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学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」2020年第2弾 結果発表! 優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

学生CGトライアル「WHO'S NEXT?」2020年第2弾 結果発表! 優秀賞&審査員講評コメント一挙公開

第18位:『父と娘の洗面台』 獲得点数:9点

加藤 早紀さん(デジタルハリウッド)
提出作品はCG未経験だった私が、初めてMayaとPhotoshopを使用して試行錯誤しながら制作したものです。まだまだ未熟ですが、今後も様々な家庭のそれぞれ異なる洗面所を作っていきたいと思っております。

●作品解説
コンセプトは"父の愛"です。 シングルファーザーの父親が娘を大事に育てている様子を表現したかったので、色合いや小物制作にこだわりました。小物のラベルも自分で作成しています。汚れや水垢の表現もポイントです。

●使用ツール
Maya,Photoshop

●受賞コメント
この度は入賞作品に選んでいただき誠にありがとうございます。昨年CGを学び始めたばかりで今まで自分に自信が持てずにいましたが、初めて制作した作品を審査員の皆様から評価していただき、お陰様で少し希望を持つことができました。まだまだ未熟ですが、今回の受賞を糧にこれからも精進して参ります。ありがとうございました。


●審査員コメント 抜粋

モデリングブロス 今泉隼介(代表取締役)
暖色系のライティングにする事で、製作者の主題である「愛情」が2本の歯ブラシを通して良く伝わって来る作品です。画面の外にある家庭を想像させる、よても良い絵だと思います。一方で、モデリングの技術の甘さが非常にもったいなく感じました。蛇口の太さ、洗面台の厚み、白いスイッチ類、そして主役である歯ブラシもサイズや形状の作りが実寸と合っていない為、どこかおもちゃの様な印象を与えてしまっています。身の回り一つ一つのオブジェクトをメジャーで測り、観察し、大きさを確認しながら製作するとこういった問題は是正できると思うので、さらなるスキルアップを目指して頑張ってください!

【東條あずさ(ILM アートアシスタント)】
初めての作品とは思えないくらい素敵なイメージです。 ぱっとこの画像を見たときにその場の空気間とか湿気とかそういうのが伝わってきて、よく見たら大人用と子供用の歯ブラシがあって、掃除が行き届いてないけれどもきちんと整頓してある様子からも加藤さんが伝えたかったストーリーをなんとなく想像することができました。 ただ、よく見るまでストーリーはすぐに読めませんでした。 まず伝えたいのは父と子が暮らしてることだと思うのでそれを伝えるためのフォーカルポイントを考えてみてください。何も考えずに見るとコップが私の目にとびこみます。そしてコップが浮いてるのはなんでだろうとかキャラクターがつぶれてないか?とか違うことを考えてしまいました。 単純に歯ブラシがフォーカルポイントになるといいと思います。 ・ぱっとみたときに歯ブラシに目がいくようにシルエットをはっきりさせる (鏡に映った白い洗濯機を後ろにもってくるなど) ・親子のっていうのに気づくまで時間がかかったので子供用の歯ブラシにキャラクターの絵を入れるなどしてもっと差を出すなど。 どうしてもタンジェントに目がいってしまったので気を付けてください。 とってもレベルの高い作品だと思います。これからも頑張ってください:)

友野るい(イラストレーター)
何がしたいのか、何を表現したいのか明確に見える作品で素晴らしいです。 描かずして最小限の手数でキャラクターそのものと関係性を示唆できていて、これぞ表現という感じです。制作時はCG未経験ということで驚きですが、これから 作り込む技術を手に入れたら、例えば歯ブラシの劣化具合でキャラクター性をさらにだしたり、散らばった髪の毛の長さの違いを出してみたりとより、物自体を描かずして最小限に伝える部分を増やしていけると楽しいのかなと思いました。

【長砂ヒロ(コンセプトアーティスト)】
ストーリーも描写も本当に素晴らしいです!!もっと良くするとしたら2人の関係性を表現したライティングができるともっと良いと思いました。仲良しなら暖色の暖かさとか木漏れ日とか。

宮川英久(コンセプトアーティスト)
小物を通じて物語を伝えようとする姿勢はとても良いと思います。ですが、その要素が歯ブラシと歯磨き粉のみでは少々物足りないです。説明文を拝見するまでストーリーに気づきませんでした。説明文を見て「ああ、なるほどな」となりましたので、ちょっと惜しいです。理想は説明文を見ずともそのストーリーが伝わる事です。ラベルの「それらしさ」は好感が持てます。汚れに関しては正直今ひとつという印象です。ここまでの物が作れる人ならば「もっと出来るのでは」という感想です。もっと現物を観察してみてください。掃除を頑張っているであろうお父さんの愛は感じるのですが、このままだとちょっと完璧すぎるお父さんという印象を抱きます。少し抜けている所がある位でも良いのかも知れませんね。でも作品としては加藤さんのひたむきさが伝わってきます。今後がとても楽しみです。

デイジー 太田修司(シニアCGディレクター)
雰囲気が出ていて良いです。 複製感やライティング等細かい所を詰めて更なるクオリティアップに挑戦してください。

第18位:『夕暮れが照らす町』 獲得点数:9点

松永 倖汰さん(日本工学院専門学校)
ゲーム業界の背景アーティストを目指しています。 常に美術から培った重量感やライティングを意識しながら制作しています。

●作品解説
昭和を感じさせる背景を意識しました。 閉店した飲食店をメインとし、空気感や色彩、光に拘りました。 フォトリアルを目指したので、カメラの知識を活かし構図やレンズの歪み、色収差なども追加してあります。

●使用ツール
Maya、Substance Painter、Photoshop、After Effects

●受賞コメント
優秀作品に選出頂き、誠にありがとうございます。今回の反省点を今後の作品制作に活かしていきたいと思います。


●審査員コメント 抜粋

トランジスタ・スタジオ 秋元純一(取締役副社長)
全体的に非常に良く出来ていると思う。構図やライティング、寂れた質感など、非常に優れた表現力を持っていると思う。何気ない、まず気にもとめない様な情景を浮き彫りにして、ノスタルジックで、淋しげな雰囲気が伝わってくる。モチーフとしては逆に難しい題材だが、丁寧に作り込むことで、リアリティを感じさせる作品に仕上がっている。水の入ったペットボトルが倒れている様子から、余り人の手が入っていない、時間の経過も感じ取れる。よく出来た作品だからこそ言える事だが、アスファルトやコンクリートの微妙な質感の粗が目立ってしまうのが惜しい。BumpやNormalの微妙な眠さなど、フィルターレベルまでこだわれれば、更にぐっとしまった作品になることは間違いない。

【長砂ヒロ(コンセプトアーティスト)】
空気感を表現されたい方なんだと思いますし、制作されたものに、ある種の空気感があってとても良いと思いました。この作った風景画像で松永さんが何を表現したいのか具体的に考えるとより良くなると思いました。素晴らしい技術をお持ちなので何を表現したいか自覚された瞬間に、一気に伸びると思います。頑張ってくださいね。

キャラバンズ 金重保貴(代表取締役)
実際にそこに存在している説得力が素晴らしい画だと思いました。このままでも良いのですが、何か手前に被写体があると、より空間感が増して、よくなるのかなと思いました。

クリープ 山田太郎(クリエイティブチームリーダー)
全体的にライティング、質感も良くまとまっておりクォリティーが高いなと思いました。他の背景も是非見てみたいですね。

第18位:『シャワーの音が響いている』 獲得点数:9点

森重 光さん(武蔵野美術大学映像学科)
ゲームエンジンを用いたインスタレーション・3DCGアニメーションを制作しています。
hikarumorishige.com

●作品解説
冬の朝、古びたラブホテルでの私の記憶の一片を再構成しました。 その瞬間に私を包んでいた眠気、空気の温度、湿度を画像の中の事象として落とし込むことを目標に制作しました。

●使用ツール
Blender、Photoshop

●受賞コメント
講評いただきありがとうございます。細かな指摘や参考作品の紹介など、大変ありがたいです。自分自身でも思考を回しながら制作していた点、またはそうでない点においてもコメントを頂き、大変勉強になりました。静止画1枚で成立する作品の制作において、重要な点を改めて思い知らされました。


●審査員コメント 抜粋

友野るい(イラストレーター)
モチーフとして描いたもの以上のものが表現されています。その時のその場の雰囲気が伝わってきます。まさに無形の「雰囲気」を表現できていて素晴らしいと思います。タイトルと備品的なモチーフでなんとなくロケーションは察することができますが、モチーフに演技をさせて描かずして前後のシーンを示唆できたりするとさらに魅力的になるのかと思います。有名な作品なのでご存じかと思いますが高村光雲氏作 「老猿」という作品を見て頂きたいです。描かれた場面以外を見ることができます。

khaki 横原大和(CGディレクター)
何気ないシンプルな写真のようでそれでいてドラマを感じさせる情緒をこの絵から感じる。古びたラブホテルというロケーションや「シャワーの音が響いている」というタイトルも想像を掻き立てられる。湿度や時間帯まで感じられるライティングと質感も美しく素晴らしい。窓のゴムパッキンやたばこの吸い殻など細かなところまでリアルに作られているのが絵にさらに説得力を与えている。

第18位:『Street parking』 獲得点数:9点

尾崎 晶一さん(トライデントコンピュータ専門学校)
カーモデリングいっぱいしてます 他のも作ります そして動かします!!
twitter.com/hamukun7arupaka

●作品解説
今より少し先の世界をイメージしました。

●使用ツール
Blender、Photoshop、Substance Painter

●受賞コメント
入賞できてとてもうれしいです!!入賞することは目標の一つでした車のモデリングにはとても自信があってその点を評価していただけたのは特にうれしいです!背景や構図、ライティングについては自分でもまだ改善点が見つかるので、次回に向けてもっと磨いていきたいと思います。アドバイスを活かしてつつこれから創作にはげんでいきます!


●審査員コメント 抜粋

SAFEHOUSE 鈴木卓矢(取締兼モデリングSV)
車がすごくかっこいいですね。 すごく難しい形をしているかと思いますがきれいに作れていると思います。 細かい部分も丁寧に作られていて車好きという感じがうかがえますね。 背景との雰囲気もあっていると思います。 ただ車と背景のクオリティーのバランスが悪いので 例えば車をかっこよく見せるのであれば、走っているところとかもっと違った見せ方もあるかなと思いました。

スマートエンジニア 岡本悠暉(CGディレクター)
車も背景も3Dモデルが良く出来ていると思います。 気になる点は、車を主役として引き立てるために、もう少しライティング等を調整+奥のドアが開いてるのは分かり辛いので閉じるか両方開く+車の地面影をはっきりさせる+BGは見せどころを意識して強弱をつける ともっとかっこよくなると思うので見てみたいです。

第18位:『準備完了』 獲得点数:9点

實重 成倫さん(大分県立芸術文化短期大学)
ZBrushを使用しキャラクターのモデリングを行なっています。まだまだ知らないたくさんの知識を吸収し、表現力を高めていきたいです。

●作品解説
人の住めない荒廃した惑星で次の居住地を探すため、自作したロケットで飛ぶための準備を行なっています。

●使用ツール
ZBrush、KeyShot、Photoshop

●受賞コメント
この度は、入賞を頂きありがとうございます。今回は2回目の応募で、入賞することができ、大変嬉しく思います。前回応募した際に、様々な方面で活躍している方々からの講評を頂き、色々な角度から自分の課題を見つけ、成長に繋げることができたので今回も応募しました。今回も的確な講評を頂き、ありがとうございました。ディティールやコンセプトをもっと突き詰めてより良い作品を制作できるよう努力していきたいと思います。


●審査員コメント 抜粋

友野るい(イラストレーター)
完成度が高く、個人的にデザインも素敵に思います。画面の出来が良い分、何をしている場面なのか?というのが少し判然としなかったので、そういった部分が絵だけで伝わるとより魅力的になるのではないかと思います。 モチーフの描写ではなく、それでどういう「状況」を表現したいのか という部分をご自身の中で強く意識されるとより良いご制作ができる かもしれません。具体的には人が住めない惑星というロケーションは自然 にはない空の色にしてみたり、ロケットの準備はもっとキャラクターの アクションを大きくして「状況」をわかりやすくするなどの手があるかと 思います。

森田悠揮(アーティスト・クリーチャーデザイナー)
ミニチュア感や、オブジェクトの独特のゆがみ方がかわいい作品だと思います。火星のような地球ではない惑星というのも、空や大気の色ですぐわかりました。コードがつながっている2本の柱のようなものの材質が少し曖昧なので、質感設定を少し変えるとメリハリが出て良くなるのではと思います。

宮川英久(コンセプトアーティスト)
いやー、本当に大好きな作品です。ですが一点非常に気になった点があります。これはジオラマでしょうか?説明を見る限りそうでは無いですよね?キャラクターの各パーツの質感が似てしまっていて、更にロケットの質感とも似てしまっている。また、被写界深度を強く使い過ぎた結果、ジオラマの接写のような印象を産んでしまっている。これらが原因だと思います。本当に惜しい作品です。

MAPPA 淡輪雄介(取締役/CGI部部長)
このまま広告に使えそうなキャッチーさがあり、よくできていますね。ちゃんとキャラクターに目がいくカラーバランスがグッドです。

イグニス・イメージワークス 長谷川勝章(第一クリエイティブユニット 室長/CGディレクター)
ディフォルメ的表現がよいですね。また、スイッチに指がかかってる仕草も細かくて良いですね。ここまで見せたいことがはっきりしているならば、構図的にはむしろもっと寄って(かつやや煽り)しまってもよいかもしれません。そうすれば、ディティールのさらなるツメ作業もしつつ、表現したい世界がもっと広がるかもしれませんね。

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