Red9 Consultancy社は1月23日(木)、2024年12月に公開された映画『ソニック×シャドウ TOKYO MISSION』(原題:Sonic The Hedgehog 3)においてリギングに参加したことを同社ニュースページで発表し、ブレイクダウンの記事およびYouTube動画を公開した。さらに、映画用に開発された新ツール群をMaya用アニメーションパイプライン「Red9 Pro Pack」に追加した。
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Red9 Consultancy社(以下、Red9)は本作のために全キャラクターのボディ&フェイシャルリグを開発し、セットアップを担当した。
Red9は前作『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』(原題:Sonic The Hedgehog 3)でもリギングを担当しており、ベース技術の蓄積があった。しかしパラマウントのキャラクターチームは本作で、アニメーターによるより柔軟な演技の微調整を担保するだけでなく、顔の形状をより強く押し出したいと考えていた。
そのためRed9は、全リグ制御システムを本作用に複雑化する決断をした。新しいレベルのメッシュ制御を追加・管理するため、スカルプトの段階で膨大な作業が行われたという。
本映画用のリグは全てMayaのネイティブノードで構築されている。慎重に構造化されたスタックでデフォーマをレイヤー化し、高度なテクニックによりリグをリアルタイムで動作させることで、アニメーターのスムーズな作業、生産性の維持に配慮した。
そしてRed9は、キャラクターの髪のスパイクを処理するためのセカンダリオーバーラッピングアニメーションツールや、ダイナミックな高速移動をキャプチャする新しいアニメーショントレイルツールといった、映画用のカスタムツール一式の開発も任された。
その他、ソニックとナックルズの移動時に使用するセカンダリー“ボール”リグや、モーショントラッキング用の様々なデジタルダブルスタンドインリグも提供したそうだ。
そして開発ツールのうちふたつのツールは、同社Maya用アニメーションパイプライン環境「Red9 ProPack」のアップデートとして吸収されている。
ひとつは、ソニックの顔を制御するデフォーマスタックの構築に使用した「Transfer Deformation Stack」。スキニングと変形をあるオブジェクトから別のオブジェクトに転送することができる。
もうひとつは「Ripple Animation」。ソニックの後頭部にある羽の重なり合う2次モーション作成用に開発されたものだ。
■Sonic the Hedgehog 3(Red9 News、英語)
https://red9consultancy.com/sonic-the-hedgehog-3/
Red9 Pro Packについて
「Red9 Pro Pack」は、プロアニメーター向けのMaya用プロダクションパイプライン。アニメーションのリターゲット、ゲームエクスポーター、カスタムリグハンドラーなど、数百の個別ツールからなる膨大なツールセットと、40超のカスタムUIからなるスイート製品である。
ライセンスはサブスクリプションで提供され、1年450ユーロ(約72,000円)。30日間のフリートライアルも提供している。
CGWORLD関連情報
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https://cgworld.jp/flashnews/202502-V-Ray7-Maya-Houdini.html