Point4:画像の「変倍」に注意しましょう
本稿の導入部で「重大なミス」と書きましたが、例えばこんな状態です...さて、わかりますでしょうか?
▲配置した画像の縦横の比率が異なっている。いわゆる「変倍」状態です。ウィンドウ上部にある拡大・縮小率の数字を見ればわかるでしょう。左右方向にわずかにつぶれた状態になっています。少し見た程度ではわからないくらいの変化ですが、それゆえに気付きづらい。製品写真だったり、VIPの顔写真だったりしたら大問題にもなりかねません
自分の作品であれば比較的気付きやすいとは思いますが、うっかりミスは誰にでもあります。特に、何かとミスを誘発しがちなのがドラッグ操作です。必ず[Shift]キーを押しながら実行しましょう...とはいうものの、何度もドラッグを繰り返しているとミスも増えてきます。キーを離すタイミングがわずかに早く、縦横比の固定が外れてしまう事故も多いようです。
もうひとつ変倍事故の原因として考えられるのが、メニュー選択を間違えた...というもの。
▲メニューバーから[オブジェクト]→[オブジェクトサイズの調整]→[フレームを内容に合わせる]を選んでも、ハンドルのダブルクリックと同様に、内容画像に合わせたフレームのリサイズが可能なのですが...すぐ下にある[内容をフレームに合わせる]と紛らわしいので注意しましょう
▲これは[内容をフレームに合わせる]の極端な例です。画像の縦横比は無視し、フレームの縦横比に合わせて強制的に、縦横独立して拡大・縮小します。自動的に「変倍」状態にしてしまうという、滅多なことでは使うことのないコマンドといって良いでしょう。紛らわしくて一瞬どちらか迷うことも多く、間違いを起こしやすいという理由から、直感的操作のできるダブルクリックを推奨しています
長々と解説してきましたが、要旨は以下の3点となります。
・自動調整を利用して一気にサイズを合わせる
・数値を意識しながらサイズの微調整をする
・ドラッグを使ったサイズ調整をできるだけ避ける
うっかりミスを防ぎ、また最終チェックの際ミスに気付き易くするために、InDesignで画像を扱う際に習慣付けておきたいポイントです。
今回は以上です。次回もぜひお付き合いください。
(第10回の公開は、2018年10月以降を予定しております)
プロフィール
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斎藤直樹(グラフィックデザイナー)
株式会社コンセント
神奈川県横浜市生まれ。1987年東京造形大学造形学部デザイン科I類卒。広告企画制作会社、イベント企画運営会社を経て、1991年株式会社ヘルベチカ(現コンセント)入社。HUMAN STUDIES(電通総研)、日経クリック、日経パソコン(日経BP社)などの制作に関わる。東洋美術学校ではグラフィックデザインの実習を担当。
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尾形美幸(編集者)
株式会社ボーンデジタル
CG-ARTS(公益財団法人 画像情報教育振興協会)、フリーランス編集者を経て、2015年よりボーンデジタル所属。CGWORLD関連媒体で記事の執筆編集に携わる。東洋美術学校ではポートフォリオの講義を担当。東京藝術大学大学院修了 博士(美術)。著書に『ポートフォリオ見本帳』(2011)。共著書に『ポートフォリオアイデア帳』(2016)などがある。
Information
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採用担当者の心に響く
ポートフォリオアイデア帳
発売日:2016年2月3日
著者:中路真紀、尾形美幸
定価:2,000円+税
ISBN:978-4-86246-293-0
総ページ数:128ページ
サイズ:B5判
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