Aziel Artsは4月28日(火)、自身のYouTubeで、Unreal Engine 5用のライティング&環境構築アセット「Ultra Dynamic Sky」を利用したグラウンドフォグの作成手順を解説する動画「Realistic Ground Fog in Unreal Engine 5 (Ultradynamic Sky Tutorial)」を公開した。シーン全体に対するボリュメトリック フォグの基礎的な設定から、特定のエリアへの局所的な適用、さらにはブラシツールを用いたフォグのペイント配置まで、約22分にわたって網羅的に解説している。
ボリュメトリック フォグの減衰による深度表現
Ultra Dynamic Skyでは、単なる距離や高さベースの計算とは異なり、空間内の光の散乱をシミュレートすることで、よりフォトリアルな空気感を演出できる。特に「Volumetric Fog Extinction(フォグの減衰)」については、光がフォグ内で減衰して完全に視界が遮られるまでの割合や強度を指す係数であり、単なる濃度の調整を超えて「視線がどれだけフォグの奥まで見通せるか」を制御できる。また、フォグの開始地点を定める「Min/Max Fog Start Distance」を調整することで、カメラに近い位置から段階的にフォグを発生させ、環境の奥行きを強調することができる。
メッシュ ディスタンス フィールドを活用した接地感のあるフォグの生成
地面を這うようなグラウンドフォグを描画する前提条件として、Ultra Dynamic Skyで「Render Ground Fog」を有効にする際、UE5のプロジェクト設定で「Generate Mesh Distance Fields(メッシュ ディスタンス フィールドの生成)」をオンにしておく必要がある。メッシュ ディスタンス フィールドを活用することで、フォグが地形の起伏や配置されたメッシュオブジェクトを正確に認識し、物理的に正しいかたちで地表付近に滞留する表現が可能となる。
ウェザーオーバーライドボリュームによる局所的な天候制御
環境全体ではなく、沼地や水辺など特定のエリアのみにフォグを発生させる手法として、「Weather Override Volume」を用いた局所的な天候制御方法を紹介。Ultra Dynamic Skyの天候システム「Ultra Dynamic Weather」をシーンに配置し、指定した空間に対し「Foggy」などのデータアセットを天候プリセットとして割り当てる。
これにより、ボリューム外では晴天を保ちつつ、ボリューム内部に入った瞬間に霧が濃くなるという、ダイナミックで局地的な環境変化を構築できる。なお、データアセット内の数値を変更した際は、ブループリント上でアセットを一度別なものに差し替えてから元に戻さないとビューポートに更新が反映されない点に注意が必要とのこと。
マスクブラシを用いた精密なフォグのペイント配置
ボリュームによる範囲指定からさらに精度を高めるアプローチとして、「Weather Mask Brush」を使用したペイントワークフローを解説。本来このブラシは特定のエリアの天候効果を除外する目的で使われるが、動画では逆に「特定の部分のみにフォグを描画する」手法として使用している。Mask Painterウインドウを開き、まずは全体を黒で塗りつぶしてフォグの効果をゼロにリセットする。その後、ブラシの色を白に反転させ、フォールオフを調整しながら水辺などの局所的なエリアのみをペイント。ポリゴンベースのボリューム制御に頼らずに、有機的かつ精密なフォグの配置が可能となる。
■Realistic Ground Fog in Unreal Engine 5 (Ultradynamic Sky Tutorial)(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=OUHz8ZI01Uk
Ultra Dynamic Skyについて
Ultra Dynamic Skyは、Everett Gunther氏が開発・販売するUnreal Engine向けの柔軟な空と天候の構築システム。太陽や月、スカイライトといったシーン内の主要なライティングが空の状態と完全に同期するように設計され、時刻を変更するだけで、空やライティングのあらゆる要素が連動して更新される。また、シミュレーション機能を有効にすることで、緯度、経度、日付、時刻といった現実世界の地理・時間データを用いて、太陽や月、星の正確な位置を計算し、現実と合致する物理的に正しい天体配置をシーン内に再現することもできる。
ライセンスは個人またはプロフェッショナルの2種類が用意され、過去12か月の収益または資金調達額が10万米ドル以下が対象の個人ライセンスは7,942円、10万米ドル超のユーザーが対象のプロフェッショナルライセンスは31,775円。
■Ultra Dynamic Sky(Fab)
https://www.fab.com/listings/84fda27a-c79f-49c9-8458-82401fb37cfb?lang=ja
CGWORLD関連情報
●Zibra AI、UE向けプラグイン「ZibraGDS」オープンベータ開始 独自圧縮技術とリアルタイムレンダリング技術により破壊や流体、キャラクターアニメーションなどのVFXを高速描画
Zibra AIがUnreal Engineでアニメーションジオメトリの圧縮とリアルタイムレンダリングを実現するプラグイン「ZibraGDS」のオープンベータ版を公開。独自の圧縮技術により、複雑な3Dモデルの動きを維持したまま、データサイズを劇的に削減しつつ高速に描写する。対応するUnreal Engineのバージョンは5.3〜5.7。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202605-ZibraGDS.html
●UE5による日本の桜舞う風景環境制作のブレイクダウン動画 MegaPlants、Cine カメラ、パーティクル、ムービー レンダー キューなど活用、プロジェクトファイル無償配布
pinkpocketTVがYouTubeでブレイクダウン動画「Unreal Engine 5 Beginner Tutorial: Create a Cherry Blossom Environment」を公開。Unreal Engine 5.7を用いて、桜が舞う日本風の環境を構築し、シネマティックなアニメーションをつけてレンダリングするまでの実践的なワークフローが解説されている。また、本動画のプロジェクトファイル(アセットは含まれない)は同氏Patreonで無償配布。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202604-UE5CherryBlossom.html
●【Unreal Engine】コロビトの若手背景アーティストが、今はなき神楽坂の横丁を手作業で再現。自主制作CG映像『みちくさ横丁』
コロビトの若手背景アーティストが、Unreal Engineを用いて今はなき神楽坂の横丁を手作業で再現した自主制作CG映像『みちくさ横丁』のメイキング記事。モデルにはハイポリゴンとローポリゴンを用意しベイク処理でディテールを保持したほか、キャラクターの歩行モーションを活用したカメラワークや曇天のライティングなど、細部へのこだわりと工夫が解説されている。
https://cgworld.jp/article/202603-UE-3DEnv-Colobito.html