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第4回:カラーマネジメントに適したモニタの秘密

第4回:カラーマネジメントに適したモニタの秘密

こんにちは、パーチ の長尾です。前回はカラーマネジメントの世界で定番となっている機材について解説しました。今回は、その中でも制作者にとって最も重要な機材、クリエイターにとっての であり、評価基準 ともなる 「モニタ(ディスプレイ)」 について、さらに詳しくみていこうと思います。モニタを常に最適な状態で利用するための キャリブレーション がなぜ必要なのか? Adobe RGB 対応モニタは誰に必要なのか? など、モニタ選定と運用時のポイントを中心に解説しましょう。それでは、今日も「一番大事なポイントを絞り込んで、難しいことを分かりやすく」で、頑張りますので最後までお付き合いください。

 

キャリブレーションとは?

前回(第3回) の記事で、筆者が カラマネ(カラーマネジメントシステム)に関わるようになって10年と書きましたが、改めて考えてみると15年でした(苦笑)。スミマセン、大分サバを読んでしまっていたようです。当時はグラフィックデザインの制作会社で、作業モニタ・プリンタ・印刷物を一致させる業務をしていました。CRT モニタ もプリンタも、全ての機材の色安定性が悪くて、非常に苦労したものです。今日では、どの機材も色安定性が高く、カラーマネジメント対応を謳った専用機材もずいぶん安くなりましたね(15年前に使っていたモニタは80万円でしたが、今では20万円ですから!)。機材は進歩し、私は年を取ったんだなあ、と実感します。この15年で様々な機材が進歩して、ソフトウェアもカラマネに対応した製品が増えてきました。この数年で3DCGソフトも対応し始め、制作効率を高めることができるようになったのは嬉しい限りですね。

前置きが長くなりましたが、カラマネに対応するモニタ、色に優れたモニタ、といったことを調べると必ず出てくる言葉が、キャリブレーション(表示較正) ですよね。分かりやすい言葉で言うと、「色のズレを矯正する」「正しい状態に戻す」といったことを行う作業のことだと思ってください。モニタは、経年劣化(使用するにつれて色が変化する)を起こします。工場から出荷され、皆さんの机の上で電源が入った時から徐々に色が変化しているのです。

経年劣化の例

モニタの経年劣化を図示したもの。モニタは使用頻度を問わず、時間が経つにつれて色ズレを起こすため、定期的なキャリブレーションが必要となる
 

そのため定期的にその変化量を測定して、変化分を矯正する必要があります。これがモニタのキャリブレーションです。最近の液晶モニタは CRT モニタほど変化が大きくありませんので、1ヶ月に1回程度のキャリブレーションで十分です。もし機材を移動した場合は環境光が変化するので、移動のたびにキャリブレーションするのがお勧めです。

この変化量を測定するために必要なのが、次の2つの機材です;

・測色機(センサ)

・キャリブレーション ソフト

モニタキャリブレーションで利用される測色器には、フィルタ方式とスペクトル方式の2つの方式があって、スペクトル式の方が精度が高くなります。測色器を購入するとキャリ ブレーションソフトが付いてくるので、直ぐにキャリブレーションが可能です。モニターが ハードウェア・キャリブレーション に対応している場合は、直接モニタ内の設定変更を行える専用のキャリブレーションソフトが付いてくるため、この場合は測色器に付属されているソフトは使用しません。また最近では、EIZO から測色器内蔵型モニタが登場しているので、より手間を掛けずにキャリブレーションが行えるようになりました。人がいなくても自動でキャリブレーションを行ってくれる機能を利用すると管理も非常に楽で、定期的なメンテナンスを忘れることもなく便利です。

モニタ キャリブレーション用測色機の種類

モニタ キャリブレーション用測色機の種類は現在、「モニタ内蔵方式」、「スペクトル方式」、「フィルタ方式」の3つに大別される
 

ハードウェア・キャリブレーション モニタとは?

キャリブレーションで行なった変化量の矯正はどこで行われるのでしょうか? 3DCG、2DCG のソフトウェアで作られた RGB 信号はいつの段階で矯正されるのでしょうか? この矯正がモニタ内部で行われるのが、ハードウェア・キャリブレーション モニタ です。通常のモニタは、グラフィックスボードで矯正が行われ、モニタ専用でないソフトでプロファイルが作られるため、ソフトウェア・キャリブレーション と呼ばれます。

ハードウェア・キャリブレーション モニタとソフトウェア キャリブレーションの比較

ハードウェア・キャリブレーションとソフトウェア・キャリブレーションでは、矯正される箇所と精度が異なる。ハードウェア・キャリブレーションは、モニタ内部の専用回路で矯正が行われるので精度が高い
 

つまり、ハードウェア・キャリブレーション モニタのメリットは;

・モニタに最適化したキャリブレーションを行うので精度が高い

・ソフトウェア・キャリブレーションは、グラフィックスボードの出力を減らすことで調整を行うため、階調の減少や色の乱れが起きるが、ハードウェア・キャリブレーションは元々細かな調整が行えるモニターの内部パラメータを直接コントロールするため問題が起きない

・カラーマネジメント用を謳っているだけあり、元々の特性が優れている

......総括すると、ハードウェア・キャリブレーションは、ソフトウェア・キャリブレーションより精度が高いので、色に関するミスコミュニケーションがなくなり、自ずと業務効率がより高くなります。精度が要求される現場はもちろん、通常の制作でも作業時間の短縮と品質の向上が見られるので、高い導入効果が得られる筈です。

また、メンテナンス時間の短縮も見逃せません。ハードウェア・キャリブレーションは調整ソフトの指示に従い5分程度の短時間で行えるのに対して、ソフトウェア・キャリブレーションでは、モニタの輝度やコントラストなどをモニタ本体にある前面ボタンを操作しながら手動で行うため、相応に時間と手間がかかってしまいます(私たちの調査では、効率化による人件費の削減額は半年ほどで導入コストを上回りました)。そして注意点として、通常のモニタには元々の特性が悪い物もあるので、測色しても色が合わない物があります。古くなったモニタも同様です。特に輝度が上がらない、全体に黄色みがかるなどが経年劣化として多く見られますが、これを補正しきれなくなったら交換が必要ですね。キャリブレーションについては、ナナオさんの公式サイトに詳しい解説が掲載されているので(下記)、併せて見るとより理解が深まると思います。

<参考:「よくわかるカラーマネジメント(カラマネ小話)」>

「ソフトウェア・キャリブレーションとハードウェア・キャリブーレション」

「ColorEdgeとFlexScanの比較」

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