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国内企業が使用するPCのスペックと価格帯、PCパーツの選定基準について、前年度にひき続きマウスコンピューターの協力の下、4度目の一斉調査を実施した。国内の主要CGプロダクションやゲーム開発会社がどんなスペックで業務を行なっているのか。その動向を知るのと同時に、社内環境のアップグレードの参考にしていただければ幸いだ。

TEXT _神山大輝(NINE GATES STUDIO)

アンケート実施概要
調査対象:「CGプロダクション年鑑 2020」掲載企業296社
調査期間:2020年6月25日(木)~7月8日(水)
調査方法:Webアンケート
回答社数:117社

過去実施調査記事
2019 年度版 制作環境一斉調査
2018 年度版 制作環境一斉調査
2017年度版 制作環境一斉調査

※アンケートの構成比は、小数点以下を四捨五入しているため、 合計しても100%にならない場合があります。

【参考:1】CG年鑑2020年度版掲載企業 従業員規模・業務ジャンル比率

従業員規模

30名以下の企業が過半数を占める一方、101名以上の企業も17%存在しており、個人クリエイターや小規模なスタジオから大規模なスタジオまで、幅広い規模の企業がまんべんなく存在していることがわかる。

業務ジャンル

ゲームを筆頭に、映画、アニメ、TVCMと上位の顔ぶれにはさほど変動がないが、昨年度と比較すると特にゲーム、VRが10%近い伸びをみせている。またその他が67%と、ここには分類しきれないジャンルも多数存在するようだ。

【参考:2】CG年鑑掲載企業 制作ツールの推移(2018~2020)

統合型3DCGツール使用比率(2018~2020年度)

Mayaと3ds Maxの圧倒的な使用率の高さは例年と変わらない。一方、HoudiniとBlenderの使用率はまだ上位2製品と比較すると低位ながらも、年々明確に上昇傾向にあるようだ。

レンダラー使用比率(2018~2020年度)

最も使用されているのはV-Rayで、次いでmental ray、Arnoldという順位になる。上位二種にはまだ及ばないものの、Arnoldが近年その使用率を高く伸ばしている点には注目。

3Dペイントツール使用比率(2018~2020年度)

上位からSubstance Painter、Substance Designer、Foundry Mariという順位は例年と変わらないが、上位二種はこの二年間で大きく使用率が伸びている。

ゲームエンジン使用比率(2018~2020年度)

Unity、Unreal Engineともに、年々その利用率を着実に伸ばしている。今後、ゲームエンジンのさらなる需要の高まりが予想される。

進行管理ツール使用比率(2018~2020年度)

Shotgun、ftrackともに年々使用率が上昇しており、進行管理がより重視されていく風潮を反映した結果と思われる。

※各ツールの使用比率はCGプロダクション年鑑2018~2020年の各年度で掲載している全企業のうち、各ツールを使用していると回答したと企業の比率を示したものである。ライセンス数とは関係ないので注意してもらいたい
掲載企業数は2018年度:313社、2019年度:335社、2020年度:296社

国内CGスタジオのPC構成を明らかにする一斉調査

マウスコンピューターの協力で、年に1回の一斉調査を行う本企画も今年で4回目を迎えた。今年度は「CGプロダクション年鑑 2020」掲載企業にWebアンケートを行い、117社の回答を得た。搭載するCPUやGPUなど主要パーツの傾向や購入価格帯、ストレージ容量にいたるまでをつまびらかにする本企画のアンケート結果から業界の動向を探ると共に、制作環境の変化について読み解いていく。例年と比較して変化がみられたのは、GPUの重要性が高まりNVIDIA GeForce RTX 2080シリーズがシェアを大きく伸ばしている点だ。また、CPUの主流もインテル Core i7からCore i9へと移り変わるなど、全体的にメインストリームがアップグレードしつつある。背景にあるのはGPUレンダリングやゲームエンジンの台頭だけでなく、「作業を効率化したい」というビューポートの滑らかさへの欲求だ。早速アンケート結果をみていこう。

Q1:現在、最も多く使用しているPCについてお聞きします。価格帯(税込)は?

PC購入価格に関しては、41%と最も多くを占めたのが20万円以上30万円未満、次点で26%の30万円以上50万円未満となっている。2019年度と比較しても主要価格帯の順位に変動がない一方で、90万円以上のハイエンドPCが全体の1%から4%へと増加した点が興味深い。ツール側が日進月歩で発展するなか、ハイエンドなコンテンツ制作現場では高価格帯のPCが威力を発揮するシーンが増えつつある印象だ。

Q2:購入時に、重視した構成部品は?

[最も重視]

[2番目に重視]

[3番目に重視]

今年度も「CPU」、「メモリ」、「GPU」の3つが重視される結果となったが、その内訳は変化がみられる。「最も重要なパーツ」としてグラフィックスボードを挙げた会社は昨年度27%だったのに対し、今年は35%と純増。背景にはGPUレンダリングやゲームエンジンによるリアルタイムCGの一般化が挙げられる。一方、I/O系の速度面で重要なストレージは現在も意識されにくい傾向にある。

Q3:CPUは?

2018、2019とトップシェアだったインテル Core i7シリーズが68%→62%→48%と減少し、インテル Xeonも若干減。代わりにインテル Core i9シリーズがシェアを2倍以上に伸ばしている。発売当初は高単価の部類だったCore i9も、この2年で値段と性能のバランスが良く導入しやすいCPUへと変化した。AMD Ryzenシリーズも少しずつ増加傾向にあるが、法人向けPCではまだ採用事例は少ない。

Q4:メモリは?

この1年で大きく変化したのはメモリ積載量だ。従来のボリュームゾーンであった32GBは減少し、代わりに増加した64GBが同率トップとなっている。この背景にはメモリの低価格化が挙げられる。複数アプリケーションの使用時、わかりやすく恩恵を感じることのできるメモリは64GBがひとつの目安となりつつある。

Q5:ストレージ(システムドライブ)の種類は?

HDDが26%から18%に減少し、その分をSATA SSD、NVMe SSDのシェアが増加している。HDDのみを搭載するPCは現在の市場にほぼ存在しないため、SSDへの置き換えが順調に進行しているかたちだ。SATA SSDよりもRead/Write速度が4倍程度となるNVMe SSDも、従来より価格的な部分で導入が容易になったことから、今後シェアがさらに伸びていくはずだ。

Q6:ストレージ(システムドライブ)の容量は?

ボリュームゾーンが512GB、1TBであることに変わりはないが、4TB以上のシェアが確実に増加している。3DCG制作現場で用いるアセットの高解像度および大容量化に起因して、ローカルストレージも必然的に大容量化が求められている。パーツの低価格化が主たる要因だ。

Q7:GPUは?

GPUのトップシェアはRTX 2080シリーズ、次いでGTX 1070~1080Tiシリーズとなっている。GeForceとQuadroの比率は67%対25%とGeForceが優位で、フラッグシップとなるQuadro RTX 4000~8000シリーズも1%から5%へ増加する程度と大きな変化は見られなかった。

「低価格で高性能」を求めるコストパフォーマンス重視派が多数

20万~30万円台レンジがボリュームゾーンという部分は変わらないものの、1年前と同価格帯で64GBメモリや1TB SSDが選択可能になっているほか、CPUもCore i9が主流となるなどシステム全体が順当にスペックアップしている印象を受ける。業界全体ではGPUの必要性が年々高まっており、Unreal Engine 5の登場などをきっかけにさらにリアルタイム3DCGが発展することを考えると、今後はRTXシリーズのシェアがますます拡大することが見込まれる。医療や建築、研究分野などではXeon搭載のハイパフォーマンスモデルが求められる一方、CGスタジオではコストパフォーマンスが強く求められる二極化傾向も感じた。ミドル層にとっては、ピンポイントに必要な要素を強化できるBTOマシンの必要性はさらに高まりそうだ。

なぜマウスコンピューター製品が選ばれるのか?

企業がBTOマシンを導入する事例は年々増加しており、各社の競争も激化している。こうした中、今年度のマウスコンピューターは従来の「コストパフォーマンス重視型」だけでなく、ベンダーと共同開発したパーツを用いたり、独自のハイレベルな出荷基準を設けるといった「マシンの安定性・堅牢性」を強く打ち出している。ブランドイメージについて消費者の意識はどのように変化したのか、アンケートから紐解いていく。


Q1:マウスコンピューターを知っていますか?

ブランドの認知度は100%に達しており、「会社またはオフィスですでに導入・購入経験あり」が前年度56%から61%へと増加、個人購入も5%から6%へ微増するなど着実に浸透しつつある。


Q2:(導入経験ありと回答した方のみ)導入・購入したマウスコンピューター製品のブランドと所有台数は?

業界に先駆けていち早く「クリエイター向け」という特性を打ち出したDAIVシリーズが316台と圧倒的なシェアを誇っている。この反動を受けてかハイエンドまで対応する「MousePro」、一般向けの「Mouse」は減少。なお、ここでの「iiyama」はマシンではなくディスプレイを指している。


Q3:(導入経験ありと回答した方のみ)構成以外で選んだ理由は? ※複数回答可

トップは例年と変わらず「コストパフォーマンス」だが、次点の「安定性」が2019年の11%から17%まで増加しているのが特徴的だ。安定性の改善策が数値に如実に表れており、新たなブランドイメージが定着しつつある。


Q4:これからも継続的に導入・購入しますか?

Yesが「73%」、Noが「27%」と、昨年と比較するとYesの比率が8%下がっている。堅牢性を重視した一方でコストが高まったと感じるユーザーが多く「BTOメーカーの中で一番安定している」という声と「コスパが他社と比べると見劣りする」という相反する声を受け、この結果となった。


Q5:「YES」と回答した方のみ)どのモデルを導入・購入継続しますか?

購入継続も「DAIV」シリーズ一強となっており、CGクリエイターからの根強い信頼を感じる結果となった。オフィスに適合する筐体の見た目と機能性やカスタマイズの自由度、納期の早さがユーザーから評価されている。


導入企業一覧(五十音順)
アタリ/アンダーグラフ/イーストウエスト/インテグラル・ヴィジョン・グラフィックス/Vitto/Volca/ヴォンズ・ピクチャーズ/ウサギ王/NTTラーニングシステムズ/オプティカルフォース/KATACHI/カナバングラフィックス/カプセル/キャニットG/ギャラクシーオブテラー/クラフタースタジオ/クリパリンク/コラット/コロビト/コンセプトラボ/CONTORNO/Composition/シーズクラフト/SiBaFu/ジャストコーズプロダクション/シンソフィア/STUDIO KAIBA/スタジオ・バックホーン/スタジオコメット/スタジオよんどしい/Spooky graphic/Spade&Co./スマートエンジニア/ゼロニウム/ソアズロック/タイトルラボ/ダイナモピクチャーズ/タイプゼロ/タムソフト/デイジー/ナイス・デー/ネストビジュアル/NORIBA/ハイオーガニックジャパン/PAGODA/Boundary/HERE./ファンタジスタ/フィジカルアイ/FES/ブラスト/Barehand Modeling Studio/ポイント・ピクチャーズ/マウンテンスタジオ/マッドボックス/MAPPA/YAMATOWORKS/RIoT Products/ライオットヴィジュアライゼーション/ラフィカ/ランハンシャ/Luminova Japan/レスパスビジョン/京楽ピクチャーズ./空気/天狗 天狗工房/東映 ツークン研究所/東映アニメーション/日本デザインセンター/白組/風車

導入企業が語る、マウスコンピューター製品のお気に入りポイント

・コスパが良く、故障が少ない
・手厚く迅速なサポート
・取っ手やキャスターによるポータビリティ
・カスタマイズの拡張性と自由度が高い
・無駄のない筐体デザイン
・国内生産による高い安定性
・納期が抜群に早い

クリエイターのニーズに寄り添うBTOモデルを展開したい

CGWORLD(以下、CGW):パーツ選定について、「CPU」、「GPU」、「メモリ」が重要であるという認識はそのままに、今年度はGPUが増えている印象です。

譜久島 基氏(以下、譜久島):この3つはPCのスペックを決定づける3要素と言えますが、パーツの第一選択でGPUを選ぶ方々はレンダリング速度よりも描画部分(プレビュー速度)に重きを置いている方が多いと感じました。当社の売れ線はGeForce RTX 2070ですが、3DCG制作会社は最も売れているレンジのさらに上のRTX 2080 Tiをしっかりと選択されているのには驚きました。

  • 譜久島基氏
    (株)マウスコンピューター
    マーケティング本部 製品部

CGW:アンケートでは処理性能や作業効率といったキーワードも散見されます。

譜久島 基氏(以下、譜久島):今回も3位以内に入っていない「ストレージ」についてですが、NVMeにするだけでRead/Write共に数倍の速度が出ますので、作業時の効率がSSDのカテゴリによって大きく変わるという部分をユーザーの皆様に知っていただきたいですね。一見スペックには直結しないように見える部分ですが、ここは最も作業効率に影響があるパーツとも言えます。

CGW:マウスコンピューターを選んだ理由の1位は「コストパフォーマンス」でしたが、今回は2位の「安定性」が昨年より増加しています。これはねらい通りではないでしょうか。

譜久島 基氏(以下、譜久島):安定性について取り上げていただいたのはとても光栄です。マウスコンピューターはひと昔前まで電源周りの故障率が高かったのも事実ですが、ここ数年は社内の検査フローやパーツの選び方を全て一新させるなど安定性を高める努力を続けてきました。特に電源は構造をイチから考えてベンダーと共同開発をしており、出荷前のテストも耐久性に重きを置いた内容に変えています。現在の故障率は競合他社や大手PCメーカーと比べても非常に低くなっています。

CGW:筐体への評価やさらなるスペックを求めるユーザーコメントが多いですが、どのように感じましたか。

譜久島 基氏(以下、譜久島):筐体に関しては、「DAIVはキャスターを付けてオフィス内の可搬性を高める」、「G-Tuneは天板をフラットにしてVRゴーグルを置けるようにする」など、常にお客様の声を反映しています。スーパーハイエンドを求めるユーザーは、MouseProがXeon 2基、複数GPUに対応しています。一番層の厚いDAIVもメモリ最大容量は128GBなので、カバー範囲は広いと思いますね。

CGW:アンケート結果をふまえて、今後はどういった製品展開を行う予定ですか?

譜久島 基氏(以下、譜久島):いただいた内容から、今はAMD製品への興味関心が非常に高いと感じましたので、ラインナップの拡充に努めます。最適な性能を最適な価格でご提供するのがBTOのモットーですが、安定性のためのワークフローが増えた分、相応にコストもかかるようになりました。コストパフォーマンスを求める層にとってはAMD製品が必要だという部分を改めて感じましたので、出荷基準を満たすかをきちんと確認しながら対応していきますのでご期待ください。

マウスコンピューターが2020年にオススメするマシン構成

●DAIV 5N
本体約1.77kg、15.6型の狭額縁液晶装備
外出先でも高負荷の作業に対応できる
コンパクトかつ高性能なノート

2020年7月価格:179,800円~(税別・送料別)

  • OS
  • Windows 10 Home 64bit(Pro 64bitへカスタマイズ可能)
  • CPU
  • インテル® Core i7-10875H プロセッサー( 8コア/16スレッド/2.3GHz [最大5.1GHz]/16MBキャッシュ)
  • グラフィックス
  • NVIDIA GeForce RTX 2060(6GB)
  • メモリ
  • 512GB(NVMe対応)
  • M.2 SSD
  • 256GB(NVMe対応)
  • 液晶パネル
  • 15.6型 フルHDノングレア
  • 電源
  • リチウムポリマー内蔵バッテリー(動作時間約5.5時間)ACアダプタ 230W (19.5V)、 AC100V (50/60Hz)
  • 保証期間
  • 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート

●DAIV A9
第3世代AMD Ryzenプロセッサー搭載
様々なクリエイティブ環境が構築できる
拡張性の高いミドルレンジPC

2020年7月価格:204,800円~(税別・送料別)

  • OS
  • Windows 10 Home 64b(it Pro 64bitへカスタマイズ可能)
  • CPU
  • AMD Ryzen 7 3700X プロセッサー(8コア/16スレッド/3.6GHz [ ブースト時最大 4.4GHz ]/32MB L3キャッシュ)
  • グラフィックス
  • NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER(8GB)
  • メモリ
  • 32GB (16GB×2/デュアルチャネル)
  • M.2 SSD
  • 1TB (NVMe対応、Gen4×4 接続)
  • 拡張カード
  • Thunderbolt 3
  • 電源
  • 800W 80PLUS® TITANIUM
  • 保証期間
  • 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート

●DAIV X10-QR4
NVIDIA Quadro RTX 4000搭載
リアルタイムレイトレーシングにも
対応したハイエンドモデル

2020年7月価格:379,800円~(税別・送料別)

  • OS
  • Windows 10 Home 64b(it Pro 64bitへカスタマイズ可能)
  • CPU
  • インテル® Core i9-10900X(10コア/20スレッド/3.7GHz [ブースト時最大 4.7GHz]/19.25MB スマートキャッシュ/HT対応)
  • CPUファン
  • 水冷CPUクーラー
  • グラフィックス
  • NVIDIA Quadro RTX 4000(8GB)
  • メモリ
  • 32GB (8GB×4/クアッドチャネル)
  • M.2 SSD
  • 256GB (NVMe対応)
  • 拡張カード
  • Thunderbolt 3
  • 電源
  • 800W 80PLUS® TITANIUM
  • 保証期間
  • 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート

問:株式会社マウスコンピューター
TEL(法人):03-6739-3808(平日9~18時、土日祝10~20時)
www.mouse-jp.co.jp/business/



  • CGプロダクション年鑑 2020
    編集:CGWORLD編集部
    定価:本体1,800円 + 税
    発行・発売:株式会社 ボーンデジタル
    ISBN:978-4-86246-484-2
    総ページ数:336 ページ
    サイズ:A4変型、オールカラー URL:https://www.borndigital.co.jp/book/19342.html