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学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」2021年第1弾 結果発表! 優秀賞、審査員講評コメント一挙公開

学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」2021年第1弾 結果発表! 優秀賞、審査員講評コメント一挙公開

2021年度、第1回目の開催となる本コンテスト。テーマは今回も「3DCGを用いた静止画作品」で、過去最高の171点の作品が応募された。審査は国内外のアーティスト28名によって行われた。優秀賞&審査員講評コメントをご紹介しよう。

※本記事はフリーペーパー「CGWORLD Entry vol. 26」掲載の「WHO'S NEXT?」掲載の内容に審査員講評結果など追加したものです。
※講評コメントは全て原文ママ

  • CGWORLD Entry vol.26
    特集:CG映像職 キャリアガイド
    価格:無料(フリーペーパー)
    判型:A4ワイド
    発行日:2021年1月25日
    URL:https://cgworld.jp/news/book/entry26.html

■作品応募条件・審査方法について
応募作品テーマは「3DCGを用いた静止画作品」。作品審査はCGWORLD連載陣など特別審査員が10名、CGプロダクションの審査員18名によって行われた。審査員はいずれも全作品の中からお気に入りの作品を選び、持ち点20の中から配点する。合計得点の高い作品から表彰。参加対象は高校生から専門学校生、大学、大学院生など教育機関在学中の方を対象。通学中でなくても、クリエイティブ分野における就業経験のない方であれば応募OK。

CGWORLD特別審査員 総評

審査企業 総評、新卒採用募集内容

CGWORLD Entry vol.26 はこちらから

第1位:『THE SPARK : BLACK WOLF』 獲得点数:78点

鄒 沛樺さん(京都精華大学)
誇りを持って「これは私が作った!」と言えるようなキャラクターや作品を作りたいです。
Twitter: @andrewtsou86521

●作品解説
2097年、各政府は自分の領地を管理できず、「Dark Zone」と呼ばれる無秩序のエリアが現れました。そこでDark Zoneを混乱から戻し、秩序と人々を守ろうとしている「THE SPARK」という組織が現れました。その中、ほとんど身体改造に頼らず、最強の男「Black Wolf」と呼ばれる男がいた。この作品は特に頭の造形、肌の質感、髪を拘りながら作りました。

●使用ツール
ZBrush、Marvelous Designer、MARI、Substance Painter、XGen、Maya、Photoshop

【受賞コメント】
コメントを全部読ませて頂きました。自分の作品だけでなく、他の人の作品のコメントも読んで、前線に立っているプロたちは一つの作品に対し、何を見っているのか、どこに拘っているのかを見ながら、自分の考えと比べるのが楽しかったです。そして額のパーツですが、元々は埋め込むつもりでしたが、綺麗に作れなかったので、付いている感じにしました。あそこはまたアレンジして行きたいと思います。 夢の一位、ありがとうございました。


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一(取締役副社長)
造形力がずば抜けて高く、質感の設定も非常にリアリティがある。プロが作ってもここまで持っていくのは非常に難度が高い。驚くべき技術力だと思う。毛髪や髭、産毛に至るFurはHairのセッティングも申し分なく、肌に馴染んでいる。表情の作り方もよく、目に生気が宿っており、フォトリアルなキャラクターに必要不可欠な要素を持ち合わせている。また、衣装に至るまでトーンがしっかりしており、世界観にマッチしたリアリズムを持っている。特筆すべきは髪型の絶妙な上手さだ。難しい生え際も丁寧に調整されている。人物でここまで高評価をつけられる事は少ないが、この作品に至っては、申し分ないと思う。

SAFEHOUSE 鈴木卓矢(取締役/モデリングSV)
めちゃくちゃリアルですね。 顔の造形や肌の質感は今回の作品の中では一番じゃないでしょうか? 毛の表現もとてもよくできていると思います。 細かい部分でいうとおでこのパーツがシールで表面にくっついているように見えてしまっているので。 埋め込まれているのか、どういういみを持っているのかなど見た人がわかりやすくなっているともっとこの世界観の設定にキャラクターが入り込んでくるのかなと思いました。

宮川英久(コンセプトアーティスト)
非常に高いクオリティに感服しました。傷跡の生々しさなど、細かいところまで気配りされているがゆえにトータルで違和感を感じさせない出来になっていて、素晴らしいです。また、そこに満足することなく映像作品を意識した非常に適切なライティングで見せている点など、評価する点は多くあります。是非次は頭部のみならず全身を特定のシチュエーションの中で演技させた状態で見せて欲しいです。このクオリティが維持できるのであれば相当に見ごたえの作品になるのではないでしょうか。

Sony Pictures Imageworks 石井伸弥(シニアモデラー)
キャラクターモデリングが良くできている。インパクトがあり良い。肌の質感、ディテールが良く表現できている。技術力の高さが見て取れます。改善点:キャラに表情を付けて感情表現があるとストーリが伝わり、もっと良くなる。

モデリングブロス 今泉隼介(代表取締役)
左右非対称に作られた造形、皮膚の質感、服の生地、ライティングまでとても良く出来ていると思います。もしこれを企業へのスキルのアピールと捉えるなら、手や足、その他の部位など別の箇所も見てみたかった様に思います。

Eallin Martin Hovorka(取締役)
It's a face which could alive in a second. The expression is so realistic and believable. It is good to be smart by selecting the correct angle and framing. We don't see whole eyes and whole hairs. But the part which is in the picture is great. (実在するのではないかと思わせる程の生命感のある表情に仕上がっています。 髪や目などを意図的にカメラに収めない巧みなレイアウトも巧みです)

イアリン ・ジャパン 渡邊竜実(プロデューサー/CGディレクター)
本当に存在しそうな絶妙なキャラクターですね。 シンプルにクオリティが高いです。 顔の造形、肌の質感、髪の毛等とてもよくできています。 毛の生え際や眉毛の間の産毛まで、細かいところまで丁寧に仕上げられており、スキルの高さがうかがえます。

Striking Distance Studios 瀬尾 篤(Lighting Director)
髪の毛やひげの生え際の自然さ、肌の質感、特に目球やその周りの質感が素晴らしいです。 作者が見せたかったであろうディテールの素晴らしさがはっきりと伝わるフレーミングで、ポスト処理のチョイスもそのディテールを際立たせるのに役立っていると思います。 かつ目の作りこみや表情の設定からキャラクターの秘めた感情が滲み出るような絵力が感じられました。 絵の見せ方も見る側にインパクトを与える重要な要素なので、作者は自分の見せたいスキルと強みをちゃんと理解してるのが感じ取れます。将来が楽しみですね。

ジェットスタジオ 赤崎弘幸(ディレクター)
一目見て「お!これはすごいな」と思いました。シンプルな構図なので必然的にキャラクターの顔に目が行きますが、肌や傷の質感、毛の生え際のランダムさ、たまにある色素の抜けた毛など、細かい部分どこをとっても全てに気を配られており技術的にも非常に良く出来ていると思います。アップにして隅々まで観察してしまいました。キャラクターの設定を正確に表現するような迫力を感じる表情付けやクールなライティングも、作品意図にマッチしているようで好印象です。

シーズクラフト 立花大輔(代表取締役)
傷がもっと生々しいとよかった。皮膚が切れてできた傷というよりは、穴が開いている感じで、傷口という雰囲気でないのが残念。 後は皮膚についているオブジェクトが浮いているのが気になる。皮膚にくっつているのであればわかりますが。そういう設定なのだろうか。それ以外はよくできていると思います。

東映デジタルセンター ツークン研究所 市田俊介(CGデザイナー)
キャラクターのクオリティが高いのはもちろん、 眼の表情にもドラマを感じ、画として惹きつけられました。 全体の「黒」の印象に対して、 首元のライトや傷の「赤」がアクセントになっているので、 引き締まったダークな雰囲気がとてもかっこ良いです。 見れば見るほど作り込みに気付く素晴らしい作品だと思います。

スタジオリント 伊藤龍太(代表取締役)
肌の質感、毛髪の生え際や髭の感じがとても良いです。 眼球のディテールとアイキャッチにもっとこだわるとキャラクター性が もっと良くなります。 また髭のように眉毛のクオリティを上げるとなお良いです。

デイジー 太田修司(シニアCGディレクター)
すごい!の一言につきます。 壁紙にしたくなるクオリティに脱帽です。 重箱の隅をつつくようですが、額のメカパーツと皮膚の接合部分だけどうなってるんだろうちょっとだけ気にになりました。

TREE Digital Studio ルーデンス事業部 泉川健二(CGディレクター)
毛の一本一本までリアリティが感じられて素晴らしいと思いました。男性のCGキャラで日本人が感情移入できる雰囲気に仕上げているバランス感覚も 良いと思いました。

テレビ朝日 島田了一、他CGディレクター陣
髪をポマード?で撫でた所と無造作にしている所の光沢感の違いや、皮膚の皺や静脈が下に透けて赤く見える感じなど人間としてのマテリアル感がピタッとハマってる感じがしました。また、髪の生え際と髭の不揃い感や額にかすかに見える血管の凹凸、鼻筋の微妙な曲がりなど、生物が持っている対称性と非対称性のバランスが絶妙です。最終的にそれらをまとめる陰影のつけ方がまた良き塩梅で、背面からのライティングで輪郭を浮き上がらせるスパイスを入れるなど、「プロの仕事」を思わせる出来です。

ポイント・ピクチャーズ CG部一同
フォトリアルとしてのクオリティがとても高く、特に毛の質感表現や布、肌の質感などが素晴らしいです。最低限の情報量で世界観を表現できていて、まるで映画のワンシーンのようだと感じさせる説得力がありますね。 上下の黒余白や、右下のロゴもデザイン性向上に寄与していると感じます。

コロビト 大島夏雄(代表取締役)
作品のコンセプトもしっかりしており、CGの技術力も高く、 説得力のある作品に仕上がっていると思いました。

東映アニメーション 佐藤直樹(CGスーパーバイザー)
作品の背景に設定された世界観をしっかり持ったキャラクターを表現できています。絵画としてのクオリティーも大変高く、肌の質感、髪の生え際や髭、傷などび細部にも強いこだわりを感じますし、何よりも強い意志を感じる眼力のある目に魅力を感じます。そして、衣装に関してもシンプルな素材のスーツではなく、ニット素材とチューブを上手く組み合わせたデザインがとてもカッコいいです。

KATACHI 曽根良洋(代表取締役)
肌や髪の毛の質感は素晴らしいと思います! 圧倒的クオリティなので目線を上げて視聴者と目が合うと良いと思いました(惚れさせる) 目線を外すのであればカメラを引いて頭の上部や体、背景に情報量を増やしてストーリー性を上げたほうが良いのかなと。

第2位:『暁日』 獲得点数:52点

金澤珠里さん(神戸電子専門学校)
リアルで、心が動かされるような作品を作れるように猛勉強中です。
juu_jayo.artstation.com

●作品解説
夜明けの東洋の街をコンセプトに制作しました。 朝の冷えた新しい空気や、どこか懐かしさを感じられる風景を目指しました。

●使用ツール
Maya、Substance Painter、Photoshop

【受賞コメント】
2位を頂くことができ、とても驚いています。WHO'S NEXT?は入学当初からの憧れと目標であり、卒業前にこのような結果を残すことが出来て本当に良かったです。モデルの作り込みの甘さ等が心残りで、他にも講評していただいて初めて気づく部分が沢山あったので、これから満足のいく作品にしていきたいと思います。また、次の作品にも活かしたいです。 本当に嬉しいです。ありがとうございました。


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一(取締役副社長)
拡大してよく見ると、まだリアリティのある作り込みとまでは行かないのが勿体ないが、画作りとしてのクオリティは非常に高いと感じた。アシンメトリーだが、バランスが良く、縦長のレイアウトの目を引く部分に、橋桁とそのリフレクションが円をなして見えてくる様に構成されている。大胆かつ繊細さを兼ね備えており、私的には非常に好みのレイアウトだ。もしこの風景に出会えたら、こう撮影したいと思うだろう。また、逆光のライティングも時間帯を演出しており、空気感が非常によい。靄のエフェクトも非常に効果的に作られている。惜しむらくは、人の営みを感じにくい点だろうか。もう少し人影(直接的でなくとも)を感じられると、自然と感情移入出るスキが出てくるのではないだろうか。

SAFEHOUSE 鈴木卓矢(取締役/モデリングSV)
パッと見のバランスがすごくいいですね。 ライティングの雰囲気もいいですし、何よりもモデルとテクスチャーのパランスがとてもいいです。 モデルの環境に合わせてテクスチャーが書かれているのでモデルからテクスチャーへの情報の伝達がとてもスムーズです。 橋の中から中景が見えるっていう構図がおしゃれですね。 手前の雰囲気をじっくり見せつつ奥行きを表現できるのはこの構図のおかげといえます。 その役割を担っている橋のクオリティーをもう一段アップさせたいですね。 石造りがテクスチャーっぽさが出ているのでモデルで表現してもいいんじゃないかなと思うのと遠景の山がぼけすぎてすごく巨大なものに見えてしまっているのでこの部分を調整するともっと全体的なまとまりがアップするのではないでしょうか?

宮川英久(コンセプトアーティスト)
面白い構図ですし、雰囲気やライティング、水面の表現など(ちょっと細かすぎるかもしれませんが...)光るところが随所に見受けられる見応えのある作品だと思います。微妙にゆがんだ建物や、質感表現など作りこみの凄さに感銘を受けますが、部分的には汚し方やパーツ同士の接合する部分などの違和感を感じる箇所が見受けられます。若干陽光が強すぎるように感じます。さりげなく配置されている水面に浮く花など、ちょっとした味付けで魅力を引き立てる細やかな気遣いが素晴らしいです。

DreamWorks Pictures 山本原太郎(Senior Surfacing Artist)
大変完成度の高い作品で、朝の匂いや音まで伝わってくるようです。ライティングも、開いたガラスを通って乱射する光、石橋に反射する光、霧が受ける光の表現もとても良いと思います。テキスチャのディテールも丁寧に、大変よく作りこまれていると思います。完成度が高すぎて言う事もあまりないのですが、あえて申し上げれば、ベランダなどの木のテキスチャに解像度のバラつきがあるようなのでもうすこしレゾルーションをあげても良いと思います。建物を支える足元周辺をもう少し作り込んでもよいかもしれません。石橋、山にブラーのフィルターを使っているようですが、この位置関係ではボケないと思います。鳳凰古城を参考になさっているのでしょうか?よい題材とレファレンスを見つけたことも評価に値すると思います。今後のご活躍を期待しております。がんばって下さい。

Eallin Martin Hovorka(取締役)
I like this picture from the very first moment I saw it. I felt, that it's a part of some interesting story. I was able to watch this picture for minutes and wait if something happens. It didn't! But anyway, the atmosphere, amount of details and complexity of this picture is amazing. For me, this is the TOTAL WINNER. So 4 points together from me. (初見から非常に惹かれる作品でした。 まるで何かの物語の1シーンかのようでこのまま何かが動き始めるのではないかと眺め続けてしまいました。勿論なにも起こりはしませんでしたが。。雰囲気、精細な作り込みどれも最高得点でした!)

イアリン ・ジャパン 渡邊竜実(プロデューサー/CGディレクター)
空気感が良く出ていて雰囲気があり、絵としてとてもきれいな作品です。 柱や窓、扉、屋根などの人工物のエッジが真っすぐにならないように細かく調整されており、CGが持つ独特の固さがうまく消えています。

Striking Distance Studios 瀬尾 篤(Lighting Director)
マジックアワーの淡い光の描写がとても印象的かつ自然に表現されていて見ていてとても心地よくなる作品でした。 全体的に絵作りのための意思決定がキチンと考えられていますね。だから、絵から見て感じとれる作者の意図したコンセプトがとても分かりやすい。 作者のコンセプトを事前に知らなくても、観る側も同じコンセプトを感じ取れるという意味では絵つくりとしてとても成功している思います。 フォグや朝もやを使った複数層の奥行きの作り方、凛とした空気感、全体的なコントラスト比率もバランスがとれていて、 また橋のアーチが水面の反射で弧を描く形の構図や中心に灯の消えた提灯が朝日によって火がともされたような演出に作者のセンスを感じます。

ジェットスタジオ 赤崎弘幸(ディレクター)
ライティングや空気感にとても魅力を感じる作品だと思いました。橋のアーチが水面の反射で円を描いている点にも美しさを感じます。この奥にはどんな景色が広がっているんだろうと想像させられ、なんだか小舟で先へ進んでみたくなりました。細かいところを指摘してしまいますが、画面最下部に少しだけ映っている明るい部分は無くしてしまったほうがまとまりが良い気もします。

東映デジタルセンター ツークン研究所 市田俊介(CGデザイナー)
水面の反射と構図によってコンセプトを表現しているのが面白いです。 全体的な雰囲気はとても良いのですが、 柱が不自然にめり込んでいたり、細部のディテールが不足しているなど、 細かい部分の粗が目立っているのが惜しいです。 めり込みを石の奥に隠すなど、ちょっとした工夫で改善できる部分もあると思うので、 ぜひ気を配ってみてください。

テレビ朝日 島田了一、他CGディレクター陣
まず構図がとても良く、橋の下の霞んだ表現、水面の質感と光の反射の表現、古びた建物におぼろげな提灯も効いています。明と暗の対比が非常に上手く使われ、朝の澄んだ空気が感じられるよう。背景の空と山も、建物で見えない日の出の感じを良く表現しています。とてもリアルで技術面だけでなく作品性も高く仕上がっていると感じます。

スマートエンジニア 田川敢志(CGデザイナー)
早朝の朝靄の空気感がフォトリアルに表現されていて素晴らしい画像だと思いました。 水面から立ち込める靄と朝日との調和がきれいです。 また、構図やライティングもうまく表現されていてフォトリアルCGとしても高いレベルだと思いました。 もう少し陰影感が出てくると見せたいところにより引き込まれるようになり、力強さが増してくると思います。

コロビト 大島夏雄(代表取締役)
物の構造を考えながら丁寧に製作されているなっという印象を受けました すりガラスの開かれた窓や提灯を光が透過してる感じも効果的だと思います。

東映アニメーション 佐藤直樹(CGスーパーバイザー)
コンセプト通り、朝の冷えた空気がしっかり感じられるとても魅力的な作品に仕上がっています。奥の建物を照らし石橋のアーチを際立たせる朝日が蒸気霧によって淡く水面に映り込んでいる描写がとても綺麗で感動しました。建物の柱と岩の接地など細部の処理や材木の質感に詰めの甘さを感じますが、建物全体の作り込み具合や間接光による影の表現はバランス良く纏まっています。

インテグラル・ヴィジョン・グラフィックス CGディレクター陣一同
構図やライティングなど、初見の惹きにかかわる要素がとてもよくまとまっています。 作者の作りたい情景を作れている感じがして、好印象です。 また、白飛びしがちな明部も自然な印象になっており、まとめるのが上手だと感じました。 半面、アップにしたときにディティールの詰めが甘く感じる部分が多かったので、 そこを詰め切るとよりクオリティが上がると思います。

KATACHI 曽根良洋(代表取締役)
夜明けの雰囲気が出ておりとても良いと思います! 水面に広がる光景も不自然を感じさせず波打つ水面がとても綺麗です。

第3位:『Mystical Book』 獲得点数:42点

長谷部 瑶さん(HAL東京)
今回応募した作品を掲載しているArtStationのリンクです。
www.artstation.com/artwork/WKzDWN
いくつかのアセットはSketchfabにアップロードしているので、こちらもぜひご覧ください。
sketchfab.com/Amatsukast

●作品解説
中世ファンタジーと錬金術をコンセプトに、CGならではの表現を目指して制作しました。一つ一つのアセットを細部まで拘って作り込みました。

●使用ツール
Blender、Maya、Substance Painter、CLIP STUDIO PAINT、Photoshop、Illustrator

【受賞コメント】
まずはCGWORLD関係者並びに審査員の方々にお礼申し上げます。CGの勉強を始めて以来、WHO'S NEXT?の受賞作品を見ることで、多くの刺激をもらっていました。いつしかここに掲載される程の作品を作ることが一つの目標になっていました。私の作品もこれまでの素晴らしい受賞作品のように、見た人に何らかの刺激を与えられれば幸いです。今回得た経験を糧に、より良い作品が作れるよう尽力します。


●審査員コメント 抜粋

SAFEHOUSE 鈴木卓矢(取締役/モデリングSV)
世界観も絵作りも作りこみも綺麗なのですごく好きですね。 丁寧に作られているのがとてもいいです。 静止画のとしての完成度はかなり高いのではないでしょうか? 全体的なバランスの良さが逆にそう思うわせると思うのですがメインのピアノのクオリティーをもう一段階上げたいなという印象です。 現状だとミニチュアに見えてしまっているので、クッションの柔らかさだったりテクスチャーや質感の細かさだったりで実際のグランドピアノの大きさのように見えてくるともっとファンタジーな世界観になると思います。 配置感でいうと二本の木が同じような大きさなので右側の木を左側の木よりも少し小さくすると左側の木がフックになって、よりピアノが主役のような存在になってくるとおもいます。 草原の四隅の配置感が規則的なのも崩したほうがいいのと崩れた柱が崩れた感がないのでそういったところを詰めていけばもう少し絵にリズム感が出てくると思いました。

モデリングブロス 今泉隼介(代表取締役)
作品としてのクオリティもさることながら、一つの作品の中で屋内と屋外の両方のスキルを見せられる、「ポートフォリオ作品」としてとても素晴らしいアイディアだなと思いました。クオリティの面では地面の表現がとても良く出来ていると思います。レリーフも細かく入っていて作品全体の雰囲気作りに貢献しています。その上で、一つ一つの質感制作にもう少しこだわると今後もっと伸びて行けるのでは感じました。燭台や、青い壺の持ち手、羊皮紙、本の上の石柱、奥に見える部屋の壁など、丁寧に観察して一つ一つ質感を作り込んでいく事で作品のクオリティとしてもご自身のスキルとしてもアップしていくのではないかと思います。

Striking Distance Studios 瀬尾 篤(Lighting Director)
錬金術で飛び出す絵本がファンタジーな世界観が上手に表現されている作品だと思います。 一つ一つのプロップの質感も細部までこだわって作っている感じがしますし、その質感を際立たせるライティングの当て方もちゃんと考えられているなと感じました。 ただ惜しいなと思った点として周りのプロップが精巧にできている分、中央の木が迫力で負けてしまってるような感じがするので画面の中央に置かれた木の造形を もう少し太くダイナミックなうねりを加えるなどのおとぎ話に出てくるような感じを誇張した造形も追加してあげると一番目立つ場所に置くのに値する迫力が得られたのかもしれません。

神央薬品 ノブタコウイチ(CGプロデューサー)
想像力やデザイン等はとても素晴らしいと思いました。パッと見てもっと見たくなりました。 木の幹や石柱のディティールをもう少し詰めていけばクオリティはもっと上がると思うので、引き続き頑張ってください。

TREE Digital Studio ルーデンス事業部 泉川健二(CGディレクター)
ありえない世界なのに、あって欲しいと思わせるリアリティが素晴らしいと思い ました。これが動き出したらどんな映像になるのだろうとワクワクして見てしまいました。

イグニス・イメージワークス 長谷川勝章(CGディレクター)
センスオブワンダーを感じさせる不思議な作品ですね。錬金術によって本の上に呼び出されたのは、術者の思い出の風景でしょうか。 樹木の幹部分は、質感をさらにつめられる部分(層を感じさせるように)かと思います。本の厚み、重さから生まれる歪みももう少しあってよいかもです。また、この世界観であれば、ライティングに一歩踏み込んだ方が、さらに異化効果としてのファンタジーを感じさせることができるのでは、と思いました。例えば、本の上に別の照明装置をつくってしまうとか。

コロビト 大島夏雄(代表取締役)
細部の作りこみや質感などとてもよくできていると思います。 特にいろいろな物に入っている模様がかっこいいです。

東映アニメーション 佐藤直樹(CGスーパーバイザー)
緻密にモデリングされ画面全体の細部にまで拘りをに感じる大変クオリティの高い作品に仕上がっています。樹木、草花や岩などもバランスよく配置されプロの方が作られた作品なのかと思いました。少し残念に感じるのは、画面全体のディテールが均一に高く、もっとも輝度の高いロウソクの炎をとその周辺の小物類に視線が引っ張られるため、絵として何を見せたいのかがわかりずらい事です。必ずしも光源を画面内に収めなくても本や樹木ピアノなどを魅力的にライティングする事は出来ます。また、被写界深度を浅くし手前にピントをあわせより画面四隅と奥の重なった本を柔らかくボカシテあげる事でより雰囲気のある作品になります。

インテグラル・ヴィジョン・グラフィックス CGディレクター陣一同
中央を木を境界に左右に明暗のコントラストを付けていて、惹きのある絵づくりができていると思います。 作者の作りたい世界観を魅力的に表現できているのではないでしょうか。 一方、ひとつひとつのアセットのクオリティなどはまだまだ詰める余地があります。 左奥の工芸品はそれぞれどういう質感なのか、もう少しよく観察して詰めてみるとよいでしょう。 本もページのふちが破れていたり、しみを残したりすると奥の古書となじみ、より良くなると思います。 また、被写界深度を調整し、奥行きを表現できるとクオリティアップが図れると思います。

第4位:『Traveling Alone』 獲得点数:40点

岩間つぐみさん(東京電機大学)
初めて応募しましたが、これを通じて自身の未熟さに気が付きました。自分自身が良いと言える作品を作れるよう、これからも精進します。

●作品解説
一人での海外旅行中に一服しているおじさんのイメージで作成しました。 実物を採寸してスケールに気を付けたり、構図や色遣いにも気を使いました。

●使用ツール
Blender、Substance Painter、Substance B2M、Megascans、Illustrator、Photoshop、After Effects

【受賞コメント】
この度は4位を受賞でき、大変嬉しく感じております。 初めて応募したコンテストであることに加え、作成中多くの方々からアドバイスや励ましをいただき、ようやく完成させたものなので喜びもひとしおです。 お世話になった方々、講評をしてくださった審査員の皆様には感謝の念に堪えません。 今後はさらに良い作品を作れることができるよう、一層努力いたします。


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一(取締役副社長)
非常にシンプル。だがそれがいい。それこそがこの作品に必要なメッセージだと思う。一人の中年男性は、恐らく柵の多い現実から逃れて、シンプルに何も決めない旅をしているのだろう。ただともにするのは長年の相方であるタバコだけ。それがこのシンプルに何も言わない、メロウな世界観を作り出している。実に渋い。私も愛煙家だが、こう有りたいと思うばかりだ。モデリングやテクスチャワークも申し分なく、それを演出するカメラやライティングは抜群にうまいと思う。絶妙な光量や深度の使い方も、作者が日常でファインダーを覗いているのかも、、と思ってしまう程だ。また、レンダリングのクオリティ管理もうまい。絶妙なフィルムノイズだけのザラつきを残し、サンプリングノイズなどは感じさせず、非常に写実的な一枚に仕上がっている。

SAFEHOUSE 鈴木卓矢(取締役/モデリングSV)
シンプルな作品ですが細かなこだわりを感じるので好きですね。 たばこの形が一個一個違うとか灰皿のなかの灰の感じとか細かい部分が丁寧に表現されていて好感が持てました。 造形や質感的に難しいチャレンジはないですがコスパの良さは素晴らしいですね。 少ない手数で想像する結果を上回るようなCGならではの表現かと思いました。 細かい部分でいうならコインやタバコがポケットから無造作に出した感じなので タバコが箱にすっきり入っているよりも何本かは少し先っぽが箱から出ていると 箱からタバコを取り出したという動きが表現できるかなと思います。

Sony Pictures Imageworks 石井伸弥(シニアモデラー)
コンポジットが上手。 色の取り方が上手で、雰囲気が良くでていて、シーンの見せ方がとても上手です。 シンプルに見えて、個々のモデルのディテールをしっかり表現できている。 改善点:この作品に対する改善点は特にない。 次回の作品を見てみたいと思います。

モデリングブロス 今泉隼介(代表取締役)
モデリング、テクスチャリング、ライティング全てがとても高いレベルで融合した作品だと思います。灰皿にしている缶の傷、フィルターのないタバコ一本一本のヨレ、ライターを置いたことでしなる箱、箱の銀紙のシワ、少し崩れ箱に落ちたタバコの葉、奥のノートの写真のたわみ、など一つ一つをとてもよく観察して再現されている事が見て取れる作品だと思います。あえて改善点をあげるとすれば、タバコと灰皿にもう少しだけ前後関係を付けて、視線を奥に気持ちよく送れるように作ると構図としてよりよくなるのでは無いかと思いましたが、全体的にはとても高いレベルの作品になっていると思います。

Striking Distance Studios 瀬尾 篤(Lighting Director)
窓から差し込む柔らかい光と暖色を中心とした「なごみ」が感じられるバランスの良い類似色を意識した配色にとても好感を持ちました。 光の階調度(ダイナミックレンジ)もとても広く表現されていて、とても目を引かれる絵に仕上がっていると思います。 それぞれの小物のディテール、使い古し感やサイズ感もリアルでポスト処理のボケ味も写実的な描写に貢献している思いますし、コンセプトとしての「休息のひと時」が上手に表現されていると思います。 ただ旅の合間の休息を伝えるのであれば、もう一つ旅行の雰囲気を醸し出すプロップが在ると、旅感がもっと出たのかなと思います。 例えば、旅感の演出としてたばこの横に外貨コインを置いたのはとても良いと思うのですが、そのコインとたばこの下にパスポートがさり気なく敷かれていたりするだとか、 もしくはくしゃくしゃになったボーディングパスの切れ端が隣に置かれていたりすると一気に旅感が増すのではないでしょうか。 またカメラの被写界深度をもう少し深めに設定してあげて前景だけでなく中景の情報も使って旅感を上げるレイアウトにしてみると、意図した情景に近づけるのではないかと思います。 もしくはくしゃくしゃになったボーディングパスの切れ端が隣に置かれていたりすると一気に旅感が増すのではないでしょうか。 またカメラの被写界深度をもう少し深めに設定してあげて前景だけでなく中景の情報も使って旅感を上げるレイアウトにしてみると、意図した情景に近づけるのではないかと思います。

ジェットスタジオ 赤崎弘幸(ディレクター)
シンプルながら綺麗にまとまっていて魅力ある作品だと思います。小物の配置やライティング、ボケの具合も程よく、自然と画面に引き込まれました。タバコの銘柄や配置物のチョイスから"おじさん"のイメージがしっかり感じ取れました。強いて言うなら奥にある冊子の置き方が整い過ぎているかもしれません。

神央薬品 ノブタコウイチ(CGプロデューサー)
光の差し方やフォーカス等も上手く出来ていて何気ないショットですがとても印象的で良いと思いました。 コイン等も味が出ていて良い感じですね。煙のディティールを少し詰めればもっと良くなると思います。

東映デジタルセンター ツークン研究所 市田俊介(CGデザイナー)
実物を採寸されたということもあり、 スケール感の破綻が無く、とてもリアルに感じました。 タバコケースがライターに重さで窪んでいたり、タバコの葉が少し散っているなど、 一つ一つのディテールがリアルさを感じさせます。 強いて言うならば、この1枚からは作者のイメージである 「一人旅のおじさん」を感じさせる要素が少ないので、 ライターやコップを銀製にするなど、見た人が連想しやすいヒントがあると、 意図が伝わりやすくなると思います。

スマートエンジニア 田川敢志(CGデザイナー)
ライティングや質感の良さが非常に伝わります。 フォトリアルな表現として、クォリティの高さを感じました。 ただ構図のせいか、初見で何を見せたいのかが見えにくいと感じました。 もう少し空間を広く見せるなどして、窮屈感を払拭できればさらに良くなると思いました。

インテグラル・ヴィジョン・グラフィックス CGディレクター陣一同
白く飛ばす部分がカメラで撮影をしたような露光の仕方がうまく出せていて、 自然な画になっていると思います。 それぞれのアセットのクオリティも高いレベルで詰められていると感じました。 より詰めるとすれば、レイアウトや構図が整然としていて単調に感じたので、 そこをもう一工夫してみても面白いと思います。

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第5位〜第12位 優秀作品講評結果

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