『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、『あつまれ どうぶつの森』、『スプラトゥーン 3』などのグラフィック面を支えるモノリスソフトが、さらなる開発体制強化のために京都スタジオを移転。新設されたオフィス環境のもと、共に働く人材を広く募集している。
前回インタビューではモノリスソフト京都スタジオの特徴や求める人物像についてお伝えしたが、今回は3DCGデザイナーとして働く4名のスタッフに入社理由や入社後の働き方についてコメントをもらった。家電メーカーのエンジニアや家具店のスタッフといったゲーム業界未経験からの転職組のどんな点が評価されたのか、ポートフォリオとともに紹介する。また、同じゲーム業界からの転職者にはモノリスソフトならではの文化やスキルアップの機会について教えていただいた。
▶家電メーカーから転職したスタッフの声
社会人スクールで1年CGを学び、背景モデラーに
CGWORLD(以下、CGW):まずは自己紹介をお願いします。
大神 隆之介(以下、大神):大神隆之介と申します。以前は家電メーカーでエンジニアとして働いていましたが、ゲーム業界への憧れから一念発起して一年制の社会人スクール(デジタルハリウッド大阪本校)に入り、3DCGを学んだあとにモノリスソフトへ入社しました。現在は入社してから1年半ほどで、主に地形モデルを担当しています。
CGW:前職はエンジニアとのことですが、ゲーム業界を志した理由があれば教えてください。
大神:自分は工業高校出身で、大学でも電気電子工学を専攻していましたので、家電メーカーのエンジニアを志望したのはごくごく自然ななりゆきでした。就職後はこれで自分がやりたかった「ものづくり」に没頭できると思ったのですが、働いているうちに徐々に違和感がでてきてしまったんです。
主に電子回路設計技師として製品開発における製品の評価試験の業務を行っていたんですが、「自分の手でイチからつくり上げていく感覚」がもっと欲しいなと感じるようになってきました。
そんな時にちょうど、自分が趣味の模型製作で触っていたZBrushがゲーム業界でも一般的に使われているということをたまたま知りました。自分が普段使っているツールがゲーム業界と地続きになっているのなら「いけるかも?」と思ったんです。ゲームは元々すごく好きだったので、であれば3DCGに賭けてみようと思いスクールに通って学び直す決心をしました。
CGW:その後1年間の勉強の後、モノリスソフトの門戸を叩きます。わずか1年間で業界で通用する技術を身に着けた方法を教えてください。
大神:私の通っていた社会人スクールは1年間で業界就職に必要なツールの習熟やポートフォリオ指導がしっかりしていたので、課題をこなしながら、MayaやSubstance Painterといった業界標準のツールの使い方を包括的に身に着けることができました。この1年は学校から帰っても自宅でずっとCG作品制作に没頭していてまさにCG漬けの1年でしたね。
CGW:WHO’S NEXT?にご応募いただいた学生時代の作品も拝見しましたが、ものすごい短期間で様々なツールを習得したことが見て取れます。「作りたい」という原動力が何よりも学びにつながるのですね。ところでゲーム業界の中で、なぜモノリスソフトを選んだのでしょうか。
大神:実はモノリスソフトに興味をもったきっかけはCGWORLDのインタビューでした。転職となると、なかなか失敗できないので、職場環境やスタッフの皆さんの考えをしっかり知ってから応募したいなと思っていました。記事では、スタッフの皆さんがインタビューで「ものづくり」に対する思いや労働環境について、すごくオープンに話をされていたので、信頼できるなと感じたのが大きいです。
CGW:実際に入社してみて、大神さんの「ものづくり」に対する情熱は仕事に昇華できていますか?
大神:モノリスソフトでは、仕様やオーダーを守ることはもちろんですが、モデリングひとつとってもお客様に喜んでもらうためにどうしたらいいか相談し、追求していく空気感があります。細部までこだわっていますので、自分の思い描いた働き方はできていると思います。
CGW:ゲーム制作について未経験でしたが現場に入ってからギャップはありませんでしたか?
大神:入社当初は新入社員に向けたカリキュラム、チュートリアルを実践していました。実際のゲームデータを想定した課題で、今の仕事と同じように制作してフィードバックをもらいつつ、質問なども行いながら完成を目指すという内容です。実際のワークフローに即した教育があったおかげで、業務にもスムーズに入っていけたと思います。
▶アンティーク家具店から転職したスタッフの声
趣味ではじめたBlender、ZBrushの作品が評価
CGW:高間さんも他業種からの転職とお伺いしています。自己紹介と、ゲーム業界を目指した理由を教えてください。
高間 亮平(以下、高間):高間亮平と申します。入社5年目で、現在は広告宣伝に用いる高解像度グラフィック向けのハイモデル制作を担当しています。昔から絵を描くのが好きだったことと、ゲーム自体も好きでしたので、自然とゲーム業界には興味をもっていました。ちなみに、前職はアメリカの家具業界におりました。
CGW:家具業界からゲーム業界というのは珍しいキャリアだと思いますが、インテリアなどデザイン系の業務を行なっていたのでしょうか。
高間:アンティーク家具を買い付ける会社で、私自身はひとつひとつの家具の形状をリペア、リストアして販売する仕事をしていました。修理の仕事です。実際に木を触って、装飾品を修復したり、綺麗に磨いたり、そういったものづくりに近い部分は楽しかったですね。もともと英語を使える仕事に就きたいと思って就職していたので、業務の上ではCGやデジタルなどの要素はありませんでした。
CGW:3DCGについては独学で学んだのでしょうか?
高間:私も大神と同じく元々趣味でBlenderやZBrushをはじめたタイプで、とにかくCGでものづくりをするのが本当に楽しくて、プライベートで作品制作を行なっていました。作品をつくり続けるうちに「やはりCG制作が自分に合っているな」と思い、ゲーム業界を目指すようになりました。
CGW:改めて、モノリスソフトへの入社経緯を教えてください。
高間:私自身、任天堂の『ゼルダの伝説』シリーズが好きで、調べていくうちにモノリスソフトを知りました。ゼルダに限らず自分がこれまで楽しんできたゲームタイトルに携わっていた会社だとわかり、ダメ元で応募していましたね。
CGW:実際に会社に入ってみて、モノリスソフトでの働き方や仕事内容はいかがでしょうか。
高間:とても充実しています。自分の仕事はゲームモデルではなく広告用ハイモデル制作ですので、特にレンダリングをして絵がでてきた瞬間を見るとウキウキします。3DCGデータが商品に生まれ変わる瞬間、「これはいけるぞ」と感じられた瞬間が非常に楽しいです。
▶入社10年目キャラモデラーの声
私もノーマルマップから教えてもらいました
CGW:青木さんは入社10年目のベテランで、現在は班長としてチームをまとめる立場です。当時を振り返って、入社のきっかけなどを教えてください。
青木 理香(以下、青木):青木理香と申します。キャラクター班のチームリーダーとして、キャラクターモデル制作とセットアップから、マネジメントまで幅広く業務を行なっています。他社でモバイルゲームの開発を経験した後で、モノリスソフトと一緒にお仕事をする機会がありました。その際にストレスのかかりにくい環境づくりやスタッフの面倒見の良さを目の当たりにしたことがきっかけとなり、キャリア採用に応募しました。
CGW:キャラ班のリーダーとして、普段どんなことを意識しながら仕事をしているのでしょうか。
青木:「失敗を未然に防ぐ」ということを意識して仕事をしています。
失敗することも教育上は大きな経験になりますが、プロジェクトを運営する上では失敗はできることなら避けておきたいですよね。
メンバーがどういった部分でつまずくかを想定して事前に技術資料をまとめておくことがとても大事なのかなと思います。任天堂とコミュニケーションを取りながら制作物の目的や仕様をまとめておいて、誰が見てもスムーズに作業できるよう工夫しています。
CGW:貴社には過去にも何度かインタビューさせていただきましたが、お互いに教え合う文化やドキュメントにちゃんとまとめる文化が特徴的ですよね。
青木:私もゲーム業界経験者として転職をしましたが、モバイルゲーム出身だったので、入社当時はノーマルマップを作ったことがなかったんですよね。入社後に周りのみんなから優しく教えてもらいました。他にも、その時々のプロジェクトにおいて新たに習得が必要な技術がでてきたときには「プロジェクトに参加したメンバー同士、同じ目線で、一緒に覚えていこう」というスタンスでいてくれました。こういった姿勢は、自分も後輩に受け継いでいけたらと思っています。
CGW:青木さんにとってモノリスソフトの気に入っているところがあれば教えてください。
青木:自分の意見を話しやすいところでしょうか。「今度はこんな業務をやってみたい」と言うと考慮してもらえるところです。なかなかやりたいことって、プロジェクトやリソースの都合もあったりして勇気がないと言い出せないことも多いと思うんです。
でもモノリスソフトの人たちは、みんな基本柔和で優しい雰囲気の人が多いので、話しかけづらい人もいません。なので、自然と自分のやりたいことが言い出せるという感じでしょうか。初見では話しかけにくそうと思っても、一度話してみると親身に相談に乗ってくれたり、色んな観点やヒントを教えてくれたり……。仕事をする上で、すごく友好的な雰囲気であるところが魅力だと感じています。
CGW:話しやすい環境づくりって本当に重要ですよね。スタッフの皆さんのやりたいことは、どうやって拾っているんですか?
青木:雑談なども含めて、普段から積極的に会話するように心がけています。その中から「この人はこういうのが好きなんだな、こういうことをやってみたいんだな」という情報をキャッチしたり、これまでどういった仕事をやってきたか確認したりしながら、個々人のキャリアも含めて物事を考えるようにしています。
お話する時間がなくても、データを見て得意不得意を把握するなど、個性を知る努力はしています。得意なところは任せて、不得意なところはサポートをして、可能な限り全員について「得意分野と表現したいポイントが合う」という状態がつくられたらいいな、と思っています。
▶入社6年目背景デザイナーの声
インプットとアウトプットが頻繁に行われる環境が魅力
CGW:最後に、入社6年目でマップ制作をメインに担当する山崎さんにお話をうかがいます。まずは自己紹介をお願いします。
山崎 歩(以下、山崎):山崎 歩と申します。前職のゲーム会社では背景モデルを中心に武器などプロップ系の制作を行なっていましたが、モノリスソフトでも装飾品やマップを担当しています。
入社した経緯は開発タイトルです。ゲーム業界で背景デザイナー職を志望する中で『ゼノブレイド』シリーズなどのオリジナルタイトルを手掛け、『ゼルダの伝説』『スプラトゥーン』シリーズに関わっているモノリスソフトに興味をもち、応募しました。
CGW:実際に入社してみて、モノリスソフトの雰囲気や働きやすさについてどのような感想をもちましたか?
山崎:先ほど青木が話した通り優しい雰囲気のスタッフが多く、入ったばかりの頃も気兼ねなく話してくれることが多かった印象です。入社当時はツール面など不安を抱えていましたが、質問したら親切に答えてもらえるし、事前資料もしっかり用意してありましたね。その上でさらに、仕事以外の雑談や相談事まで話しやすい、自然とそういう空気感があると感じました。
CGW:入社してから今まで、山崎さん自身はどのように成長したと感じますか?
山崎:プロジェクト内で学ぶことが非常に多かったと思います。絵柄やデザインのテイストがタイトルごと千差万別なので、いつも新鮮な気持ちで新しい表現をつくることができています。
毎回こだわるポイントやコンセプトは変わりますが、どのタイトルにあっても常にお客様目線での開発が一貫しているので、デザインの理由や技術的要件など高いレベルで納得感を得ながら作業ができています。プロジェクトが変わっても、前回学んだ内容が活きているので経験を得る中で少しずつ迷う部分が減ってきた感覚はあります。
CGW:多くのタイトルに関わる中で、自分の中に引き出しを増やしていく感覚ですね。
山崎:そうですね。インプットとアウトプットが頻繁に行われています。私としてはたくさんのプロジェクトに関わりたかったので、その意味でも今の働き方は合っているように感じています。
CGW:働く中で「モノリスソフトらしい」と感じる部分はどこでしょうか。
山崎:誰でも気軽に相談ができたり、ものづくりに対して議論ができたり、とにかくストレスなく円滑に会話ができるところです。どうしたらより良いものづくりができるか、自分ひとりではなく仲間と話し合いながらブラッシュアップしていく感覚がすごく良いな、と思っています。
新オフィスはどんな感じ? 京都スタジオにはどんな人がオススメ?
CGW:モノリスソフトは2022年10月に京都スタジオを移転しました。新しいスタジオは快適ですか?
青木:社内を移動するのが少し大変なくらい、本当に広くて快適です。そのぶん自分たちの席も広くなりました。デザイナーは基本的にモニターを3台横並びに置いており、手元に資料も広げやすいので、とても効率的に開発作業に取り組めます。任天堂とも距離の近い立地となりましたので、コミュニケーションも取りやすくなったと感じています。
山崎:とにかく広くて開放感がありますよね。開発環境も快適になりましたが、開発フロア内にはスタッフの席とは別にテーブルや椅子が並んでいたり、休憩室など座って話せるような場所が増えていたり、さらに気軽に話しかけやすくなった感覚があります。あとはお昼時に建物の前にキッチンカーがくるので便利です。
大神:おふたりと同じですが、広くて綺麗なところだなという感想をもっています。
高間:以前よりも、いっそう働きやすい環境を実現してもらえたという感覚がありますね。休憩室の方にはゲームを持ち寄って遊べるスペースがありますし、開発環境だけでなく働きやすさにも力を入れていると感じています。以前のオフィスは河原町の方に近かったのですが、今のオフィスも意外と京都駅から徒歩圏内ですので、帰宅する時に京都駅前を散策していました。
CGW:皆さん仰るように、非常に綺麗で環境の良いオフィスですね。開発環境でいうと、例えば現場からの声で導入されたDCCツールなどはありますか? 例えば、Houdiniなどはいかがでしょうか。
山崎:プロジェクト次第ですが、使用するケースはもちろんあります。Houdiniだと、一部のオブジェクトの制作などMayaとの連携で使用するケースが多いですね。
CGW:ありがとうございます。最後に、現場で働く皆さんが考える「これから一緒に働きたい人物像」について教えてください。
大神:私にとっては入社前にイメージしていた「こうだったらいいな」という部分が合致していました。人間関係も良好で、ものづくりに対するこだわりも強いですし、働きやすくて相談もしやすい会社だと思っています。私のように他業種からの転職でもスムーズに仕事が始められたので、環境面で不安を覚えている方がいらっしゃるなら、そこで悩まずにぜひご一緒できたらと思います。
高間:好きなことに対して貪欲な姿勢で取り組める方は魅力的だと思います。本当に好きなものがある方、こだわりをもってものづくりに臨める方であれば、モノリスソフトで仕事をすることが自身のスキルへと還元されることも多いと思いますし、会社との相性も良いように感じますね。
山崎:アナログでもデジタルでも良いですが、個人的には「画づくり」が好きな方が良いと思います。背景だとしたら、どういう風景がグッとくるのかを正確に伝えられるなど、良いところを敏感に感じ取って言語化できる方が向いていると思います。DCCツールの使い方、オペレーション面も大切ではありますが、感性の部分の説明ができる方がいると心強いですね。ぜひそういうところを一緒に語り合いたいな、と思います。
青木:ゲーム業界経験のある方は歓迎ですが、ゲームだけでなくいろいろな物事に興味をもつ方も魅力的だと思います。日頃いろんなことが気になって調べたりチャレンジしたりする方だと嬉しいです。それはつまり知識欲だと思っていて、日常で得た知識は必ず成果物に結びつきます。専門知識も重要ですが、多方面に対して知識欲が働く方が嬉しいです。
求人情報
▼募集職種
・3DCGデザイナー(マネージャー/キャラクター/マップ/広告)
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