PlayCanvas社は9月9日(水)、3DGS(3D Gaussian Splatting)データ向けのオープンソース編集ツール「SuperSplat Editor 3.0」をリリースした。レンダリング基盤がWebGPUで完全に再構築され、数百万スプラットを超える大規模シーンにおけるメモリ消費量を大幅削減。また、3D空間上の表面を正確に選択できるブラシツールや、選択範囲に対するカラー調整機能なども実装している。

WebGPU再構築による大規模シーン対応と低メモリ化

「SuperSplat Editor 3.0」では、エディタ全体の基盤がWebGPUへと刷新。投影・カリング・ソート・描画処理といった一連のプロセスが毎フレームGPU上で実行されるようになり、スプラットデータもチャンク化されたGPUストレージに格納される仕組みとなった。これにより、メモリ効率が飛躍的に向上し、440万スプラットのシーンの場合、アイドル時のメモリ消費量は従来の1,557MBからわずか105MBへと減少。また、1,080p動画のレンダリング時においても1,673MBから142MBへと劇的な低メモリ化を実現している。

Stochastic Alphaモードによる快適な操作性

数千万規模のガウシアンをリアルタイムにソートする処理は、GPUにとって非常に負荷が高い。そこで今回、新たにStochastic Alpha(確率的アルファ)モードを導入。カメラ移動中などの操作時には負荷の高いソート処理をスキップし、描画順序に依存しない手法で軽量に描画を行う。これにより、非常に重いシーンでも視点移動の滑らかさが維持され、ユーザーが操作を停止した瞬間に正確なソートによる高精細な描画へと切り替わることから、パフォーマンスと作業精度が両立する。

3D表面を正確に捉えるSphere Brush

シーン編集における選択作業を効率化するため、新たにSphere Brushを追加。3D空間内のオブジェクトの表面に直接ペイントするように選択範囲を指定できる。ストロークの各点が深度情報に基づいて取得されるため、シーンの奥にある不要なオブジェクトを誤って選択してしまうことなく、意図したオブジェクトの表面だけを正確に選択できる。

選択範囲に対するカラー調整

Colorsパネルが画面左側のシーンマネージャー内に移動し、シーン全体だけでなく選択範囲に対しても個別に適用可能となった。Tint、Temperature、Saturation、Brightness、Black point、White point、Transparencyといった詳細なパラメータをリアルタイムでプレビューしながら調整できる。調整後はApplyボタンで状態をベイクできるため、特定の部分のみ色味を変更するなどの実践的なルックデヴをエディタ上で完結できる。

Appearanceパネルへの機能統合とUI改善

ガウシアンの形状や中心点、リングの描画方法、さらには色合いや選択時のアウトライン表示など、見た目に関する設定項目が右側ツールバーのAppearanceパネルに一元化。また、作業領域を妨げないよう、グリッドなどのオーバーレイ表示はデフォルトでオフに変更されており、Tabキーを押すことで素早く切り替えられるようになった。視界に関する各種トグルスイッチも、新しいオーバーレイポップアップ(目のアイコン)に移動している。

■SuperSplat Editor
https://superspl.at/editor

■New in SuperSplat: Editor 3.0 Rebuilt on WebGPU(PlayCanvas Blog)
https://blog.playcanvas.com/new-in-supersplat-editor-3-0-rebuilt-on-webgpu/

■SuperSplat Editor(GitHub)
https://github.com/playcanvas/supersplat

CGWORLD関連情報

●Three.js r186リリース 3DGS対応、ボリュメトリックフォグ、新マテリアル、スカルプトなど機能多数追加

9月9日(水)、オープンソース(MITライセンス)の3Dグラフィックスライブラリ「Three.js」の最新バージョン「Three.js r186」がGitHubで公開。WebGPUを軸とした多彩なレンダリング機能の強化をはじめ、3DGS(3D Gaussian Splatting)の導入やマテリアル、ポストプロセッシングの高度化などのアップデートが実装されている。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202610-Threejs-r186.html

●World Labs、マルチモーダル世界モデル「Atlas」を発表 3D空間再構築や時空間シミュレーションなどを単一アーキテクチャで処理可能

World LabsがSpatial Intelligence(空間知能)の実現に向けた次世代のオムニ世界モデル「Atlas」を発表。Atlasは、テキスト・画像・動画・3Dといった複数のデータ形式をネイティブに処理できるようゼロから事前学習された、マルチモーダル自己回帰型拡散トランスフォーマー(Multimodal Autoregressive Diffusion Transformer)。ワールド生成や3D空間の再構築、時空間シミュレーションといった高度なタスクを、単一のアーキテクチャでこなすことができる。執筆時現在、一部のパートナー企業向けにアーリーアクセスとして提供されている。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202609-WorldLabs-Atlas.html

●Kou Nakamura氏、Isaac Simに3DGSを​持ち込みレンダリングするまでの検証記事を公開 産業用シミュレーションで​使う際の​本質的な​弱点と回避策を提示

Kou Nakamura(中村 航)氏が、ロボットや自律移動の検証環境「NVIDIA Isaac Sim」に対して、3DGS(3D Gaussian Splatting)のデータを導入し、産業用シミュレーションで活用するためのワークフローについて検証する記事「NVIDIA Isaac Simに3DGSを持ち込む」を公開。スキャンした実在の街並みを実写品質の背景として活用しつつ、物理演算の同居や学習用画像の量産を実現するための実践的な手法がまとめられているほか、Isaac Sim公式ドキュメントに記載されていない技術的な障壁の存在と、産業用途における3DGSの弱点を補強するための解決策が提示されている。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202608-3DGS-IsaacSim.html