>   >  新・海外で働く日本人アーティスト:未経験でゲーム会社に就職し、タイのスタジオで社長に 第25回:石川圭介/Ishikawa Keisuke(Studio Porta/President)
未経験でゲーム会社に就職し、タイのスタジオで社長に 第25回:石川圭介/Ishikawa Keisuke(Studio Porta/President)

未経験でゲーム会社に就職し、タイのスタジオで社長に 第25回:石川圭介/Ishikawa Keisuke(Studio Porta/President)

今回は、日本の大手ゲーム会社で経験を積んだ後、バンコクにスタジオを設立し、現在は社長という立場でスタジオ運営に携わっている石川圭介氏を紹介する。学生時代から映像業界への就職を意識していたわけではなかったという石川氏が、どのようにして海外で制作会社を設立するに至ったのか。バンコクでの生活ぶりも交えて、紹介していく。

TEXT_鍋 潤太郎 / Jyuntaro Nabe
ハリウッドを拠点とするVFX専門の映像ジャーナリスト。
著書に『海外で働く日本人クリエイター』(ボーンデジタル刊)、『ハリウッドVFX業界就職の手引き』などがある。
公式ブログ「鍋潤太郎☆映像トピックス」


EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada

Artist's Profile

石川圭介/Ishikawa Keisuke(Studio Porta President / Managing Director)
神奈川県出身。2007年6月に株式会社スクウェア・エニックスに入社。同社ヴィジュアルワークスのプロダクション・コーディネーターとしてキャリアをスタート。2014年3月に退職するまでに『ファイナルファンタジー』シリーズや『ドラゴンクエスト』シリーズなどの数多くのプロジェクトに携わる。その後、2014年に株式会社アティックへ移籍。同年11月、タイのバンコクにStudio Portaを設立しPresident/Managing Directorとして就任。2018年4月からは株式会社アティックの取締役も兼任。

<1>入社後、はじめて映像制作の仕事に触れる

――日本では、どのような学生時代を過ごされましたか?

ゲームは人並みにプレイしていたと思うのですが、どちらか言えば部活やバイトをしていた時間の方が長かったです。ほぼ間違いないのは、他の学生の模範になるような学生ではなかったということです(笑)。学生時代の私を知っている人からすると、私が現在この仕事をしていることを、不思議に思うかもしれません。

――日本で仕事されていた頃の話を教えてください。

スクウェア・エニックスへ入社したのを契機に、映画やゲームなど、エンターテインメントに関する情報へ意識的に目を向けるようになりました。私が同社のヴィジュアルワークスに入社できたのは、特に何か突出したスキルがあったわけではなく、ちょうど面接したのが人手不足だった時期だったためです。そのため入社したばかりの頃は、映像制作の仕事が初めてで必要な専門用語すら全くわからず、先輩のコーディネーターやディレクターには大変お世話になりました。ただ私が所属していたチームは、年間に数多くのプロジェクトを抱えていたため、1~2年もすれば映像制作のフローやゲーム制作に必要な基本的な知識を学ぶことができました。入社後、3年後に携わった大きなプロジェクトが完了してからは、全体の仕事を把握できるようになり、他部署との連携も問題なくこなせるようになっていました。私にとって、20代をスクウェア・エニックスで過ごせたことは、本当に大切な財産になっています。

――その後、別の会社に移籍され、タイにスタジオを設立されたそうですね。

スクウェア・エニックスからアティックに移籍した後、同社の代表と海外スタジオ設立の話を進めました。当時は具体的に設立する国を決めていたわけではなかったので、マレーシアとタイにスタジオ視察に行きました。私が入社する前から、代表がベトナム、インドネシア、フィリピンなどに視察に行っていたので、その情報と合わせて、最終的にバンコクに設立することを決定しました。大きな決め手となったのは「設立しやすいこと」、「アーティストが集められるかどうか」、「治安」の3つです。現在は、およそ30名の現地採用スタッフと、私を含めた3名の日本人が勤務していますが、設立当時はとにかく人材集めに苦労し、現地の専門学校や人材紹介会社からアーティストを紹介していただいてました。また当たり前ではありますが日本と異なる点も多く、設立から1年ほどは「聞いていた話とちがう!」と、驚くことが多かったですね。就労ビザについては、日本での実績が一定の年数以上あればタイの規定はそこまでうるさくありませんので、必要な書類を提出することで取得できました。

――バンコクのスタジオ Studio Portaは、どのような会社でしょうか。

主にゲームや映像作品に使う、モデルやモーションなどを制作する会社です。レンダリング環境も構築されていますので、案件によっては最終映像の出力まで担当させていただいてます。現在は、設立から3年半経ち、アーティストも増えています。

――Studio Portaの特長はどんな点ですか?

弊社は東南アジアにある日系の企業の中では、マネジメントに割いている人員が多い方だと思います。またコミュニケーション面で時間をロスしないように、アーティストに指示するときは、日本人がディレクターの場合、プロダクションコーディネーター兼通訳担当のスタッフを間に入れ、日本語で指示を伝えることで、間違った指示の伝達がないようにしています。社外のクライアントと直接取引させていただくこともありますが、海外スタジオだからといって、コミュニケーションの不便を感じさせないワークフローが実現できていると思います。現在、弊社ではバンコクで働きたいデジタルアーティストを募集していますので、国籍問わず、「タイで働いてみたい」という方がおられましたら、ぜひご連絡ください。もちろん、タイの方も歓迎です。職歴書とポートフォリオを添えてのご応募をお待ちしております。日本語かタイ語か英語のどれかでコミュニケーションがとれれば、特に語学力のスキルは求めていません(※募集要項は詳細はコチラ)。


クルーのランチ風景

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<2>日本本社のマネジメントも兼任しながら、バンコクのスタジオで社長として働く多忙な日々

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