特定非営利活動法人若手層アニメ制作者を応援する会(AEYAC)では、支援活動の一環として経験年数3年以内のアニメーターを対象とした実態調査を行なった。同調査は、厳しい労働条件の下で働いているとされる若年層アニメーターの労働実態・生活実態について、単純に賃金や労働条件の観点だけではなく、より多角的な観点から把握する目的で実施したもの。その第二回となる今回は前回調査と同様、労働条件に加え、奨学金返済の状況、居住形態、通勤時間などをインターネット調査にてアニメーターに聞き、44名(うち男性25%、女性75%)から回答を得た。回答者の平均年齢は23.2歳、平均経験年月数1年5ヵ月。調査全体の結果については、2018年3月に報告書の形で発表される予定だ。

■調査結果のポイント

1.居住形態・生活実態
(1)実家暮らしと回答した者は12名、実家暮らしでないと回答した者は32名だった。
(2)実家暮らしの者(12名)のうち11名は「主な家計支持者ではない」(=世帯の主たる稼ぎ手ではない)と回答した。また、実家暮らしではない者のうちの11名は、実家から仕送りを受けながら生活していると回答した。
(3)上記より、全体の52%(実家暮らし12名+実家暮らしではないが仕送りを受けている者11名)の回答者が、家族からの何らかの経済的援助のもとで働いていることが昨年度の調査に続き明らかになった。
(4)また、実家暮らしではない者のうち19名は生活のために貯金を切り崩したことがあると回答している。また実家暮らしでない者のうちの10名は貯金がないと回答している。
2.出身地・居住地
(1)過半数の27名が東京都内に在住していると回答している。これに東京都以外の関東地方(埼玉県・神奈川県・千葉県を回答した者が該当)在住者7名を加えると34名になり、全体の4分の3以上が東京近辺に在住している。
(2)一方、出身地に関しては27名が東京もしくは関東地方(埼玉県・神奈川県・千葉県・栃木県と回答した者が該当)以外であると回答している。東京出身者は6名で、居住地に対する回答よりもかなり少なくなっている。
(3)出身地と居住地についてクロス集計を行うと、東京もしくは関東以外出身の者で現在東京に在住している者が20名を占め、多くが上京して仕事をしていることが伺える。また、東京出身者で東京もしくは関東以外に在住している者はおらず、関東出身者も多く(11名中8名)が東京か関東に留まっている。現在も東京における産業集積が継続していることが伺える。
3.奨学金返済の状況
学生時代に奨学金を借りていたか質問に対して、「借りていた」と回答した者が14名(約32%)だった。昨年度の調査と同様、全体の約3分の1が奨学金返済義務を負っていることが明らかになった。