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第10回:導入して初めてわかる必要な知識

第10回:導入して初めてわかる必要な知識

こんにちは、パーチ の長尾です。前回(第9回)は、「現実世界の環境を統一する」 と題して、現実世界と 3DCG(バーチャル世界)の色を統一する方法を解説しました。これにて、3DCG でカラーマネジメントをするのに必要なことを全て学ぶことができました。第1回から9回までを見直しながらぜひ導入を進めてみてください! 私たちも引き続き導入が楽になる、運用が上手くいくためのノウハウを提供していこうと思います。
そこで今回は、実際に機材やソフトを試してみないと分からない、導入して初めて気がつく問題点など、たくさん試してみないと分からないポイントについて解説していきます。では、いつも通り 「一番大事なポイントを絞り込んで、難しいことをわかりやすく」 してありますので、最後までおつきあいください。

モニタ調整後の品質と、調整にかかる手間

モニタ調整を実際にやってみると、優れたモニタとそうでないモニタの違いを比較したり、新型機種を過去製品と比較したり、測色機やソフトの違いを試したり、を皆さんやってみたくなるのではないでしょうか? しかし、こうした機材を選ぶ上で大事な選定作業も実際に体験できる場がほとんどないのが残念です。確信を得ないまま購入して運用するのは不安でもあります。「百聞は一見にしかず」ですが、それは難しいので、次の表に違いをまとめてみました。機材選びの参考として、また運用時の比較用として活用してください。

モニタの違いによる《品質》《調整の手間》の比較

「モニタの違いによる《品質》《調整の手間》比較」 ※クリックで拡大
代表的なハードウェア・キャリブレーションモニタと、ソフトウェア・キャリブレーションモニタの違いをモニタの評価ポイントごとにまとめたもの

モニタの違いによる《品質》《調整の手間》の比較・図A

 

モニタ内部に最適な色補正を行う専用回路を持っている 「ハードウェア・キャリブレーション モニタ(以下ハード型)」 と、通常のモニタを測色器で測定した場合を 「ソフトウェア・キャリブレーション モニタ(以下ソフト型)」 と呼び、それぞれをモニタの表ポイントごとに比較してまとめました。
ハード型は、測色器の違いにより、外付け内蔵 に分けて評価してあります。内蔵 は EIZO CG245W、CG275W に限られるため(2012年1月中旬現在)、この2機種に関して評価し、外付け は全てのハード型に関して評価してあります。そのためハード型については、製品によって精度や測色方法に違いが見られるため(製品によって精度に違いがある)という注記を加えました。
ソフト型についても同様に、多くの製品に関して評価してあります。特にソフト型については、精度の高い製品から低い製品までの差が激しいため、中間的な機種を想定して評価を行なっています。

各評価項目の見方は以下の通りです。

1.【品質】ターゲットにしたプロファイルとのマッチング精度
自社のパイプラインに応じて決定したカラープロファイルに合わせて、モニタを調整した時に、どれくらい正確に表現するかを表しています。測色による調整を行うことでよりプロファイルに近づけることはできますが、モニタの質によって正確さが異なり、特にソフト型で品質のあまり高くないモニタでは精度が下がります。

基準となるカラープロファイルと、最適なモニタ

「基準となるカラープロファイルと、最適なモニタ」
自社の基準となるカラープロファイルより、広い表示領域を持ったモニタを選ぶと、ハード型の場合は全ての色が正しく表示される。オーバーしている部分については調整により表示を押さえてくれるので安心。「大は小を兼ねる」がモニタにもあてはまる


2.【品質】データを正確に表示するかどうか
RGB、CMYKなどの色を数値通りに表現できるかを表しています。精度良く調整されたモニタでない場合はデータとは異なった色を発色しています。

3.【品質】グレーのグラデーションに乱れがないか
グレーのグラデーションはモニタ評価によく利用され、明るさが滑らかに変化すること(明るくなる途中で一部が暗くなったりしない)と、ニュートラルグレー(色が着いていない)で表現できるかが重要視されます。

4.【品質】調整の細かさ
ハード型は自動で調整が行われ、調整の細かさはモニタに最適化されていますが、一方のソフト型はコントラスト・明るさなどをモニタについている調整ボタンを使い、手動で行うため、ターゲットに正確に合わせ込むことができない場合が多いです。

5.【品質】他のモニタとのマッチング度合
制作会社内、グループ内にあるモニタのマッチングをとる場合の各モニタのマッチング精度を表しています。

6.【品質】画面内のムラ
モニタは画面全面の色と明るさの均一性について表しています。モニタの場所によって色が違うと、ウインドウを移動すると色が変わって見える現象が起こります。

画面のムラを補正する技術

「画面のムラを補正する技術」
EIZO ColorEdge、FlexScan(一部)に搭載されている デジタルユニフォミティ補正機能 は画面内のムラをなくし、均一性を保つことができる

7.【品質】経年劣化
モニタは使用するにつれて品質が劣化していきすが、その度合を表したものです。モニタによって、劣化スピードと、劣化の種類は大きく異なります。そのため寿命も数倍違う製品もあります。

8.【調整の手間】調整スピード
測色機を繋いでから終了するまでの時間を表しています。ハード型は、ハード付属の調整ソフトを利用するため、設定も簡単で調整も早く終了します。特に内蔵型は 調整スケジュール を設定しておけば、人のいない深夜などに行うこともでき、人が関わる時間はほぼ 0 になります。
一方、ソフト型は測色機に付属のソフトウェアを使用します。モニタ特性に最適化されていないため、ソフトの機能を全て生かすことができないモニタも多いです。また、調整も半分程度は手動で行わなければいけないため、管理者の負担が大きく、経験が求められます。

9.【調整の手間】調整中の作業
調整が行われている最中の管理者の作業内容です。ハード型は自動で行われますが、ソフト型は一部を手動で設定する必要があります。

10.【調整の手間】調整後の作業
調整が終了した後に行う管理者の作業内容です。ハード型は特別ありませんが、ソフト型は精度が低いのと、調整時の手動設定により結果に精度の違いが出るため、基準となるモニタやカラーチャート等を使って正しい調整が行われたかどうか確認を行います。

「例:調整の前後を確認する

「例:調整の前後を確認する」
ColorMunki 付属のソフトウェアのスクリーンショット。調整前と調整後のボタンを切り替えると、画面の色が変化して、調整の精度を確認することができます

11.【調整の手間】調整後に調整目標を変更する
カラーマネジメントの運用でよく問題視されるのが、モニタを使用している制作者が勝手に設定を変更してしまい、色の合っていないモニタで作業を行うことです。ハード型は調整時(測色を行うとき)にしか大きな変更は行えませんが、ソフト型は自由に変更することができるので、この問題を多く引き起こします。ハード型についても予め設定されている複数の設定を切り替え、仕事に応じて最適な状態で作業を行う機能がある機種もあります。

ナナオ(EIZO)のサイトに、ハード型とソフト型についてのページがありましたので、あわせて読むと理解が深まると思います。

<よくわかるカラーマネージメント(カラマネ小話)>
http://www.eizo.co.jp/products/eizolibrary/monitor/index.html
http://www.eizo.co.jp/products/eizolibrary/comparison/index.html

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