『FINAL FANTASY VII (以下、FFVII)』完全リメイク3部作の2作目として、『FFVII REMAKE(以下、REMAKE)』から4年を経てリリースされた『FINAL FANTASY VII REBIRTH(以下、REBIRTH)』。
前作と地続きでありながらPS5のパワーによってさらに微細に描き出される本作の開発について、5回に分けて紹介していく。
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キャラクターの印象を崩さずPS5に見合ったディテールに
ターゲットがPS5に移行し、前作に登場したキャラクターをどう進化させて魅力的に見せるかが本作のキャラクター制作でのコンセプトとなった。プラットフォームがPS4からPS5に変わったことでキャラクターに使えるテクスチャ・ポリゴン数の上限が引き上げられ、開発もそこにフォーカスするかたちで進められた。
クラウドは全面的につくり直されているほか、メインキャラクターは基本的に何らかのディテールアップが施されている。ただしそれによって印象が変わってしまうことは徹底して回避されており、クオリティをアップさせつつもシリーズとしての地続き感もしっかり感じられる。制作フローやツール等は前作のものをひき続き採用しつつ、スタッフレベルでは細かく無駄が省かれ最適化された。
肌や髪などのシェーダには前作のものから手を入れており、特に瞳のシェーダは構造からつくり直されている。スカルプトした虹彩から出力したノーマルマップを利用し、より複雑かつ透明感のある瞳の描画を実現した。
風野正昭氏
キャラクターモデリングディレクター
髪は制作フローこそ前作と変わらないものの、PS5水準の詳細さを得て繊細さや柔らかな印象を向上。衣類・装飾等についても、より見応えのある仕上がりとなっている。
「PS5というプラットフォームのパワーを前提に、それを活かすべくグラフィックの調整を進めました」(メインキャラクターモデラー&リードキャラクターアーティスト・鈴木 大氏)。
鈴木 大氏
メインキャラクターモデラー&リードキャラクターアーティスト
エネミーに関しては、部位破壊など内部的に複数アセットで構成されるものも多数登場する。
こうしたエネミーの制作時には、UEに読み込ませるファイルを出力するフローが煩雑であったためこれを効率化するツールを開発。分割情報はShotGrid(現・Flow Production Tracking)に登録・管理し、同一シーンデータで作業する可能性のあるモーション班・セットアップ班からもコミット時には分割やLOD作成、UEアセット更新などが自動で走るようになっている。
中村博之氏
モンスターモデラー&リードキャラクターアーティスト
前作からのモデルのディテールアップ
虹彩の見え方
エンジニア主導でシェーダ全般が更新されており、肌や髪の質感改善のほか、瞳のシェーダは大きくつくり直されたという。
より繊細に見せる髪の表現
髪は前作と大きく印象が変わらないようにしつつも、PS5の性能を活かしてより精細なものとなっている。
キャラクターの個性を活かした造形
エネミー制作のながれ
本作のエネミー制作フローで特徴的なのは「モックモデル」の工程が追加された点だ。印象としてはスピーディにゲームに出すことを目的としたラフモデルを思い浮かべるが、モックモデルはそういったものではなく、後工程に渡しやすいよう関節・触手などを伸ばした状態の、ディテールを詰める前のモデルとなる。
「セットアップ班やモーション班の要望を受け、骨構造やシルエットを早期に確定できる工程を設けることで、本作の膨大なエネミー制作を効率化しました」(モンスターモデラー&リードキャラクターアーティスト・中村博之氏)。
アレクサンダーのマテリアル表現
必殺技「聖なる審判」では、アレクサンダー体表の小窓が下から上へ順次点灯する。窓の量は膨大で、ある程度のパーツ分けをしそのパーツ単位で発光させていった。
パーツごとに通常のマテリアル、エミッシブフロー用のマテリアルを用意し、パーツ分割は30、マテリアル数は計60に及んだ。技術的にはシンプルながら作業工数がかかり処理負荷も嵩んでしまうが、それでも実現したかった演出とのこと。
オーディンのデザイン変更
本作から登場する召喚獣はスペック向上に伴い基本的にボリュームアップしており、オーディンもそれにあてはまる。オーディンの愛馬「スレイプニル」については、原作では脚が6本となっていたが、本作では8本となっている。
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EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada