株式会社フォトロンは、高速度カメラ(ハイスピードカメラ)FASTCAMシリーズの制御と動画再生・編集用のソフトウェアであるPhotron FASTCAM Viewer(略称:PFV)の新バージョンをフルスクラッチで開発した。PFVは高速度カメラの制御だけではなく、画像処理や画像計測、ファイル変換、ファイルビューワーとして多彩な機能を備えており、オプションで高速度カメラと波形入力装置との連携も可能なソフトウェア。4世代目となる「PFV4」ではGPUに対応し、追加された高度な画像処理機能と洗練されたGUIによって、より高いレベルでの高速撮影を実現する。
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■製品化の背景

民間企業の研究開発部門や大学・官公庁の研究機関等において、高速度カメラの用途は多様化し、「希薄燃焼の可視化」や「超拡大撮影」などの難易度の高い撮影が増える中、撮影や解析の作業についてはより効率化が求められている。また、高速度カメラの性能は年々進化しており、ハードウェアの性能を最大限に活かせるコントロールソフトウェアの重要度も増してきた。そこで、同社ではこのようなニーズに応えるべく、カメラ制御・動画再生・編集ソフトウェアであるPFVの新バージョンを、ユーザーの要望をもとにフルスクラッチで開発した。特に要望の多かった撮影時のピント合わせを容易にする「ピント補助機能」や、光の強弱のある撮影で効力を発揮する「HDR機能」の改良など、多数の高度な画像処理機能を実装している。また、GPUに対応したことで、これらの画像処理をカメラのライブ画像表示中でもストレスなく行うことができる。さらに、GUIも完全リニューアルし、直観的で効率的に撮影や編集を行うことが可能だ。

■「PFV4」の主な特長

1.GPU対応
画像処理をGPUに対応することで、ライブ画像表示中での「HDR」や「LUT/自由曲線編集」、「斜め補正」、「レンズ歪補正」、「ピント補助」など、CPUのみでは処理できなかった高度な画像処理が行える。さらに、これらの画像処理が複数同時に可能だ。
2.高速撮影に最適化されたGUI
世界中のPFVユーザーから寄せられた要望をもとにGUIを完全リニューアル。洗練されたデザインと操作性を追求したGUIが高速撮影を強力にサポートし、撮影や解析にかかる時間を低減する。UIのトーンは撮影画像の見やすさに合わせて「ダーク」と「ライト」の2色から選択可能。また、撮影・編集を補助する様々な機能は整理されたツールボックスから思いのままに実行可能だ。さらに、GPU処理のおかげで複数の画像処理内容はワンクリックでON/OFFの切替えが可能だ。
3.高度な画像編集機能を搭載
従来バージョンで好評の機能はそのままに、新たな機能と画像処理のアルゴリズムを改良。GPUに対応したことでストレスなく複数の画像処理を実行可能だ。追加、改良された一部の機能を紹介する。
・ピント補助機能
カメラのピントが合っている箇所を色で表示できる。確実・迅速にピントを合わせたい場合や、暗い箇所でピントが合っているか分かりにくい場合、撮影者の違いによるバラつき防止などに役立つ
・レンズ歪補正
キャリブレーションボードを使い、レンズの歪を補正できる。ライブ画像にも適用できるので、広角レンズで撮影する際の確認や、画像から計測をする際に役立つ
・白飛び警告機能
白飛びしている場所に色を付けて表示することができる。レンズ絞りや照明を調整するのに役立つ
・疑似カラー機能
モノクロカメラで撮影した画像に疑似的に色をつけて表示することができる。輝度差が視覚的に判別しやすくなるので、インジェクタの噴霧のムラなどが分かりやすくなる
・HDR機能
画像内に暗い箇所と明るい箇所がある場合に、その両方を同時に見やすくする機能。画像の暗部を強調し、明部のコントラストを下げる。レベルは5段階から選択できる
・LUT/自由曲線機能
LUT(Look Up Table)を設定して、画像の明るさなどを調整できる。R,G,Bの輝度分布(ヒストグラム)を表示させながらゲイン、ガンマ、明るさなどの値をスライドで調整するか、自由にLUT曲線を編集して調整できる。また、LUT設定を適応させる範囲を画像上でエリア指定することもできる
・斜め補正機能
被写体の正面から撮影できない場合、斜め補正機能を使うことで画像の傾きを補正することができる
・背景除去機能
撮影する背景が複雑で撮影主体がわかりにくい場合、背景除去を利用する。画像の背景を撮影し、設定すると、画像の背景となる部分を削除し、塗りつぶした状態にするため、撮影主体をはっきり確認できる
・簡易計測機能
表示されている画像をクリックするだけで、距離や角度、面積などの計測ができる。「手動追跡」機能では、画像内の計測したい点をフレーム毎にクリックしていくだけで、点の動きを時系列のグラフ表示やCSVデータで出力することも可能だ
・ファイル出力機能
最終的な保存フォーマットはMP4、MOV、AVI、画像の連番ファイルなど、様々な汎用ファイル形式に対応している