ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのComputer Vision & Learning Group(CompVis)・Munich Center for Machine Learning(MCML)の研究チームは4月21日(月)、3D Gaussian Splattingの高速化技術「EDGS: Eliminating Densification for Efficient Convergence of 3DGS」を発表した。
EDGSでは、3D Gaussian Splatting(3DGS)の課題である密度化(densification)プロセスを排除し、三角測量を用いた初期化を採用することにより、最適化プロセスの短縮と高品質な描画を実現する。
3DGSの密度化のプロセスでは、長い最適化プロセスが必要となることや、ディテール豊かな高周波数領域の描画品質が最適化されていないこと、新しいGaussianが追加されるごとに調整が必要になることなどが課題となっている。
EDGSではその密度化プロセスを完全に排除し、密な2D画像の対応点(dense image correspondences)から得られる三角測量(Triangulation)を用いて、一度にシーンのジオメトリを近似する。これにより、入力RGB画像から得られる豊かなディテールは保持され、最適化プロセスも大幅に短縮、新しいGaussianが追加されても調整を待つ必要がなくなり、高周波数領域を含むシーン全体でばらつきのないディテール感を確保できるという。
EDGSと3DGSを比較するベンチマークでは、顕著な結果が出ているという。知覚的類似性の指標であるLPIPSスコアでは、EDGSがオリジナルの3DGSのスコアを25%のトレーニング時間で達成し、標準的な3DGSの60%のSplatsしか使用しない。Gaussianの移動距離は1/50(最終座標移動距離)、1/30(座標におけるパスの全長)に削減、色の調整に費やすパスの全長も1/2に減少。また、基本的なEDGSの処理は10〜20秒程度で完了する。
なお、EDGSは他の3DGS高速化技術との互換性があるため、既存アプローチと統合して汎用的に利用可能となる。
■EDGS: Eliminating Densification for Efficient Convergence of 3DGS(プロジェクトページ、英語)
https://compvis.github.io/EDGS/
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