サイエンス映像学会は、8月30日(土)に法政大学・市ヶ谷キャンパスで研究会を開催する。参加は無料。
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■ 開催概要
日時:2014年8月30日(土)10:00~17:00
場所:法政大学 市ヶ谷キャンパス 外濠校舎 4階
●招待講演者(発表順)
「サイエンスと映像のあいだ」
三浦 均氏(武蔵野美術大学)
コンピュータ・グラフィックス(CG)は数値の束を、映像に変換する技術。宇宙の領域の天文学から、ミクロの領域の分子科学や生命科学まで、サイエンスの様々な分野で、数値計算や観測によるデジタルデータが日々大量に生み出されている。それらを「目に見えるようにする」には映像の技術も必要だ。これまでCGを使って作ってきた映像を紹介しつつ、今後の展望や課題について紹介する。
「もしも地球が立方体であったなら―空想気象学の発想」
木村龍治氏(東京大学 名誉教授)
地球環境の仕組みを考える教材として、「空想気象学」という発想を提案したい。現実にはない条件設定の下に地球環境の変化を考察しようという発想である。環境の理解は経験的な知識に負うところが多い。それが想定外がいう事態を生む。環境の条件を変えると経験的な知識は役に立たなくなる。論理的な思考と空想力が必要になる。それを養う教材を意図した。ここでは、もしも地球の形が球形ではなく、立方体であったら地球環境はどのように変化するか真面目に考察した。その結果を基にして、SF仕立ての動画を作成した。この動画を見ることにより、地球の形が変わるだけで、自然環境が全く異なってしまうことを知るだろう。翻って、地球が球形であることが絶妙な自然環境をつくっていることを認識する。
「バイオイメージング技術から生まれた新しいCG世界」
高間大介氏・伊達吉克氏(NHKエンタープライズ)
バイオイメージングはレーザー顕微鏡や蛍光タンパク質の組み込み技術などを使って、生体のなかで活動する細胞の動きを映像化する技術である。その技術によって初めて、細胞レベルの精緻な仕組みが明らかになってきた。そうしたデータをもとに映像化したのが今回の人体CGである。また、これまでのテレビでのCG制作は番組構成が先に決まり、それを受けてつくられることが多かったが、今回は基本的に番組構成とは切り離して制作を行なった。新たな映像制作手法の必要性を含め、科学的に高度なCGのありようを論じる。
「科学技術の映像表現におけるCG制作の実践例(JSTサイエンスニュースより)」
山崎 豊氏(CNインターボイス)、寿 桜子氏(独立行政法人科学技術振興機構)
科学技術を表現した動画コンテンツの中で、CG表現の重要さは論を待たない。JST(科学技術振興機構)配信の5分の動画コンテンツ「サイエンスニュース」でも、最新かつ最先端の研究成果やトピックスの取材に取り組み、一般視聴者にも分かりやすい科学技術の表現を目指している。そのなかでどのように映像をデザインし、個別のCGを制作してきたのかを具体的な作例を示しながら報告する。
一般公募による講演についても、以下のとおり決定している(発表順に掲載)。
「オーロラの全天周3D映像化」
片岡龍峰氏(国立極地研究所)
「大規模粒子シミュレーションの可視化」
武田隆顕氏(ヴェイサエンターテイメント・国立天文台)
「映像素材としての科学データ」
中山弘敬氏(国立天文台)
「数理形態学に基づく生物画像情報処理」
木森義隆氏(自然科学研究機構)
「少女がクジラと出会ったら?動物CGの新しい可能性?」
河合晴義氏(フリーランス)
「メディカル/サイエンティフィック・イラストレーション業界の日本の動向」
有賀雅奈氏(北陸先端科学技術大学院大学・日本学術振興会)
「サイエンス映像で、インタラクティブな理科授業を」
長谷川智子氏(荒川区立尾久八幡中学校)
「化石分野でのCG骨格制作とそれを利用した科学教育の手段」
荻野慎諧氏(ActoW)
「原発放射能汚染のサイエンスビジュアライゼーション」
後藤理一郎氏(武蔵野美術大学・修士課程)
「心の文法?言葉のかたちは宇宙のかたちになる?」
徳尾裕久氏(徳尾保険事務所)
■ 関連 URL
・サイエンス映像学会
http://svsnet.jp