>   >  公開直前! 映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』、マーザ・アニメーションプラネットによる実写映画のノウハウを活かした新感覚3DCG
公開直前! 映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』、マーザ・アニメーションプラネットによる実写映画のノウハウを活かした新感覚3DCG

公開直前! 映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』、マーザ・アニメーションプラネットによる実写映画のノウハウを活かした新感覚3DCG

待望の『バイオハザード』最新フルCG長編がいよいよ公開となる。サバイバルホラーへの原点回帰CQC(=近接格闘)をはじめとしたエンタメ性あふれるアクション演出という2つの指針の下、マーザ・アニメーションプラネットが実践した画づくりのうち、「プリビズ&レイアウト」ならびに「パフォーマンスキャプチャ/アニメーション」工程ついて紹介しよう。

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 226(2017年6月号)からの転載記事になります

TEXT_ 黒岩光絵(二代目三四郎商店
EDIT_沼倉有人 / Arihito Numakura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』
2017年5月27日(土)全国ロードショー
biohazard-vendetta.com/
© 2017 CAPCOM / VENDETTA FILM PARTNERS. ALL RIGHTS RESERVED.

<1>映画演出の基礎固め〜プリビズ&レイアウト〜

「スカウティング」で見定めた演出を映像化すべく、さらなる検証が必要なシーンについてはプリビズも作成。そして、レイアウト工程においてはシネマトグラフィー(映画撮影術)に基づいたアニメーション工程以降の確かな指針が創り出されていった。

プランニングを固めた上でのレイアウトづくりを徹底

本作では、全ショットのプリビズを作成するのではなくドラマパートは絵コンテを、アクションパートは実写によるビデオコンテを基に演技やカメラワークが詰められた。その中でも特に難易度が高いと判断したシーンに絞るかたちでプリビズを作成したという。代表的なプリビズとして、Just Cause Production(ジャストコーズプロダクション)が手がけた1分以上もの長尺のバイク走行のシーンが挙げられる。その他ディエゴの変身シーンや屋上のラストバトルの一部もプリビズを制作している。「アクションシーンについては、園村健介アクション監督には大いに助けていただきました。パフォーマンスキャプチャ(以下、PCAP)の収録前に、実際のアクターさんたちによるアクションを実写撮影したものを編集したものを『ビデオコンテ』に仕上げてもらえたのです。本番の収録でも同じアクターさんたちが演じられたので、動きとしてもカメラワークやカット割りについても非常に精度の高い指針となりました」と、マーザ・アニメーションプラネットの中井 翼CGディレクターはふり返る。

映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』主要スタッフ
<前列>右から、冨山竜徳Layout Artist、中村 翼Lead Character Artist、中井 翼CG Director、岩井敬祐Animator、安部 清Effect Artist、波田琢也Senior Shot SV、小泉薫央FX Artist、/<中列>右から、堺井洋介Layout SV、児玉真生子Animator、貫薗健剛CharacterFX Artist、塙 智洋Lead Rigging Artist、福田裕也Character Artist、秋山佳子Production Assistant、金 ソルLead TD、高原聡史Sets & Props Designer、戸松 聡Lighting/Composite SV、羽山実里Production Assistant、荒川孝宏Senior Asset SV、上出彩加PM、亀井清明Matte Paint Artist/<後列>右から、川崎広貴CharacterFX SV、坂本知万Senior Animation SV、吉沢康晴Lighting/Composite Artist、早川一繁Environment & Props Artist、笹谷周生Lighting/Composite Artist、永田浩司Environment & Props SV、木村宜真Animator、山岸次郎Animator、木下秀幸Animator、中森達也Lighting/Composite Artist、里吉大介FX Artist。以上、マーザ・アニメーションプラネット
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota


PCAP収録後からレイアウトがスタート。中井氏と堺井洋介Layout SVに加え、マーザのLayout Artist2名、さらにアニマロイドと神央薬品からも2名ずつが参加。レイアウトの作業期間は、2016年3月から7月までの約5ヶ月だったそうだが、何と『キャプテンハーロック』制作時との単純比較で2〜3倍の作業スピードが求められたそうだ。「レイアウト作業では、いきなりつくり始めるのではなく、このショットは、作品全体やシーン内での位置づけは? ショット内で見せるべきものは何か? といった"プランニング"を明確にした上で作業を進めることを徹底しました」と、堺井氏はふり返る。また空撮においては現実の撮影状況をシミュレーションするかたちでカメラが配置されるなど実写の手法などを多く取り入れたそうだ。編集においてもレイアウト時に詰めており、以降の作業に迷いや無駄のない作業を心がけたという。「音やFXがついた映像で見ると迫力とホラー感、アクションの演出がこういうことだったのか、と改めて辻本監督や園村アクション監督の適確なディレクションに感心させられました。その意味でも観客にCGと感じさせない画づくりを実践していきたいと思います」(冨山竜徳Layout Artist)。プリビズやレイアウトなど日本国内でもかなり浸透してきてるが実写では不可能なことをCGで検証するのではなく、実写のガイド(ビデオコンテ)でカメラワークを決めるという逆の発想を見ることに可能性があると感じられた。本プロジェクトを通じて、実写演出的なノウハウを習得したという彼らのさらなる活躍を期待したい。

1分以上の長尺シーンをプリビズで検証

後半に登場するハイウェイでくり広げられるバイクに乗ったレオンとゾンビ犬たちのバトルシーンでは、1分以上の長尺のため、プリビズを作成。演技やカメラワークのプランニングだけでなく、必要となる背景セットやプロップの見積もりにも活用された


Just Cause Production(ジャストコーズプロダクション)が作成したプリビズ


レイアウト

CQC(近接格闘)シーンのレイアウト


「クリスとレオンがアリアスのアジトの廊下で大量のゾンビたちに挟撃されるシーンでは、手をつかんだり投げたりといった肉弾戦が多かったので、とても苦労がありました。CGでは手で持つことでそこを固定させたり外したりの作業が1工程増えるため数が多く大変でした。また、遠くのゾンビも意志をもってちゃんと動いているので、映画を観ていただいた方にいろいろと気づいてもらえると嬉しいですね」(冨山氏)。基本的にエディットされたPCAPデータを使っていくのだが、収録時の動きやコンテ通りのカット割りだとわかりにくいものに対しては監督と連携し随時やりとりしながら対応したという。激しいガンアクションのシークエンスはプリビズ時に実写撮影の段階でカメラワークも決められており、アクション以外で見えない要素はCGでレイアウトを組んでから整合性を整えているとのこと。また今回レイアウト担当者がそのままアニメーションまで仕上げるケースもあり、ポーズを整えながら全体の構図を固めていくことにもなったそうだ。「レイアウト時のエフェクトに関しては銃の撃つタイミングや着弾点、爆破のタイミングなどカット構成以降の作業で迷わないようにつくり込んでます。その他舞い散る花びらの表現などはFX班からアセットを提供されていたのでそれをレイアウトで配置したのですが提供アセットは仮ではなくそのままファイナルまで手を止めることなくつくることができました」(中井氏)。レイアウトがOKになるとカメラデータ、アニメーションデータがサーバにパブリッシュされ社内外にデータがシェアされるのだが、エフェクトのガイドもAlembicのデータとしてパイプラインに組み込まれている。全てのデータをパイプラインに組み込むことで最大限の効率化を図っている

情感豊かな構図とカメラワークを求めて

前半に登場する、ロッジ内の会話シーンのレイアウトより。休暇中のレオンの下へ、クリスとレベッカが新型ウィルスの捜査協力を求めにやって来たのだが、終わることのないバイオテロに対して自暴自棄にふるまうレオンを目の当たりにしたクリスは思わず口論をはじめてしまう......。キャラクターにはそれぞれステータス(地 位や立場や見た目、おかれている状況等によって変化するキャラクターの力関係)が設定されており、それが状況次第で変わっていくのを観客に感じてもらえるように構図を考えるのもレイアウトの作業の大きな役割のひとつだ



  • クリスが酒を飲んでいるレオンの腕をつかんでいる(クリスがレオンを見下ろす)



  • 見上げる形でクリスに話しかけるレベッカ(レベッカがクリスを見上げる)



  • クリスに対して詰め寄るレオン(レオンが若干クリスを見下ろす)



  • 目線がクリス・レオンより上からふたりに話しかけるレベッカ(レベッカがクリス・レオンを見下ろす)

......という、一連の演技が付けられた。「最初はステータスの高く見えるクリスが途中からレオンと同じ目線になり、その後ふたりよりもステータスが低く見えていたレベッカに見下ろされ、ステータスが逆転している。相応の理由があり、それがドラマの中で語られているので、レイアウトではドラマに合わせた取り方が必要となってきます」(堺井氏)。カメラの動かし方やレンズのルールなど、最初に辻本監督と密にやりとりを行い、実写における撮影メソッドなどを監督から適宜教わっていたそうだ。例えばレベッカなどの美女は伏し目がちのアングルをベースにして女性らしさを強調する。ヘアスタイルが大きな特徴でもあるレオンであれば右目が髪の毛で隠れやすくなるため、右側から基本的に撮らないといった画づくりを心がけたという

レイアウト作業向けインハウスツール「MARZA Camera List」のUI。「シーンの中に複数配置してあるカメラをMARZA CameraListで管理しています。ショットごとにレンジが指定でき、コントローラを選択するGUIとしても機能しています。ノイズを自動的に発生させる機能や複数配置しているカメラを連続でつないで確認する機能など、レイアウト作業には欠かせないツールです」(堺井氏)

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<2>周到な準備と機転を利かせた現場対応〜パフォーマンスキャプチャ/アニメーション〜

Profileプロフィール

マーザ・アニメーションプラネット/MARZA ANIMATION PLANET

マーザ・アニメーションプラネット/MARZA ANIMATION PLANET

<前列>右から、冨山竜徳Layout Artist、中村 翼Lead Character Artist、中井 翼CG Director、岩井敬祐Animator、安部 清Effect Artist、波田琢也Senior Shot SV、小泉薫央FX Artist、/<中列>右から、堺井洋介Layout SV、児玉真生子Animator、貫薗健剛CharacterFX Artist、塙 智洋Lead Rigging Artist、福田裕也Character Artist、秋山佳子Production Assistant、金 ソルLead TD、高原聡史Sets & Props Designer、戸松 聡Lighting/Composite SV、羽山実里Production Assistant、荒川孝宏Senior Asset SV、上出彩加PM、亀井清明Matte Paint Artist/<後列>右から、川崎広貴CharacterFX SV、坂本知万Senior Animation SV、吉沢康晴Lighting/Composite Artist、早川一繁Environment & Props Artist、笹谷周生Lighting/Composite Artist、永田浩司Environment & Props SV、木村宜真Animator、山岸次郎Animator、木下秀幸Animator、中森達也Lighting/Composite Artist、里吉大介FX Artist。以上、マーザ・アニメーションプラネット

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