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2019年第2弾 結果発表! 学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

2019年第2弾 結果発表! 学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

第5位:『水時計の町』 獲得点数:26点

林 晃広さん(ECCコンピュータ専門学校)
背景モデラーとしてゲーム業界への就職を目指しています。人の心を動かせられるような背景をつくれるようになりたいです!

●作品解説
「水時計」と「東アジア」をコンセプトに、町の少し劣化した雰囲気や生活感を出すことを目指して制作しました。

●使用ツール
Maya, ZBrush, UE4, Photoshop,Substance Designer, Substancep Painter


●審査員コメント 抜粋

坂本一樹(DigitalArtist)
今回のコンテストでは、こちらの作品に最高評価を付けさせていただきました。リアルタイム作品で他のプリレンダ作品に劣らないクオリティという部分も評価できますが、構図の工夫や空気遠近法を用いた表現で奥行きが見事に再現されていて、非常にクオリティの高い作品に仕上がっています。視線誘導された先、霧に包まれた画面中央右奥をよく見ると、作品のテーマにもなっている水時計の正体が見えてきます。世界観にも、視線誘導にもストーリがあり、とても魅力的な世界観です。被写界深度ボケを使わずに色収差でレンズ歪や遠近感を出している部分も評価が高いです。背景の作り込みを殺すことを恐れないならば、被写界深度で手前や奥を少しぼかしたバージョンも拝見したかったです。是非、この世界観を一人の冒険者としてVRで動き回ってみたいです。素晴らしい作品と出会えて刺激を受けました。今後の活躍を期待しています!!

中村 基典(3D背景アーティスト)
一つ一つのアセットがとても良くできていて、なおかつとても魅力的です。特に日よけテントや荷車の幌部分、建物の造形。モデリング力、テクスチャリング力がとても高いのを感じることが出来ます。ライティングや雰囲気も大変良いです。フォグによるレイヤー感がよく表現されています。 全体的に、高クオリティな作品に仕上がっています。 更に良くなるアドバイスとしましては、レイアウトでは真ん中に一番目が行くのですが、石と地面のみでとても勿体ないです。道をもっと狭くして左右の建物が写る面積を増やすか、もしくは地面に物を増やして密度感を上げると良いでしょう。また、左右の建物どちらかに、もっと光が当たる面積を増やしても良いと思います。 一番奥の崖ですが、真横に切れていてさらにその前に何もないため、水平ラインに凹凸をつけつつ、ラインを切るように手前に何か物を配置すると良いでしょう。 また、一番奥の崖のさらに奥に尖った山などがあると、奥行きがさらに出て良いかも知れません。 一つ一つの造形はとても良くできているので、あとはレイアウトとライティングを工夫することにより、さらに何段階も上の絵にすることができます。 とても素晴らしい作品です。

富安健一郎 INEI(コンセプトアーティスト/代表取締役)
とても完成度が高い。絵としてのバランスも非常に良い。独自の世界観をもっと構築して欲しい。

東映 ツークン研究所
見せたいものが伝わってくる構図で大変良いです。ただグレインや収差、フォグなど少しやりすぎて安っぽくなっているのが残念です。

メタサイト
解像感とディティールは素晴らしいと思います。石畳の隙間からのぞく草などはリアリティに貢献していますね。これだけ古い町を表現するなら石畳の道はもう少しうねっていても良さそうですね。

バンダイナムコスタジオ
全体の空気感や世界観を出そうと努力が見えることが好印象です。ざらざらした空気感はこの中華っぽい雰囲気に合っていると思います。また細部もバランスよく作られているので、それもいい印象を持ちました。ただ、画面全体の構成として「どこを見せたいのか」が少し弱いです。遠くの建物は靄に霞んで抑えられていますし、一番手前左の砂時計(?)は見せ場というにはモノの魅力として役者不足です。真面目に丁寧につくるだけではなく、見る側に「こう見てほしい」というのを明確にして、それを最終的な作品の中で実現させていく、一種のあざとさのようなものを身につけてもらえればと思います。(バンダイナムコスタジオ 小和田)

株式会社VERRY
手前から奥への段階的な配置、空気感など構図バランスが良く考えられています。プロップ類の手書き風エッジ処理、瓦屋根や柱など直線部分に経年による反り、砂時計の色をアクセントとして見せるなどアナログ寄りな表現に成功しています。布の複製感や岩場ののっぺり感、水時計の落ち方、左の水時計のポリゴン感等が気になってしまい勿体ないと思いました。

ENGI
独特な世界観の雰囲気がいい感じに出ていると思います。ディティール、質感ともにバランスよく表現できていると思います。

●受賞コメント

このたびは、「WHO'S NEXT?」5位を表彰いただき、誠にありがとうございます。このコンテストを通じて、自身の作品への講評はもちろんのこと他の受賞者の方の作品や講評を見て、作品制作の改善点を多く知ることができ、とても貴重な体験をさせていただきました。これからは作品を見る側への配慮をもっと意識した作品制作を心がけたいと思います。審査・講評をしてくださった皆様、誠にありがとうございました!

第6位:『植物達の時間』 獲得点数:25点

比嘉敦樹さん(ECCコンピュータ専門学校)
主に背景モデリングについて学んでいて、新しいツールやソフトの勉強にも力を入れています。人の心に残ってもらえるような作品をたくさん作っていきたいです。
https://twitter.com/alayto0110

●作品解説
時計を動かす人間がいなくなり、植物達だけの場所となった施設です。寂しげな空気感であったり、植物によって歯車のディテールが埋もれすぎてしまうことがないように意識して制作しました。

●使用ツール
Maya, Substance Painter, UE4, Photoshop


●審査員コメント 抜粋

秋元純一 トランジスタ・スタジオ(取締役副社長)
まず、コンセプトにストーリー性を見ることが出来、レイアウトも素晴らしく、引き込まれる。色彩もシンプルだが納得出来るまとめ方で、モデルの作り込みも申し分ない。バランス感覚に優れており、見せたい箇所がきちんと理解できる。作品は、やはり何を伝えたいか、どこを見てほしいか、作者が理解している事はまず基本だと思うが、中々難しいことでもあると思う。それをしっかり踏まえた上で、思想や感情、そのモーメントを切り出せているのが、素晴らしい。

デイジー
大胆な構図とライティングで視線を時計(歯車?)に自然と誘導されます。すごく好き案な世界観です、「Mist」(Cyan社の古いゲーム)を連想させるファンタジックなこの施設の物語が気になります。

lure.Inc
全体に植物がお生い茂っても建造物だとわかるバランスが良いです。植物に種類感じるように色や形状のバリエーションがあっても良いかと感じました。

ポイント・ピクチャーズ
まず、独特の構図と圧倒的な植物の量に感心します。寂寥感、神々しさなどが漂い、背景としてはとても良い雰囲気が出せているのでは無いでしょうか。一部のテクスチャーマップが、伸びているように見える点を改善すればより良くなると思います。

コロッサス
極端な明暗の付け方と迫力のある物量で印象的な絵です。大胆な絵作りですがうまくまとめられていて、神秘的な美しさも表現できていると思います。

●受賞コメント

この度は「WHO'S NEXT?」にて素晴らしい賞をいただいたこと、プロの方々に作品を評価していただいたことを大変嬉しく思います。そして助言をしてくださった皆様方本当にありがとうございます。頂いた講評を読み、自分の良い部分、足りていない部分を深く知ることができました。この貴重な機会を自分の糧にして今後とも作品制作頑張っていきたいと思います。

第7位:『部屋』 獲得点数:23点

丸山貴大さん(デジタルハリウッド東京本校)
最近作成したポートフォリオです。
https://drive.google.com/file/d/0B1yjJKmrmiLNU3JYTGEtaEhNSHF0aFA3ZGxnWG5iaHlCWnhn/view?usp=sharing

●作品解説
煩雑さを演出するためにカメラの圧縮効果を利用して物量の多さを演出しました。

●使用ツール
Maya, Photoshop, After Effects


●審査員コメント 抜粋

森田悠揮(アーティスト・クリーチャーデザイナー)
やわらかな雰囲気のある作品ですね。ガラスと木の質感が匂いを感じさせます。カメラの圧縮効果を有効に使う場合は、モチーフとの親和性がひとつ大事なポイントとなってくるのですが、今回のモチーフはどちらかといえば、ふんわりした優しいものばかりなので、すこし圧縮効果と相性が悪いかなと思います。さわやかさにフォーカスしたものの配置や構図にするか、もしくは煩雑さを表現したいのであれば金属などの硬いモチーフをいれたり、物と物との重なりを意識してみたりするといいんじゃないでしょうか。

藤田 祐一郎 カプコン(キャラクターアーティスト)
色んな種類のオブジェクトがあり、見どころが多いので見ていて飽きない作品でした!ここからさらにクオリティを上げるなら、オブジェクトの角に表情をつけてあげるのが効率的だと思います。まな板のエッジを丸くしたり、窓枠に一部だけ欠けや凹みを作ったりすると、ハイライトが乗って見栄えがよくなると思います。またPhotoshopなどで、空気中を漂う埃を部分的にうっすら重ねるだけで空気感を演出できると思います。

中村 基典(3D背景アーティスト)
絵全体としてとても良い雰囲気にまとまっていて好感が持てます。ライティングについては、奥に行くにつれて霞んでいくフォグの表現がとても美しいです。 また左側が机の影となっているため、目線が自然と明るい窓から机の上に行き、そこに目が止まる。絵も引き締まり素晴らしいです。 更に良くなるアドバイスとしましては、一つ一つのアセットの作りこみが甘いので、手を入れるとさらに良くなります。例えば、本の紙のゆがみ、手垢、ページのばらつき。ランタンの錆びが全体的に大まかなので、どこが錆びやすいのか、埃がたまりやすいのかを表現してあげると良いでしょう。小物一つ一つに、持ち主がどのように使用していて、どの部分が使い込まれているのか、どこに傷が入りやすいのかを意識してあげるとさらに良くなります。角がある小物は、必ず面取りしましょう。木製と金属製の角の丸みの違いにも気を付けてあげましょう。 手前の本や右下の鉢をもう若干暗くすると、さらに絵が引き締まり、目線を中心に向けやすくなります。 配置についても、持ち主が何の作業をしているのか、その場の主人公の気持ちなって想像力を膨らませて配置してみると良いでしょう。 ファーストインプレッションもとても良く、サムネイルでみても目を引く美しさで、絵としてとても魅力的に仕上がっています。

神央薬品
生活感など感じられて良く出来てると思います。構図も纏まっていて良い感じです。本や窓はもう少し丁寧に使い古した感じがでるともっと良くなると思いました。

Volca
好きなモノ、作りたい絵のテイストが分かりやすくて良いなと思いました。主人公の顔は、エッジの破綻などがあるのでそのあたりはより拘った方が完成度が上がると思います。

メタサイト
フィルムルックな画作りが利いていますね。被写界深度も考えられていると思います。モデリングとしては凝ったものは無いと思いますが、全体的に質感が良いのでリアリティとしての存在感は良く出ていると思います。

デイジー
ホコリっぽい田舎のロッジを連想させる空気感がとても良い感じです。

バンダイナムコスタジオ
柔らかいライティングがその空間の心地よさを感じさせてくれています。一方で、この風景へのオリジナリティを感じさせる何か特徴的なアイディアを入れたり、それぞれの道具の使用感や劣化に説得力が出せると、ストーリー性が感じられ、作品に深みが出てもっと良くなると思いました。これからも良い作品作りに励んでいただければと思います。(バンダイナムコスタジオ:阿部)

●受賞コメント

30歳手前で本当に自分がやりたい事は何かと考え、1年前からCGを学び始めました。クリエイティブとは無縁の人生でしたが、寄り道して来た人生経験や知識を総動員して作品を作る感覚に魅了され、CG制作に没頭してきました。今回、有名アーティストの方々からコメント頂けた事を大変嬉しく思います。表現の幅を広げ、誰かに感動して貰える作品を作れるよう精進して参ります。桑原先生、クラスの皆さん有難う御座いました!

第8位:『The early Morning』 獲得点数:22点

縄田壮祐さん(デジタルハリウッド大阪校)
コンセプトアートを描くのが好きで現在コンポジターに興味があります。

●作品解説
朝のオフィスを制作しました。映画のワンシーンを意識して、人のいない朝の空気感を演出しています。外のビルのモデリングやライティングにこだわりました。

●使用ツール
Maya, Photoshop


●審査員コメント 抜粋

鈴木卓矢 SAFEHOUSE inc.(取締役/背景モデリングSV)
モデルの作り方も丁寧で、オフィスの一部分を切り取ったような雰囲気がでていて素晴らしいと思います。小物の配置感もバランスが取れていてかっこいいと思います。ただ外のビルの配置感がフラットに見えているのでもうすこし奥行きが感じられるようにするといいと思います。ビルの配置感を工夫して空間の使い方を広くするともっとよくなると思います。

藤田 祐一郎 カプコン(キャラクターアーティスト)
静かな朝の空気感まで表現できていて素晴らしいです!特に良いと思った点を挙げさせていただきます。①淡い色合いの中にも青とオレンジの補色が入っていることで色彩の豊かさを感じました。②CG臭くなりそうな平面な形状の箇所では丁寧にRoughnessを散らしてあって、反射をうまく使ってリッチに見せられていると感じました。③机の高さの微妙なズレなど、細部までこだわり抜かれていると思います。席に座っている人の性格まで想像できました。

坂本一樹(DigitalArtist)
『対比が素晴らしい作品』離れてみると一瞬油絵のように見えますが、近くで見るとリアルなディティールが入った3DCG作品で非常に不思議な感覚に陥りました。絵画のように高度に作られた美しい配色や構図、ライティングやコントラストが絵画だと錯覚させるのかと思います。この作品には沢山の対比が隠されていているように伺えます。普段は人の多いオフィスビルなのに、誰もいない状況の対比。照明の落ちた室と空の対比。暗いオフィスの中に光る逆光を受けた水や電子機器の対比。見事に一つの作品の中に様々な対比の文脈を織り込んでいて、アート作品としての完成度が非常に高いです。扱っている舞台も情緒があり、誰もがどこか既視感を覚えるような情景です。見れば見るほど奥深さが分かり、絵画作品として見ても3DCGとして見ても非常に優れた作品だと思います。素晴らしい知識と努力と才覚が伺えます。他の作品も拝見したくなりました。ぜひこれからも活動を続けていただきたいです。

富安健一郎 INEI(コンセプトアーティスト/代表取締役)
朝のオフィスの雰囲気は出せていると思う。画面の構成、色彩感覚に特に優れているのでコンポジターに向いている才能だとおもう。ここからどのように完成度をあげているかが勝負だと思うので、どんどん気づいていくと良いだろう。テーマを魅力的に変えていくのもまたスキルなので、自分なりの考え方、センスをさらに強くしていくとベースはすでにあるだけにとても良いアーティストになっていくと感じる。

slanted
コンセプトアートのような窓外の世界、オフィス各部の質感、どれもとても良く出来ていて驚きました。天井やテーブル、ボトルに差し込む光もとても綺麗です。明るいところにブルーム効果を少し入れる、もう少し空を広くみせたり室内暗部に少し光が回り込むなどするとより印象的な絵になると思います。

株式会社VERRY
現代モチーフは表現の際、如何にCG感を無くすかが決め手になるのですが、とても自然に表現されているように感じます。光沢や反射表現はやり過ぎても足らなくてもリアリティを損ないます。これらのバランスが取れているのが決め手だと思います。窓の外に見える建造物それぞれの解像度にばらつきがあり、のっぺりした印象でてしまったのが勿体ないかと思います。

●受賞コメント

この度はこのような賞を頂き、誠にありがとうございます。作品の中で見てほしいと思った部分がちゃんと伝わったのが嬉しいです。また自分では気づかなかった部分もご指摘いただき、大変勉強になりました。皆様のアドバイスは次の作品に活かしたい思います。これからも様々な表現にチャレンジし、より良い作品を生み出せるよう努力していきます。

第8位:『だって楽しいから。』 獲得点数:22点

今村実希登さん(京都精華大学)
中学生の頃からキャラクターモデリングが大好きで、カートゥーン要素を含んだキャラクターをよく作っています。今はアニメーションにすごく興味がありキャラの動きや演出、撮影処理を勉強しています。MV制作などいろいろお仕事を募集してしています。
1065shiro.tumblr.com

●作品解説
「女の子の頭の中」をCGで表現しました。ギターやコントローラーのアイテムは光沢や粗さなどのマテリアルにこだわり、キャラクターは海外のアニメのようなデザインと日本のイラストのようなデザインを混ぜ合わせたものものを目指しています。

●使用ツール
Blender, ZBrush, CLIP STUDIO PAINT


●審査員コメント 抜粋

坂本一樹(DigitalArtist)
独特のトゥーン表現がなされた質感、ダイナミックな構図、パース、左右非対称の表情、3DCGをイラスト作品の領域にまで昇華した素晴らしい作品だと思います。このコンテストに限らず、久しくメイキングを見てみたいと感じた作品です。3DCGでオリジナリティを出すのは一般的に難しいことなので、ぜひこの路線で突き進んでいただきたいです。今後のご活躍を期待しています!

exsa株式会社
背景の作品が多い中、キャラクタメインの作品はすごくよいと思います。質感やレイアウト、デザインに関してもコンセプトにマッチしており、すごくまとまっていて良いです。この作品はこれである意味完成されていると思うので別の作品を見てみたいと思いました。素晴らしいです。

ポイント・ピクチャーズ
小物アイテムの質感にこだわったことが伝わってきます。加えて、色使い、配置などのバランスも良いです。背景を低彩度に抑えたこと、また魚眼レンズの効果で、キャラクターとアイテムを引き立てたせることに成功しています。アイテムのうちもっと大胆に手前までくるものが1、2個あったら、さらに迫力が出ると思います。画面のフレームからはみ出すぐらい思い切って。

株式会社VERRY
CGで表現したいこと、できることを模索している感じで楽しくなる一枚です。頭の中にある楽しそうな物、ポップな物のチョイスがありきたりに感じます。もっと脳内のカオスを表現できると印象的な作品になるのでないでしょうか。前景を目立たせるために背景が沈んでいるように思います。絵全体の勢いやパンチ力をアップできるよう構成力をつけましょう。

●受賞コメント

このたびはこのような賞を頂きありがとうございます。初めてのコンペなので色々多くのことを学ぶことができました。順位に関しては正直悔しい気持ちもありますが、今回の反省点をしっかり生かして次の作品に生かしていきます。最近はセルルック作品を多く作っていたのでマテリアルや細かなライティングを試行錯誤するのが新鮮で楽しかったのですが、その分レンダリング時間に度肝を抜かれました。これからも精進していきます。

第8位:『宇宙からの小さなスパイ』 獲得点数:22点

熊澤七花さん(デジタルハリウッド大阪校)
大学では染織を勉強し、家やデジタルハリウッドではCGを勉強するという、デジタルとアナログを行き来する生活をしています。染織とCGは全く違うようですが、片方で学んだことがもう片方でも生きるという事が割とあります。今後の学生生活では、今までに無い、染織と3DCGを掛け合わせたような制作をして行きたいと思っています。就職に関しましてはCG系を志望しており、どんな職種が自分に向いているのかを模索している状態です。

●作品解説
地球上の様々なモノを集めて何かを企む宇宙人です。身近でこんなことが起きていたら良いなと思い、宇宙人の暮らしや心情を想像して楽しみながらつくりました。オリジナルキャラクターを使っているため、他のオブジェクトでリアリティが伝わるよう、実物を手元で観察しながら制作していったところがポイントです。

●使用ツール
Maya, Photoshop, Illustrator


●審査員コメント 抜粋

坂本一樹(DigitalArtist)
一枚のスチルの中に様々な情報が含まれていて、見ている者の想像力を掻き立てます。どういう状況でキャラクターが何を思い、これからどうするのか、非常に興味をそそられます。CG自体の実力も高いですが、一枚のCGにバックグラウンドの世界観やストーリー等の多くの情報量をもたせ、観客をワクワクさせる非常に良い作品だと思います。これからも素敵な世界観を広げていっていただきたいです。これからの活躍が楽しみです!

長砂賀洋(コンセプトアーティスト)
設定がかわいらしいですね。宇宙人が見ているモニター(?)に写っている小物、芸が細かくて最高だなと思いました。宇宙人がもう少し絵的に目立つともっと良かったように思います。奥のコンセントが宇宙人より目が行ってしまうので。

東映 ツークン研究所
きれいにまとまっていて目をひく作品でした。照明、構図がきれいで良いですね。物だけでなくレンズ感などでもミニチュア感が出ていればより良いかなと。置いてある物も、もっと簡潔に物語やキャラクター性を感じさせるような選択、配置になっているとぐっと画としての魅力も上がるかと思います。

lure.Inc
世界観が可愛くて良いと感じました。カメラボケをつけるなど、ミニチュアな世界を表現できたらさらに良くなると思います。

株式会社MARK
作品のコンセプトも分かりやすく、小物それぞれの質感も丁寧に造られていると思います。欲をいえば金平糖?の質感と宇宙人の手から出ているホログラム的なものの表現をもう少し凝ってみるとより良くなると思います。

三悟
絵としての完成度の高さ、ストーリーを感じさせる素敵な作品ですね。細部へのこだわり(例:おはじきのひらがなの名前、ボルトのすり減り等から)も伝わってきました。任天堂さんのソフトをBDSと変えている点も既存製品への配慮があり良いですね。オブジェクトの配置や色調から、絵として少々散漫になっている印象ですので、中心のキャラにもう少し目がいくライティングや色調だったらもっと良くなったかなと思います。今後も熊澤様の作品を楽しみにしています。

●受賞コメント

自分の世界観を全開にした作品でこのような賞を頂くとができ、とても嬉しいです。CGを使った作品を作るのはこれが初めてだったので、技術を叩き込んで下さった先生や、助言・応援をして下さった方々のお陰だと思っています。審査員の皆様から頂いた講評を受け、まだまだ勉強するべき事が沢山あるなと思いました。自分の持つ世界観を大切にしつつ、スキルアップしていきたいです。この度は貴重な経験をありがとうございました。

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