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実力派CGプロダクション8社による座談会「リガーの今とこれから」

実力派CGプロダクション8社による座談会「リガーの今とこれから」

本誌でもお馴染みのCGプロダクション8社のリギング担当スタッフによる座談会を開催。プロダクションの規模や作風ごとに異なるリグ周りのワークフローから、リガーの将来に対する思いまで、赤裸々に語ってもらった。
※役職、ワークフローなどの情報は座談会実施時点(2016年1月下旬)のものです

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EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充/ Mitsuru Hirota



リグを中心に眺めた各社のワークフロー

平(アニマ):本日進行役を務めさせていただきます、株式会社アニマの平です。普段はディレクションや、モデリング、リギングを受け持っています。今回は様々なプロダクションのリガーの皆さんが集まっているので、どんな作業をしているのかとても気になります。まずは、みなさんそれぞれのリグに関連するワークフローなどをご紹介いただければと思います。当社はリガーという職分はなく、セクションとしても存在していません。アニマティクスモデルはモデラーがリグを付け、本番アニメーション用のリグはアニメーターが組んでいます。

田淵(DF):株式会社デジタル・フロンティアの田淵です。セットアップ室のシニアデザイナーを務めています。担当はリギング、シミュレーション用のセットアップで、当社ではアニメーションが上がってきた後のClothシミュレーションをかけるのもセットアップ室の担当です。また、アニメーションツールがMotionBuilderなので、リギングもそれに合わせたものになります。ワークフローとしては、まずアニマティクスモデルにアニマティクス用リグを組んで、アニマティクス作業が進んでいる間に、レンダー用のモデルにリグを組みます。アニメーションが上がってきたら、シミュレーションに取りかかります。

赤木(マーザ):マーザ・アニメーションプラネット株式会社の赤木です。当社は昨年からモデラーとリガーとアニメーターがまとまって、1つのチームを構成するという取り組みを始めました。作業者単位でやることが混ざっているわけではないのですが、この三者が密に連携しています。作業はモデル→リグ→アニメーションとながれていくわけではなく、それぞれがそれぞれに進めつつ、お互いの作業内容を更新・共有し、何度も行ったり来たりを繰り返して作業を進めていきます。いまはこの体制をプロジェクトによりけりで試みています。リガーはClothシミュレーションも担当し、リグの作業が済んだらそちらへ移ります。

  • 赤木達也/Tatsuya Akagi
    マーザ・アニメーションプラネット キャラクターチーム マネージャー
    前身の株式会社セガVE研究開発部より、同社でのプロジェクトにリガーとして携わる。2015年よりモデラー、アニメーター、リガーをまとめたチームの同職。主な作品は映画『キャプテンハーロック』(2013)
    www.marza.com

    『キャプテンハーロック』 ©LEIJI MATSUMOTO / CAPTAIN HARLOCK Film Partners

福本(PPI):株式会社ポリゴン・ピクチュアズの福本です。アセット部の部長を務めています。アセット部の中は「モデリング」、「エンバイロメント」、「リギング」の3つのグループがあります。以前は独立したグループとして存在していたのですが、3年前にアセット部門として再編成されました。通常業務としては部署の管理を行いながら、手が空いているときにはリグ実務のサポートに入り、プレイングマネージャーとして活動しています。

:エンバイロメントというのはどういう作業を指すのでしょうか?

福本(PPI):いわゆる背景チームのことです。以前はモデリンググループ内に「キャラクター」と「背景」という作業分担がありましたが、求められる能力や技術が異なるということもあり、昨年別グループとして分けました。ワークフローに関しては、まずプロポーションを確定させたモデルを用意し、レイアウト用のリグを設定します。主に体のコントローラのみの設定ですが、アニメーション時にも同じコントローラを使用します。レイアウトとモデリングの作業は並行して進めており、モデル完成後にセカンダリを含めた本番リグを設定し、その後、アニメーション、というながれになります。PPIではシミュレーションはアニメーション部の「PBA(フィジカルベースド・アニメーション)チーム」グループが担当します。PBAは服や髪のリグの仕込みと実際のシミュレーションを行います。アニメーターの手が空いている場合はアニメーターにも対応をお願いしています。以前はリグ側で対応していましたが、演出的な要素も大きく、アニメーションとの関わりも強いだろうということで、アニメーション寄りの作業として整理されました。

荒井(ILCA):株式会社ILCAの荒井です。当社は完全部署分けで制作を行なっていて、リグはリギングセクションが担当しています。それ以外の部署についても、よくある分業のしくみ通りの体制かと思います。ワークフローはアニマさんが提示されたものに近いです。シミュレーションチームはありませんが、ダイナミックボーン等の簡易シミュレーションはアニメーターが担当します。一方でClothやHair等のシミュレーションはリガーが担当するというかたちでまだ厳密には定まっていない状況です。

  • 荒井修平/Shuhei Arai
    ILCA プロダクショングループ リグセクションリーダー
    建築、広告分野でデザイン業務を経た後、WAOクリエイティブカレッジ、AlchemyでCGの講師を担当。その後、コナミデジタルエンタテインメントに入社。CGゼネラリスト、テクニカルアーティストとして開発に従事する。2013年にILCA入社。リギング部門で、キャラクターリグ開発、ツール開発などを担当
    ilca.co.jp

    映画『ラブライブ!The School Idol Movie』 ©2015 プロジェクトラブライブ!ムービー

金田(サンジゲン):株式会社サンジゲンシステム開発部の金田です。部署名の通り現場からはちょっと離れたところでやっておりますので、本日いらっしゃる方々とは多少毛色がちがうかもしれません。現在サンジゲンでは、現場にリグのディレクションができる者がおらず、別部署ながら手伝っている状態です。これまでモデラーやアニメーターといった区分程度でリガーという役職もなく、最近ようやくそのあたりがやんわりと分けられて、リガーがやっと数名になってきたというところです。というのも当社は主にセル・シェーディング中心の映像を制作しており、メインツールは3ds Maxで、MotionBuilderなど他ツールとの連携も基本的に発生せず、最初から最後まで3ds Max内で完結します。このため、専門のリガーがいなくても、基本的なリグはBipedやCATなどMax標準のものを活用して、それなりにかたちになります。応用的なものはそれをカスタマイズするようなかたちで組みますので、リギングのスタイル自体が社内外でだいぶちがうかなと思います。

久保(OLM):株式会社オー・エル・エム・デジタルの久保です。当社はプロジェクトごとに異なる作風の作品を手がけることが多く、結果的に社内に複数種類のパイプラインが存在している状態です。僕が参加しているフルCG案件のパイプラインですと、完全部署分け体制で進行しますので、最近手がけた『ルドルフとイッパイアッテナ』では「キャラクター」「BG」「プロップ」「リガー」「アニメーション」「シミュレーション」「エフェクト」「ライティング/コンポジット」という感じの分担になりました。また、案件によってはこの後の工程に立体視チームが並ぶこともあります。リグのフローとしては、大体シルエットのOKが出たくらいから組み始めて、その後もちょこちょこ変更が入りますが、差し替えをどんどんできるようなシステムを組んでいるので、多少の「割りが増えました」くらいの内容についてはフレキシブルに対応しています。なるべくアニメーターには本番状態で渡せるように心がけています。間に合わないときはぶつ切りモデルだったりもしますが。最近の悩みとしては、やはりリガー不足ですね......応募はちらほらありますが、やはりもっと国内からの応募があるといいなと。

小森(グーニーズ):株式会社StudioGOONEYSの小森です。当社も、リグ専属という感じのリガーと呼べる人はいなくて、兼業リガーがリグを組んでいる体制です。「リグセクション」というのはあって、3~4名ほどがリグ主要メンバーになっているんですが、リグの仕事がないときは他のところに駆り出されていたり、テクニカルに回されていたりして、完全なリガーではないというところが悩ましいです。当社は設立4年目、自分がリグをやって2年目なのですが、なかなか安定して取り組めないため、長期的な視点でリギングシステムを構築するといったことができないのを何とかしたいと思っている状態です。

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リガーになったきっかけ

Profileプロフィール

アニマ/ILCA/オー・エル・エム・デジタル/サンジゲン/StudioGOONEYS/デジタル・フロンティア/ポリゴン・ピクチュアズ/マーザ・アニメーションプラネット

アニマ/ILCA/オー・エル・エム・デジタル/サンジゲン/StudioGOONEYS/デジタル・フロンティア/ポリゴン・ピクチュアズ/マーザ・アニメーションプラネット

前列・左から、
久保圭之 リギング スーパーバイザー(オー・エル・エム・デジタル)
平 大和 シニアモデラー(アニマ)
赤木達也 キャラクターチーム マネージャー(マーザ・アニメーションプラネット)
金田剛久 システム開発部 部長(サンジゲン)

後列・左から、
田淵玲児 リギング アーティスト(デジタル・フロンティア)
福本健太郎 リギング スーパーバイザー/アセット部 部長(ポリゴン・ピクチュアズ)
荒井修平 プロダクショングループ リグセクションリーダー(ILCA)
小森俊輔 テクニカルディレクター(StudioGOONEYS)

スペシャルインタビュー