記事の目次

    Framestoreで活動中の今川真史氏が解説する本誌の連載と連動して、メイキング動画とコラムをお届けする。

    TEXT_今川真史 / Masashi Imagawa(Framestore
    EDIT_斉藤美絵 / Mie Saito(CGWORLD)、野澤 慧 / Satoshi Nozawa

    作品完成後、フィードバックをもらってさらにアップデートする

    今回は宇宙に浮かぶISS(国際宇宙ステーション)のシーンを制作しました。参考として『Gravity(邦題:ゼロ・グラビティ)』(2013)という映画を観たのですが、圧倒的なクオリティのVFXに驚きました。実は『Gravity』は大学生のときに一度観ていたのですが、そのときはCGに興味がなく、ただ映画として観ていました。CGを勉強してから同じものをつくろうと、改めて観てみると、まったく見え方がちがいました。

    今回制作するにあたって、ISSの3Dモデルは丸ごとネットから購入しています。レンダリングにはBlenderを使うので、マテリアルなどはBlenderで全て設定し直しました。テクスチャは一部Photoshopでディテールなどを描き加えて、情報量を出していきます。

    完成した後は、LinkedInで公開して意見を求めたり、スタジオの人などに見せたりして、修正指示を求めました。

    作品を載せるSNSはいろいろありますが、LinkedInは作品を載せて意見を求めると、沢山答えてもらえる印象です。特にシニアやリード、スーパーバイザークラスのアーティストからフィードバックをもらえる場合が多いです。

    もちろん自主制作をアップした次の日に、スタジオで直接スーパーバイザーやシニアのアーティストから意見をもらえることもあります。実際にスタジオで働いて仕事でもらうフィードバックに近く、非常に参考になります。海外では就活にLinkedInを使うので、90%くらいのアーティストがLinkedInを使用していると思います。

    今回は、一度完成してからLinkedInやスタジオの上司に意見を求めてアップデートしていきました。いただいた指摘の中で多かったのが、地球のディテールについてで、テクスチャ感が強く、フラットに見えるという指摘です。そしてハイライトのレンジも調整した方が良いと指摘をいただきました。

    いただいた意見を元にアップデートしていきます。雲の影を加えて、地表と雲の間に空間がある感じを出し、雲のコントラストやシャープネスも調整して、ディテールを加えました。ISSのハイライトと雲のハイライトも調整し、シーンに統一感を持たせています。

    今回得た経験を元に、もうひとつISSのカットを制作予定です。宇宙飛行士の3Dモデルも購入して追加したいと思っています。

    ISS from Masashi Imagawa on Vimeo.

    Profile.


    • 今川真史/Masashi Imagawa
      Framestore/コンポジター

      京都造形芸術大学キャラクターデザイン学科卒業。大学1年次に受けた授業をきっかけに、ほぼ独学で3DCGを学ぶ。自主制作作品『THE SEABED』でKLab Creative Fes'17動画部門グランプリ受賞。MPC モントリオールを経て、現在はFramestoreに在籍
      www.artstation.com/masashivfx321



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