>   >  クオリティも効率もあきらめない。注目の『モンスターストライク』新シリーズを手がけるアニマ中核スタッフに聞く、次世代アニメーション制作の肝とは?
クオリティも効率もあきらめない。<br/>注目の『モンスターストライク』新シリーズを手がけるアニマ中核スタッフに聞く、次世代アニメーション制作の肝とは?

クオリティも効率もあきらめない。
注目の『モンスターストライク』新シリーズを手がけるアニマ中核スタッフに聞く、次世代アニメーション制作の肝とは?

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草木もなびく勢いで成長を続けるCGスタジオ、アニマ。アニメ、ゲーム、実写と舞台を選ばず、その高いCG技術で各界から信頼と称賛を集めてきた。現在、YouTubeで配信され大きな話題を呼んでいるCGアニメ『モンスターストライク(以下、モンスト)』では、アニメーション制作を担当している。アニマらしい画づくりとハイクオリティな映像で、ファンの心を見事に掴んだ。今後、国内外問わずますますの発展を続けていくであろうアニマの実情を探るべく、特別座談会を開催。アニマの根幹を支える中心メンバーにお集まりいただいた。最先端の効率的なフローを導入するアニマの成長の秘訣は......ピザ&ビール!? ここでしか聞けない建前抜きのリアルな声をご覧いただきたい。

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TEXT__野澤 慧 / Kei Nozawa
EDIT_斉藤美絵 / Mie Saito(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota



▲『アニメ モンスターストライク 第1話「闇への序章」 』
2018年7月から配信開始  https://anime.monster-strike.com/
©XFLAG
"モンスターストライク"、"モンスト"は、株式会社ミクシィの商標または登録商標です。

長尺の作品でいかに効率良く、なおかつ見映えのするものを追求するか

田中 剛氏(以下、田中):アニマは、これまで変えたいと感じていた環境やフローを、実際に変えられる会社ですね。アニメーションSVとして「こういう風にやりたかった」と思っていたことも、実際にさせてもらっています。

菊地 蓮氏(以下、菊地):縦の距離が近いんですよね。ディレクターの土屋(俊介)さんは僕の直属の上司ですが、いつでも気軽に話せます! 転職を考えていたときに、アニマなら環境やパイプラインを整える仕事ができると思って入社しました。

  • 田中 剛(タナカ ツヨシ)/アニメーションSV


    2017年度入社。「新しいことにチャレンジしていこう」、「常により良い環境へ改善していこう」という意欲的な社風、そして重要な決定権が身近なところにある風通しの良さに惹かれ、入社を決めた。入社後も、環境改善に向けた努力と工夫を実感しているという。現在はアニメーションスーパーバイザーとしての職務をこなす一方で、社内の環境改善にも積極的に取り組んでいる

  • 菊地蓮(キクチ レン)/CGSV・VFXSV


    2017年度入社。CGスーパーバイザー兼VFXスーパーバイザーとして、主にエフェクトチームのマネジメントとパイプラインの開発を担当する。会社全体でチャレンジし、変化を生み出そうとするアニマの様子を見て入社を決意した。自身の経験を最も活かせる環境が、アニマにはあったという。また、経営陣とコミュニケーションが取りやすいこと、新しい技術や考え方を取り入れることへの積極的な姿勢にも惹かれたとのこと


土屋俊介氏(以下、土屋):現場の状況を上の人が感じ取っていて、ニーズを汲み取ってくれていると感じますね。

  • 土屋俊介(ツチヤ シュンスケ)/ディレクター


    2004年度入社。黎明期のアニマに参加し、今日まで支えてきた古株のひとり。2004年当時のアニマは、LightWave 3Dをメインツールとしており、個人制作で磨いた自身のCGスキルが活かせそうだと感じたことが、入社の決め手となった。また、当時の構成人数は30人ほどで、現在ほど大規模ではなかったことから、得られるチャンスが多そうだとも感じたという。現在はディレクターの職に就き、プロジェクトの総指揮を執る


田中:会社のルールに関わることでも、普通の職場だと簡単に変えられませんが、相談したら「とりあえず変えてみたら」と言ってもらえます。例えば、これまでWordファイルで提出していた業務月報について、アンケート形式のフォーム入力を提案し、採用されました。

三山一男氏(以下、三山):僕はもう16年アニマにいますけど、あえて良いところを述べるなら「チャレンジを続けているところ」です。コンポジットでも、現場からこういう画をつくりたいと提案できて、なおかつ、とりあえずチャレンジしてみようという雰囲気があります。

  • 三山一男(ミツヤマ カズオ)/コンポジットSV


    2005年度入社。土屋氏と同じく、草創期のアニマを知る古参のメンバー。卒業制作を共同で制作した3人の仲間のうちのひとりが、アニマへの加入を決めたことをきっかけに、その友人に続くかたちで入社した。コンポジットスーパーバイザーとして、主にコンポジットスタッフの統括・管理を行なっている。また、プロジェクトごとの画の方針の決定や、テクニカルなトラブルのサポートにも手腕を振るっているとのこと


菊地:チャレンジといえば、アニマでは3ds Maxをメインツールとして使っていたんですが、去年の秋くらいからは本格的にMayaを採用して、エフェクトはHoudini、コンポジットはNUKEというパイプラインを導入しています。

田中:長尺に対応できるように考えられたフローです。『モンスト』は、アニマとして初めてフルでMayaを使ったプロジェクトになりました。

三山:おかげで、シーンの構築とベースのライティングはワンボタンで済むようになりました。そこで画づくりの50%は終えられます。

菊地:今は社内の半分、50人くらいはこのパイプラインで仕事をしています。エフェクトアーティストは9人全員がHoudiniを使っていますが、この規模は、国内に数社くらいしかないと思いますよ。

河村公治氏(以下、河村):自分が一番驚いたのは、第5話のエフェクトの工数見積もりが300%になってしまったときですね。土屋さんたちに相談したら、すぐにミーティングを開いて、工数が収まるようにうまくバランスを見ながら調整していただけました。 

  • 河村公治(カワムラ コウジ)/エフェクトSV


    2018年度入社。約20年前に渡米して以来、アメリカ国内で様々な作品に携わり、CG技術を習得。帰国を考えていた折に、本格的なCG制作環境を構築しようと動き始めていたアニマを知り、興味をもつ。また、先に入社していた菊地 蓮氏からアニマの話を聞き、本格的にHoudiniを用いたエフェクト制作が行えると考えたことも、入社理由となった。アニマではFXスーパーバイザーを任され、エフェクトの工数管理なども担当している


土屋:エフェクトは河村さんや蓮さん(菊地氏)に入ってもらい、クオリティの担保ができていたので、それを踏まえて削りました。

河村:それでも300%をよく調整してもらえたなと。酷いところだとサービス残業で対応することもありますから......(苦笑)。まず工数を抑えることを考えてくれたのは、素晴らしいですね。

土屋:大きく削らなくても瞬間的には対応できたかもしれませんが、スタッフのモチベーションも含めて、持続可能な作業量を目指しました。

菊地:一律に切っていたわけではなくて、クオリティを確保しつつ、どうやって効率的にまわしていくかが重要ですね。

土屋:数字の上では1/3の工数ですが、印象は1/3ではありません。「工数削りました。でも、クオリティも減りました」は通せないけど、優先するものや効率化できるものを見極めて削減し、結果としてスタッフとの信頼関係も育め、上手く乗り切ることができました。

Miquel Campos/ミケル・カンポス氏(以下、ミケル):アニマは、アニメーターさんの技術もすごいです。特に『モンスト』は、出来上がりを観るのがとても楽しみですね。想像よりクオリティが高くて、「僕のリグでここまでできるんだ」と驚かされます。

  • Miquel Campos(ミケル カンポス)/テクニカルディレクター・リギングSV


    2017年度入社。魅力的なプロジェクトと新たなチャレンジを求めて、スペインからカナダを経てアニマへとたどり着く。実際に入ってみると、高レベルのプロジェクトに参加できるだけでなく、スタッフの人柄や社内に漂う空気も柔らかく、居心地の良い環境で、良い意味で予想を裏切られたという。長年海外のスタジオで研鑽した技術をもって、テクニカルディレクター兼リギングスーパーバイザーとして制作へ貢献している


田中:日本独特のメリハリとかは、特に感動していましたね。

ミケル:僕がこれまで経験してきたのは、リアルな質感のフルCGです。セル調とフルCGは全然ちがいました。おかげで、毎日チャレンジングな仕事ができ、得られることもすごく大きいです。

田中:ミケルは作画の資料集も買っていたよね!

ミケル:大きなちがいは、モーションブラーがないことです。僕が経験してきたウエスタンスタイルは、モーションブラーをかけるので、ちょっとした部分はブラーで見えません。でもアニメのCGは毎フレームごまかしがきかない。細部へのこだわり方がちがって、興味深かったですね。

土屋:ただ、セル調のCGアニメはネガティブなイメージを持たれ、手描きの方が良いと言われることもあります。だからこそ『モンスト』では「CGでもこれだけいける!」というのを見せたいと思いました。

三山:コンポジットでも、CGの情報量を活かせるよう意識しています。

土屋:YouTubeの配信なので、ユーザーから声が直に届きます。話数が進むと「CGだから」という部分には触れられなくなっていました。CGだと意識せずに観てもらえたのは、成功だと思います。セル調のCGアニメが抱える課題に対して、アニマとしての落としどころを提示できたのではないでしょうか。

三山:「長尺の作品で、いかに効率良く、なおかつ見映えのするものを上げられるか」という部分に関しても、『モンスト』を通してひとつの答えが見えてきたと思います。

▲『モンスターストライク』の演出方針を表す一例。「CGの情報量を活かした作品にしたいと考えていました」と土屋氏。完全にセル調に寄せるだけではCGでやる意味がないため、コストを考慮した上で、モーションキャプチャをベースに動きを付けている。アニメ的な造形のキャラクターをフルコマで動かしても、違和感が生まれないことを見せつけた。カメラワークも立体的な動きを意識し、併せてエフェクトについてもリアルな表現を追求している

▲土屋氏がこだわった表情芝居の一例。キャラクターのバックグラウンドを感じさせるためには、表情芝居に最も力を入れるべきだと判断したという。モーションキャプチャをベースとしたことで、プライマリアニメまでのスケジュールや情報量はある程度担保できた。そこで、体の動きに負けないだけの情報量を表情芝居にも乗せることに。事前に用意されたフェイシャルプリセットをベースに、カットに合わせて表情を付けていく。ベースからのつくり込みに関しては、担当スタッフからのプレゼンを大切にし、それぞれの個性が出るようにしたという

▲キャラクターの関係性を表す芝居もアニマの強みだ。中でも、主人公ふたりの性格のちがいや関係性の表現は、特に力を入れている。そもそ