で活躍し、その後スクウェア・エニックスへ移籍。2016年公開の長編フルCG映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』ではコンポジットとポストプロダクションのスーパーバイザーを務め、2018年放映NHKスペシャル シリーズ『人類誕生』の映像ディレクターを担当する
    www.luminous-productions.com

CM業界を中心に実写VFX分野で活躍してきた綿森氏。そこからゲーム業界に転身し、スクウェア・エニックスが2016年に製作・公開した長編フルCG映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASYXV』(以下、『KINGSGLAIVE FFXV』)では、コンポジット&ポストプロダクションのスーパーバイザーも務めた。その後、2018年3月にLuminous Productionsが発足されるにあたり、同社に移籍。『FFXV』の制作陣が中心になって独立したグループ会社で、現在は新作タイトルの準備を進めている。

もっとも、同社のクリエイティビティはゲーム業界だけに留まらない。『人類誕生』のCG制作もそのひとつだ。『KINGSGLAIVE FFXV』のクオリティに惚れ込んだNHK側から「ぜひ同等のクオリティで人類の祖先をつくってほしい」と依頼を受け、プロジェクトを開始。実写とCGの合成が中心になることから、実写VFXでのキャリアが豊富な綿森氏に白羽の矢が立った。440万年前にアフリカで生息していたアルディピテクス・ラミダスをはじめ、実写と見まごうクオリティの映像が実現された。

コンポジターとして、様々な現場で仕事をこなしてきた綿森氏。これまで何度も、スケジュールの遅れを創意工夫で挽回してきたという。「『KINGSGLAIVE FFXV』の際も締め切りが近づくにつれ、現状のスケジュールではとても間に合わないぞって」(綿森氏)。そこで急遽、全世界のクリエイターに協力を頼み、リモート上でコンポジットチームを結成。NUKEの設定を共有し、作業手順を遵守させることで、高度な分業化を達成し、納品に間に合わせることができた。

もっとも、Luminous Productionsではポストプロダクションのベースとなる連番ファイルを作成するのみで、最終的な編集作業は外部のスタジオで行う方針を採用している。『KINGSGLAIVE FFXV』も同様で、映像業界で定評のあるソニーPCLに発注。これがきっかけで4K/HDRの迫力ある映像が完成し、東京国際映画祭でプレミア上映されるに至った。『人類誕生』も同様で、ポストプロダクションを同社に発注。最終的に4K/HDRの高精細な映像が局側に納品されている。

納期に追われるCGクリエイターを強力支援

このように、ポストプロダクションを外注するのは、現在の多様性を増した映像の視聴環境と関係がある。かつてのようにSDの地上波放送が中心だった時代と異なり、今や4K・8Kといった映像環境から、スマートフォンでの映像視聴まで、視聴者をとりまく映像デバイスは様々だ。コンテンツ側も多彩な映像規格に合わせて編集作業を行なっていく必要がある。そのためにはギリギリまで、できるだけ高精細なデータで映像制作を行い、最後にまとめて編集作業を外注するのが効率的なのだという。

ただし、そのためにはレンダリングされた連番データを協力会社に提供しなければいけない。そこでボトルネックになるのがデータの大容量化だ。Luminous ProductionsではCGデータを社内サーバ上で一元管理している。コンポジットチームをリモートで編成できたのも、ひとつにはこうしたデータの管理体制がある。サーバ上のデータをクライアント側で手軽にプレビューできるしくみを整えるなど、作業の効率化も進められている。

その一方で、映像作品における外部へのデータ納品では、いまだにポータブル式のハードディスクが活躍している。納品データが数テラバイトにもおよぶため、現実的にはハードディスクでの運搬が最適解なのだ。しかし、一般的なポータブル式のハードディスクでは、データの読み書き速度に限界がある。綿森氏は「『人類誕生』ではサーバ上の最終データをハードディスクに出力するまで、3日間の余裕をとりました。これがSSDなら1.5日で済ませられそうです」と語る。

「納品直前のスケジュールは、作品の完成度を高めるための重要な期間です。そこで作業時間が1.5日増える恩恵は他に変えられません。それだけクオリティを追い込めるということですから」(綿森氏)。ハードディスクに比べて振動や衝撃に強いのもSSDのメリットだ。今回の検証で使用した「Samsung Portable SSD T5」であれば暗号化も施せるため、盗難・紛失といった万が一の事態にも備えられる。

CG制作の実作業においても、SSDの高速なRead/Write制能は福音となる。さらに高速なNVMe SSDでは、SATA HDDに比べて約3倍の速度向上が見られ選択の幅が広がった。「作業で一番のボトルネックになるのがファイルデータの展開です。これが高速化できると作業効率が一気に上がります。コンポジットに限らず、エフェクトのキャッシュデータなど、大容量データの活用時に成果を発揮しそうです」(綿森氏)。今後ますますデータの大容量化が進む中、SSDストレージの重要性はさらに増していきそうだ。

TOPIC 01 NUKEによるノイズ除去

【上画像】ノイズ除去のNUKE編集画面と【下画像】ノイズ除去の前と編集後の比較画像。『人類誕生』ではエフェクトとコンポジットにNUKEが使用された。ここで綿森氏を悩ませたのが、コンポジット前のデータで発生したノイズだ。NUKEのノイズ除去機能で一括して消すこともできたが、画が全体的にソフトになりすぎ、それまでのアーティストの苦労が水の泡になってしまう。そこで綿森氏はNUKE上でデータを構成する要素を分解し、ノイズの原因を調査。それらをピンポイントで自動除去する処理を生成し、コンポジットチームと共有。この設定ファイルに基づいてコンポジットを行なってもらった。「設定ファイル群はテキストファイルなので、テキストエディタなどで開くことができます。この設定に基づいてコンポジットを行う限り、同じクオリティの結果が担保されます。ロジックに基づき、ノードベースで作業を進めるNUKEならではのメリットが活かせました」(綿森氏)。コンポジットされた出力ファイルはサーバにアップロードされ、必要に応じて綿森氏が内容をチェック。これにより締め切り間に合わせることができた。

TOPIC 02 検証結果

【検証データ】 ファイルサイズ 220GB/ファイル 153,385/フォルダ 1,018

Luminous Productionsでの作業環境例であるマシンAと、検証用に用意したマシンBにて実際の作業データを用いて外部ストレージへの転送速度検証を行なった。HDDのみで構成されたマシンAと比べて、SSDのみを使用したマシンBだと転送時間が53%減った。 ※Luminous Productions過去実施業務での参考データ

(株)Cybaba フルカスタマイズワークステーション「画竜点睛」
CPU:AMD Ryzen™ Threadripper™ 2990WX(32コア 64スレッド 3.0-4.2GHz)/メモリ:DDR4-2400 64GB 16GBx4/SSD:Samsung 970 EVO 1TB / 970 PRO 1TB/VGA:NVIDIA Geforce 1080Ti VRAM 11GB/価格:要問い合わせ(cybaba.co.jp) 参考価格699,800円(税抜)


※製品保証は、期間もしくは各容量ごとに定められたTBWしきい値に到達した日の、いずれか短い期間まで
※転送速度はいずれも各製品の最大容量モデルの値



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