ノートPCイメージキャラクター・VTuberを、そのPCでメイキング!? Maya、Unityもサクサク! MSIハイスペックノートPC 実際に"彼女"をつくった 3Dアーティストによる検証!
大画面採用による作業性やハイスペック性能を備え、クリエイティブシーンにも充分に耐えうるノートPCをリリースしているMSI。いま注目のPCブランドのひとつだろう。
なんとこれらノートPCにはイメージキャラクター『美星メイ』がいて、VTuber活動(!)まで行なっている。そのキャラクターメイキングも兼ねて、MSIノートPCの性能を紐解こう。
©Micro-Star INT'L CO., LTD.
クリエイティブに積極展開するMSI
13インチクラスから17インチクラスの大画面までの幅広いラインナップと、そのほとんどのラインに外部GPUを採用するスペック追及の姿勢。主にはゲーミング用途から出発し、その大画面による作業性とハイスペックなCPU&GPUバランスから、ノートPCブランドとしてクリエイティブシーンでも注目を集めるMSI。そんなMSIがいま行なっている面白い取り組みのひとつが、“オフィシャルVTuber”を積極展開していることだ。そして、そのVTuber『美星メイ』のキャラクターモデルをつくり上げたのが、スタジオポッセの3Dアーティスト、佐藤立騎氏である。
3Dアーティスト・佐藤立騎氏
アニメーションやゲーム、その中でも特にそこに存在するキャラクターの“造形”に惹かれて、キャラクターモデラ―になったという佐藤氏。「本当に今の仕事が好きで、合っている」という佐藤氏は、作業としてはほぼひとりで、美星メイのキャラクターモデルをつくったのだという。「もちろん、元原画を描かれるキャラクターデザイナーさんもいますし、アートディレクターに監修もしてもらっていますので、完全にひとりではありません。ただ実作業は、セットアップや実装まで含めてほぼひとりですね(笑)」。開発期間にも比較的恵まれ、「時間よりも見た目のクオリティ優先でつくることができた」という美星メイは、“どの角度から見ても2D的にカワイイ”を突き詰めた自信作だ。
MSIノートPCイメージキャラクター/オフィシャルVTuber
Micro Star学園 ノートPCクラス所属の2年生。課外実習として、MSIの “ノートPC” の魅力を広める為に活動中。eSports推進委員会に所属している。
使用アプリケーションは、MayaとPhotoshop、そしてUnity。普段の制作環境はデスクトップPCだ。しかし今回初めて、MSIノート「Stealth GS66 12Uシリーズ」(本検証モデルはGS66-12UGS-062JP)を用いて、美星メイの開発データで検証を行ってもらった。 佐藤氏の第一印象は、まず「軽いし静か。思ってたイメージと違う!」。2.1kgの本機は決して超軽量ではないが、CG業務が行えるノートとしては、確かに薄くて軽い。
「昔友人が持っていたものはすごい重さと厚みで、うるさかったので……。これ、揺れもの検証やキャラが動いて初めてファンが回る音を聞いた感じです」(佐藤氏)。オペレーション的にも、今回の作業と同じことをしていて引っかかることはなかった、とのことだ。「すべての作業の中でベイクが一番重たいですけど、それすら普段の環境より速い可能性がありますね……。とにかく、自分は時代の進歩ってやつを感じました(笑)」。
業務にノートPCを本格的に使うという発想がまずなかったという佐藤氏だが、今回の検証では「可能性と魅力を感じた」と語ってくれた。「机という場所に縛られないで作業ができる、という実感があった。そうなるといろいろしてみたくなりますよね。旅行をしながら作業ができるのか? とか。いや、実際にする、しないは別の話ですが(笑)」そんな佐藤氏渾身のキャラクターモデル、美星メイ。こだわりを持って制作された彼女の今後の活動に注目だ。
Making of MEI MIHOSHI !
モデリングからセットアップ、フェイシャルまで、美星メイのほぼすべての3D制作を行なったスタジオポッセ。徹底的に突き詰めたそのキャラクターメイキングを紐解こう!
アートディレクターチェックによる “どこから見てもカワイイ”の追及
「キャラクターのポリゴン数は3万ポリゴン程度、テクスチャは2,048サイズで、カラーテクスチャが5枚、マスク用のモノクロテクスチャが9枚。VTuberは寄りのカメラワークや長回しカットが主体になることが多く、同じリアルタイムモデルでもゲームキャラよりリッチな仕上がりになりますね。図は、モデル/テクスチャ制作の各段階における、アートディレクターからモデラーへの修正指示サンプルです。これらのやり取りを繰り返しモデルを磨き上げていきます。モデル制作の初期段階からチェックを入れて、形状とテクスチャがおおまかにできた段階、テクスチャや陰影まで進んだ段階、と何度も何度もやり取りを繰り返して、“どこから見てもカワイイ”“イラストの印象と変わらない”と言えるまで突き詰めます」(佐藤氏)
目の造形の工夫
「様々な角度で黒目の情報が見えるよう、眼球をお椀型に造形しています。その上にハイライト、星、上部映り込みをポリゴンで切り出してレイヤー状に配置することで、自然な目の球体感を表現しています」(佐藤氏)
目のテクスチャで大きく変わる印象
「キャラクターデザインの「ほし」さんに黒目部分の詳細イラストのPSDデータを追加でご提供いただけたので、そのイラストをベースにテクスチャを調整し、よりイラストに近い印象に近づけることができました」(佐藤氏)
顔のリムライトについて
「より効果的なリムライト表現になるよう、部位ごとにマスク情報を調整しています。あえて鼻上だけリムライトを強調することで、2Dイラストの絵柄に特徴的な鼻のハイライト感を3D的に再現しました」(佐藤氏)
口のアウトラインの工夫
「モデル制作初期段階においては、口を閉じる際に上唇のアウトラインが見た目に細く崩れてしまうという問題がありました。開閉時に、上唇のアウトラインメッシュは下唇の内側に収納することで、アウトラインが適正な太さに見えるような工夫をしています」(佐藤氏)
前髪 眉 の表現方法について
「キャラクターイラストの印象に近づけるために、前髪と眉の表現方法をいくつか検討しました。絵柄としての再現度の高さを考慮した結果、前髪を半透明処理で透かし眉をうっすら見せる方法を採用しています」(佐藤氏)
全身のリムライトマスクの工夫
「イラストの絵柄をより忠実に再現するべく、シェーダー設定でエッジの効いた細いリムライトが入るように調整。影部分にリムライトが入ると陶器のような質感に見えてしまうため、悪目立ちする所はマスク情報の調整によって、リムライトを弱めています」(佐藤氏)
INFORMATION
MSI アルティメットノート 「Stealth GS66 12U」
TEXT_ Sadamu Takagi
Photo _Tomohiro Takeshita