5/29(金)、30(土)の2日間にかけて開催された「CG特化」の就職・スキルアップフェス『CGWORLD Entry Live Online』。その中の1企画として、「ライブモデリングNOW」と題し、29日(金)17時のチャンネル内にて発表されたお題に沿って30日(土)15時までの22時間で作品を制作・提出するモデリングコンテストが実施された。お題は、疫病除けの伝説をもつとして最近注目が高まっている妖怪「アマビエ」。期間中Twitter上には様々なアマビエの制作状況がハッシュタグとともに投稿され、最終的に応募総数62作品という予想を大きく上回る盛況ぶりとなった。5/30(土)のチャンネル内にて発表されたその結果と審査員の講評をまとめて紹介しよう。

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コンテスト概要

●スケジュール
5/29(金)17:00~18:00 番組内にてお題を発表
5/30(土)15:00 応募締切
5/30(土)17:40~18:30 スキルアップチャンネルにて結果発表

●参加対象
学生~プロまでどなたでも

●賞品
最優秀賞(第1位):MSIよりノートPC「Prestige-15-A10SC-026JP
優秀賞(第2位〜第4位):ボーンデジタルより定価5,000円以下の書籍

●作品応募条件・審査方法について
5/29(金)17:00~18:00の番組内で発表されたテーマは「アマビエ」。作品審査は審査員4名によって「アイデア」「技術力」の2点から行います。審査員はいずれも全作品の中からお気に入りの作品を選び、持ち点20の中から配点、合計得点の高い作品から表彰。スキルアップチャンネルにて講評結果とともに発表を行いました。

●審査員
森田悠揮さん(造形作家・キャラクターデザイナー)
今泉隼介さん(株式会社モデリングブロス/代表取締役)
田島光二さん(Industrial Light & Magic シニアコンセプトアーティスト)
加藤将司さん(株式会社ORENDA/第二制作課 課長)

第1位:三枝木ニコさん 獲得点数:22点

●自己紹介
スカルプトが好きです!!
artstation.com/onnnno

●作品解説
美しさやかっこよさを意識して制作しました。

●賞品
MSIよりノートPC「Prestige-15-A10SC-026JP」をプレゼント!
製品詳細:https://jp.msi.com/Content-creation/Prestige-15-A10X/Overview

●審査員コメント
【森田:8点】
デザインや、造形の迫力、躍動感が素晴らしい。クリーチャーデザインとしても生物的要素がしっかりありかっこいい。

【今泉:6点】
曲線に勢いを感じました。造形の強弱のバランスが良く、存在感を感じました。ただ、曲線の美しさはTwitter上に上げていた制作途中の正面からの画の方が際立って見えた。

【田島:3点】
現代的にリデザインされたものとしてとてもクオリティとセンスが高いです。

【加藤:5点】
この時間内でのクオリティの高さと視線誘導踏まえた1枚絵としての見せ方が素晴らしい。

第2位:孫イヒさん 獲得点数:13点

●自己紹介
今年ゲーム会社に入社した新人です! クリエイティブなものが好きです!
Twitter:@Yiffy626090

●作品解説
作品のキーワードは【浮世絵、美しい】です。夜の海に光と共に現れたアマビエを表現しました。全体的に和風を重視していて、特に海は日本の浮世絵の雰囲気を出すように工夫しました。病を除けるという神聖さもこだわりました。

●審査員コメント
【今泉:6点】
ラインの作りに動きがあってとても良いと思う。仏閣建築にあるようなシンボリックのまとめ方が面白いと思いました。

【田島:3点】
立体だが平面的なデザインとしてのまとまり、躍動感が美しいです。

【加藤:4点】
"浮世絵"と"アマビエ"の親和性の高さを活かしたデザインで美しいです。

第3位:山口大輝さん 獲得点数:7点

●自己紹介
あらかじめテーマが決まっているものを作る機会はほとんどなかったのでとても楽しめました! モデリングも今までの経験で得たものを思う存分発揮できました!

●作品解説
アマビエは一応妖怪なので、不気味さを少し出すために頭部は骨のようなシルエットにしました。アマビエは豊作や疫病などに関する予言を行なったとされることから、ポージングは指をさして予言をしているイメージにしました。

●審査員コメント
【森田:2点】
キャラクターとしてのデザインがしっかりまとまっていると感じた。技術的にもしっかり造形できている。

【田島:5点】
とにかくかっこいい。三本足のまとめ方もとても美しい。フィギュアでほしいです。

第4位:浅野悠斗さん 獲得点数:5点

●自己紹介
ライティングやコンポジットが好きな新入社員です。制作時間が短い中で最も重要なのは決断の早さだと考え、迷いなく制作に臨みました。
vimeo.com/317918419

●作品解説
オーガニックモデリングでは他者との差別化が図れないと感じ、自分が得意なハードサーフェスモデリングに落とし込めるようなアイデアを考えました。アマビエは漁師に対して「疫病が流行ったら私の絵を描きなさい」と告げたそうですが、それがもし現代の若者に対してだったらどうなっていたか......? という想像の下、制作しました。

●審査員コメント
【森田:4点】
あえてキャラクターモデルではなく背景作品に落とし込んだところがNiceだと思いました。コンセプトがしっかりと考えられていて面白かった。

【田島:1点】
あえて背景作品にしてるところが面白い。アマビエ自体をモデリングしなくてもアマビエのいる世界を妄想させる高度な作品。

第4位:長谷川拓海さん 獲得点数:5点

●自己紹介
普段虫ばかり作ってるので、違ったものを作るのも新鮮で楽しかったです!
hase_insectart.artstation.com/

●作品解説
アマビエの特徴的な顔部分の解釈と、描かれた3本脚は尾びれと前脚を正面から見たものでは?という考えから、アシカ等のシルエットをもとに後ろ足部分を尾ひれとするデザインにこだわりました。鱗やひれの形状から魚類に近い特徴を持つことも読み取れたため、ディテールに取り入れています。短時間で勢いよく作るのはめちゃくちゃ楽しいですね!

●審査員コメント
【今泉:5点】
ディテールの強弱、大胆なシルエットのメリハリが良かった。少ない情報量の中に最低限必要な要素が入っており、うまくまとめられていると思います。台座の形状を工夫するとさらに良くなると思います。

第4位:いなりくん さん 獲得点数:5点

●自己紹介
会社でキャラクター作ってます。よろしくお願いします!

●作品解説
自分なりの解釈で「アマビエ」を作ってみました!

●審査員コメント
【田島:5点】
疫病退散の妖怪というイメージにピッタリハマっていながら今まで見たことのないルックになっていて素晴らしい。

第4位:FLEN さん 獲得点数:5点

●自己紹介
クリーチャーが大好きです。

●作品解説
攻撃力高そうな強いアマビエ様を作りたいと思いました。

●審査員コメント
【森田:2点】
一日という限られた時間でしっかりと全身のデザインと造形ができていて素晴らしい。

【加藤:3点】
気品の高さを感じるデザインと時間内での作業箇所の振り分けが上手。

第4位:白石智誠さん 獲得点数:5点

●自己紹介
北海道の大学生です。趣味でモデリングをしています。

●作品解説
妖怪が持つ動物的な要素を工業製品のような形で表現しました。また、アマビエの特徴的な星型の目が円と球でかたどられるデザインにしました。

●審査員コメント
【森田:2点】
自分の得意分野への落とし込みが上手だと感じた。

【加藤:3点】
コンパクトにまとまったデザインが可愛らしく、プリミティブの扱いが上手。

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選外作品講評

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選外作品講評

惜しくも選外となってしまったが、審査員からの配点を獲得していた作品を紹介する。

鈴木玲音さん 獲得点数:3点

●作品解説
アマビエのコミカルな印象は残しつつ妖怪としての威厳をつけさせるためにチャームポイントである髪の毛はそのままに頭の大きさなどのバランスを図りました。お茶目さの中に少し不気味さが出るように全体的なカラーリングはアマビエ準拠の元、フィギュア感が出るように寄せてみました。怪しげな雰囲気が伝わると嬉しいです。

●審査員コメント
【田島:3点】
色も面白いが、全体の造形としてのリズムがとても心地よく目にとまる。ずっと見ていたくなる。


高瀬 可那夢さん 獲得点数:3点

●作品解説
怖いアマビエが来て疫病退散をしに来るより、元気でちょっとドジなかわいいアマビエに来てほしいと思ったので、今回は元気一杯に疫病退散をしようとしてるアマビエさんを作りました。

●審査員コメント
【今泉:3点】
配色のカラーパレットのまとめ方が上手。片足を上げるなど全身に動きがあると、キャラクターがより引き立つのではないかと思いました。


衣笠圭祐さん 獲得点数:2点

●作品解説
まず設定とストーリーからアイデアを出し始めることにしました。おそらく人間に捕まって海に戻れないところまで連れていかれて干からびたんだと思います。作る途中であふれ出てくるアイデアを取捨選択しながら夢中で作りました☺

●審査員コメント
【加藤:2点】
思わず「死んどるやんけ」とつっこんでしまいました。意外性があって好きでした。


圓谷章吾さん 獲得点数:2点

●作品解説
私の作品は「実はアマビエが美女だったら」というコンセプトで進めました。美しさを求める以上、キャラクターがTポーズではつまらないため、多くの資料を調べてまずはポーズを含めたコンセプトデザインを作成しました。限られた時間の中でもこのコンセプトデザインの時間を多くとることで方向性が定まってからの作業は早かったように思います。そのため、こだわった点を1つ挙げるとすると、シルエットだと思います。

●審査員コメント
【加藤:2点】
ポージングに静と動のコントラストが効いてて、格好良い。動きだしそうな顎のライン〜目線が良いと思います。鱗と肌の境界にひと処理いれることでより良くなると思います。


ねこ隠し@nekokakushi_3dさん 獲得点数:1点

●作品解説
アマビエちゃんがここ最近人類を想いすぎてヒトっぽくなってきたイメージで作りました。好きなレトロカラーを詰め込みたくて着色に時間を割きました。ZBrushで何枚かレンダリングして重ねて仕上げました。

●審査員コメント
【加藤:1点】
美少女らしさとカラーへのこだわりが見えました。アマビエ感がもう少し出せるデザインだとより良いかと。


北村真彩さん 獲得点数:1点

●作品解説
妖怪であるアマビエが実際の動物のように暮らしていたら面白いな......しかも餌は......という、シュールでクスリとできる作品を目指しました。

●審査員コメント
【森田:1点】
ペンギンみたいでかわいい。愛がある。


山本俊輔さん 獲得点数:1点

●作品解説
シルエットはそのままに現実にいたらどんな風な感じかなと想像しながら作りました!

●審査員コメント
【森田:1点】
生物的な脚や顔、鱗など構造とディテールに解剖学的なリアリティがあると思いました。


当日の結果発表の様子(アーカイブ動画)