DreamWorks Animation社は12月20日(金)、オープンソースの同社プロダクションレンダラ「MoonRay 1.7」をGitHubで公開した。バージョン1.7ではポータルライトが追加されたほか、Hydraレンダーデリゲートの「hdMoonRay」がクリプトマットIDのマット生成システムをサポートした。
MoonRayはDreamWorksのインハウス・プロダクションレンダラで、高性能なモンテカルロ・パストレーサー。『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』(2019)、『クルードさんちのあたらしい冒険』(2020)、『バッドガイズ』(2022)、『長ぐつをはいたネコと9つの命』(2022)などで使用され、2023年からオープンソースソフトウェアとして公開されている。ライセンスはApache 2.0。
MoonRayは物理ベースの広範なマテリアルライブラリを備え、スタイライズとフォトリアルの両方のアウトプットに対応するほか、VFXに必要とされるAOVs(Arbitrary Output Variables、要素別のレンダリング出力)やLPEs(Light Path Expressions)の出力機能も備える。
同社クラウドベースの分散レンダリングフレームワーク「Arras」、レンダリング効率を高めるCPUとGPUのハイブリッドレンダリングモード「XPUモード」も搭載。
長期にわたるレンダリングパフォーマンスの追跡が可能なスタンドアロンツールのProfiling Viewerも用意。レンダリングプロセスのどの段階にパフォーマンスが影響しているかをピンポイントで特定できる。
また、Hydraレンダーデリゲートの「hdMoonRay」が付属し、HydraデリゲートをサポートするDCCアプリケーションのビューポートレンダラとしてMoonRayを統合できる。
バージョン1.7では新しいポータルライト(PortalLight)ライトタイプが追加されたほか、hdMoonRayでクリプトマットIDマット生成システムをサポートする。また、XPUモードではNVIDIA GPUの利用時に通常のレイとオクルージョンレイの両方を高速化している。
■MoonRay Production Renderer(公式サイト、英語)
https://openmoonray.org/
■Release v1.7.0.0リリースノート(GitHub、英語)
https://github.com/dreamworksanimation/openmoonray/discussions/173
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