カナダSideFX社は6月14日(金)、同社Houdini YouTubeチャンネルで「Houdini 20.5 Sneak Peek」を公開。サンプル動画や操作画面を組み合わせ、ナレーションなど解説を排したティザー動画により、最新機能の概要を紹介した。そして、6月27日(木)には、Houdini 20.5発表イベントのキーノート動画「Houdini 20.5 Keynote」(6月18日開催)を公開。同社キーパーソンによる最新機能のプレゼンテーションが2時間超にわたり記録されている。製品のリリースは7月中旬としている。

Houdini 20.5 Keynote
Houdini 20.5 Sneak Peek

今回のアップデートは、アセット開発からショットレイアウト、レンダリングに至るまで、制作パイプライン向けのツール群が拡充される、大規模なものとなる。ここではそのいくつかを簡単に紹介する。

複数のマテリアルを組み合わせたシミュレーションに対応する「MPMソルバ」

「Sneak Peek」0:41~、「Keynote」14:10~
FLIPソルバを固体力学に拡張したMPM(Material Point Method)ソルバが新搭載。雪や土、泥、コンクリート、金属、ゼリー、ゴム、水、蜂蜜、砂などの複数の素材をシミュレーションできる。OpenCLをベースとした実装で、バックグラウンドグリッドにはNanoVDBを使用する。

イメージ処理フレームワーク「Copernicus(COP)」※ベータ

「Sneak Peek」4:17~、「Keynote」1:25:00~
GPUベースの2D/3Dイメージ処理フレームワークCopernicus(COP)がベータ実装となった。従来のコンポジットノード(COP)を根本から再設計して誕生したCopernicusは、2Dと3Dを統合し、3D空間内でリアルタイムの画像操作を可能とする。SOPとの完全な相互運用が可能なほか、Substance Designerのようなプロシージャルパターン生成、NPR(Non-Photorealistic Rendering)にも対応する。従来のCompositingノードは将来的にCopernicusノードに置き換えられる予定だ。

APEXによるリギング&アニメーション「KineFX」の更新※ベータ

「Sneak Peek」3:02~、「Keynote」33:00~
Houdini 20で実装されたPythonベースのスクリプティングインターフェイス「APEX」によるリギングとアニメーションのワークフロー「KineFX」が更新。翼や羽根のリギングとアニメーションに対応したほか、非破壊のアニメーション「レイヤー」作成、OpenCLベースのシワのリアルタイム変形などが可能となった。

車のジオメトリを動的な車リグに変換する「RBD Car Rig SOP」

「Sneak Peek」1:31~、「Keynote」24:53~
方向指定した車のジオメトリを走行可能なダイナミックなリグに変換する、SOP ベースのノード「RBD Car Rig SOP」が搭載される。サスペンションやモーター用のコンストレインを備えるほか、タイヤの変形にも対応。動力学に基づき、軌道に沿わせることもできる。

その他の新機能

モデリング:インタラクティブなハイレゾリューションメッシュへのスカルプトツール、Quad Remesher(ベータ)の機能向上など
キャラクターFX:Muscles & Tissue、Feathers、Hair & Furに新機能搭載
Karma XPU:シェーダのプリコンパイル、適応サンプリング、ブルーノイズの実装により大幅に高速化
PDG(Procedural Dependency Graph):Processorまわりの新TOPノード搭載や機能改善、スケジューラ、APIなどの更新
機械学習:SOPsにはネイティブ機械学習トレーニングフレームワーク、APEXには機械学習サポートが実装。CopernicusにもONNX COPによる基本的な機械学習フレームワークを搭載

CGWORLD関連情報

●Houdini×UEFNで制作した13の『フォートナイト』ワールドを紹介! 7週間のワークショップ「パラメトリック・ワールド」レポート

2024年春に開催された京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab主催「パラメトリック・ワールド / Parametric World」のレポート。Houdiniを用いたプロシージャルなワールド制作と、UEFNを用いたインタラクティブなメタバース空間生成までをワークショップ形式で体験できる。
https://cgworld.jp/article/202405-parametricworld.html

●新・海外で働く日本人アーティスト「朝から晩までHoudini漬けの留学生活で"帰れ!"と言われるまで勉強しました」第96回:加藤直樹 (Naoki Kato)

Houdiniを活用したシミュレーションワークを得意とする、Sony Pictures Imageworks加藤直樹氏へのインタビュー記事。
https://cgworld.jp/regular/096-kato.html

●アニメの現場で活きるHoudiniの使い方 モンスターストライクPVメイキング ~CGWCC 2023(5)

2023年11月開催の「CGWORLD 2023 クリエイティブカンファレンス」に登壇したYAMATOWORKSによるセッション「アニメの現場で活きるHoudiniの使い方【モンスターストライクPVメイキング】」のレポート記事。
https://cgworld.jp/special-feature/sycom-yamatoworks-cgwcc2023.html