一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会では、CEDEC 2018の開催に合わせて、ゲーム開発者およびゲーム開発の仕事を希望する人がキャリア形成について考える契機となる情報の提供を目的とした「ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査2018」を実施した。
■「ゲーム開発者の生活と仕事に関するアンケート調査2018」速報
6回目となる今回の調査では、ゲーム開発に携わるプロデューサ、ディレクタ、エンジニア、アーティスト、プランナ、役員/管理職などに従事する商業ゲーム開発者・スタッフなどを対象に、2018年7月1日(日)から7月31日(火)の間に、CEDEC公式ウェブサイトを通じて回答を求めた。有効回答は昨年を26.8%上回る2,454件(2017年:1,936件)。6回目となる本年の調査は、これまで通りゲーム開発者の働く環境やキャリアに関する意識・行動の現況を把握することに加えて、「働き方」に関してもう一歩踏み込んだ調査を意図して、勤務形態、仕事の質と就業時間、仕事量、職場での人間関係の4項目の設問を追加した。また、初めて、速報に男女別の集計も実施した。
その結果、男性の職場という認識が多くを占めるゲーム開発にあって、男性はエンジニア系、女性はアーティスト系の職種が活躍の中心となっており、就業時間、上司や同僚からの支援、自らの仕事のコントロール度、勤務形態では大きな男女間の差は見られず、「ゲーム開発は、男女の区別なく活躍できる仕事」であるという事実が明らかになった。
※速報版データ:CEDEC公式Webサイト参照
2018.cedec.cesa.or.jp/outline/enquete
男性はエンジニア系 女性はアーティスト系が活躍の中心に
ゲーム開発者の職種は、その割合から男性の職場であるという認識がもたれている。今回の調査では、男性回答者の51.3%がエンジニア、女性回答者の55.3%がアーティストと、男女の活躍の場の違いが鮮明になった。このほかにも、サウンドクリエイタが男性3.6%で女性3.5%と同数、プランナでは女性が14.7%と男性の10.8%を約4ポイント上回るなど、女性が活躍する場がアーティスト職以外にもあることもわかった。
勤務形態にも差がない
始・終業時間帯が一定している通常の勤務時間制度のもとで勤務しているのは、男性27.3%、女性32.2%とその差は約5ポイント、フレックスタイム制度の勤務形態では男性30.1%、女性29.2%と、勤務形態にも大きな男女差は見られなかった。
就業時間は、男女ともほぼ同じ
通常期の一週間あたりの就業時間をみると、平均値で35.68時間と前回調査の38.39時間を下回る結果となった。就業期間を男女別で比較すると、40時間未満では女性が39.1%と男性の28.4%を10.7ポイント上回るものの、最も多い40~45時間未満の就業時間帯で比較すると男性39.2%、女性38.5%でその差は0.7ポイント、45時間を超える就業時間でも男性が女性を上回るのは5ポイント以下とわずかで、この点でも男女差が小さいことがわかった。
高い仕事のコントロール度
自分のペースで仕事ができるか、自分で仕事の順番ややり方を決められるか、仕事の方針に自分の意見を反映できるかという質問には、男性の81~86%、女性の72~81%が「そうだ」、「まあそうだ」と回答し、ゲーム開発は「仕事のコントロール度」が高いという実情も見えてきた。
良好な人間関係を象徴する上司や同僚からの支援
職場での人間関係を表す指針となる、自身の業務に対して上司や同僚の支援がどのくらい得られているかという3つの質問に対しては、良好な関係を表す「非常に(良い)」と「かなり(良い)」を合わせた数値は、男女ともに半数を超えている。男性中心の職場でありながら人間関係では男女差の少ないことの表れと考えられている。
より柔軟な働き方を求める傾向も顕著に
働き方の希望に関してもフレックスタイム制度をもとめる男性が31%、女性が37%、在宅勤務制度を希望する男性が51%、女性が55%とほぼ近い割合となるなど、より柔軟な働き方を求める傾向も男女ともに顕著になってきていることが示されている。
同調査は、CEDEC運営委員会が、専修大学ネットワーク情報学部准教授の藤原正仁氏とともに、ゲーム開発者が働く環境および開発者のキャリアに関する意識や行動の現況を把握し、ゲーム開発者およびゲーム開発の仕事を希望する人へ、キャリア形成について考える契機となるための情報を提供することを目的としている。また、経年的に本調査を実施することにより、他産業や海外との比較なども考慮に入れ、ゲーム開発を取り巻く環境について、産・官・学それぞれの立場での対応に役立つ情報を提供するものだ。