デル主催CGコンテスト第2回「CGごはん」 結果発表! 優秀賞&審査員講評コメント一挙公開
デル・テクノロジーズ主催、CGWORLD企画・運営の3DCGコンテスト「CGごはん」の第二回が開催された。タイトルの通りコンテストのテーマは、3DCGで作る「美味しいごはん」。「美味しそう」な「食べもの」が主題として表現されていれば、一品モノの料理や定食などのワンプレート、さらには食のある風景といったものでも応募可の本コンテスト。プロアマ問わず多くの作品が集まった。
審査員には「食のエキスパート」と「CGのエキスパート」の2チームが参加し、「3DCG作品としての技術点」と「美味しそうかどうか」の2軸で評価した。
今回、応募作品総数はプロ部門が51作品、学生部門が233作品。その中から厳正なる採点の結果、各部門で優秀賞を勝ちとった作品を一挙に紹介する。
主催者
デル・テクノロジーズ株式会社
https://www.dell.com/ja-jp
ハイエンドモバイルワークステーションがあれば在宅でも・出先でも3DCGクリエイティブ作業が可能。レンダリングを最速で終わらせて、美味しい食事の時間にしましょう。
作品応募条件・審査方法について
01:食欲を刺激する表現が実現できているか
02:3DCG技術を駆使した作品であるかどうか
※食事であれば和洋中を問わない
作品審査はCGWORLD連載陣など「CGのエキスパート」及び、「食に携わるエキスパート」の計10名によって行われた。審査員はいずれもプロ部門・学生部門それぞれ、全作品の中からお気に入りの作品を選び、持ち点20の中から配点する。合計得点の高い作品から表彰。
■プロフェッショナル部門
クリエイティブ企業に勤務する方、フリーランスの方。
■学生部門
高校生から専門学校生、大学、大学院生など教育機関在学中の方を対象。
通学中でなくても、クリエイティブ分野における就業経験のない方。
■注意点
二次創作ではなく、応募者自身のオリジナル作品に限ります。模写作品はNGとします。過去にコンテストなどで入賞した作品および、他のコンテストに応募中の作品は応募できません。応募作品は、応募者が権利を有しており商用化されていないことが条件です。
プロ部門
プロ部門・最優秀賞 第1位『お昼時』 獲得点数:36点
河口遼さん
フルCGの作品が好きです。
https://www.artstation.com/qoq
●作品解説
お米の配置、質感に力をいれました。スキャンなしで作りました。
●使用ツール
Maya/Nuke/Substance Painter/Unreal Engine/Arnold/V-Ray
プロ部門・最優秀賞「Dell Precision5680」をプレゼント!
Dell Precision5680
●審査員コメント 抜粋
▼ 門脇 宏/講談社「おとなの週末」編集長
プロ、アマ通してこの作品が断トツで素晴らしく、飛び抜けていると思います。急須から流れる熱々のお茶の臨場感、柔らかそうなお米の表情、自然な湯気、味に奥行きを与える薬味の色味……料理カメラマンでもなかなか撮れないようなクオリティの高さに唸らされました。「おとなの週末」の編集部員に見せてみたところ、「表紙にしたい!」「お茶漬け特集の扉に使ってみたい」など、絶賛の声多数。箸や箸置きなど細部にいたるまで完成度の高い作品で、日常の食べ物をここまでリアルに、シズル感たっぷりに描くセンスに感動しました。
▼猪飼 綾乃/ プレート・トキオ オーナーソムリエール
ご飯つぶがすばらしい!うんうん、こういうの食べたくなります。おうちのおひるかな?と思ったけど背景はお店ぽいのかな。お店だったらお茶漬けにする時のご飯量がもう少し少ない気がするというのだけが違和感でした!
▼ 井戸 雄太/MAEN sakepairingrestaurant owner
リアルですねぇ、米、梅、シラス質感凄く好きです。そこにお茶を注いでる艶、湯気が相まって凄くリアルだし、細部のお箸、影まで作り込まれてるなぁと思いました。あとは遠近感も凄く良いなと思います。写真と見間違えますね。下に敷いてるマットもゴザも凄いリアルです。
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
海外に25年も住んでいると個人的にはこれが一番最高に美味しそうに見えます。そう見える理由にはライティング、質感、レイアウト、各種クオリティ、全てにおいて群を抜いて完成度が高いので日本に帰りたくなる絵です。お米の立ちかた、じゃことネギの重力によるもたれ感やランダム度と密度、湿度、透明度、かすかに見える茶碗中のスープの表面張力がリアルでライティングもベストだと思います。茶碗の不規則な造形や、下に敷かれてるザルの造形バランスや質感、注がれているお茶(スープ?)ときゅうすのオーガニックな作りこみは本物にしか見えません。是非この方の別の料理作品も見てみたいです。
▼ 横原 大和/Khaki CG Director・Art Director
シンプルな題材ですが米、シラス、葱、梅干しというCGで表現するのが難しい題材を非常にリアルに尚且つ美味しそうに表現できていて素晴らしいです。SSの効き具合などもリアルでみずみずしく良い感じです。とくにご飯の粒感や質感の作りこみが非常に細かくて日本人としてとても食欲をかき立てられました。箸や茶碗、その他背景のモデルや質感、またライティングなども細かまところまで作りこまれていて拘りを感じました。
プロ部門・優秀賞 第2位『焼きそば』 獲得点数:29点
田中かあらさん
ゲーム会社で背景CG制作をしております。 CGごはん見るもの作るのも大好きです。
●作品解説
今年は各所で花火大会があったのもあり、屋台の焼きそばが食べたいと思い挑戦してみました。
会場には行けなかったのですがお祭りのリファレンスを色々見て、想像しながら雰囲気作りを行いました。
●使用ツール
Blender/Substance Painter
●審査員コメント 抜粋
▼ 宮武 茉子/フードエンジニア
屋台で買った焼きそばってなんでこんなに美味しそうなんでしょう。夜の強めの照明で立体感が出ていて一段と飯テロなビジュアルに仕上がっていますね。卵の黄身のずれ具合から半熟に仕上がっているのが伝わって食欲をかき立てられました!
▼ 塩山 舞/NY在住 楽膳家
卵の感じが1番うまく表現されていると感じました。プラスチックの箱からはみ出る、焼きそば。雑に入れられた麺と紅しょうがに刺された割り箸がまるで夏祭りを思い出してしまう程です!
▼ 秋元 純一 /トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
屋台の焼きそばは、とりあえずお祭りで食べるものランキング上位だと思うが、毎回、どこで食べるか悩ましいのも事実だ。このパックの持ちづらさ、大盛りで、序盤の食べずらさなども含めて、この焼きそばが仕上がっていると思う。そして、案の定、その辺に一旦ベタ置きするのもお決まりだろう。演出として非常に素晴らしいと思う。焼きそば自体のクオリティは、もう少し欲しいところではある。特に麺の質感は、もう少し詰めてほしいと感じた。また、準主役でもある、ベタ置きしているコンクリートも、テクスチャが少々解像度割れしてしまっている様に見えるので、そういったディテールを詰められると、さらに良い仕上がりになったと感じる。
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
これは凄いです。この距離で見せる自信と勇気。そしてそれに負けないLightingと質感、焼きそばはランダムにタレのついてる部位と焼き足りない部位とそうでない部位とがバランスよくランダムに作られてると思います。卵も一見綺麗すぎる気もしましたが確かにこういう時もあると思うし、黄身の垂れ方が垂れてない部位の白身からのグラデーションがとてもリアルです。暗さが説明なしに勝手に「夜の出店での焼きそば」と連想させてる点が更によいです。
▼ 米岡 馨 氏/StealthWorks.代表取締役
絵そのもののリアリティもですが、花火大会の屋台で買って神社のどこかしらで座って食べているようなストーリー性が感じられるのがいいですね。あと卵の黄身が重力でちょっと流れているところとか、リファレンスを良く見ていると思います。あとはデフォーカスをかけているところのノイズを軽減したり、麺にもうちょっとSSS感を持たせるとかするとクオリティがぐっと上がると思います。
▼ 大手 仁志/アマナフォトグラファー・シズルディレクター
エモい!何だろう?すごく共感できるビジュアルです。屋台の焼きそばの独特なシズル感がとてもうまく表現できていると思います。包材の汚れ具合とか麺や紅しょうがのはみ出した感などリアルです。田中さんの観察力に脱帽です。お箸の刺さり方(?)もより臨場感を出していると思います。構図としては対角線構図を上手く活用した絵作りでライティング含めよくまとまっていると思います。リファレンスを見て制作されたとのコメントでしたがシズルポイントをしっかり理解されているのではないかと思います。
プロ部門・優秀賞 第3位『揚げたてっ!』 獲得点数:21点
まめたろうさん
「すれすれでぶつからない」などのループ映像を数多く制作。 ミニマルなデザイン、魅力的なカラートーン、スムースなモーションを特徴としたアーティスト。
https://twitter.com/mametarouboy
●作品解説
自分的に唐揚げがうまそうに感じる場面というのはいくつかあります。 その中で、今の自分的に一番面白そうでチャレンジングな瞬間を表現しました。 リアルなCGというだけでなく、シズル感も盛りつつかつビジュアルとして魅力的に仕上がるように追求しました。
●使用ツール
Cinema 4D/After Effects/Redshift
●審査員コメント 抜粋
▼ 宮武 茉子/フードエンジニア
ぱちぱちじゅわーっと揚げている音が聞こえてきそうで「飯テロ!」と思わず叫びそうになりました!泡の弾けている様子に動きがあって素晴らしいです。お皿に盛り付けた状態ではなく揚げたての瞬間を選ばれたのもユニークで素敵な着眼点ですね。
▼ 門脇 宏/講談社「おとなの週末」編集長
完成品ではなく調理途中のシズル感を描いてみようという発想が素晴らしく、絵から「ジュッ」「パチパチッ」という音が聞こえてきそうで迫力がありますね。願わくば、もう少し「唐揚げである感」が強調されると良かったかなと思います。
▼猪飼 綾乃/ プレート・トキオ オーナーソムリエール
まめたろうさん、からあげとってもおいしそうです。油の跳ねる音まできこえてきそうでよいです。気になってX(Twitter)をのぞいてみたら、ぷにぷにに心惹かれました。
▼ 横原 大和/Khaki CG Director・Art Director
唐揚げの一番美味しそうに感じるのは揚がった瞬間というコンセプトがとても素晴らしいです。作者の意図通りこの絵を見た瞬間、脳内でよだれが出て唐揚げがものすごく食べたくなりました。技術的にも揚がったその瞬間の油に包まれている衣の質感やライティング、構図がテーマと合っていてとても食欲をそそる絵になっていると思いました。特に油の泡や跳ね感が細かく作りこまれていてシズル感を強く感じさせます。
プロ部門・優秀賞 第4位『デジタルローストチキン』 獲得点数:19点
磯山広樹さん
仕事ではキャラモデラーやってます。 今回は写実的な表現で料理をモデリングしましたが、アニメ調のモデルで食欲を刺激させるような作品を作るのも面白そうだと感じました。
●作品解説
こんがり焼けたような焦げ感、肉の端のSSSによる透け感、鳥の皮目っぽさ、タレによる照りなどにこだわりました。 今年のクリスマスこそフライドチキンではなくローストチキンを食べよう、そんな思いで作りました。
●使用ツール
Maya Zbrush SubstancePainter Blender Photoshop
●審査員コメント 抜粋
▼ 宮武 茉子/フードエンジニア
皮目の照りの表現が素晴らしいです。ポテトやトマトの皮の皺の感じもとてもリアルでいいですね。
▼ 門脇 宏/講談社「おとなの週末」編集長
一目見た時のインパクトの強さ、強力なシズル感は群を抜いています。アルミホイルの部分の描き方も自然で、脇役のジャガイモなども風味の良さが伝わってきます。優勝候補筆頭に挙げられる作品であることは間違いないと思いますが、あまりにも強力なビジュアルなため、好き嫌いがわかれるかもしれません(個人的にはもう少し自然なシズル感のものが好み)。ただ、表現力の高さは圧倒的かと。
▼ 塩山 舞/NY在住 楽膳家
ローストチキンの皮のパリッとした焼き具合、それにリアルなアルミホイル、フレッシュなハーブ、焼いたトマトの弾け具合、その全てが上手に表現されていると思います。
▼ 井戸 雄太/MAEN sakepairingrestaurant owner
チキンのリアルさは凄いなぁと思います。包んでるアルミホイルもリアルですね。お皿の上のものがどれも拘りを感じます。お皿の上に注力がいっていて、まわりのカトラリーとのギャップが出てしまってる気がしました。そこまでリアルだともっともっと素敵になると思います。
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
CGの技術的には完成度が高い気がしました。ポテトの乾いた質感、ベイクドトマトの割れた皮とスーパーの広告の様な後付されたローズマリー、何度か巻き直し失敗したようアルミホイルのしわの多さもリアルです。ローストチキンは見た感じ日本式な醤油とみりんのソースを塗ってる艶感と厚みな感じがします。全体的に冷めてるチキンだと思うんですが和風であれば冷めたのもおいしい気もします。調理中に使ったローズマリのカスや焼き終えた時に出る肉汁がトマトやポテトや皿に残ってたり絡んでいればよりおいしそうに見えたと思います。
▼ 横原 大和/Khaki CG Director・Art Director
ローストチキンの質感がとても高く思わず本物のようにも見えます。CGだと手を抜いてしまいそうな持ち手のアルミホイルも非常にリアルに作りこまれていて、添え物の野菜含め料理全体でCGっぽさが少なく高い説得力を感じました。とくに作者が拘ったローストチキン表面の鳥皮っぽさとタレの照り感はCGでの質感が良くすごく食欲をそそられます。あえていえば料理自体のクオリティがとても高いため、お皿やその他の背景が少し単調でCGぽく見えてしまうかもしれません。
プロ部門・優秀賞 第4位『お昼ご飯はカツ丼で』 獲得点数:19点
渡辺七斗さん
3DCGでは主に背景モデリングとライティングの作業をしております。描く事も好きなので絵コンテやキャラクターデザイン、イラスト制作等もしております。
●作品解説
近所に美味しい定食屋があるので実際にカツ丼を食べて観察しながら作りました。 卵をまとったカツのツヤ感や味のしみた玉ねぎの表現に力を入れました。
●使用ツール
ZBrush/Maya/Substance Painter/CLIP STUDIO PAINT/After Effects
●審査員コメント 抜粋
▼ 門脇 宏/講談社「おとなの週末」編集長
食雑誌の制作者がよく使う「持ち上げ」という手法をうまく使い、シズル感が上手く描かれた作品。特に、持ち上げていない部分(丼の左部分)のトロトロの卵や味の染みた玉ねぎ、グリンピースの描き方が素晴らしいと感じました。ただひとつ残念なことは、持ち上げたカツが大きすぎること。実際の写真をサンプリングしたのかもしれませんが、個人的にやや不自然に感じました。とはいえ、ここまで精緻にカツ丼を描ける才能は素晴らしい。
▼ 大手 仁志/アマナフォトグラファー・シズルディレクター
ヤバい!参りました。渡辺さんの観察力素晴らしいです!肉厚の断面、半熟間のある卵表現、玉ねぎの煮込まれた感、グリンピースのさり気ないレイアウト……全てが完成されてる感があります。絵作りに関しても主役であろう箸上げがセンターでしっかり表現されていて素直に「旨そう!」と思えます。素晴らしい作品です!かつ丼食べに行こう。
▼ 秋元 純一 /トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
まるでグルメ番組のインサートの様なクオリティで、正直指摘する箇所は何もない。構図、ライティング、質感、どれをとっても一流だと感じる。卵の混ざり具合も完璧で、ロース肉の断面も申し分ない。ただ唯一、グリーンピースではなく、三つ葉が好みだ。グリーンピースは春時期なら納得せざるを得ないが。表現としても三つ葉が絡む方が難しいと思うので、それも是非見てみたいと思った。実に美味しそう。
▼ 米岡 馨 氏/StealthWorks.代表取締役
肉と衣と卵の絶妙な絡み方が凄くリアルです。デフォーカスも弱めで絵としても見やすく非常に写実的です。衣部分が若干ディティールが甘くも感じるので、もうちょっとエッジの立ったマイクロディティールが乗ってくると更に写実感が出てくると思います。ぱっと見はディスプレイスだけで処理しているように見えますが、衣オブジェクトをパーティクルで撒いて衣の実在感を出すのもありだと思います。
プロ部門・優秀賞 第6位『シズれ!広島焼!』 獲得点数:16点
上田高啓さん
CGを使った様々な表現に挑戦したいです。
https://takahi9999.artstation.com/
●作品解説
実際に広島焼を料理しておいしく見えるポイントを模索しました。鉄板は友人の店にて採寸しました。
●使用ツール
Blender/Photoshop
●審査員コメント 抜粋
▼猪飼 綾乃/ プレート・トキオ オーナーソムリエール
ソースが鉄板におちたところのぶくぶくと熱々そうな湯気が美味しそうです。
▼ 塩山 舞/NY在住 楽膳家
鉄板までがリアルに描かれていて、何年も使い込んだお好み焼き屋さんの鉄板だと感じる程、お好み焼きから上がる湯気、踊る鰹節と青のり、鉄板にソースが落ちてジュージュー音と香りを感じるほどです。
▼ 井戸 雄太/MAEN sakepairingrestaurant owner
煙が良いですね。画面から音を感じるし、ソースが香ってきます。鉄板の焼けてる泡もリアルです。凄く細かいところなんですが、マヨネーズとソースのどちらが先にかかったのか分からないです。ソースをかけた後にマヨネーズをかける場合、ソースがマヨネーズの上になることは無いし、ソースマヨネーズソースで更にかけたのならここもソース付くはず。と言うところについてないのが気になりました(笑)。ごめんなさい。変なところにリアルを感じてしまい、気になってしまいました。とりあえず美味しそうです。
▼ 秋元 純一 /トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
鉄板と言う舞台で躍動する広島焼きを、ライティングと湯気にて表現した、非常にシズルのある作品。細かく見ていくと少々質感に難ありな箇所も見受けられるが、全体の力強さとダイナミックさでカバーしていると感じた。音まで美味しそうに見えてくる。
プロ部門・優秀賞 第7位『和牛ユッケ』 獲得点数:14点
宮城耶真人さん
ゲーム開発系の会社でTA会社員をしつつ、BlenderやUnreal Engineを中心に趣味で創作や情報配信などを行っております。
●作品解説
お店で必ず注文する好物の和牛ユッケを制作しました。食欲をそそるようなシズル感や生肉の質感、色味を重点的に拘りました。肉の生成にはGeometry Nodesを使用しSoftbodyシミュレーションで盛り付。最終的にEeveeでレンダリングしています。
●使用ツール
Blender/Substance Painter/Photoshop/Lightroom/ Eevee (Blender)
●審査員コメント 抜粋
▼ 宮武 茉子/フードエンジニア
和牛ユッケの黄身を割る、一番わくわくする瞬間を切り取られていて最高です。黄身の弾力感、肉の表面の質感がとてもリアルで美味しそうです!
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
肉の質感に制作者のユッケへの想いを感じます。Reflectionの艶感と丁寧にMapされているTextureがプロ意識を感じます。ライティングもきれいです。肉の赤がColorCorectし過ぎてる気もしますがユッケ好きには溜まらないんですかね…
▼ 米岡 馨 氏/StealthWorks.代表取締役
ユッケ、卵、器、箸の質感の違いが良く出ていてぱっと見の実写っぽさがいい感じです。絵のトーンが暖色で美味しそうに見えるのもいいです。技術的には物理演算で配置したユッケの収まりがリアリティあるのが大きいですね。強いて言えば気持ち順光気味なのでユッケの上手側面がやや暗く落ちるようにして立体感を演出的に出すとより良さそうです。
▼ 横原 大和/Khaki CG Director・Art Director
確かに黄身を箸で潰す瞬間が一番ユッケを食するときによだれが出ます。その瞬間を描いていてとても美味しそうです。。肉はGeometry Nodesを使用しSoftbodyで盛り付けたとのことですがそのお陰か生肉の柔らかく折り重なっている感じがCGっぽくなくとてもリアルです。黄身のつぶれる瞬間の形状なども合わせて全体的にCGが苦手な柔らかさがとても上手く表現できていてそそられます。あと質感に関してもレンダリングがEeveeということを感じさせないくらい綺麗です。
プロ部門・優秀賞 第8位『洋食屋の味』 獲得点数:10点
伊藤賢吾さん
普段は広告映像などのCGを作っています。 今回のリファレンスのために3回ほどオムライスを自炊してみましたが、参考になるようなものは1つもできませんでした。
●作品解説
オムライスのバランスのいい甘味と酸味を想起させられる絵を目指しました。それぞれの素材の水分や油分を意識しつつ、リアルな質感にこだわりました。
●使用ツール
Cinema 4D/Corona Renderer/After Effects/Red Giant Universe
●審査員コメント 抜粋
▼ 大手 仁志/アマナフォトグラファー・シズルディレクター
安定のシズル感!オムライスは安定感のあるモチーフかと思います。卵の質感、チキンライスの表情、ケチャップの質感、それぞれがバランスよく表現されていると思います。さらにお店感の演出か自然光と電球色のミックスのライティングも臨場感に繋がっているのではと思います。さらにこの先の表現を求めるのなら、ふわとろの卵表現とお皿の汚れノイズ感が表現できると完璧になるのではと思います。
▼ 井戸 雄太/MAEN sakepairingrestaurant owner
フワッとした卵とケチャップがリアルです。アングルもいつもを撮った感じが良いですね。少しだけ遠近感が無く見えるので、遠近感が出たらもっとリアルに見えるのかなと思いました。
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
コメントからして意図的に昔の洋食屋さんのオムライスの少し火が多めに通ってる質感にしたんだと思います。なので卵の湿度はわざと抑えて中のお米もパラパラなのが伝わります。手作りケチャップの有機的な質感と透明度が綺麗です。個人的にはお米に湿度と粘着度がもうちょっとあったらより美味しそうに見える気がしました。FillLightかKeyLightをもう少し落としてもいい気がしました。
プロ部門・優秀賞 第9位『茶屋のみたらし団子』 獲得点数:6点
柴山正久さん
CGを用いた映像制作を日々勉強しています。 最近はMVに興味があり、表現を模索しています。 普段はCGクリエイターとして大阪の会社に勤務しています。 https://twitter.com/masappu_motion
●作品解説
「こんな雰囲気の茶屋で、ぼーっとしながら団子を頬張りたいな」という願望を込めました。焼き目がついて、少し噛み応えのあるみたらし団子が好きです。
●使用ツール
Cinema 4D/Blender/After Effects/Octan Render
●審査員コメント 抜粋
▼ 宮武 茉子/フードエンジニア
みたらしのたれのつやが美しく食欲をそそられました!店先の木陰で食べているのかなと想像できるような周囲の影の様子も素敵ですね。
▼ 井戸 雄太/MAEN sakepairingrestaurant owner
焼いた団子の質感とタレのシズル感が食欲そそります。陰影も計算されていて、リアルです。どこかに少し緑身あると全体の色味のバランス良い気がしました。串もちゃんと焦げてるところが細かいところまで気を使って考えられたのが見えて好きです。
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
みたらし具合がとても綺麗で旨そうです。噛み応えのある硬さも伝わります。Chromatic Aberrationかけなくても十分綺麗な気もします。
プロ部門・優秀賞 第9位『りんご飴』 獲得点数:6点
牧野倫生さん
もともと写真が好きなので、ライティングやカメラの設定には詳しく、こうしてCGにも活かせているように感じます。料理やインテリアも好きで、多趣味なことが活かせるCGは自分にぴったりの仕事だと感じています。 仕事も趣味も、のんびりかつ努力して自分のペースで成長していきたいです。
●作品解説
池袋で食べたりんご飴がおいしすぎて腰抜かしたので、その感動のまま作りました。 あのみずみずしさ、艶やかさを何とか表現したく、たれ落ちる飴が綺麗に見えるように頑張りました。
●使用ツール
Blender/Substance Painter/After Effects
●審査員コメント 抜粋
▼ 門脇 宏/講談社「おとなの週末」編集長
シズル感を生み出す要素である「ツヤ」と「粘度」を上手く使った良質な作品。右側の素のリンゴをもう少し自然に描いたもの(ex.右側からのハイライトを抑える等)も見てみたい。
▼猪飼 綾乃/ プレート・トキオ オーナーソムリエール
牧野さんお写真が好きとおっしゃっているのがよくわかるりんごの中にも映り込みや影 アメのとろけぐあいすばらしいです!鍋が宙にういているのだけが現実にもどされちゃう。
▼ 米岡 馨 氏/StealthWorks.代表取締役
滴り落ちている飴が動きを感じさせる、ただリアルではない、昔の洋食屋さんの食品サンプル(スパゲティーを巻いたフォークが浮いているあれみたいな)を彷彿とさせるエンタメ性があります。スタジオで撮ったような雰囲気もいい感じです。折角ここまで出来ているので後ははっきりとしすぎている飴の映り込みをもっとリンゴと飴の細かい形状で歪ませてあげるとか、また同じサイズ感、分布感の飴の気泡にランダム感を与えるなどするとぐっとクオリティが上がりそうです。
アマチュア部門
アマチュア部門・最優秀賞 第1位『かに食べてみねの~』 獲得点数:20点
山田紗希さん
キャラクターモデラー志望で現在勉強中です。 動画制作が趣味でアニメーションやコンポジットの勉強もしています。
https://www.artstation.com/yyy_cg
●作品解説
福井出身なので越前ガニをが食べたい欲望を込めました。 かにの繊細な質感と焼き目にこだわり、あわせて飲みたい地酒を選びました。 今年の冬はかにが食べたい…!と思ってもらえるように制作しました。
●使用ツール
Maya/Zbrush/Substance Painter/Photoshop/CLIP STUDIO PAINT
アマチュア部門・最優秀賞「Dell Precision3480」をプレゼント!
Dell Precision3480
●審査員コメント 抜粋
▼ 大手 仁志/アマナフォトグラファー・シズルディレクター
食べたい……。世界観が素敵です!焼き蟹と日本酒。好きな人にはたまらないシチュエーションですね。とにかく香りや温度を感じる素敵な作品に仕上がっていると思います。卓上七輪の表現などにも相当こだわられているのかなと思いましたがアングルをもう少し上に振って焼きガニがメインに見えるようにすることと、煙などの表現が少しあるとよりシズル感のある作品になると思いました。あー食べたい。
▼猪飼 綾乃/ プレート・トキオ オーナーソムリエール
すごく!美味しそう!日本酒のみたくなるし、七輪の感じも臨場感あります。割り箸の袋のかげとかもだし左奥の日本酒の瓶のラベルも素敵。学生部門だけど社会人経験ありの学生さんですよね。感服です。ご飯食べたばかりなのにお腹空いて来ました。
▼ 塩山 舞/NY在住 楽膳家
上に乗っているかにもとてもおいしそうなのですが、炭の火加減やそれを入れる七輪、箸袋など、細部にまで気遣いがされた、丁寧に作られた作品だと感じます。日本酒を飲みながらカニを食べるって贅沢な時間だなって思い出した作品です!
▼ 井戸 雄太/MAEN sakepairingrestaurant owner
これはすごい。ちょっと段違いではと思う。細部までこだってるのが分かる。この七輪のやつとかリアルにこの店で使ってた気がする。蟹がたべなくなりました。
▼ 秋元 純一 /トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
この講評会の時には、ちょうど蟹が解禁になるタイミングだ。福井出身の作者には、越前は最早文化なのだと思う。私個人的にも、松葉、越前、間人、それぞれの良さがあって、11月から1月頃にかけては、蟹アレルギーでなくて本当に良かったと感謝の念が絶えない。恐らく福井の黒龍で一献と言うレイアウトで、いかにも食欲をそそる。ただ、カニ好きとして言いた事が無いわけではない。飛騨コンロであぶられている蟹の足だが、まず既に焼きすぎだと感じる。また、蟹の足は殻の一部を削いでしまうと、無駄に水分が蒸発してしまうので、松葉の様に縦に半分切れ目を入れる方法をおすすめしたい。ともあれ、非常に時期にもクリティカルな一枚で、プロデュース力が高く、まとまった作品に仕上がっていると感じた。
アマチュア部門・優秀賞 第2位『ざるそば』 獲得点数:18点
Arne Gombosさん
中学生の頃から3DCGの興味を持って暇な時間でよくしています。プログラミングも好きなので、ゲームやアプリも時々作っています。
https://mastodon.social/@photodiode
●作品解説
大好きなそばを作ってみたかったです。シンプルなイメージだと思いますが、料理でも3DCGでも難しいです。
●使用ツール
Blender/その他
●審査員コメント 抜粋
▼猪飼 綾乃/ プレート・トキオ オーナーソムリエール
本物っぽい。美味しそうなシズル感が足りず、この得点に。でも、とてもよくできていると思います!
▼ 秋元 純一 /トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
素晴らしい質感で、ざる蕎麦のシンプルな一皿を表現していると思う。そばの盛りの表現などは秀逸で、そこには綺麗な水で晒した痕跡すら感じるツヤ感があり、刻み海苔の具合も抜群。レイアウトや構図も素晴らしく、プロップ類の配置に少しのノイズが入ることで、よりリアリティが出ていると思う。ライティングも程よく逆光で、そばや汁に対して艶やコントラストを表現出来ておりとても美味しそうに見える。細かい所だが、ザルの木組みの質感には、少しのSSSを使用しているのか、これもまた木製の優しい質感がきちんと表現出来ていると思う。一つだけ気になったのは、刻みネギで、刻んでから少し時間経過を感じる。ここにもう少しツヤ感が入ってくるという事が無い。
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
本人が言う通り料理もCGもシンプルなものの方がかえって難しいですよね。それはつくづく本当にそう思います。プロではないみたいですが、完成度は高いと思いました。まずそば特有の練りこめられたそば粉のガラがリアルです。ザル内にあるそばをあげた残り湯の水滴などもリアルです。上に載せられたノリのマテリアルもいいです。そばを盛ってあるざるのTextureには小さな細かい汚れがあるのもうまいです。マイナーですがワサビのDetailがとてもリアルです。おろしもリアルに見えます。つけ汁の濃度もリアルで全てのMaterialがLightingに合っています。そばの配置はシミュレーションして盛ったのでしょうか?そばのランダムでオーガニックな太さもリアルです。あまりに出来がいいので言う事がないのですが、あえて言うならネギだけ綺麗すぎることとLightingをもっとドラマティックにするように影をもっと作るような演出があってもいいとも思います。もっと複雑な食材の別の作品を見てみたいです。
▼ 米岡 馨 氏/StealthWorks.代表取締役
写実感で言うとトップクラスだと思います。そばのSSSが効いた透け感やそばつゆのリアリティのある濁りが説得力があります。ここまで出来ていると後は何らかのストーリー性を感じさせる演出があるといいですね。自分が打ったそばであればお盆やテーブルがちょっと打ち粉で汚れているとか、そういう生活感などがあるとより魅力的な作品になりそうですね。
アマチュア部門・優秀賞 第3位『グラタン』 獲得点数:15点
廣里真唯さん
ドラえもんが好きです。作ったドラえもんのモデルを動かすために最近リグの勉強を始めました。
●作品解説
寒くなってきたので温かいグラタンをつくりました。とにかく美味しそうと思える作品を目指して、ひたすらスカルプトしました。のびたチーズがお気に入りです。
●使用ツール
ZBrush/Maya/Substance Painter/Photoshop/Lightroom
●審査員コメント 抜粋
▼ 大手 仁志/アマナフォトグラファー・シズルディレクター
チーズの表現が最高。こちらを拝見したときにまずチーズの伸びている部分に目が行きました。チーズの伸びるシーンは私も相当撮影しているのですがこのような理想形の伸びを作るのにとても苦労します。それをCGで表現できていることがとても羨ましいし感動しました。グラタン全体もバランス取れていてとても素晴らしいです。さらにシズル感を出すとするなら、器の周りの焦げ表現ですかね?そこのノイズが加わるとさらに温度感を感じておいしさが増すと思います。ぜひ挑戦してみてください。
▼ 門脇 宏/講談社「おとなの週末」編集長
焦げた部分や熱いチーズの質感、クリーミーなソース、ハイライトの当たり方……細部までよく描かれている作品。インパクトという点でも参加作品中ではトップクラスではないか。ただ、何かもう一つ心を震わせるような要素(それが何かはわかりません)があるといいなと思いました。
▼ 井戸 雄太/MAEN sakepairingrestaurant owner
チーズの質感も良く、伸びてる感じも伝わってきます。もう一段照りがなくなればよりリアルに近かったのかな?と思いました。とても良かったです。湯気も食欲をそそります。
▼ 秋元 純一 /トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
グラタンの優しい温かさが伝わってくる。スプーンで持ち上げた際のチーズの伸びなど、動的な部分も盛り込んでおり、更に食欲をそそった。質感に関してはもう少し頑張りたい。チーズの部分は、焼色がついている部分とそうでない部分のRoughnessに差が欲しい。また、ベシャメルと具材の切り分けもいまいちなので、そういった大きな部分に注力して欲しい。また、オーバルのココットとチーズの境界がきれいすぎるので、皿とチーズの間に焦げ目を入れるなど、全体的にまとまった状態にする事も大事。
アマチュア部門・優秀賞 第4位『魅惑のもくもく』 獲得点数:14点
亀田大さん
普段はCG関係のない仕事をしていますが、2年間Blenderでアニメーションを趣味で作ってきました。とにかくCGが好きなので、現在CG業界へ転職を目指しています。
https://twitter.com/SumoAlien
●作品解説
とにかく「ジューシー」なジンギスカンを意識しました。さらに、時間を感じることができるように、焼けた肉だけを並べず、生焼け肉も配置しました。
●使用ツール
Blender
●審査員コメント 抜粋
▼ 宮武 茉子/フードエンジニア
ジンギスカンで肉をひっくり返した瞬間のいい香り、じゅうじゅうと美味しそうな音が聞こえてきそうです。肉汁がじゅわっと出てきている感じもすごく美味しそう。脂の入り方もとてもリアルでいいですね。もう少しだけ照明を強く当てるとさらに美味しそうに見えるかなと思いました。
▼ 門脇 宏/講談社「おとなの週末」編集長
熱々の鉄板から香り立つ羊肉の野性的な香り。ジンギスカンのワイルドな香りが鼻を刺激してくるようです。生の部分と焼けた部分の混在加減もお見事。肉に比べ、もやしがきれい過ぎるのが気になりました。
▼ 秋元 純一 /トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
ジンギスカンの煙たさの中に香ってくる羊の美味しそうな匂いを、マクロ気味のレンズを通して、上手く表現出来ていると思う。湯気や煙を使ったフォギーな表現が功を奏していると感じる。反面を焼いている状態で、一枚ひっくり返す瞬間を切り取った構図も、素晴らしく動的で、ドラマチックに感じる。予熱で変色して言っている質感なども素晴らしい。また、羊肉に対するアミノカルボニル反応(メイラード反応)による焼き色が、更に食欲をそそった。ジンギスカンの鉄板の上に跳ねている油の飛沫、鍋自体に滴る油など、もう少し油の表現が追加であるとより動的で良いと思う。(少量だが、肉汁表現は非常に効果的)もやしの質感も悪くないが、少し均一的すぎるので、もっと火の通った部分や、個体差があるとリアリティが増すと思う。細かく指摘したい部分はあるにせよ、非常に完成された一枚に仕上がっている。美味しそう。
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
もやしの透明度が綺麗です。肉の湿度もよく表現されていると思います。鉄なべにこびり付いている肉汁と沸騰している気泡はとてもよくできていると思います。箸に肉汁がついていたり鍋に焦げや傷があったり、もやしの質感や形状や種類にもっとランダムさがあればもっと良くなったと思います。
▼ 米岡 馨 氏/StealthWorks.代表取締役
生焼け部分も意図的に入れたというように、非常に観察眼があると思います。特に目を引くのがもやしの透明感ですね。学生さんはこのSSSという概念を理解しづらい人が多いと思いますが非常に丁寧です。折角良く出来ているのでデフォーカスは弱めにしていいです。もっと自信をもって見せて行きましょう。
アマチュア部門・優秀賞 第4位『となりのチャーハン』 獲得点数:14点
有田征司さん
構図や雰囲気に拘った画作りを意識し、作品を作っています。現在は背景モデラーを目指しています。
●作品解説
私が、美味しそう、食べたい、と強く感じるのはいつも、誰かが食べているのを見ている時でした。
これも美味しそうだと感じる一つの要素だと思い、そこにスポットを当て、つい同じものを注文したくなるようなシーンを意識し制作しました。
●使用ツール
Blender/Substance Painter/Affinity Photo/VSCO
●審査員コメント 抜粋
▼ 宮武 茉子/フードエンジニア
となりのテーブルに来た料理がやたらと美味しそうに見えて同じものを頼んでしまう、そんな場面選びずるいです!堂々と見てるんじゃなくてちらっと見てる構図もまた面白いですね。チャーハンにちょうど照明が当たって湯気が見える感じもとても美味しそうです。
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
PR通りこのカメラアングルと画角は完全に隣の人のチャーハンを食べたくなる目線です。そしてこのLightingはとてもその心理を高めるためのドラマティックな演出として最高です。Materialの質を上げたらクオリティは凄いと思います。ここまでドラマティックに仕上げたいなら、チャーハン以外を全て実写にしてチャーハンだけをCGにしてテストするのはどうでしょうか?作業も合成ももっと面白くなると思います。
▼ 横原 大和/Khaki CG Director・Art Director
他の応募者の方は料理メインの作品がほとんどですがこの作品は他の人が食べているチャーハンを覗き見ているという演出なのがとても面白いです。たしかに注文時に他の人の料理を見るとめちゃくちゃ美味しそうに感じます。ライティングや構図含めてその意図がしっかりと伝わってきます。とくにライティングは演出意図があり綺麗です。わずかに見える店内のディティールも作りこまれていて世界観を感じますしスタイライズされたキャラクターの腕とリアルな料理という組み合わせも独特で興味深いです。
アマチュア部門・優秀賞 第4位『鍋焼きうどん』 獲得点数:14点
落合祥伍さん
普段は趣味で人の頭のスカルプティングをして遊んでいます。フォトリアルな作品を中心に制作しています。
●作品解説
光の透き通り方や火の通り加減など、見ただけでそれぞれの具材を噛んだ時の食感を思い浮かべられるような表現を目指しました。フォトグラメトリモデルの使用はしておらず、Blender内ですべての作業を行っております。
●使用ツール
Blender/GIMP2/Krita
●審査員コメント 抜粋
▼ 佐々木 稔/Scanline Vfx Generalist
近距離過ぎて被写界深度でシャープな部位が少ないですが、紅ショウガ以外は全てリアルに見えます。卵焼きのエッジは丁寧な仕事をしてみえます。鳥の皮がどこまで作られてるかがピントが合わず良く見えないのが残念ですがうどんの絡み方や汁の濃度がとても自然できれいな仕事をしているなと思います。白飛びが激しいのは何かを隠そうと意図的にしてるのですか?KeyLightをもっと落としてBacklightのReflectionを残すようにすると立体感が増す気がします。この距離で見せようとする自信が凄いです。
▼ 米岡 馨 氏/StealthWorks.代表取締役
リアリティとシズル感が飛びぬけています。デフォーカスも強すぎずしっかり全体を見せようとしているのもいいです。(鶏肉の部分はディティールがあって情報量ありそうなのでもうちょっとぼかし弱めてもいいかも)湯気や泡みたいなエフェクト部分も抜かりが無くかつライティングが明るめにも関わらずかまぼこや卵の白身が飛びすぎて見えない塩梅もいいです。全体的にあともう一段オブジェクトの表面やアウトラインにマイクロディティールが乗ってくると完ぺきです。
▼ 横原 大和/Khaki CG Director・Art Director
全体的に非常にリアルで特にうどんの質感はとても素晴らしいです。うどん特有のあの質感がしっかりと再現されています。その他の食材もとてもリアルで色味が鮮やかで食欲を大変そそります。素材ごとの柔らかさや光沢のある抜け感が綺麗です。汁のディティールや容器含め鍋焼きうどんへの細かな拘りが感じられてクオリティが高いです。クオリティが高い分、紅生姜の個々の形状や質感が乏しくCGっぽく見るのでほんの少しだけ気になってしまいました。
アマチュア部門・優秀賞 第7位『憩いの時間』 獲得点数:10点
谷川慎さん
私はエフェクトアーティストを将来的に目指しております。このようなコンテストに応募すること自体は初めてなのですが、いろんなことに挑戦したいと思い、今回応募致しました。
●作品解説
旅先での休息の時間のひとときをイメージして制作しました。鯛焼きのまばらな気泡や鱗の表現にこだわりました。
●使用ツール
Blender/Photoshop
●審査員コメント 抜粋
▼ 宮武 茉子/フードエンジニア
たい焼きの表面の気泡がとてもリアルでいい表現ですね。背景からもどこか旅先でお庭を眺めながら一息ついている感じが伝わってきて素敵です。
▼ 門脇 宏/講談社「おとなの週末」編集長
パッと見ただだけで、この作品がトップかなと感じました。パリッと焼かれている鯛焼きの皮目の質感が素晴らしく、香ばしさが漂ってくるほど。「きっとあんこもおいしいんだろうなぁ……」と思わせてくれる見事な鯛焼きです。奥の庭のリアルさも秀逸。唯一気になったのがお茶の色味だけです。
▼ 塩山 舞/NY在住 楽膳家
たい焼きの焼き加減や小麦の焼きムラ、少し見えるあんこなどが丁寧に表現されていると思います。バックに見える日本庭園とたい焼きの相性の良さなど、隅々まで丁寧に描かれていると感じました。
▼ 井戸 雄太/MAEN sakepairingrestaurant owner
細かい拘りを感じます。日常への落とし込み感とか好きです。鯛焼きにもう少し陰影があればもっとリアルになるのかなぁと思いました。背景とかリアルで良かったです。
アマチュア部門・優秀賞 第8位『チャーハン』 獲得点数:9点
千村武さん
フォトリアルCGを見たり作ることが大好きです。
●作品解説
町中華で出てくるチャーハンを想像し制作しました。質感を細部までこだわり制作しています。
●使用ツール
Cinema 4D/Redshift/After Effects/Photoshop
●審査員コメント 抜粋
▼ 大手 仁志/アマナフォトグラファー・シズルディレクター
細かな演出大切です!シンプルにチャーハンのビジュアルですが背景の米粒は細かい演出ですか?なんだか気になります。そしていろいろ想像してしまいます。でもこのような細かな演出がシズル感にはとても大切な事だと思います。したがって千村さんの視点は正解です!例えば今表現されている綺麗な盛り付けのチャーハンを少し崩してみるとか、蓮華ですくってみるとかライブ感のある表現にすると、もっと魅力的な作品になると思います。細かな演出の積み重ねが伝わるシズルになるはずです。是非今後も素敵な作品を作ってください。
▼ 秋元 純一 /トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
町中華のチャーハン、これぞ王道というシンプルだが力強く、説得力のある一枚だと思う。米の粒感は申し分なく丁寧に美しく作成されていて、ネギ、卵、チャーシューの具材もいいバランスで炒めれており素晴らしい。紅生姜の質感も良い。そして何より、あのカルキ臭く安っぽい水のグラスがいい。テーブルのくたびれ具合はもっと大げさでもいいかもしれないと思ったが、それ以上に、奥のご飯粒2つの理由が気になってしまう。欲を言えば、もう少し炒めた際の、アミノカルボニル反応の質感を少しだけ米粒に入れ込めていたりするとより美味しそうに見える。
▼ 米岡 馨 氏/StealthWorks.代表取締役
この作品も写実的な表現だけではなく、ちょっとテーブルにこぼれた米粒、お椀の柄のちょっと傷で剥がれた部分など、程よく歴史のある町の中華屋さんで食べている絵が想像できます。その辺のディティールが絵の説得力に一役かっていますね。米粒や紅しょうがの透け感はいいのでチャーシューにももうちょっと透け感を出して油っぽさが出るとなおいいですね。あとは2D処理でいいので湯気を足すとか。この辺が整理されればクオリティがより上がると思います。
▼ 横原 大和/Khaki CG Director・Art Director
シンプルなチャーハンのアップというお米がチープだと成立しない題材ですがお米の形状や質感がCGっぽくなくとてもリアルで美味しそうです。チャーハンらしいお米一粒一粒のくっ付き具合やSSSや光沢の質感などどれも説得力があります。その他の具材もCGでよくあるめり込みなどもなく配置されていて素晴らしいです。容器の傷やテーブルのラフネス具合も芸が細かくとてもいい感じです。お米の形状がわずかにカプセル型でどれも似ていて揃いすぎているのだけ気になりました。
アマチュア部門・優秀賞 第9位『炎と小麦』 獲得点数:9点
神宝魁人さん
今回初めて食べ物をモデリングしました。
●作品解説
ボコボコとした膨らみの造形と焦げ
●使用ツール
Blender
●審査員コメント 抜粋
▼ 大手 仁志/アマナフォトグラファー・シズルディレクター
ピッツアの質感がおいしそう!焼きたてのピッツアでしょうか?すごくおいしそうです。ライティングも少し低めの半逆光で一番おいしさが表現できる光となっています。少しもったいないのが背景でしょうか?トレーの存在を魅せるとか背景の質感をもう少し奥深いテクスチャにすることでより主役のピッツアをおいしく強調できるのではないかと思いました。機会があったら是非表現してみてください。
▼ 塩山 舞/NY在住 楽膳家
理想的なマルゲリータとは、このことで、生地の焼き加減、トマトソースのシンプルな具合、上質なチーズ、それのどれもが完璧に表現されていると思います。これがメニューに載っていると、これを食べたくなるそんな作品です。
▼ 井戸 雄太/MAEN sakepairingrestaurant owner
良かったです!素直に良い感じでした。焦げ具合、チーズの質感、黒くなったバジルなどリアルですね。このまま突っ走ってください。強いて言うならピザに厚みがあるように感じたので、この手のピザは薄めがリアルかなと思います。
アマチュア部門・優秀賞 第10位『午後のケーキ』 獲得点数:7点
斉藤聖空さん
3Dモデリングが好きでモデラーを目指しています。
●作品解説
甘いものが好きなので、とにかく甘くて食べたくなるようなケーキを制作しました。チョコの表面が少し溶けている表現をこだわりました。
●使用ツール
Maya/3ds Max/ZBrush/Blender/Photoshop/After Effects/Substance Painter/Unity/Arnold
●審査員コメント 抜粋
▼猪飼 綾乃/ プレート・トキオ オーナーソムリエール
いちごの光と影、チョコレートの照り、棒チョコレート、マカロン、カシス、臨場感あって食べたい❤︎ いちごの断面とマカロンからの生クリームが偽物ぽいんだけどそれがリアル。
▼ 米岡 馨 氏/StealthWorks.代表取締役
ライティングが柔らかくカタログ写真のような写実感があると思います。作者の拘りの溶けたチョコレートなど自然な歪みがあって柔らかさがあるのがいいですね。ただ溶けたチョコレート部分がモデルのぶっさしのような見え方がしているのでブーリアンでシームレスにくっついている感じがするとなおいいと思います。また正面のイチゴの断面も皮と身の部分がぱっつりと直線的なのでここも歪みや凹み、皮の厚みを感じるジオメトリ感があるといいですね。
アマチュア部門・優秀賞 第10位『お母さんのカツカレー』 獲得点数:7点
JANSEN WINARTOさん
ザンセンウイナルトです。インドネシアから来ました。 日本に留学中です。今は3Dデザイナーを目指しています。いつか日本の3D知識生まれ育てられた国に紹介し、インドネシアの3Dに関する教育や業界に貢献したいと思います。
●作品解説
私は留学生として日本へやって来ました。しかし、生まれ育った土地はここじゃないせいで、時々実家のことを思い出は私を包み込みます。 その思い出の欠片の中で、お母さんが作ってくれたカツカレーが一番多く思い出しました。この作品はお母さんへの深い感謝の気持ちを込めて、具現化したものです。
●使用ツール
ZBrush/Maya/Substance Painter/Photoshop/Lightroom
●審査員コメント 抜粋
▼ 大手 仁志/アマナフォトグラファー・シズルディレクター
懐かしさを感じるカレーシズル。お母さんのカツカレーと言う事ですが、私も何故か懐かしさを感じてしまいました。決して豪華な具材のカレーではなくとも愛情のこもったカレーなんでしょうね。伝わります。カツの質感は多少唐揚げ感に近いですがボリュームが伝わっておいしそうです。懐かしく感じるポイントわかりました!カレーの色ですね。いまどきのカレーはこげ茶色が主流なのですが昔のカレーは黄色いカレーでした。そういった色合いがお母さんのカレーなんでしょうね。
▼ 門脇 宏/講談社「おとなの週末」編集長
家でつくるカレーならではの、ドロッとしたルウの粘度が見事に描かれています。煮込まれた野菜のゴロゴロとした質感、少し甘みを感じさせるルウの色味など、目を惹かれる作品。惜しむらくはご飯の表情が雑なこと。ルウがかけられた部分の描き方が良いだけに少し残念。
▼ 塩山 舞/NY在住 楽膳家
お母さんの作る素朴なカツカレーがうまく表現されていると思いました。カレーの照り、煮崩れた野菜、そしてカリッと揚がったとんかつ、それにしみいるルーまでがこちらまで香ってくるようです。
▼ 秋元 純一 /トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
インドネシアにも日本式(そもそもカレーが日本のものでは無いので、ただの思いこみで各国に存在する?)の様なこういったカレーライスがあることにまず驚いたが、このシンプルなカレーは逆に賛否があり、難しいモチーフだと思う。米の粒が少し小ぶりでベッチャリして見えるのと、カツの衣がパン粉ではなくバッター液の様な衣に見えてしまう点は惜しい。ただ、ルウの表現に関して言えば、非常に美味しそうに表現されており、食欲をそそった。レンゲで食すという点も、これはお国柄だと思うが、配膳された状態のレイアウトを見るに、インドネシアではご飯側が手前に来るのだろうか?日本人としてはこれには少し違和感を覚えるが、お国柄含め、家庭で千差万別だと思うのでそこは評価基準から除外した。国の常識の差という点において色々と疑問点も残るが、単純にカレーに対する愛情や哀愁、ノスタルジーを表現しているという点で、非常に美味しそうに見えるので、評価したいと思わせてくれた作品。
CGWORLD特別審査員 総評
FOOD EXPERT
大手仁志 アマナ フォトグラファー・シズルディレクター
アマナのシズル撮影専門チームhue でフォトグラファー、シズルディレクターとして30年以上に渡り「食」に関する広告写真、パッケージの写真撮影に携わる。朝日広告賞、カンヌ国際広告フェスティバル、ニューヨークADCなどをはじめ数多くの広告賞を受賞。最も好きな食べ物は餃子。
https://hue-hue.com
https://amana.jp/
【総評】
今回もたくさんの作品を拝見してとても見応えがありました。そしてクオリティも上がっていると感じました。審査を進めていくと素敵と思う作品にはいくつかの共通点がありました。一つは観察力のすばらしさ。やはりモノを表現するためにはとことん観察する必要があると思います。今回、高評価をつけさせてもらった作品はすべて観察力が素晴らしかったです。そしてもう一つが細かな演出でのノイズ感。昨今SNS上でのコミュニケーションが増えたり様々な場面でビジュアルを目にする機会が増えています。そのような状況で一般の方のおいしさ感にも変化が起きています。綺麗すぎるシズルはもはや受け入れられず、隙のある、言い方をかえるとノイズ感の多いシズルの方が魅力を感じる方が多くなってきています。その演出をされている作品も数点あったので評価させてもらいました。日々進化しているCGごはん。写真でシズルを表現している私としても大いに期待できる分野かと思っています。今後も進化も楽しみです。
宮武茉子 フードエンジニア
専門学校やフレンチの厨房で得た料理人の視点と、3DプリンタやCAD設計などの専門技術を活かし、フリーランスとして活動。料理人とのコラボレーションにより3Dプリンタを活用したオーダーメイドシリコン型を制作中。2023年 東京大学大学院工学系研究科卒業。2022年 辻調理師専門学校卒業。
https://www.makomiyatake.com/
【総評】
完成度の高い作品が多く、何度も飯テロをくらって本当にお腹が空いてくる審査でした。テーマとする料理の一番美味しい瞬間を切り取られている作品は食欲をかき立てられますね。食べ物自体の表現だけでなく、その他の要素もリアルな様子を表現するのに大切だなと感じました。その瞬間に合った照明の向き・色温度、料理に対するカトラリーのサイズ感、プラスチックとは異なる表面の質感など、細かいところまでこだわっている作品は違和感がなく自然な表現に仕上がっていました。
門脇宏 講談社 「おとなの週末」編集長
https://otonano-shumatsu.com/
食と酒、旅を愛する月刊誌「おとなの週末」編集長。好きな食べ物は旬のもの。ナチュラルワインや音楽を愛し、インディゴリネンやフランスの古皿、古布などのビンテージコレクターでもある。
【総評】
こちらの予想をはるかに超える作品ボリュームとクオリティの高さに圧倒されました。よりリアルにシズル感を描こうとする方、香りなど目に見えない部分に光を当てて勝負しようとする方……世界は多様で、ユニークな才能で溢れているなあと改めて感動した次第です。個人的には、テクニック的に上手い人はもちろん、描かれた作品の背後にあるもの、想像力を刺激してくれる作品に惹かれました。食べることは、生きること。これからも愛をもって食に向かい、より深く観察し、心に響く作品を作っていただきたいと切に願っております。
猪飼綾乃 プレート・トキオ オーナーソムリエール
http://arigatoinc.com
大阪出身、名古屋育ち。エコール辻フランス料理卒。2007年にソムリエ資格取得。パトリス・ジュリアン氏の元修行。オーストラリアのハンギングロックワイナリーとフランスのシャンパーニュメゾンでワイン作りを経験。2009年にワインレストラン レ・ランデヴー・ド・トキオ創業。2014年にプレート・トキオ 西麻布へ統合。美味しいは幸せ❤︎
【総評】
学生の皆様もプロの皆様も 本当に力作揃いで甲乙つけ難く悩んだんですが 私はCGのプロではなく 食いしん坊な飲食人なので 単純に美味しそうって思う物を選びました! 素材がハンバーガーとか パンに卵とか 日常食べてそうなものより 好きなものだとさらにグッと来ますね。 カニとかお肉とか 思ったんですが 白米おいしそーとか 熱々そうな湯気、泡の リアル感でていたらおぉーともなったし。 お腹空いて大変な審査でした! ありがとうございます!
井戸雄太 MAEN sakepairingrestaurant owner
https://www.facebook.com/MAENsakepairing/
恵比寿で日本酒とフレンチのペアリングレストランを経営。地元徳島と長野食材に拘り、地方と東京、海外のハブになるべく映像製作、海外ポップアップイベント、プロダクト製作などもレストランと平行して展開。
【総評】
CGのリアリズムには本当に驚かされました。料理人として毎日精進している私ですが、その目で見るとどうしても細部に目が行ってしまうようです。さまざまなスタイルがあり、作品を通じて多くの刺激を受けました。気になった点としては、提出された作品によってクオリティの差が感じられたことです。点数をつけていない作品は、点数をつけた作品と比べると、表現のバリエーションが異なっているように見受けられました。学生の作品には、課題として提出されたと思われるものもあり、もしかすると審査に進むべきかどうか、運営側で一次選考のような形を取り入れる余地もあるのかなと思いました。それにより、より熱意の感じられる作品に焦点を当て、丁寧な評価が行えるのではないかと感じます。ただし、私が今回審査に参加させていただいたことで、このような視点を持つことができたのは、とても有意義な経験でした。このような機会をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。参加された皆様、大変お疲れ様でしたし、素晴らしい作品をありがとうございます。
CG EXPERT
秋元純一 トランジスタ・スタジオ CGディレクター・取締役副社長
2006年に株式会社トランジスタ・スタジオ入社。専門学校時代よりHoudiniを使用し続けて現在ではCGWORLD.jpにて「Houdini Cook Book」を連載中。
www.transistorstudio.co.jp
【総評】
今回のCGごはんは、前回に比べ応募総数も非常に増えて、クオリティも格段に上がっており、審査も難航した。それだけCGと食との相性がよく、更に難しく挑戦しがいのあるものなのだと、改めて感じさせられた。私自身、食に対しての欲求は人一倍で、作ることも食べることも、生活の上でのプライオリティは非常に高いもので、食べるためなら全国津々浦々と行った具合の食道楽者である。困ったことに年齢を重ねるたび、このまま好き放題食べてしまうと、身体的な数値からして今後の今後の食生活に影響を及ぼす為、制限を設けなければ立ち行かないジレンマと戦っている。そんな中の審査というのは実に暴力的で、お腹が空いてたまらない。そう思わせてくれる作品が多いことは喜ばしくも、減量中の私に取っては、非常に難儀なものである。それだけ、食というものは深く人生にからんでおり、避けては通れない。単純に美味しそうという点において表現を追求する事の難しさは、実際の料理人にも共通する部分ではなかろうか。CGという全く別のジャンルではあるが、表現者としては共通する部分も多い。CGに関わる私自身も、食のプロの表現を視点を変えて学ばせて貰いたいと、日々是思う。
佐々木稔 Scanline Vfx Generalist
CG業界30年働くGeneralistです。
DigitalEnviroArtists、3D EnviroConcept & Matte paint。
ILM、Digital Domain、Blizzard Entertainment、 経て現在はScanline Vfxで働いています。
【総評】
参加者の行動力と食への情熱には感心させられました。技術の高さはプロと学生の差を感じさせず、とても勉強になりました。全体的にCGの技術表現に留まり、鼻や舌や触覚を刺激する作品は少なかった気がします。料理写真家や料理人は、ライトやお皿の質や反射光でも食材を人の五感に訴えます。冷めて見えたり、時間が経って乾いて見えないようにCG技術の次の表現が課題な気がしました。CG作品は技術だけでなく、本来の目的にももっとFocusする必要がある気がします。そういう意味でCGの仕事も目的がゴールなのでこのイベントが実践にとても役に立つと思いました。
米岡馨 StealthWorks. 代表取締役
エフェクト専門会社StealthWorks代表で主要な参加作品はシン・ゴジラ、鋼の錬金術師等。会社立ち上げの前はベルリン、バンクーバーでハリウッド映画に参加した経歴を持つ。各国で多様な食文化に触れたがベルリンでの慣れない海外生活を支えた自宅近くの何気ないピザ屋のマッシュルームピザが一番の思い出。
【総評】
今回は参加者が増えクオリティも底上げされた印象です。やはり若い世代にBlenderが浸透していて早くからCGに触れる環境が出来上がっているのが大きいと思います。今後はリアルに作れるのが当たり前になってくるので、ストーリー性を持った演出を入れていくなどの工夫が必要になってくるのではないでしょうか。次回も更なる参加者を楽しみにしています。
横原大和 Khaki CG Director/Art Director
https://khaki.tokyo/
ジャンル問わずバラエティに富んだ多くのハイエンド映像作品に携わる。3Dアニメーションのディレクション、コンセプトデザイン、アートディレクションなどを得意とする。
【総評】
審査する側も制作する側も美味しいCGごはんという分かりやすい基準のコンテストなのでその点がとても素晴らしいと思いました。通常のコンテストに比べ本能に従い美味しそうなCGを選べばよいので審査はスムーズに行えましたし、誰もが持っている味覚という本能的な部分がテーマなのでどの応募作も強い拘りや表現した要素がしっかりしていて審査していてとても楽しかったです。応募数が第一回よりも大幅に増えたのと私が審査時に空腹で挑んだことが合わさり美味しそうなCGだらけでとにかくお腹が減って大変でした。