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デジタルワールド「My Town」にアクセスして、デジタルアートトイをコレクションしながらコミュニケーションを楽しめる「Collectible Art Toys Club」、略して『C.A.T. Club』。
驚異の1億3,000万人以上のユーザー数を誇るココネが、グローバルで勝負するために新たに開発したアプリだ。世界市場参入に伴う挑戦の数々を開発陣に聞いた。
Interviewee
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CCO(Chief Creative Officer)/クリエイティブディレクター
ココネ
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3DCGアーティスト(キャラクター)・時田 澪氏
3DCGアーティスト(背景)・宇都宮瑠子氏
2Dアーティスト 兼 3DCGアーティスト(キャラクター)・趙 萌氏
TA/3DCGアーティスト (キャラクター)・前田拓海氏
以上、ココネ
Information
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C.A.T. Club
開発:ココネ
リリース:好評配信中
価格:基本料金無料(アプリ内課金あり)
対応プラットフォーム:iOS、Android
catclub.world/ja/
"カワイイ"から"アートトイ"に、グローバル向けローカライズ
2011年にココネがリリースしたアバター着せ替えアプリ『ポケコロ』は、現在2,300万人以上のユーザーが楽しんでいる。続く『ポケピア ~ポケコロユートピア~』(2022)は『ポケコロ』シリーズ初の3Dタイトルであり、その『ポケピア』開発陣がグローバル向けにリリースした新作アプリが『C.A.T. Club 』だ。
本作のクリエイティブディレクターを務めるのは、ココネの取締役のひとりであり20年近くフリーのグラフィックデザイナーとして活躍してきた土屋淳広氏。土屋氏には、今までに蓄積してきた『ポケピア』のアセットを使って素早く新サービスを起ち上げることが求められた。
『ポケピア』の特徴は“カワイイ”だが、そのまま北米にもっていっては文化や客層のちがいからネガティブな反応も考えられる。「着せ替え」を前面に出すなら衣装の3Dモデルを量産する必要があるが、それには時間も予算もかかってしまう。
様々な条件がある中で『ポケピア』でいかに世界で勝負するか、導き出した答えが「アートトイ」だった。
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フィギュアやアートトイは完成されているからこそ価値があるし、土屋氏の長年にわたる経験から、今後のサービスは、どのクリエイターがどう関わっているかが重視される、と予想された。アートトイには、完成された価値とクリエイターのヒストリー、両方が備わっている。
「ココネはクリエイター中心の組織。彼らならデジタルアートトイという名前に恥じないものをつくれるんじゃないか、と考えました」(土屋氏)と、『ポケピア』最大の特徴である着せ替え要素を省き、ココネの独自性である「アバター」と「デジタルワールド」を拡張する方向性で開発が開始された。
なおココネには「サービスを提供するなら、その国の人と同じものを食べ、ふれあい、感じないとその国で通用するものはつくれない」という考えがあり、リーダー陣の一部はアメリカに長期滞在するなどしている。
開発スタッフたちも社内の外国人クリエイターと接することでニュアンスをつかみ、世界に通じるアートトイ制作に活かしている。
さらに、「実際の開発では、メンバーたちにはアートトイのモチーフを画像検索だけではなく直接観察・研究することを推奨しています。しっかりと実物を観察して肌で感じたものを自分の中で消化して、それをアウトプットすることを大切にしています」と土屋氏。
北米版に加えて日本語版もリリースされたばかりの本作。「アバター」と「デジタルワールド」は今後も拡張予定とのこと。アートトイのトレーディングや売買のしくみも採り入れていくとのことで、コレクター心がおおいに解放されるサービスに育っていきそうだ。
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アバター&バディ:着せ替えに囚われない多種多様な造形を提案
『C.A.T. Club』でユーザーが最初にアクセスする「My Town」は、よく知っている街のようでも、海外の見知らぬ土地にも見える。「そこにはどんな人が住んでいるか想像してみよう、というところからアバターとバディをデザインしてもらいました」と土屋氏は当時をふり返る。
アバターはプレイヤーの分身であり、バディはアバターの相棒だ。モチーフにはアートトイやフィギュアが大好きな人たちが親しみをもてるようなものを選んでいった。
着せ替え要素がなくなり人型にこだわる必要がなくなったことで、今後は多種多様の見た目をしたアバターやバディが続々とリリースされる予定だ。ただし造形が多種多様だからこそ、アバターには、目は点で表現、口と鼻は目立たないよう抽象的にする、という共通項をもたせている。
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アバターの制作フローとしては、まず2Dデザイナーが、時に3Dデザイナー自身がデザインを起こす。3Dデザイナーは2Dデザイナーと共に、最も美しい造形を模索していく。「2Dデザイナーと3Dデザイナーのコミュニケーションを大事にしています」と2D&3Dアーティストの趙 萌氏。
『ポケピア』の開発フローから大きく変わったのは、背景モデルにライティングが入ったことと、ポリゴン数のレギュレーションをきっちりと固めたこと。TAの前田拓海氏によると、「『ポケピア』は基本的にディレクショナルライト1個だったのが、本作ではライトプローブの設定を行うようになりました」とのこと。
『ポケピア』ではポリゴン数などの制限が甘かったためにユーザーから「重い」という声が寄せられたこともあった。そこで、今作では検証を重ねて軽くすることに努めている。
なお、土屋氏によるチェックの際には、全員作業を止めて参加するとのこと。
「デザイナー各自が自身の制作したデザインを説明します。他のメンバーもどういうところが指摘されるのかが把握できますし、それぞれのモデルの詳細を把握できるので連携を取りやすくなります」(3DCGアーティスト・宇都宮瑠子氏)。
アートトイのクオリティを上げたいという思いは全員同じで、社内スタッフが、それぞれこだわりのある事柄に対して提案を出し、反映する土壌が養われているという。
多彩なアバター
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2Dデザイナー、3Dデザイナー共に、モチーフをデザインするときは必ず実物を見るようにしている。
「写真だけだと気づかないことが多いのですが、実物を見ると重さや質感がわかって、頭の中で3Dの造形の解像度が一気に上がります」(趙氏)。
「七つの大罪」をモチーフにしたアバターのうち、「暴食」をテーマにしたアバター(右から2番目)の足に食い込んだ缶は、実際に潰れた缶を見ながら制作した。質感については、『ポケピア』からシェーダを一部引き継いでおり、アウトラインはあえて目立たせず、背景に馴染ませるかたちに調整している。
ディテールは、基本的に各デザイナーがテクスチャで表現するのかポリゴンで分割するのかなどを判断しているが、悩ましいケースはTA前田氏が相談に乗り、アドバイスをしている。
専門チームが手がけるカラーバリエーション
本作の開発のユニークな点として、カラーバリエーション(以下、カラバリ)制作に特化したチームがあることが挙げられる。
カラバリ班には2D担当者と3D担当者がおり、チーム内でカラバリ制作を完結できる編成になっている。カラバリはモデルの形状は変えず、シェーダとテクスチャのみ変えることで制作。ただし、ただ単純に色を変えるのではなく、各アバターのコンセプトを踏まえ、プレイヤーの「好き」に刺さる色展開をつくるよう努めている。
「ラッパーがテーマのアバターをつくる際には、みんなでラッパーが登場する映画を見たり、カルチャーを深く調べたりして、提案に説得力のあるカラバリをつくるように心がけています」(趙氏)。
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実在の犬猫の模様や色味を表現したバディ
バディの制作を担当しているのは時田 澪氏。2Dデザイナーにあらかじめポリゴン数を抑えたい旨を伝えておき、要望に沿ったデザインを基に3DCGモデルを起こし、シルエットに問題がないか確認をして制作を進めている。
「バディの犬や猫の色味は何度も微調整しました。ジャーマンシェパードの色の名前にはウルフグレーというものがありますが、少し色が変わるとホワイトになってしまう。ほかにも犬種によって色の名前が変わったりするので、細心の注意を払って制作しました」(時田氏)。
色だけでなく模様も実在するものをデフォルメして制作している。
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求人情報
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ココネ株式会社
誰もが自由なデジタルワールドへ! 自由な感性を活かした3Dアバターを作りませんか?
cocone.co.jp
▼募集職種
①3DCGモデラー
②3DCGモーションデザイナー
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cgworld.jp/jobs/30640.html
TEXT&EDIT_武田かおり / Kaori Takeda
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)