2月14日(木)からXFLAG ANIME公式YouTubeチャンネルにて配信スタートとなったアニメ『ファイトリーグ ギア・ガジェット・ジェネレーターズ』(以下、『ファイトリーグアニメ』)。本作のバトルシーンは3Dで表現しており、迫力あるキャラクターアクションやエフェクトが作品を盛り上げている。3Dパートの制作を担うサンライズD.I.D.スタジオを取材した。前編のレンチとクリナの3Dモデルに続き、以降の中編ではクロームのガジェットや巨大ロボット バールの3Dモデルのメイキングを中心にお届けする。
※本記事は月刊『CGWORLD + digital video』vol. 247(2019年3月号)掲載の「モデル班とカット班、シンプルな2班体制で撮影までカバー ファイトリーグ ギア・ガジェット・ジェネレーターズ」に加筆したものです。
TEXT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota
▲左から、CGディレクター・赤塚慎一氏、CGプロデューサー・井上喜一郎氏、CGディレクター・佐藤光裕氏(以上、サンライズ D.I.D.スタジオ)
CGの強みを活かしたガジェット表現
本作には、レンチ、クリナ、マチ、GX-17 ガーディアンバール(以下、バール)などの原作でもお馴染みのキャラクターに加え、クローム・モノクロム(以下、クローム)というアニメオリジナルのキャラクターも登場する。クロームは、スタイルチェンジ(形態変化)の前後で頭身もガジェットも大きく様変わりするため、数多くの設定画やバトルイメージが描かれた。
特に注目してほしいのは、スタイルチェンジ後のガジェットを使ったバトルシーンだ。液体金属のように有機的な変形をしたり、常に色相が変化し続けたりと、CGの強みを活かした異色で斬新な内容に仕上がっている。「『ビスマス結晶のような質感にしたい』という中島大輔監督の要望を受け、変形やバトルイメージを西村 聡さん(キャラクターデザイン担当)が描きました。お2人とも、どこまでCGで表現できるのか予測がつかない状態からのスタートでした。一方のわれわれは、どうすれば作画に馴染ませられるのか試行錯誤する必要がありました。全員が手探り状態だったので、何度も打ち合わせを重ね、様々な表現を試しましたね」(赤塚氏)。
色相が変化し続ける、神秘的なクロームのガジェット
▲クローム(スタイルチェンジ後)のガジェットの設定画(前面)。クロームは石田智子氏、ガジェットは西村氏がデザインしている
▲【左】同じく、クロームのガジェットの設定画(側面と背面)/【右】クロームのバトルイメージ。後編で紹介する第2話 カット65では、このイメージがしっかり再現されている
▲耳部分のガジェットの形状チェック用画像
▲同じく形状チェック用画像【左】。輪郭部分の凹凸は【右】のディスプレイスメントマップで表現されている
▲ガジェットの貼り込み素材発注用のUV相関図
▲クロームのガジェットは神秘的な形状と多彩な色をもつビスマス結晶がモチーフになっており、貼り込み素材には鉱石のような質感の【左】と、様々な色が混じり合った【右】が用いられた
▲質感段階でのOKが出たガジェット。3ds Max上で色相が変化するループアニメーションを付けている
▲クローム(スタイルチェンジ後)のチェック用ターンテーブル
©XFLAG Animation©BNP
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設定画の膨大な情報を下敷きとした
巨大ロボット バールの3Dモデル
設定画の膨大な情報を下敷きとした、巨大ロボット バールの3Dモデル
▲【左】原作のバール/【右】西村氏が手がけたアニメのキービジュアル用のバール
▲西村氏が手がけたバールの設定画。先の原作のバールを基に、通常の2倍近くの量の緻密な設定画がつくられた。【上】は全身(斜め前面)、【下】は全身(側面と背面)の設定画。「ラフ」と書かれているが、モデリングの参考資料として十分使用できる仕上がりとなっている
▲同じく【左】は腕(斜め前面)、【右】は手の設定画
▲先の設定画を基につくられたバールの3Dモデルとレンダリング画像。studio picapixelsの帆足タケヒコ氏が手がけている
▲同じく手の3Dモデルとレンダリング画像。設定画を忠実に再現すると、ラインが多すぎる、レンダリング負荷が高すぎるなどの問題が発生するため、ラインは消してハイライトのみ表現する、カメラに映らない部分は省略するなどの工夫がなされている
キャラクターのリグ
キャラクターのリグは、3ds MaxのCATとボーンを併用している。レンチの場合は、CATのボーン数が69本、それ以外のボーン数が92本となっている。「CATの構造は全キャラクターで共通化されており、ボーン数も同じです。それ以外のボーンは構造も数もキャラクターによって様々で、例えばクリナのボーン数は82本、マチは27本です」(赤塚氏)。
▲レンチのCAT。ボーン数は69本
▲レンチのボーン。前述のCAT以外のボーン数は92本
▲レンチのフェイスリグ。顔の輪郭や各パーツはリグで変形できるようになっており、カット単位で見映えを調整している
キャラクターの口パク
本作のCGは基本的に2コマ打ちだが、口パクだけは開け口4コマ打ち、中口2コマ打ち、閉じ口4コマ打ちにすることで、作画の口パク(3コマ打ち)のタイミングに近づけている。CGの場合、口パクだけを3コマ打ちにするのは手間がかかるため、前述のようなコマ打ちが提案された。
▲口パク参考動画。レンチ、クリナ、フリックコマンダーPH-1、クロームの順番で口パクがつけられている
▲第2話 カット36のレンチの口パク。先の参考動画の方針を基に制作されている
中編は以上です。後編ではエフェクトや第1話・第2話カットのメイキングを中心にお届けします。ぜひお付き合いください。
(後編は2019年2月22日(金)の公開を予定しております)
©XFLAG Animation©BNP
info.
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『ファイトリーグ ギア・ガジェット・ジェネレーターズ』
原作・製作:XFLAG
監督:中島大輔
シリーズ構成:冨岡淳広
キャラクターデザイン:石田智子/鈴木幸江/西村 聡
美術監督:中村典史
色彩設計:柴田亜紀子
撮影監督:貞松寿幸
3DCG:サンライズ D.I.D.スタジオ
サウンドプロデューサー:TeddyLoid
制作:BN Pictures
毎週木曜日夜8時よりXFLAG ANIME公式YouTubeチャンネルで2019年2月14日配信スタート
anime.fight-league.com