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2019年第2弾 結果発表! 学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

2019年第2弾 結果発表! 学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

第22位:『TIME IN TONIGHT』 獲得点数:6点

吉田宇輝さん(トライデントコンピュータ専門学校)
モデリングやマテリアルを始め、ライティング、コンポジット、構図などに興味があります。
liry.artstation.com/

●作品解説
懐かしいようで見たこともない雰囲気の作業風景を目指しました。配置されているものから使っているのがどういう人なのか想像できるよう工夫しています。

●使用ツール
Blender, Substance Designer, Substance Painter, Substance Alchemist, Affinity Photo


●審査員コメント 抜粋

鈴木卓矢 SAFEHOUSE inc.(取締役/背景モデリングSV)
モデリング、テクスチャー共に丁寧に作られていて素晴らしいです。小物がしっかり作られているのですが、主役のモデルがほかと比べて汚しがきつすぎるかなと思いました。土手から拾ってきたような印象に見えます。現役で使用しているのであればしっかりと手入れがなされている感じが出るといいし、そうでなければ修理道具など現在進行形の物を置いてあげるといいのではないかと思います。

森田悠揮(アーティスト・クリーチャーデザイナー)
80年代?には僕は詳しくありませんが、どことなく哀愁があり、かつアセットのクオリティも十分に高い作品だと思いました。ここで作業していたであろう人の人物像まで想起させられてストーリーや深みのある作品に感じました。静止画作品にとって時間軸を感じさせられるかどうかはかなりキーとなってくるポイントなので、この作品に関してはその点とてもよく表現できています。画面内に明るい部分が2つ(手前のライトと奥のライト)あるので、2つの光源に強弱をつけて視線を狙いのところへもっていけているとなお良かったかなと思います。

バンダイナムコスタジオ
雰囲気や世界観、またこの場所の主人の仕事をする姿が想像できます。見てほしい場所を明るくすることによって視線誘導を行う基本に忠実な構成も好印象でした。惜しむらくは、見せ場付近であるメモ帳のしわ表現がきつく、紙ではなく石のように見えてしまうところです。この机の上で、中央のPC(ワープロ?)とメモ帳はここの主人が最も手を振れるものだと思います。手を触れることによる劣化は、放置されて怒る経年劣化とは全く別の質の劣化の仕方をしていくと思います。例えば、削れる・擦れるといったマイナスものです。経年劣化は、逆に汚れの付着や錆などプラス方向の劣化が多いです。そういったことを観察し、適切に表現していくと、より説得力のある作品につながると思います。(バンダイナムコスタジオ:小和田)

●受賞コメント

今回が初めての応募でしたが、受賞することができとても嬉しく思います。色々な方々に評価を頂けて非常に光栄でした。また、頂いた審査員の方々のコメントで、次の課題を見出せました。22位とギリギリの入賞となってしまったので、次の機会があれば更にクオリティを上げて挑戦しようと思います。この度は誠にありがとうございました。

第22位:『朝』 獲得点数:6点

森 謙造さん(デジタルハリウッド大阪校)
背景モデルの腕試しで提出しました。今後はリグやアニメーションにも取り組んでいきたいです。

●作品解説
「猟師の家」を室内の装飾にこだわって制作しました。見せたい箇所を光の演出で表現しました。

●使用ツール
Maya, ZBrush, Photoshop, Substance Painter


●審査員コメント 抜粋

中村 基典(3D背景アーティスト)
物量が多く、とても画面がにぎやかで見ていて楽しいです。また一つ一つの造形が面白いので見ごたえがあり、絵の魅力を引き上げています。 小物も種類が豊富で、隅々まで見てみると新しい発見があり、楽しいです。左側の置時計はデザインが面白く、作者のデザインセンスを感じます。更に良くなるアドバイスとしましては、彫刻部分が全体的に丸いので、角がある場所も追加してメリハリを付けると良いでしょう。本棚などの木製品の木目の方向を意識してみましょう。壁がぼけているので、ディテールか模様を追加してみましょう。ライティングですが、光が当たっているイスやその周りをもう少し明るくすることにより、コントラストをつけて絵を良くしつつ、この絵の主役に目を行きやすくすると良いでしょう。また、光が当たっているイスや机ですが、落ちている影が複雑すぎて煩雑な印象がありますので、影の模様を簡略化して、机とイスの形状をもっと分かりやすく見えるように工夫すると良いかも知れません。また物量がとても多いのですが、整理されて置いてあるせいか、見た目よりも少なく感じてしまいます。手前に机を配置してその上に小物を配置してみる、床にもっと小物を配置して増やしてみる、などしてみると良いでしょう。物量、造形とともに、とても魅力的で見飽きない作品に仕上がっています。

exsa株式会社
モデル一つ一つが丁寧に作られており、とても良い作品になっていると思います。特にデザインがファンタジー感が出ていて良いなと思いました。ただ、猟師の家っぽさではない?気がします。(魔法使いの家っぽい?)猟師の家であれば仕留めた動物の毛皮や骨で作ったもの等があったり、猟の道具があったりした方が良いのかなと。次作に期待します。

スマートエンジニア
光の使い方が特徴的で独特の世界観がありすばらしいです。ただ、シャンデリアの影が若干、複雑すぎて見づらい部分がありますが細部にまで作りこまれたパーツ類には感心します。

●受賞コメント

この度は優秀賞に選んで頂きまして、大変光栄に思います。講評して頂いた審査員の皆様にも感謝しております。一線で活躍されているプロの方々からのコメントは、作品の良し悪しを決める視点を学ぶいい機会となりました。今回の講評を今後の作品作りに生かして、精進していきたいと思います!最後に、コンテストで共に競争できた学生の皆さんにも感謝しています。 ありがとうございました。

第22位:『探査』 獲得点数:6点

山口拓海さん(デジタルハリウッド大学)
幅広い表現を作れるよう、勉強しています。いつも帽子を被ってます。

●作品解説
架空の滅んだ国をアンドロイドが探査しています。オフィスに戦車が突っ込んでいる様子を、どう感じるのでしょうか。

●使用ツール
Maya, ZBrush, Substance Painter, MARI, After Effects


●審査員コメント 抜粋

坂本一樹(DigitalArtist)
構図も上手く、人をワクワクさせる作品です。パーティクルでダスト(チリ)を舞わせる一工夫を加えるだけでも、奥行き感や空気感、戦車や瓦礫といったシーンの説得力が増すかと思います。ぜひ試してみて下さい。

イリンクス
モデルの形状もきれいで、その他の物も良く見ると大変細かく作り込んであるのですが、ビジュアルのコントラストが高すぎて大半のディテールが死んでしまっており、戦車も良く見ないと戦車と気づけない状態になってしまっている印象でした。

ピコナ
背景、キャラクター合わせて世界観作ってあるのは良いですね、コンセプトにありますようにアンドロイドならそれを感じられる要素をもう少し入れても面白いかなと感じます。質感差をもっと表現出来ると良いですね。

ENGI
SFらしい表現ができていると思います。無駄に処理をかけすぎずに質感とライティングで表現しているところがよいと思います。

第22位:『Imaginations From The Other Side』 獲得点数:6点

加藤晃介さん(日本電子専門学校)
カナダの映画スタジオでハリウッド映画に携わり世界中の人に驚異的な体験を届けたいです。また、僕の大好きな映画監督ベン・スティラーのように監督や俳優など様々な活動ができるマルチなクリエイターになることが目標です。
Artstation
https://tononoki.artstation.com/

●作品解説
人形の主人公が新しい世界へと進んでいこうとするシーンを想像して制作しました。昔からストップモーションアニメが好きで、独特な写実感、そしてCGならではのカメラワークや視覚効果を合わせて幻想的な世界観の表現を目指しました。

●使用ツール
Houdini, Maya, NUKE, Substance Painter,CLIP STUDIO PAINT


●審査員コメント 抜粋

秋元純一 トランジスタ・スタジオ(取締役副社長)
世界観や空気感は面白いし、良く表現されていると感じる。グレーディングも、映画のショットを意識されている様な雰囲気になっている。

長砂賀洋(コンセプトアーティスト)
映像的な美しさのあるイメージだと思いました。空気感が素晴らしいです。割れたガラスの意味とか、もう少しわかりやすいとなお良かったかなと思います。

東映 ツークン研究所
アイディアが面白く、映画のワンシーンを切り取ったような雰囲気が出ていて惹かれました。キャラクターなど、いろいろと想像させられて好きです。が、一枚絵としてはもう少しやれることがあるかなと思います。キャラクターのポーズなどももっと分かりやすく作っても良いかなと思います。

lure.Inc
スケール感、光の使い方が綺麗で良いです。キャラクターのデザインも味のある良い世界観をだしていると思います。

●受賞コメント

受賞できてとても嬉しいです。1枚の静止画として作品を完成させるのは難しく、今回の作品を通して新しい表現や手法にも挑戦しました。コンテストでは他の参加者の方々の作品を拝見しながら、同じ学生とは信じられない完成度に圧倒され、その作品に添えられた審査員の講評、すべてが刺激的でした。評価され、多くの人に見て頂ける機会はそう多くありません。貴重な経験ありがとうございました。

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