第17位:『murder』 獲得点数:9点
伊藤史弥さん(トライデントコンピュータ専門学校)
映像作品におけるコンポジットやライティング、カメラワークなどに興味があります。見ている人を感動させる映像を作ることを目標にしています。
●作品解説
サスペンス映画の死亡シーンを表現しました。赤と緑の補色を使い、深みのある色合いにしています。血痕の色で、殺されてからどれぐらいの時間が経っているのかわかるようにしました。
●使用ツール
Maya, NUKE, After Effects, Photoshop
●審査員コメント 抜粋
【長砂賀洋(コンセプトアーティスト)】
ストーリーと美しさを持っていて素晴らしいです。血を花びらで表現してる工夫がとても良いです。
【イリンクス】
事件の香りですね!もう少し欲をいうなればもうすこし物語を絵から読み取れるように工夫できたら良いかなと思います。最初に見た印象が「死んでる...」といった感想が浮かんだのですが、次に思ったのが、どのように死んだのかな?と思いました。絵から読み取ろうと思ったのですが、見た人に推理させる構造になさりたかったのかもしれませんが、もう少しヒントが表現できたら素敵だと思います。たとえば侵入された痕跡、凶器が落ちている、などなどがあるともっと絵としよいと思います。
【東映 ツークン研究所】
死体の美しさを引き立たせる色彩で、雰囲気が出ていて好きです。収差やボケ、光の強さがあってないように見えたりと、細かいところで気になる点はありますが、総じて良い作品だと思います。
【ポイント・ピクチャーズ】
静かな空気感と色彩がとても素晴らしいと思いました。特に水の表現、透明度と色合いが作品全体の良さを引き出していると感じました。
たくさんの人に私の作品を見ていただき嬉しい限りです。今回の講評で多くの改善点を教えていただいたので、ブラッシュアップを重ね、より良い作品を目指していきたいです。今後は映像作品を制作していくので、今まで学んだ知識や技術、今回のアドバイスなどを活かしながら制作に励みたいと思います。
第17位:『Dinosaur』 獲得点数:9点
内田尚吾さん(神戸芸術工科大学)
キャラクターモデラーを目指しています。映像やゲームの中でよりリアリティーのある生物を表現できるようになりたいと思っています。
https://www.artstation.com/syogouchida
●作品解説
恐竜をコンセプトにしたクリーチャーが獲物を追いかけている場面をテーマに制作しました。足元の木片やブラーでスピード感が感じられるように意識しました。
●使用ツール
ZBrush, Maya, MARI, Substance Painter, NUKE, Photoshop
●審査員コメント 抜粋
【藤田 祐一郎 カプコン(キャラクターアーティスト)】
造形もディテールもカッコいいです!モデリングの力量を感じました。いくつか気になった点を挙げさせていただきます。・SSSが全体にかかりすぎているのが惜しいです。しっかりマップで制御してあげると良いと思います。・ポージングについて。左右とも手足のシルエットがかぶっているので、どちらかだけでもズラしてあげることで恐竜の体形が伝わりやすくなると思います。・ブラーについて。身体がぼかされていることで顔にぱっと目が行くのは良いのですが、顔だけしかディテールが見えないのがもったいないです。力強く踏み込んだ右足はぼかしを取る(その代わり明度のコントラストはやや抑える)などすれば、もう少しじっくり楽しんでもらえる作品になると思います。
【中村 基典(3D背景アーティスト)】
鱗のディテールと、顔パーツによる鱗の流れと形状の変化がとても良くできています。スカルプト技術の高さが伺えます。身体部分が被写界深度でボケてしまっていて惜しいので、もう少しピントが合った状態で見てみたいです。全体的にとても緻密で造形力もあり、魅力的な作品に仕上がっています。
【バンダイナムコスタジオ】
首から上の部分は作り込まれていて熱意を感じました。相対的に、ブラーがかかっているとはいえ体の作り込みや背景に対する意識は、やや甘く感じられてしまいます。(バンダイナムコスタジオ:東)
【 キャラバンズ】
勢いのある構図に説得力のあるDOFがとてもマッチしていて、バランスの良い画づくりが出来ていると思います。ただ、クリーチャーがやや小さく感じられるのがもったいない気がきました。
この度は数ある作品の中から選んでいただき誠にありがとうございました。貴重な講評を頂くことができとてもいい経験になりました。今回は時間がなく詰め切らなかった部分も多かったため悔しい部分も多くありますが、頂いた講評を参考により良い作品を作れるように精進していきたいと思います!
第19位:『自動改札機-Automatic Ticket Gate』 獲得点数:8点
大石凌雅さん(九州産業大学)
目標は影響力のある作品(映画,CM)に携わることです。主にフォトリアルCGとモーショングラフィックスが好きです。来年度春から博報堂プロダクツ/VFXクリエイター職入社予定。
https://www.artstation.com/ryomavfx
●作品解説
暗めのシーンでありながらも、コントラストのある引き締まったフォトリアル表現を目指しました。また、改札機を通りたくなるような構図を心がけ、絵としてよりクオリティを高く見せる努力をしました。
●使用ツール
3ds Max, V-Ray, Substance Painter, Megascans, Photoshop, After Effects
●審査員コメント 抜粋
【秋元純一 トランジスタ・スタジオ(取締役副社長)】
リアリズムを追求している事は十分理解できるし、実際にクオリティも高いと思う。構図も面白く、主観の様な視点から、少しだけ見切れる足元も説得力に一役買っている。しいてあげるなら、塗装部分のシェーディングに少し難ありだが、それは難癖と言っていいだろう。トータルで素晴らしいと思う。
【藤田 祐一郎 カプコン(キャラクターアーティスト)】
色味がお洒落で構図も決まっていると思いました。視線がいきそうなところに丁寧にディテールが入っているのも良いと思いました。右上の人物は黒つぶれしていることで悪目立ちしている気もするので、特徴のないスーツと革靴などにした方が作品を邪魔しないかも知れません。
【長砂賀洋(コンセプトアーティスト)】
今回見た作品の中で、図抜けて空気感がありました。絵で描こうとしてもこの空気感はなかなか出ないので、CGならではの良さをすごく感じます。うらやましいです。
【exsa株式会社】
全体的なクオリティが高く、絵としての強度が高い作品だと思います。改札だけでなく、人の足を入れたことでより説得力が出ているのは良いですね。今風なスマートなデザインではなく、少し武骨な感じも面白いなと思いました。
【株式会社MARK】
格好良い画作りがされていて、とても雰囲気の良い作品だと思います。人が沢山触れて剥げた箇所、通る時に当たってしまい出来た傷、擦れが意識できているとより良くなってくると感じました。
この度は優秀賞を頂きありがとうございます。前回は落選しましたが、反省点を踏まえ、当作品を完成させることが出来ました。19位という結果からも分かるように、この作品にも多くの反省点があります。他の入賞者の講評も踏まえ、次に生かします。勿論、目標は世界中の優秀なアーティストと肩を並べることです。より多くの人の心に響く作品を作るため、限界まで技術力・創造力を高めて参ります。宜しくお願いします。
第20位:『Dragon Knight』 獲得点数:7点
林 祐希さん(東京工科大学)
キャラクターモデラー、デザイナーを目指して独学で制作をしています。目標は海外でも生き残れるキャラクターアーティストになることです。
●作品解説
コンセプトは戦場を駆ける竜騎士です。キャラクターのシルエットを意識しながら、騎士とドラゴン両方に目が行くようにしました。また、鎧や角の傷、障泥の汚れといった劣化の表現も意識しました。
●使用ツール
Maya, Zbrush, SubstancePainter, AfterEffect
●審査員コメント 抜粋
【鈴木卓矢 SAFEHOUSE inc.(取締役/背景モデリングSV)】
モデルに動きがあっていいと思います。ただクリーチャーの皮膚感と角と甲冑のモデルの作りが同じで全体的にモデルがぬるく感じてしまいます。甲冑はクリーチャーが装備していても製造したのは人なのでメリハリをしっかりつければもっと良くなるのとポリゴン数の足りないところもあるので細かい部分に注意するといいと思います。
【藤田 祐一郎 カプコン(キャラクターアーティスト)】
モンスターのデザインカッコいいです!獰猛さが分かるポージングも良いです。騎士は腰を曲げてもう少し前傾にした方が良いと思います。また右手首が曲がりすぎているので、もっと右腕全体で手綱を引かせると良いです。鎧が全体的にふにゃふにゃっとしてるので、特に輪郭部分は丁寧に形状を整えてあげると見栄えが良くなると思います。現実味を持たせるには、現実の動物を観察してその要素を取り入れればいいと思います。たとえば羊の角のように先端ほど凹凸を消して滑らかにしたり、指を短くして4足歩行しやすそうにしたりする、等です。
【exsa株式会社】
絵としての完成度が高く、よい作品だと思います。
ポーズもかっこよくまとまっているかと。
ただ、四角い画面に引きずられてる感もあるポーズなのでもう少しチャレンジしてもよいなと思いました。また、質感的なものでいうと、金属と有機物(ドラゴンの肌等)の感じに差が少ないのでメリハリがつくともっと良くなると思います。騎士の持っている剣もドラゴンの上で戦うことを考えるとサイズ的に無理があるように見え、説得力が出てこないのでもっと大きくするか槍的なものを持たせるとかにした方が良いかもしれません。コンセプトによるのですが、まとめすぎず、冒険する部分を作ってもよいと感じます。
【ポイント・ピクチャーズ】
カッコ良さと渋さが両立したデザインや、質感表現は国内外で通用しそうです。暴れる竜とそれを制する騎士といった、対の要素が上手くまとまったポージングで、シルエットに関してもよく気が配られています。良い意味でキャラクター表現のみに集中した作品で、背景がなくとも作品設定や情景が見えてくるレベルの情報量があります。
【株式会社VERRY】
イラストのように構図やポーズがまとまってよい感じです。キャラクターメインの作品では棒立ちのものが多い中、アクションも表現しようとして好感が持てます。シルエットやデザインがまとまりすぎて一般兵感が強いのが作品として気になります。モデル流用で何体か配置し、手前に隊長的キャラを配置しストーリー性を持たせても良かったように思います。
今回は入賞させていただきありがとうございます。前回の「WHO'S NEXT?」では入賞できなかったので、とても嬉しいです。自信にも繋げることができました。また、質感表現やモデルなどのアドバイスも頂けたので作品に反映できるように尽力して参ります。次回は更にレベルアップした作品で応募できればと思います。この度は関係者の皆様ありがとうございました。
第20位:『荒廃したアメ横』 獲得点数:7点
藤井健一さん(デジタルハリウッド大学)
ゲームの背景デザイナー志望の学生です。今、4年生ですが、背景デザイナーを目指し、勉強を始めたのは3年生からです。プロの背景デザイナーを目指して頑張ります。
「https://twitter.com/KenkenX33」
Twitterのアカウントです。2ヵ月前からTwitterを始めました。作品の進捗などをあげています。
●作品解説
災害が起き、数日が経過したアメ横を想像してつくりました。構図やライティング、コンポジットなどに力を入れて制作しています。奥行き感が出るようにアメ横の看板の位置を何度も調整したり、カメラを広角気味に設定するなど工夫しました。またライティングとコンポジットでは、メインの看板が目立つように調整しました。
●使用ツール
Maya, Substance Painter, Photoshop, After Effects
●審査員コメント 抜粋
【中村 基典(3D背景アーティスト)】
モチーフ、絵の構成、ライティングがとても魅力的で、一目見たら忘れられない個性的な作品に仕上がっています。作家性とセンスを感じます。アメ横の傾いた大きな文字、その上のレトロな装飾。とても目を引かれます。作者が楽しんで作っているのが目に浮かびます。破壊された奥のガードなどの曲線がとても心地良く表現されています。 更に良くなるアドバイスとしましては、 左側の赤い日よけテントに歪みを加えて、直線を無くすと良いでしょう。 また、右側のシャッターの直線部分も歪みを加えると良いです。 アメ横の土台も、直線で構成されているので、微妙に歪みをいれて直線感を和らげるとクオリティが増します。 3DCGではどうしても完全な直線が表現できてしまうのですが、現実世界では完全な直線は少ないので、直線部分のポリゴンを割って歪みを入れる手間をかけると、さらにクオリティが増すのでお勧めです。 また、面取りをすべてのアセットに入れると良いでしょう。 物量もあり、細かいところにもこだわりを持ち、楽しんで作っている感じが伝わり、とても好感が持てます。その影響により、作品がとても魅力的であり、目を引く素晴らしい作品に仕上がっています。
【イリンクス】
好きです。とっても素敵です。雰囲気も出ていて良いと思いました。ただ「災害が起き、数日が経過」とのこのとなのですが、だいぶたってしまているように感じます...とってもいい汚れ表現だと思うのですが...もう少し抑え気味にしたら説明文ととっても合うかと思いました。でも絵としてとっても好きです。
【三悟】
絵としての構成、ストーリーを感じさせる画面作りが良いですね。アメ横というチョイスもとても面白いです。(なぜアメ横を選んだのかお伺いしたいくらい)細かい点では、背景アーティストとしての技術はまだまだこれからなのかなといった面もありますが、絵作りの面白さ、アイデアは可能性を感じる作品でした。エンターテインメントの背景づくり(とくにゲームでは)というのは、見る側を楽しませる、そういった考え方や想像力が非常に大切だと私は考えております。今後も藤井様の作品を楽しみにしています。
【ENGI】
現実にあるものを破壊して表現してみるといった発想がとても良いです。ディティールがもう少しあれば更によくなります。雰囲気は十分に出ていると思います。
この度、20位という結果ではありますが、優秀賞を受賞することが出来まして、大変光栄に思います。しかし、審査員の方々の講評コメントや、他の受賞者の作品を見ると、自分はまだまだであるという事を、改めて実感いたしました。今後、プロの背景デザイナーになる為に、これからもっと精進していきたいと思います。