第13位:『壊死する幻影 トリスティティア』 獲得点数:13点
星名マコトさん
映画とゲーム両方に関われるようなアーティストになり、H.RGigerがゼノモーフを作り上げたように、クリーチャーの歴史に残り、後世に影響を与えるような私といえばこのクリーチャーという代表作のクリーチャーとその子の住む世界や物語を生み出したいです。
artstation:
makoto_6.artstation.com
●作品解説
有機物と無機物を綯い交ぜににしてこの世のものではない動き出した芸術作品をモチーフに作成した作品です。
西洋美術において教会の権威と紐づけられるパイプオルガンとゴシック、そして辛い現実からの逃避とも位置付けられることもあるロココなどの要素を加え作品の持つ象徴の補強を図りました。
●使用ツール
Maya、Substance Painter、Photoshop、ZBrush
【受賞コメント】
13点で13位になりました。私はどちらかというと13という数字がとても好きなので、13点での13位はとても嬉しい結果と言えるでしょう。
今回は様々な方に見てもらい色々なコメントをいただきました。これからもCGだけではなく本業の画家の方も続けていき、デジタルやアナログに縛られない自由な作品を作り続けていきたいと思います。
●審査員コメント 抜粋
【DreamWorks Pictures 山本原太郎(Senior Surfacing Artist)】
ディテールまでよく作りこんであって、見ごたえがあります。メタルの質感や映りこみもよく作りこまれていると思います。上部に配置している、有機物の象徴の部分になるのでしょうか、透明なのかメタリックなのかがいささか分かりづらいかもしれません。部分的に有機的な質感、例えば木や皮膚、などの違った要素を加えると、よりメタリックな個所が引き立ち、有機質と無機質の対比がより演出できるかもしれません。ちなみにプロダクションでお仕事を希望される場合は、ファンタジー以外にも、もっとプラクティカルなトピックの作品もリールに加えておくと良いでしょう。がんばってください!
【東映デジタルセンター ツークン研究所 市田俊介(CGデザイナー)】
ゴシックな無機物とギラギラした有機物の組み合わせが
不気味だけど美しいと感じました。
ただ、この物体のサイズ感がイマイチ伝わりづらいので、
周囲に飛んでいる白い生き物が鳥なのか、蝶なのか、
スケール感が伝わる程度に描き込むとさらに雰囲気が増すと思います。
【カナバングラフィックス 制作部】
カードゲームのイラストに使われているかのような世界観があり、且つ画面内のバランスが取れた良い作品と思いました。真ん中のモチーフと背景の明暗が明確なので、背景の情報量を上げられると、全体としての絵力が高まるかと思いました。
【テレビ朝日 島田了一、他CGディレクター陣】
クリーチャーの皮膚感やヌメっと見えるところの表現に"有機物"をしっかり感じ取れました。また、煤を被ったような鈍い輝きの金色がゴシック様式の重厚感を効果的に引き立ててるように感じます。全体のバランス感も下部の整然さと上部の崩壊する危うい感じが良い対比で、しばらく眺めてたいなと思わせる絵画的な魅力がありますね、好きな作品です。
【インテグラル・ヴィジョン・グラフィックス CGディレクター陣一同】
独自の造形デザインでモデル制作をしており、
拙い部分はありますが、意気込みを感じました。
【KATACHI 曽根良洋(代表取締役)】
雰囲気はとても良いのですが、見せ場となる部分(顔?)の形状が曖昧なのでもったいない気がします。
曖昧な形状にせずにもう少しわかりやすいデザインにするともう少し見やすくなるのではないでしょうか。
【オムニバス・ジャパン 瀧澤 栄(CGスーパーバイザー)】
オリジナリティーが感じられ世界感も素晴らしい。作者が表現したいことができており、この作品を見て心を動かされるところを評価しました。
第13位:『Left Behind -残存-』 獲得点数:13点
松永倖汰さん(日本工学院専門学校)
ゲームの背景アーティストを目指し、ライティングや絵作りを勉強しています。
●作品解説
過去に画家が住んでいた部屋の廃墟をテーマに制作しました。
長い年月が経ち、森の奥で孤独に描いていた画家の心情や残された画材たちの無秩序さを表現しました。
●使用ツール
Maya、Substance Painter、Photoshop、Megascans、After Effects
【受賞コメント】
審査員の方々、講評ありがとうございます。
今後の課題とし、自主制作に活かしていきたいと思います。
●審査員コメント 抜粋
【宮川英久(コンセプトアーティスト)】
ライトシャフトに安易に頼らない、本当の意味でのリアリティを意識しつつもしっかりと演出の出来ているライティング、建築物の構造をしっかりと意識した崩し方、個々のオブジェクトの非常に丁寧な作りこみ。とても素晴らしいと思います。この作品を見て受けた印象としては純粋な経年劣化が中心で、泥棒などに荒らされた訳ではないのではないか、と思いました。少なくとも誰かに悪意のある破壊活動をされたわけではないのでしょう。だとすると全ての窓ガラスが悉くこんなに綺麗に割れているのには違和感を感じます(確かにガラスは経年劣化で割れるものですが、この作品中のガラスは悪ガキが意図的に全てを割ってやろうとした位に割れてしまっています。)。また、椅子の壊れ方にも疑問が残ります。完成度が非常に高いがゆえにこういった細かい点が気になられてしまうのは苦痛かもしれませんが、是非さらにもう一歩奥に歩みを進めてみて欲しいです。
【DreamWorks Pictures 山本原太郎(Senior Surfacing Artist)】
大変よく作り込まれています。完璧をめざす作者の心意気が感じられます。カメラアングルもいいですね。ライティングも雰囲気を演出していてグッドです。CGのクオリティは大変高いのですが、情報量が多く均一なので、演出としてのフォーカスポイントがほしいかもしれません。天井や壁の汚れはロスト&ファウンドにして少し抑えると手前が引き立つと思います。一番明るい部分が手前の床なので、そこに何かしらのキーアイテム、例えば描きかけて放置したキャンバスを置き、椅子も絵画用のスツールにすれば、アトリエであったことが伝わりやすいかもしれません。将来の作品が楽しみです。
【Striking Distance Studios 瀬尾 篤(Lighting Director)】
自然な環境光を上手に使ったライティングがとても印象的な作品です。テクスチャのディテールや汚しのセンスも良い感じで廃墟感が申し分なく出ています。
こういう環境光を模したライティングをリアルかつ自然に見せるのは意外と難しかったりするので作者の観察力の高さと感じました。
ただ画家が住んでいた部屋の廃墟というテーマであるならば、プロップの選択をもう少し工夫してあげると画家の家としてのパーソナリティーがより伝えられたのではないでしょうか。
一番わかりやすい選択としてロッキングチェアの代わりにキャンバス掛けの方が断然画家がいた場所として伝わりやすい。そこをフォーカルポイントとして画家と部屋としての動線を想像してあげるとレイアウトの改善点が自然と見えてくるかと思います。
【ジェットスタジオ 赤崎弘幸(ディレクター)】
建造物の朽ちた感じや植物の侵食具合が心地よく、廃墟らしさを表現できていると思います。迂闊に入り込むと抜けてしまいそうな床もいい感じです。画面全体がだいぶ暗く落ちてしまっているのでもう少し持ち上げてもいいと思います。床に散らばった画材からも画家の家であることは受け取れますが、イーゼルなどを置いてしまったほうが分かりやすくなるかなと思いました。
【神央薬品 ノブタコウイチ(CGプロデューサー)】
雰囲気がとても良いですね。
草など細かくて制作が大変だったと思いますが、丁寧に作り上げていてとても関心しました。
折角なので室内でももう少しだけ明るい部分も作って見せて貰いたいなと思いました。
【メタサイト 菅原一敏(代表社員CEO/CGIディレクター)】
雰囲気すごく良いです。拡大した時のディティールもこだわりが感じられます。ここまで来ると椅子や階段などの木のエッジが綺麗過ぎるのが惜しいですね。これだけ朽ち果てていると経年劣化があると思いますので、その辺の表現を目指すのも良いと思います。
【イグニス・イメージワークス 長谷川勝章(CGディレクター)】
ライティングのまとまりが非常に良いですね。住居の生活感が経年劣化していく様子も自然に伝わってきます。
木材や壁面の劣化に関してはまだいくつかバリエーションとして調整できる部分があると思われます。腐っていく、表面塗装がはがれる等。後は構図ですかね。画家の家がモチーフである割には額縁などの主張が弱いので、主題としてそのあたりの配置を調整するとさらに良いと思います。
【Z-FLAG CG TEAM ひるま克治(代表取締役)】
情報量・写実感もあり、クオリティが非常に高いです。手前の草と汚れた草の複雑さがCGくささをなくしていて素晴らしい。フォグもボカし方もいい感じです。ただ絵として全体を見た中に「核」になるものがないので、ほかの作品に比べると押しが少し弱い気がします。構図として椅子を大きく見せるとか、他にテーマ性のあるものを中心に据えるとかしたくなりましたが、贅沢な話かもしれません。よくできていますね。
第15位:『Can You Hear Me?』 獲得点数:9点
山田瑞来さん(東北大学)
大学で研究をしながら独学でcgを勉強をしています。トランスフォーマーにあこがれてこの世界に入りました。メカ好きです。周りにCGを触っている人が誰もいないのでもし宮城でCGに携わっている方がいらしましたら、お話してみたいです。
Twitter:
@mizuki1006toho1
●作品解説
戦うロボットがいるなら、ギターを弾く陽気なロボットがいてもいいじゃないか、そんなコンセプトです。色々なところに見てて飽きない工夫を凝らしています。見た人の印象に残るように色のコントラスト強めにしました!
●使用ツール
Maya、Substance Painter、Arnold、Marvelous Designer、Photoshop
【受賞コメント】
初めての応募でこのような章を受賞できてとても嬉しく感じます。今回のコンテストでは、自分の今のレベルを考えた上で、技術ではなくアイデアで挑み、パッと見て記憶に残る作品を作るにはどうすればいいかを考えました。今回頂いた講評を元に次回は自分の技術で真っ向から勝負したいと思います。
●審査員コメント 抜粋
【宮川英久(コンセプトアーティスト)】
パっと見の印象がとても良いです。配色を工夫されたとの事ですが、そのお陰でキャッチーさやポップさを演出することに成功しています。ライティングも本来なら強すぎるという印象になるところですが、宇宙空間の何もさえぎることの無い太陽光であることを考慮に入れれば自然な仕上がりになっていると言えるのではないでしょうか。オブジェクトの作りこみも素晴らしいですし、見所が多くあり、あきさせない作品ですね。ただ、それだけにジャケットやパンツの作りこみの甘さが目立ってしまっているのが惜しいところです。
【DreamWorks Pictures 山本原太郎(Senior Surfacing Artist)】
大変よく作り込まれています。メカのセンスもつじつまが合うように出来ていて、見ていて気持ちいいです。トゥーンシェイダーのバージョンも拝見しましたが、そちらの方が個人的には好きかも。リアルな質感の方はまだ追求の余地があるようです。全体の印象ですが、コントラストをあげるのは手っ取り早く印象を得るには良いのですが、テクニカルな理由で、やりすぎには注意しましょう。プロの世界では、CGはコンロラストはおさえて納品し、最終の編集で調整します。CGの白と黒の値がMAX値にならないように注意を。顔のせっかくのディテールが白すぎて見えなくなっているのでもったいないと思います。おさえて、しっかり細部も見せてあげましょう。黒のベストの質感のバンプがちょっときついかも知れません。テキスチャも分かりづらいので、写真などを参考にしながら質感にこだわってあげるとリアリティが増すと思います。ロボットメーカーのワッペンをつけても面白いかも。ギターの切れた弦は良いアイディアですが、ちょっと分かりづらいので静電気が走っているとかハイライトをのせるとか、見せ方に工夫をしてもいいかも。次回作が楽しみです。
【イグニス・イメージワークス 長谷川勝章(CGディレクター)】
>>戦うロボットがいるなら、ギターを弾く陽気なロボットがいてもいいじゃないか
↑その通りですね。コンセプトを貫いているよい作品です。
メカ的な部分にはフェティッシュなものも感じることができるのですが、布周りの質感やしわ表現がもったいないかと。また、コントラストを締めること自体は賛成ですが、閉めすぎて階調がつぶれてしまうのは避けた方がよいと思います。場所的には環境光をもう少し作った方が説得力が増すと思われます。
【東映アニメーション 佐藤直樹(CGスーパーバイザー)】
ダイナミックかつ不安定な構図で実際に宇宙空間にいるように感じられる大変インパクトのある作品に仕上がっています。コントラストの強いライティングと原色を基調とした配色も相まってとて印象的でコンセプトがしっかり反映されている事に好感を持ちます。ロボットのデザインも独創的で細部までしっかりとモデリングされているため、寄り引きで楽しませてくれます。
地球の輪郭とロボットの左肩、右腕が重なっているが残念に感じられます。地球をもう少し左下に配置することで更にロボットのシルエットが浮き立ち空間の広さも強調される事と思います。
【Z-FLAG CG TEAM ひるま克治(代表取締役)】
明るい作風が新鮮でいいですね。よく見るとディテールも作りこまれていてライティングも宇宙ぽくしてあって背景との違和感がありません。オリジナリティとセンスがある人だなと思います。暗部にノイズが乗ってたり、黒い服やギターのネック・フレットの質感にちょっと詰めの甘さを感じてしまいました。
第16位:『待ち合わせ』 獲得点数:6点
坂井悠斗さん
物語のある作品を作っていきたいです。
●作品解説
3Dと2Dのいいところをバランス良く見せられるように試行錯誤しながら制作しました。
●使用ツール
Blender、SAI2、Marvelous Designer
【受賞コメント】
審査、講評して下さった皆様ありがとうございます。捉え方はどうあれ狙った見せ方ができたと思います。今回の制作を通して学んだことを今後に活かせるよう頑張ります。
●審査員コメント 抜粋
【Sony Pictures Imageworks 石井伸弥(シニアモデラー)】
雰囲気が出ていて良くできている。2Dと3Dが上手に組み合わされている。次の作品を見てみたい。改善点:顔と髪の毛が完全に2Dになっているので、もう少し3D感を残して表現できると作品として面白くなる。
【DreamWorks Pictures 山本原太郎(Senior Surfacing Artist)】
とてもきれいに、丁寧に作ってあると思います。ストッキングの質感も生地感が出ていています。TOONSHADER を使っているのでしょうか。2Dと3Dのバランスはハリウッドでも苦労しています。顔のライティングと下半身のストッキング&革靴の質感をもう少し統一してあげると良いかもしれません。キーライトの方向を意識してハイライトの配置を戦略的に。目の解像度が低いように見えます。目の美しさはキャラクター制作のキモですので、しっかりディテールを、解像度をケチらずに。できれば目もIRIS,PUPIL,EYEWHITE,と分けてモデリングしてRAYTRACEでレンダリングしてあげると立体感が出てよいかもしれません。マフラーの質感が少しTOONSHADERでつぶれてしまってもったいないので、ハイライトとシャドウをしっかり。マフラーのエッジがシュレッダーで切ったように見えるので(ごめんなさい!)グルーミングできちんとロープ状の形状作成にチャレンジしてもいいかもしれませんね。作者の方にはこのスタイルの研究を続けて頂きたいです。
【ジェットスタジオ 赤崎弘幸(ディレクター)】
冬ならではの可愛い要素が詰め込まれているキャラクターですね!カメラアングルは待ち合わせ相手の主観なのか、又は第三者目線なのか、はっきりと意識するとより良くなるかと思います。欲を言えば背景もあるとより状況が伝わってストーリーが生まれると思います。
【東映デジタルセンター ツークン研究所 市田俊介(CGデザイナー)】
シンプルに女の子が可愛いと思いました。
さりげない女の子の目線も、ぼーっとしているのか、
待ち合わせ場所の時計を眺めているのか、それとも誰かを見つけたのか...
その一瞬を想像させる表情がとても良いです。
タイツや靴の質感など、足回りにもこだわりを感じます。
【Z-FLAG CG TEAM ひるま克治(代表取締役)】
ウチのチームのふともも担当が絶賛していました。欲望が作品に昇華しています。髪・マフラー・ほくろ・袖・脚のハイライト・靴のツヤ、よく言えばマニアック・悪く言えばフェチっぷりが素晴らしい。ただ上半身や顔の2次元ぽさに比べ、ストッキングの表現が妙に立体感がありアンバランスなところが気になったので私の嫁にも見てもらったところ、やはりその点と「そもそも女子高生はこんな薄いストッキング履かない!」と気味悪がっていました。一般の反応はそんなものかも知れませんが、欲望の具現化と考えれば私としてはマニアックさに乾杯です。
第16位:『ゾンビドラゴン』 獲得点数:6点
ヤマモトアキさん
Twitter
@akakttt31
に沢山載せてます。ぜひ見てください。
●作品解説
グロい、キモい中にドラゴンのカッコよさを出せるよう顔にはこだわりました。
●使用ツール
ZBrush、KeyShot、Procreate
【受賞コメント】
この度は拙作に対して審査やコメントありがとうございます。趣味でずっと1人で作業をしていると時々訳が分からなくなりそうですが、こうして色々な方々にコメントを頂けると続けていて良かったなと感じます。
折角今すぐにでも役に立つようなコメントを頂けたので、近いうちにゾンビドラゴン2を作ってみようと思います。改めてこの度は本当にありがとうございました。
●審査員コメント 抜粋
【イグニス・イメージワークス 長谷川勝章(CGディレクター)】
発想がよいですね。グロテスクな雰囲気が伝わってきます。ただ、それぞれの質感の違いを詰め切れていないのがもったいないと思いました。ウェットな感じや、乾いている部分などを整理したりする必要がありそうです。また、質感を詰めていく中で、おそらくスケール感のばらつきに気づくと思いますので、そのあたりも調整できるとよいですね。
【テレビ朝日 島田了一、他CGディレクター陣】
しっかり描けるモデラーさんとして期待大ですね。Twitter掲載のものも含めて描くスキルをどこで身に付けたのか気になります。モデル単体の造形バランス、ディティールの描き込みにセンスを感じます、KeyShotとProcreateでの仕上げ調整まで隙なしですね。あとはデータの受け渡しといった現場経験を積めばフリーランスで十分やっていけそうです。もしかすると世界へ!羽ばたいて行けそうです。
【Z-FLAG CG TEAM ひるま克治(代表取締役)】
ディテール感が素晴らしいし、こういうのが好きなんでしょうね。大きさとしては小さいものなのでしょうか。ちょっとスケール感が分かりにくく感じます。
【オムニバス・ジャパン 瀧澤 栄(CGスーパーバイザー)】
キャラクターのディテールが素晴らしく、今にも動き出しそうですね。このキャラクターが動いているところが見たいです。またフォーカスのかけ方も凝られていて良いですね。
第16位:『神棚』 獲得点数:6点
大神隆之介さん(デジタルハリウッド大阪本校)
キャラクターの造形に興味があります。
生命感を感じられるようなキャラクターモデルを今後は制作してみたいです。
●作品解説
置物の不思議な魅力や神秘性のようなものを表現しようと考え制作しました。
実物を忠実に再現できるよう造形やテクスチャにこだわりました。
●使用ツール
Maya、ZBrush、Photoshop、Substance Painter
【受賞コメント】
この度は入賞作品に選んでいただきありがとうございます。
審査員の方々のコメントを受けて、反省点は多いながらもこだわった個所には好評をいただけたようで励みになりました。
また、他の方々の作品と並べて見ることで、自分の作品に足りていないものを知ることもできました。
今回の貴重な経験を糧に、これからも作品制作に励みたいと思います。
●審査員コメント 抜粋
【宮川英久(コンセプトアーティスト)】
コンパクトな題材に見えて意外に物量の多いオブジェクト達を一つ一つ丁寧に作りこんであるとても印象の良い作品です。ライティングも良い感じですね。一方で構図に関して言うと、シンメトリーを敢えて用い、その中で対称性を崩そうとしている意図は見えるものの上手く崩せてはいないようです。この様なオブジェクト配置ならば、むしろカメラをもっと動かしてアシンメトリーな構図にしてしまった方が良いと思いました。
【DreamWorks Pictures 山本原太郎(Senior Surfacing Artist)】
非常に細かいところまでモデリングと質感を作りこんであり、作者のこだわりが伝わってきます。質感もそれぞれの置物の特徴をよく表現していると思います。左右のランプの明るさが飛んでしまってフラットでCGっぽくなってもったいないかもしれません。内部の光にグラデーションを足すとリアルになると思います。画面の上の板の位置関係が分かりにくいので、ライティングを調節したほうが良いでしょう。木材のパーツのエッジは面取りしてハイライトを乗せると立体感が出て形状も分かりやすくなると思います。陶器類は全体的にグロスがきついかも知れません。個所によってスペキュラや映り込みの強弱をつけるともっとリアルになるでしょう。がんばってください。
【モデリングブロス 今泉隼介(代表取締役)】
一見シンプルながら、質感の対比の付け方に目を奪われた作品です。陶器、木、塗料、金属をとても丁寧に描き分け、それを表現する必要十分なライティングを当てている、という感じがしました。全体としての色の使い方も面白く、なぜか見ていて飽きない作品です。置物の造形もよく出来ていて、どういった経緯でこれを作っていったのか、細かく聞いてみたいと思う作品です。
【スタジオリント 伊藤龍太(代表取締役)】
造形と質感がとても良く出来た作品だと思います。
ライティングの方向性をもっと強調すると絵に締まりがでると思います。
またノイズの乗せ方が黒く濁ってしまっているので勿体無いです。
第19位:『XX番街』 獲得点数:5点
大上慶人さん(学生)
CGを始めてちょうど1年になります。ジェネラリストになるために、モデリングのスキルアップを目的に作成した作品です。
沢山の人に影響を与えるような作品を作れるようにこれからも楽しく励んでいきたいです。
●作品解説
ある日の夕方の街の様子をコンセプトに作成しました。
ゲームフィールド的要素を加えながら、生活感のある町並みを作りました。
●使用ツール
Maya、Photoshop、Substance Painter、After Effects
【受賞コメント】
今回、最初で最後のwho's next?で受賞でき、とても嬉しいです。
1年間の短い学生生活でしたが、これからプロの世界で活躍できるように日々精進していきます。
●審査員コメント 抜粋
【宮川英久(コンセプトアーティスト)】
作りこみに熱意を感じさせる作品ですね!まず何よりも感じたこととしてはライティングです。暗い部分が出来る事を恐れないで欲しいと思いました。また、少々整然としすぎている点が散見され悪目立ちしてしまっているように思いました。解り易い点で言えばバンの上に積んである荷物はこんなに綺麗に並んでいるのが正しいのでしょうか。ステッカーも割りと丁寧に張られているようですが、もっと雑然としていて良いのかもしれません。背景の作りこみを見るに熱意を大いに感じます。それだけに惜しいなぁ、と思いました。
【DreamWorks Pictures 山本原太郎(Senior Surfacing Artist)】
雰囲気もあって、よく作りこまれている作品だと思います。カメラアングルも下からでかっこいいと思います。車の使い込んだ質感、例えばバンパーのエッジのペンキが剥がれて、エッジが凹んだ処理などを加えると生活感が出ると思います。画面右上の電車が少し分かりずらいかもしれません。ここはあえてモーションはいらないかもしれません。この絵ではフォグを使っているように見えますが、全体的にかかっているのでフラットな絵になってしまってもったいないかもしれません。コンセプトも夕暮れという事で、ライティングはもう少しコントラストをあげても良いかもしれません。そうすると、手前のトラックや先の電車の鉄の質間に対し、強めの夕日の映り込みを加えると良いかもしれません。手前の草は遠近感が増してナイスタッチです。ただ良く見ると透けて背景が見えています。トラックの横のディテールがもっと見えるように、横に回りこんで、せっかく作った屋台の細部をみせてあげてもいいかもしれません。地面にごみなどのデブリをスキャターしたらリアリティが増すと思います。よくできていると思います。がんばって下さい。
【ジェットスタジオ 赤崎弘幸(ディレクター)】
質感のデフォルメ具合がほど良く、目指すルックがしっかり定まっているように感じました。どんな人たちが住んでいるのか気になってきます。車両の窓口や建物のネオンなど目立つ要素が画面左に寄っているのでもう少し配置を探ってみても良かったかもしれません。
【メタサイト 菅原一敏(代表社員CEO/CGIディレクター)】
モデリングのクォリティは素晴らしいと思います。ここまで来ると曲面を多用したモデリングを見てみたいですね。画としての空気感も程よく自然に見えて良いと思います。気になる点としては光物のエッジが固いくらいでしょうか。
【イグニス・イメージワークス 長谷川勝章(CGディレクター)】
コミカルで独特の世界観が魅力的ですね。一つ一つの配置物のデザインにこだわりを感じることができて、飽きさせない作りになっていると思いました。ただ、その一つ一つの作りこみ部分にはやや甘いところがありますね。(例→全体的に箱の組み合わせor一体成型のような印象で、少しプラモデルっぽいところがあるかも。)革、布、地面などさらに深い観察をして、細やかな歪み、正しい経年劣化表現などを追加するとよいと思います。※もちろん世界観のリアリティ設計に即した形で
【Z-FLAG CG TEAM ひるま克治(代表取締役)】
オリジナリティもあり、雰囲気も良いと思います。汚れ感・ボケ感もいい感じなのですが、日常感を狙ったせいか絵としては派手さが少なく感じられます。静止画としての力をもっと求めて、夕日の照り返しをもっと強くするとか、空をドラマチックなものにするとか、世界をもっと広く見せて情報量を圧倒的なものにする等、さらに工夫してみるともっと良くなるのではないでしょうか。
第19位:『Journey's End』 獲得点数:5点
前田大輝さん(ECCコンピュータ専門学校)
普段は専門学校でゲーム制作やCG制作について勉強しています。質感表現やマテリアル作りが好きです。将来的にはゲーム関連に携わっていきたいと考えております。
●作品解説
「冒険家を乗せた船が最後にたどり着いた島」という設定で制作しました。絵作り、質感表現にこだわりました。
●使用ツール
Maya、Photoshop、Substance Painter、Substance Alchemist、ZBrush、SpeedTree、Unreal Engine 4
【受賞コメント】
私にとってWHO'S NEXTでの受賞は学生時代の一つの目標でした。
そんなWHO'S NEXTに私が入ったことを光栄に思います。
「Journey's End」は放課後に少しずつ制作して3カ月かかった作品です。
様々な課題があり、苦戦を強いられながら制作したのが今では良い思い出です。
企業様からありがたいお言葉いただき大変嬉しく思い、これからも自身の能力を上げることに全力を注いでいきます。
●審査員コメント 抜粋
【DreamWorks Pictures 山本原太郎(Senior Surfacing Artist)】
よくもまあこれだけの内容を一人でつくりあげたと思います。プロダクションだと数人は必要です。船の質感ですが、メインボディの板は、微妙にバリエーションを加えて、継ぎ接ぎ間を出してもいいかもしれません。船長室の屋根部分の黒い個所の構造が少し分かりづらいかもしれません。個人的には船長室のなかが少し見えたかったですね。生活の拠点が船から島へと変わった事を演出するために、物資を船から海岸へ運ぶ簡単な橋があっても面白いかも。海の質感もよく出来ています。海岸沿いの形に合わせて波や潮の泡を、岩や船の周りにリップルを入れるとリアルになると思います。帆の布の表現ですが、布の感じを出すために色は明るめにして、トランズルーセンシーをつかって光が透けている感じにし、布のパターンの影を描き入れてあげるとリアルになると思います。雨風にさらされた汚れや布がところどころちぎれた個所があってもいいかも。たいへんな力作だと思います。今後も期待しています。がんばって下さい。
【神央薬品 ノブタコウイチ(CGプロデューサー)】
とても綺麗な感じで細部までしっかり作られていて素晴らしいです。
作りこみは出来ているのですが、各パーツでなじみ切れておらずに綺麗な絵になってしまっている点が惜しいと思いました。
例えば船と水の接地部分に少し白波を入れてあげたり、フォーカスや光の当たってる部分とそうじゃない部分等を意識してあげるともっと良くなると思います。
【テレビ朝日 島田了一、他CGディレクター陣】
水面の反射・ゴッドライトで見せてる空気感など、環境の作り込みが非常に良い作品です。右から中央に向かうように船を置く事で、冒険家達の進んでいた方向性やその先にあるであろう何かしらの存在を感じさせていて効果的だなと思います。一点、船体のくたびれ感が有ったりロープやラットラインが切れたりたるんでいるなど、汚しのモデリングがあるとより一層、冒険家達が「最後」に辿り着いた島というストーリーに適しているのではと思いました。さらに言えば、もっと低い位置にカメラを置いて煽り気味に船と奥の島の全景も一緒に撮ると、冒険家達がどんな島に行きたがっていたのか、というストーリーも描けるのかなと思いました。
【Z-FLAG CG TEAM ひるま克治(代表取締役)】
情報量が多く迫力があります。波のディテールがありすぎて絵がちょっとわかりにくくなってしまっているのが惜しいです。あと、chromaticAberrationが効きすぎかと、、
第21位:『GREEN CITY』 獲得点数:4点
小山内 澪さん(日本工学院八王子専門学校)
背景モデラーを目指している19歳の専門学校一年生です。
プロを目指して技術向上に日々努力して行きたいです。
●作品解説
植物と人工物の組み合わせが好きで制作しました。
テクスチャとライティングに力を入れました。
●使用ツール
Maya、Blender、Substance、Painter
【受賞コメント】
この度はこのような賞をいただき光栄に思っています。
今回の作品は反省点が多くあるので、それらを改善し次のコンテストではさらに上位に入れるよう努力していきたいです。
●審査員コメント 抜粋
【宮川英久(コンセプトアーティスト)】
良いですね!各オブジェクトの作りこみがモデリング、質感設定ともに素晴らしいと思います。地面のアスファルトなど、一部が少々おざなりになっているのが残念です。構図としては色合いなども上手く機能していて良い意味でのリアリティを感じます。ただ、画面全体が若干白みがかっている事や、ライティングが少々強すぎる感じは気になります。とはいえ力のある素晴らしい作品である事に疑いの余地はありません。
【Sony Pictures Imageworks 石井伸弥(シニアモデラー)】
全体的に統一感が取れている。ライティングが上手。セットドレッシングがきれい。 改善点:ルックがゲームっぽいので、個々のアセットをモデルで詰めることができるとハリウッド映画にも通用するレベルになれる。
【モデリングブロス 今泉隼介(代表取締役)】
書店の壁の表現、壁を横に伝うパイプのゆがみ、歩道の縁石のランダムさ、地面に落ちたゴミの表現など、とてもよく観察されていて素晴らしい作品だと思いました。半面、奥にある赤レンガの建物が目立ちすぎてしまっている部分が残念に感じます。主役である手前の書店を引き立たせるべき所かと思いますが、暗い色彩の主役に対して赤い壁(しかも木の緑と相まって余計に)の方にどうして目が行ってしまいます。目が行ってしまうと、書店に比べ作り込みの足りない部分がどうしても見えてきてしまうので、そちらを調整する事でさらに良い作品になるのではないかと思います。
【東映アニメーション 佐藤直樹(CGスーパーバイザー)】
大変完成度の高い作品に仕上がっています。モデリング、シェーディングなど基本的な技術スキルの高さも伺えますが、なによりも一枚の絵として魅せる事が大変上手だと感じました。特にライティングと入射光の処理には強いこだわりが感じられ、鮮やかな緑の葉を強調しながらも建物と上手く調和させています。画面手前の道路のボケが少しあざとく感じられるので弱めたほうが違和感なく鑑賞できると思います。
第21位:『Bad Influence』 獲得点数:4点
山﨑 遼さん(大阪情報コンピュータ専門学校)
コンセプトアート・3Dモデリングを主に制作しています。今後も新しいものに触れながらさらなる向上を目指していきます。
●作品解説
リアルなモデル制作に力を入れ、ダークな背景設定が伝わるような絵作りを意識しました。
●使用ツール
Maya、ZBrush、Substance Painter、3D-Coat、Marvelous Designer、Megascans
【受賞コメント】
この度は講評していただいた審査員の方々や、スタッフの皆様
ありがとうございました!最後のwho's next?の参加ということもあり、悔しい気持ちと同時に、これからの制作活動も満足することがないのだと身に染みて感じることができました。日頃から高い目標を持ち続け、結果に満足せず今後も素晴らしい作品を生み出し続けられるよう頑張りたいと思います!
●審査員コメント 抜粋
【宮川英久(コンセプトアーティスト)】
人物とその衣服や装飾は非常に高水準に感じました。丁寧に作りこんであると思います。(翼の翼膜の質感は少々疑問が残りますが・・。)もし3Dの技術とその作り込みを頑張ったのならば、それが見易く提示する方法を考えたほうが良いかもしれません。折角の作りこみが若干見えづらく、勿体ない印象を受けました。
【Sony Pictures Imageworks 石井伸弥(シニアモデラー)】
コンセプトが伝わってくる。人間のモデルがとても良い。改善点:キャラクターのポーズがもっとアグレッシブに出来たらもっと良い。
【DreamWorks Pictures 山本原太郎(Senior Surfacing Artist)】
完成度の高い作品だと思います。モデリングだけでなく、質感、ライティングにも時間をかけており、錬度の高さを感じます。ちなみに翼の赤のまだらのテキスチャーの向きは水平ではなく、骨格に沿って縦に扇形に広がる方が自然だと思います。天井の蛍光灯が少し明るすぎて白く飛んでいるのでご注意を。手に持った骸骨が影で隠れてしまっているので、ライティングをすこし工夫して見えやすくするといいかもしれません。大変よくできている作品だと思います。がんばってください。
【ジェットスタジオ 赤崎弘幸(ディレクター)】
キャラクターや衣服の造形がとても良く出来ていると思います。冷たい表情や目線からもダークな世界観を感じさせます。画面右奥には何かがあるのでしょうか。翼があるとはいえ背後を大きく空けたレイアウトなので意味深な印象を受けました。少し惜し点は腕のポージングです。右手はどくろを片手で掴むには少々無理のありそうな角度ですし、左腕は力んでいるのかリラックスしているのかどっちつかずな下げ方に見えます。このあたりが整理されるとよりキャラクターを魅力的に映せるかと思います。
【シーズクラフト 立花大輔(代表取締役)】
キャラがもう少し目立つとよかった。全体的にはよくできていると思う。
【イグニス・イメージワークス 長谷川勝章(CGディレクター)】
ダークな世界観が魅力的ですね。悪魔のような女性。手に持つ骸骨は、誰の、そして何のために。
Tシャツのしわや、女性の髪の毛の流れなど、部分的に調整を残す部分がまだあると思います。手に持っている骸骨も、部分的に破壊されていると、ドラマをさらに強調できるかもです。また、立ち姿ですが、やや棒立ちな印象ですので、この場合は顔、胸などを上手側に向けることで状態のひねりを作るとよいかもしれません。そうすることでより生き生きとした動的な造形になると思います。(アイキャッチも入れやすくなると思います)
【Z-FLAG CG TEAM ひるま克治(代表取締役)】
かっこいいですね。雰囲気があって、コンセプト・構図・ライティング・質感・情報量、どれも素晴らしいと思います!些末で関係ないことかもしれませんが、この人は頭蓋骨をどう持っているのでしょうか。後頭部だけをこのように片手で持つと、下顎骨が落ちてしまいそうなw