>   >  学生限定投稿コーナー「WHO'S NEXT?」:学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」2020年第2弾 結果発表! 優秀賞&審査員講評コメント一挙公開
学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」2020年第2弾 結果発表! 優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」2020年第2弾 結果発表! 優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

第23位:『放課後』 獲得点数:8点

松浦 優太さん(吉田学園情報ビジネス専門学校)
背景の傷や汚れ、おいてある小物などから様々なストーリーが連想できるような背景を作り上げたいことを目標にしています。 substansdesignerでマテリアルを作ることやUE4で自作した背景をゲームに組み込むことに興味があります。

●作品解説
自分が通っていた学校をモデルに色々な人が懐かしいと思えるような作品を作るというコンセプトで作成しました。 自分以外誰もいない教室なんですが鞄と置いたりしてまだ人が学校に居て人を待っているような雰囲気を出すのをこだわりました。

●使用ツール
Maya、Photoshop、Substance Painter

●受賞コメント
この度は、素晴らしい賞をいただきありがとうございました。モデリングやテクスチャ作りなどの授業が少なく独学でやっていたため、あまり自信がなかったのですが、今回の結果ですごく自信に繋がりました!自分の作品を客観的に見ることができて、作りこめてなかった部分や設定と作品の矛盾があったりと色々気づくことができました。今回の経験を活かし今後の作品つくりも頑張っていきたいと思います。


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一(取締役副社長)
非常にノスタルジーを感じる作品に仕上がっている。グレーディングがうまく、空気感をよく表現している。色味から感じる時間帯とはズレが有るようだが、そこはご愛嬌だろう。テクスチャの表現なども非常に丁寧で、机なども木の面と木口で表現を変えているように見受けられる。後ろから目立ってしまう椅子のステッカーや傷などにもリピート感が出ない様にまで気を配っているレベルであれば、もはやプロ級だろう。

【東條あずさ(ILM アートアシスタント)】
見た瞬間こんな教室になつかしいなあってなりました。 黒板の汚れや、機械的にパーフェクトにものを配置しないのがとてもよかったです。 ただほとんどの部分が工夫されて作りこまれているけれど廊下側の上の窓の作りが、ただの穴のようにみえてあれーこんな感じだったかなーって 疑問をもってしまったので、しっかり窓を付けたらよかったかなと思いました。 あとタンジェントに気を付けてください。 初心者には見えないくらいのレベルの作品です:) これからの作品も楽しみにしています。

【長砂ヒロ(コンセプトアーティスト)】
懐かしい雰囲気の再現に成功していてとても素晴らしいですね!カバンのこだわりも素敵です。できたら椅子もずらして置いたりしたらもっと生徒がいた感じが出ると思いました。

宮川英久(コンセプトアーティスト)
懐かしさを演出するためなのかもしれませんが、ライティングとフォグが強すぎると思います。時計を見る限り時間は朝の8時5分のようですが、朝の時間帯を表現するのに適した選択なのでしょうか(説明文にあるストーリーとも矛盾しているような・・)。黒板の汚れ具合はとても良いと思うのですが、机と椅子の金属部分の質感が違和感があります。教室内にはもっと汚れていて良い部分が散見されます。例えば机の並びを微妙にずらしていたりなど、そういう細かい部分に手を入れている点はとても良いと思います。

メタサイト 菅原一敏(CGIディレクター)
ノスタルジックな教室ですね。ルックも良く出来ていると思いますが、画像的に眠い感じがしますので、若干黒を締めると良いと思います。シフトレンズを使っていて見やすいイメージになっていますね。

第23位:『廃墟』 獲得点数:8点

野口 陽翔さん(デジタルハリウッド大学)
大学2年の19歳です。背景を作るのが好きです。背景モデラ--を目指しています。
www.artstation.com/noguharu

●作品解説
ライティングにこだわりました。また、廃墟の寂びれた感じが出るようにプロップの配置もこだわりました。

●使用ツール
Maya、Substance Painter、Redshift、Photoshop

●受賞コメント
この作品は廃墟の荒廃した空気感を大切に作りました。プロップの置き方やライティングにかなり悩みましたが、自分でこだわって作った作品が順位をいただけたのでとても嬉しく思っています。こうして選ばれることは初めての経験なのでいまだに驚いていますが、審査員の方から貴重な改善点を頂いたので今回の順位に満足することなくさらに上位を目指して次回も頑張ります。審査をしていただきありがとうございました。


●審査員コメント 抜粋

SAFEHOUSE 鈴木卓矢(取締兼モデリングSV)
テーマにしている廃墟のさびれた感じが出ていると思います。 モデルの崩しに気を使っているので非日常感が出ています。 蜘蛛の巣やツタの生い茂っている感じが廃墟感を強調していていいと思います。 テレビやパイプの質感をもう少し埃っぽい感じにしたり、植物が成長する元となる地面の湿った感じやちょっとした水たまりがあったりするともっと状況説明をわかりやすく表現できるかなと思いました。

スマートエンジニア 岡本悠暉(CGディレクター)
構図、ライティング、プロップの配置などが決まっていて良いと思います。

メタサイト 菅原一敏(CGIディレクター)
廃墟の感じが良く出ています。入射光とのコントラストも素晴らしいです。左上にあるケーブル3本が妙にくっきり見えるのが残念に感じます。

第25位:『Witcher』 獲得点数:7点

陳 思羽さん(ECCコンピュータ専門学校)
自分の考えた物語やメッセージを映像化して、人々に伝えることが好きです。人の心に印象を強く残れるようなCG作品制作が目標です。
joancsy.artstation.com

●作品解説
本から豊かな知識を受け、知性が見える魔法使いを制作しました。 年を取った男性の肌を意識し、リアルな質感表現をさせるように工夫しました。

●使用ツール
ZBrush、Maya、Substance Painter、Photoshop

●受賞コメント
たくさんの素晴らしい作品の中から私の作品を選んでいただき、本当にありがとうございました。貴重な経歴になりました。色々アドバイスを頂いた学校の先生たちにはとても感謝しています。審査員の方々から頂いた講評は物凄く役に立ち、今後の作品に活かしていきたいと思います。人々の心に惹かれる作品を制作できるように、今後も頑張り続けます!


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一(取締役副社長)
デザイン性や質感の表現など、よく仕上がっていると思う。エフェクトによる作品への動きの付け方なども、非常に優れている。グレーディングとしてのトーンの甘さが勿体なく感じており、エフェクトを光源にして、もう少しコントラストをつける事で、より引き締まった画作りが出来ると感じた。せっかく作った質感が潰れてしまう事は、モデリングした過程を踏まえると非常に躊躇してしまうのは理解できるが、作品を見る際は、基本的に過程では無いので、思い切りも必要だろう。

wonderium 原野豪行(リードデザイナー)
キャラモデルの作り込み、よくできています。キャラクターをもう少し目立たせるため、本からのエフェクトの影響をキャラクターには少し強くあて、そちらに露出をあわせるため周囲を少し暗くするなど如何でしょうか?その際、背景とキャラの背中側が分離できるように燭台や窓明かりのライトでキャラクターのシルエットを強調してもよいかと思います。

Luxolis 川崎 晃/中川大希(代表取締役/取締役)
映画の1シーンのような雰囲気があって良いですね。 キャラクターだけでなく背景もしっかり作られていて技術の幅広さを感じます。 金の装飾が艶々していて平坦な印象なので、刺繍のようなディティールを入れると よりリッチな印象の作品に仕上がりそうです。 今後の作品も楽しみです。応援しております。
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魔法のエフェクトが本と瓶から出ているのが世界観があって良いと思います。 室内の明るさを暗くしたり、フードの影を深めに入れてあげるなど ライティングにメリハリがあると妖しい感じが出てより良い作品になると思います。 これからのご活躍に期待しています。

スマートエンジニア 岡本悠暉(CGディレクター)
3Dモデルも素晴らしく、また、効果的な青い光の使い方と、全体とキャラと背景の明暗バランスが良くて、絵としての見せ方も良いと思いました。

第25位:『Growth』 獲得点数:7点

伊澤 賢人さん(和歌山大学大学院)
ゲームのCG表現に興味があり、テクニカルアーティストを目指しております。学部時代はゲーム制作団体に所属し、ゲームプログラマー・3Dグラフィッカーとして活動していました。
twitter.com/green071_

●作品解説
架空の植物と苔が共生しているという設定で「森で感じる圧倒的な生命感」をコンセプトとして制作しました。植物の成長を感じられるように、成長に伴う質感・形の変化にこだわりました。プロシージャルモデリングを用いて制作しました。

●使用ツール
Blender、Houdini

●受賞コメント
この度は優秀賞をいただき、誠にありがとうございます。今回はプロシージャルモデリングで樹木の成長の表現を目指しました。審査員の方々から頂いた講評から、自分の意図が裏目に出てしまった点、気づけなかった点が明確になりました。今後も見た人の気持ちを動かせるような作品作りを目指していきたいです。


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一(取締役副社長)
森の湿度が伝わってくる様な作品に仕上がっていると思う。苔の表現など、非常に良く出来ている。構図のとり方は難しいモチーフだと思う。今回、ぱっと見の印象としては、生命力を感じさせる為に、もう少し彩度を上げても良かったのでは?と感じた。苔生す環境としては、光量が少なく、今回のような雰囲気が写実的で良いとも思うが、絵的にはもう少し彩度と光量を足して、生き生きとした雰囲気と、濡れたツヤ感が少し感じられると、より生命力を感じられると思う。

森田悠揮(アーティスト・クリーチャーデザイナー)
質感、空気感ともに素晴らしいと思います。このような自然物のみの背景作品だと主役となるものがあいまいになりがちですが、ライティングでしっかりと中央の成長途中の樹が引き立っています。

khaki 横原大和(CGディレクター)
鬱蒼とした神秘的な森が上手く表現されている。苔の質感やフォグによって森の湿度や生命感をしっかりと感じることが出来る。

クリープ 山田太郎(クリエイティブチームリーダー)
3DCGの鬼門(植栽系!!)をうまく表現していると思いました。 雰囲気出ていると思います。 一点、前後関係に表現の差を付けるともっと奥行き感出るのではと思いました。

第25位:『Walled City』 獲得点数:6点

藤原 直登さん(近畿大学大学院)
普段は大学院で建築の研究をしています。 CGは初心者ですが、背景モデラーを目指して、リアルに作るだけでなく、見る人の心に残る空間や空間体験のデザインまでできるようになることを目標に頑張っています。

●作品解説
塔のように積層された都市を想像して作りました。 全体のシルエットや建物の配置、この都市と写されていない部分の世界との関係に特に意識を向けて作りました。

●使用ツール
Maya、Substance Painter、Photoshop、V-Ray


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一(取締役副社長)
過密な未来の都市部を想像させる作品に仕上がっていると思う。ダイナミックな配置や情報量の多さ、埃っぽさも悪くない。巨大なサイズ感なのはわかるが、もっとライティングにコントラストを持たせて、空気の霞を入れ、気持ちカメラを下からあおって上げると、より迫力のある絵になったと思う。細かな質感の粗はこれからいくらでも詰められると思うが、まずはレイアウトや空気感を調整してみて欲しい。欲を言えば、鉄橋に車両があると、都市に動きが出てなお良いと思う。

竹下優子(シニアマットぺインター・コンセプトアーティスト)
空間使いが面白く、また構造物として見ても面白いです。ワクワクするような世界観です。CG初心者ということなので、これからよりリアルなディティールや、建物の構造について学んでいくと思います。リアルさも大事ですが、それにとらわれすぎず、これからもワクワクするような空間造りを続けてください。大変お疲れ様でした。

MAPPA 淡輪雄介(取締役/CGI部部長)
密な部分と抜け部分のバランス、色味のまとまりが良いです。壁やパイプはサイズ感にあったテクスチャを作成しないとミニチュアに見えるので注意です。

イグニス・イメージワークス 長谷川勝章(第一クリエイティブユニット 室長/CGディレクター)
橋のディティール、巨大建造物に対してのフェティッシュな感じがうかがえて好感が持てます。おそらく自分なりのロジックをもとに、ブレずに作品を作っているんでしょうか。惜しむらくは、そこにリアリティを持たせるためにはパターンの繰り返しだと難しいところでしょうか。ここまで、無軌道な建築物だったら色も含めてもっと無軌道でも面白いかもしれませんよ。

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